一歩進んだ搾乳ロボットの活用で繁殖成績アップ!

農業研究センター畜産研究所大家畜研究室

研究のねらい

近年、労働負担軽減を目的に搾乳ロボットの普及が進んでいます。搾乳ロボットの一部機種では生乳分析装置(DeLaval社製ハードナビゲータ―、以下HN)を備え、乳汁中のプロジェステロン(以下P)濃度測定により高度な繁殖管理が可能となっています。また、すでにHNをお使いの方の中には、発情アラームが出ていないのに、発情行動があり、なんで?という経験をお持ちの方がいらっしゃると思います。
本研究では、その疑問にお答えすべく、HNによるP濃度測定と発情発見装置である牛歩を用いた歩数増加開始時間(発情開始時間)との関係について調査しましたので、ご報告します。

研究の成果

1.HNでは、生乳に含まれる値をそのまま表示する「Rawデータ」とRawデータを補正した「平滑化データ」が表示されますが、P濃度が5ng/mlを下回った時に発情が来ることを知らせる「発情アラーム」は、平滑化データを検知しており、Rawデータとは最低1回の搾乳(測定)時間差が生じます(図1、2)。そのため、発情アラーム前に歩数が増加した個体が約23%認められます(図3)。

図1 P4濃度の測定事例(2回の人工授精後妊娠したもの)
図2 Rawデータが5ng/mlを下回った時から
発情アラームが出るまでの時間(延べ104頭)
図3 発情アラームから歩数増加開始までの時間(延べ83頭)

2.発情アラームに頼ることなく、RawデータでのP濃度を確認することで、発情の見逃しを低減し、人工授精機会の喪失も防ぐことができます。

3.暑熱期(7~9月)では、発情アラームは出たものの発情兆候(歩数増加)のない牛が顕著に増加します(図4)。これまで、このような牛の授精機会はありませんでしたが、発情アラームが出ることで、発情兆候のない牛も人工授精機会が生まれます。
また、人工授精済牛であれば不受胎であることの早期発見が可能となります。これらの牛へは、直腸検査との併用による人工授精日時の見極め等により、繁殖成績の向上が期待できます。

図4 発情アラームが出た牛の月別の歩数増加の有無(延べ104頭)

成果活用面・留意点

1.Rawデータの表示方法は、図5を参考に設定してください。

図5 Rawデータの表示方法

2.P濃度測定のタイミングはHNの人工知能が判断するため、利用者側で任意の日の指定はできません。基本的に、発情アラーム直後は測定頻度を減らし、アラーム後21日前後になると測定頻度が増えます。初回発情時や発情周期がずれる牛は測定のタイミングが開きやすいため、Rawデータが5ng/mlを下回ってから発情アラームが出るまでに時間がかかります。また、P濃度が上昇しきらない時は、Rawデータが5ng/mlを下回った時に、同時に平滑化データも5ng/mlを下回りますので発情アラームが出ます。

 

No.982(令和4年(2022 年)6月)分類コード 08-13
搾乳ロボットによる P4 濃度測定は発情発見精度を高め、繁殖成績の向上が期待できる (PDFファイル)

 

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