2.増枝(茎数2,500本/10a)の開始時期は、12月が適します。12月に増枝すると、3月から側枝の収穫が始まり、収穫開始日の差は増枝開始が遅くなる程大きくなります。また、12月増枝の可販果収量は、11月増枝と同程度であり、1月増枝に比べ多くなります。12月増枝は11月増枝より、側枝の管理期間が短く、労力面からも優れます(表2、表3)。なお、増枝による果実品質や肥大性に及ぼす影響は小さいです(図2、一部データ省略)。
トマトの促成長期栽培における増枝後の適正本数と開始時期
農業研究センター農産園芸研究所野菜研究室
研究のねらい
近年、総収量を確保する栽培技術が強く求められています。栽培の途中から茎数を増加させる増枝技術は、増収の有効な方法であり、現地では1月頃から行う事例も見られますが、低軒高斜め誘引(ていのきだかななめゆういん)における技術の確立には至っていません。
そこで、増枝後の適正茎数および開始時期を検討し、総収量を確保しつつ安定的に生産するための栽培技術を明らかにしました。
研究の成果
1.増枝後の茎数は、2,500本/10aが適します。3,000本/10aでは、茎数の増加に伴い、茎が細くなり、着果率が低下し、一果重が軽くなります(図1、一部データ省略)。また、茎数の増加率に比例し、誘引時間は増加します(表1)。
3.増枝した側枝が主枝の収量に与える影響は小さく、収量増加は側枝の果実に由来します。一方で、側枝に着生する果実は、主枝より一果重が軽く、着果数は少ないです(表4)。
※低軒高斜め誘引
熊本県の園芸施設は台風への備えを重視しており、施設の軒高は低く、それに伴いトマトの誘引高が150cm~160cm程度と低い傾向にあります。従って、トマトを直立に誘引する事は難しく、斜めに誘引する方法が主流となっています。(写真1)
成果活用面・留意点
1.トマトの促成長期栽培において、総収量を安定的に生産する増収技術として活用できます。
2.増枝を行うと着果負担が大きくなるため、炭酸ガスの施用を必須とします。本試験では、11月下旬~3月下旬の期間、7時から16時まで設定値600ppmにて炭酸ガスを施用しました(実測値512ppm~561ppm)。
3.品種や日射量等の影響により、側枝発生および伸長に個体差が発生します。そのため、草勢維持に努め、増枝する際は、腋芽を10日程度放任し、勢いの良い腋芽を4株に1本を選定し側枝とします。その後、主茎や側枝が等間隔となるように誘引を行います。
No.962(令和4年(2022 年)6月)分類コード 02 -04
962_成果情報_農産園芸_トマト増枝技術 (PDFファイル)
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