アリウム「丹頂」切り花はクリザールBVB吸水処理で観賞期間延長と着色促進が図られる

農業研究センター農産園芸研究所花き研究室

研究のねらい

熊本県特産花きのアリウム「丹頂」(図1)は、遠距離輸送や日持ち保証販売に対応できるように、観賞期間を延長する技術が求められています。そこで、収穫後の切り花に吸水処理剤を吸水させ、その効果について明らかにしました。

図1 アリウム「丹頂」

研究の成果

1.試験した3つの吸水処理剤のうち、クリザールBVBは、無処理より小花の開花と萎凋が遅いです(表1)。また、クリザールBVBの処理濃度が高いほど無処理との差が大きい結果となりました(図2a、b)。

2.クリザールBVB処理は無処理より着色進行が早い傾向にありました(図2c)。

図2 クリザールBVBの処理濃度が生け花後の開花・萎凋・着色の進行に及ぼす影響
※a開花進行=開花部位長/花房長×100、b BVB250倍区のみ欠株2本を除いた割合で表示、c着色進行=着色部位長/花房長×100

3.茎黄化の発生は、無処理の19日よりクリザールBVBでは26日以上と抑えられました(データ省略)。

4.生け花後の小花開花に伴う花型の変化は、クリザールBVB処理が無処理より小さいです(図3)。

図3 切り花の様子
a生け花前、b生け花12日後(無処理)、c生け花12日後(BVB500倍希釈液)

以上のことから、アリウム「丹頂」切り花にクリザールBVBを吸水させると、開花および萎凋と茎の黄化が抑制され観賞期間が延長すること、また花の着色が促進されることが明らかとなりました。

成果活用面・留意点

1.アリウム「丹頂」切り花における、出荷前の吸水処理(前処理)の検討に活用できます。

2.表1の試験は2020年1月14日に採花した切り花に吸水処理(20暗黒下・24時間)を行い水道水で14日間の日持ち調査を実施しました。生け花は水換え・継ぎ足しなし、恒温室内(25、12時間照明設定)で実施しました。

3.図2、3の試験は2020年5月20日に採花した切り花に吸水処理(20暗黒下・12時間)を行い水道水で27日間の日持ち調査を実施しました。生け花は水換え無し、減少分を随時継ぎ足し、恒温室内(25、12時間照明設定)で実施しました。

 

No.932(令和3年(2021 年)6月)分類コード 02-05
アリウム「丹頂」切り花はクリザール BVB 吸水処理で観賞期間延長と着色促進が図られる (PDFファイル)

切り花