アリウム「丹頂」にはエチレン感受性がある

農業研究センター農産園芸研究所花き研究室

研究のねらい

本県はアリウム「丹頂」(図1)の出荷量が全国一位を誇りますが、収穫後の品質保持技術が確立されていません。そこで、切り花の品質保持に影響を与えるエチレンについて、アリウム「丹頂」における感受性の有無を明らかにしました。

図1 アリウム「丹頂」

研究の成果

1.エチレンガス処理を行った切り花は、生け花7日後に花序の乱れ(小花花首および花弁の伸長不揃い)が見られました(図2)。

図2 エチレンガス処理の有無による生け花7日後の花序の違い

2.着色小花割合は、水道水よりエスレル処理※1で生け花7日後以降有意に低く、STS処理※2では差は見られませんでした(表1)。

1 エスレル処理:植物ホルモン「エチレン」の作用をそのまま現すホルモン剤を切り花に吸収させる処理
2 STS処理:エチレン作用を阻止する銀イオンを切り花に吸収させる処理

3.開花小花割合は、水道水よりエスレル処理で生け花5日後以降有意に低く、STS処理では差は見られませんでした(表2)。

4.エスレル吸水処理で、花序の乱れ(小花花首および花弁の伸長不揃い)の発生、さらに、全ての開花小花で雄しべの未発達が見られました(図3)。

図3 吸水処理剤の違いによる生け花11日後の花序の違い

以上のことから、アリウム「丹頂」にはエチレン感受性があると考えられました。

成果活用面・留意点

1.採花後の管理、出荷時の輸送におけるエチレンガス濃度の検討に活用できます。

2.エチレンガス処理は、55cmに調整した切り花に20・暗黒下で24時間水道水吸水、その後10ppmになるようエチレンガスを注入、数分間ファンを回し、25・12時間照明下のチャンバー内に24時間静置して、同様の処理を3日間繰り返しました。生け花後の日持ち調査は、恒温室(25・12時間照明設定)で水道水250mlを入れた花瓶に切り花を1本ずつ生けて実施しました。

3.吸水処理は、60cmに調整した切り花に20・暗黒下で20時間実施しました。生け花後の日持ち調査は、恒温室(25・12時間照明設定)で水道水を500ml入れた花瓶に切り花を5本ずつ生けて実施しました。

 

No.931(令和3年(2021 年)6月)分類コード 02-05
アリウム「丹頂」にはエチレン感受性がある  (PDFファイル)

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