茶の改植と幼木園管理について

はじめに

茶の経済樹齢は約30年といわれています。定植から30年を過ぎた茶園では収量・品質の低下や中切り等の更新の効果が低下する傾向にあります。本稿では老朽化茶園の生産性を回復させる手段である改植と定植後の管理について説明します。

茶の改植

茶園の抜根

茶樹を抜根して改植する場合は、老朽化茶園では土壌中の肥料養分のバランスが崩れていることが多いため、土壌改良等の期間を考慮し、9月ごろまでには抜根を終えましょう。抜根の際は既存茶園の管理を優先し、管理遅れがないよう注意してください。

深耕・整地

抜根を行ったら、堆肥等を投入する前に土壌分析を行いましょう。分析結果を参考に堆肥などの有機物や、苦土石灰などの土壌改良剤を投入して深耕・整地します。深耕は硬盤層を破壊することで、土壌物理性の改善に繋がります。整地の際は、排水性や作業性を考慮し2度以上の傾斜をつけましょう。もともとの傾斜地では極力緩傾斜となるように整地しましょう。

定植

◯うねの方向
茶園の生育を考えると、うねの両側の生育が均一となる南北うねが望ましいですが、うねの長さや地形など、作業効率を考慮しうねの方向を決めます。傾斜地では土壌の流亡を抑えるため等高線に沿ってうねをつくります(図1)。

図1 うねの方向

◯植溝、マルチの準備
土壌構造を膨軟にして苗の活着をよくするため、定植の2~3か月前までに、植溝を深さ30cm、1条につき幅3040cm堀り、土塊を十分乾燥させておきます。土塊が乾いた後、植溝に完熟たい肥や重焼燐などを施用し土壌と混和します。マルチについてはそれぞれ特性があり、表1に示すとおりですが、作業性やコストを考慮して選択しましょう(写真1)。

◯定植方法
定植方法は、早期成園化や乗用型茶園管理に対応する強い枝条を保つため、現在は2条千鳥植えが主流です。植付けする苗の方向は、早期に株張りを確保するため、枝がうね方向と90°に交わる方向に出るような向きに植えます(図2)。
定植の際には樹勢の良い苗から植えていき、樹勢の劣るものは補植用として仮植します。また、活着を促すため定植直後に2L/株程度かん水します。

図2 茶苗の定植の向き

幼木園管理

幼木園の初回せん枝

定植後の初回せん枝は、茶樹の骨格をつくるのに重要な作業です。品種により枝の出方が異なるため、初回せん枝は品種の特性にあわせた高さで行いましょう(表2)。

雑草対策

幼木園の管理で大変なのが雑草対策です。幼木園は雑草が繁茂しやすいため、できるだけ雑草が小さいうちに除草しましょう。株元の雑草は大きくなると幼木と一緒に抜けてしまうことがあるため、小さいうちに手取り除草を行います。うね間の雑草も手取り除草が基本ですが、管理機等を使用する場合は根の損傷を軽減するため5cm程度の浅耕にします。

施肥

苗が活着した2~3か月後頃から施肥を開始します。施肥量は成木園の3割を上限とします。ビニルマルチを使用している場合は、1回に窒素成分で1~2kg/10a程度となるよう分施します。また、かん水と合わせて液肥を活用すると効果的です。冬季に幹割れが発生しないよう、秋肥は8月末までに終了しましょう。

最後に

ほ場内の整備や土壌改良、茶樹の骨格作りなど、改植時にしかできない作業があります。改植した茶園は約30年管理していくことになるため、これらの作業を確実に行い、良い茶園をつくっていきましょう。

県北広域本部 鹿本地域振興局 農業普及・振興課

 

茶の改植と幼木園管理について  (PDFデータ)