黒ボク土壌茶園への春先の硫酸マグネシウム施用量は10㎏(MgO ㎏)/10aが適当である
農業研究センター茶業研究所
研究のねらい
生産現場では、市場における荒茶の品質評価を高めるため、外観の色沢や浸出時の水色の改善に向けた苦土成分の補給について指導がなされていますが、適切な施用量については知見が少ない状況にあります。
そこで、球磨地域の黒ボク土壌茶園において、苦土成分の施用量が異なる条件下での茶園土壌中の苦土動態や一番茶、二番茶への影響を調査し、適切な苦土資材の施用量を明らかにすることを目的に試験を実施しました。
研究の成果
1.黒ボク土壌茶園の苦土含有率は、硫酸マグネシウムを春先(2月中旬)にMgO換算で10a当たり10~70kg 施用すると、一、二番茶生育期には施用前よりも増加しました。しかしながら、梅雨時期の降雨により土壌中の苦土の大部分は流亡し、7月には施用前と同程度まで低下しました。

2.土壌pHが4程度の黒ボク土壌茶園においては、春から夏にかけて酸性資材である硫酸マグネシウムや硫安を施用しても、土壌pHはほぼ同程度で推移しました。また、硫酸マグネシウムの施用量の違いによる土壌pHへの影響はみられませんでした。

3.2月中旬に硫酸マグネシウムを施用すると、無施用に比べて一番茶荒茶の苦土含量は増加し、摘採時の葉厚あたり葉緑素値も高くなりましたが、10aあたり10kg以上に増肥しても、茶葉に対する葉色向上効果の違いは殆どありませんでした。

成果活用面・留意点
球磨郡あさぎり町の表層多腐植質多湿黒ボク土において、年間施肥量はN:P2O5:K2O=52.9:17.2:15.0(㎏/10a)、被覆は一番茶で摘採前10日間の直掛け被覆栽培、二番茶は無被覆での条件下で3か年実施して得られた結果です。
No.996(令和4年(2022 年)6月)分類コード 03-08
996_成果情報_球磨_硫マグ施用量 (PDFファイル)
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