ナシ「甘太」の本摘果時における着果程度と収量性
農業研究センター 果樹研究所 落葉果樹研究室
研究のねらい
ナシ「甘太」は、晩生のナシで糖度が高く甘味が強いため、熊本県内でも導入が期待される品種です(農業研究成果情報№698)。しかし、これまで品種特性を活かしながら、高収量を得るための適正な着果量がわかっていませんでした。そこで、本摘果の程度の違い(側枝1m当たり3、4、5果着果させた場合)による1果重および収量を明らかにしましたので紹介します。
ナシ「甘太」は、晩生のナシで糖度が高く甘味が強いため、熊本県内でも導入が期待される品種です(農業研究成果情報№698)。しかし、これまで品種特性を活かしながら、高収量を得るための適正な着果量がわかっていませんでした。そこで、本摘果の程度の違い(側枝1m当たり3、4、5果着果させた場合)による1果重および収量を明らかにしましたので紹介します。
研究の成果
1.果実の日肥大量は、側枝1m当たり3果および4果は順調に肥大しますが、5果は満開100日後頃から果実肥大がやや鈍くなります(図1)。
2.収穫時の平均1果重は、側枝1m当たりの着果数が少ないほど大きくなります。糖度や硬度計などの果実品質は、着果数による差はありませんでした。10a当たりの推定収量は、側枝1m当たり5果で約5.8t、4果で約4.6t、3果で約3.7tと、着果数が多いほど多くなります(表1)。
3.果実階級の比率は、側枝1m当たりの着果数が少ないほど600g以上の大玉果の割合が増加し、着果数が多いほど、600g未満の小玉果の割合が増加します。特に、側枝1m当たり5果では、大玉果の割合が低く、小玉果の割合がやや高くなります(図2)。
普及上の留意点等
1.本試験は、樹齢13~14年生、4本主枝を用いて主枝単位で処理区を設定し、満開約20日後に予備摘果、満開40日後に本摘果を実施し、満開50日後に白一重袋で被袋しました。
ナシ
ニホンナシの新梢の退緑斑点症状は水和硫黄剤とスピロテトラマト剤の体系防除で軽減できる
ナシ「秋麗」の裂果は、裂果発生期前のかん水及びシートマルチにより軽減される
ニホンナシの幼果の果梗裂傷被害は2月下旬の水和硫黄剤散布で軽減できる
ナシ「秋麗」の裂果は新梢(しんしょう)停止後の降雨で発生が助長される
ナシ「新高」の矮小花および遅れ花への受粉が着果及び果実品質に及ぼす影響
秋冬期の低温遭遇時間の不足がナシ「新高」の開花に及ぼす影響
白一重袋を被袋したナシ「甘太」は収穫後にポリ個装することで日持ち性が向上する
ナシ「秋麗」は5℃〜10℃で貯蔵すると1か月程度、15℃では2週間程度品質が保持できる
(No.883(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 01-10)ナシ「甘太」の白一重袋の被袋時期が果実品質ならびに日持ち性に及ぼす影響
(No.884(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 01-10)エテホン散布によるナシ「あきづき」の熟期促進とコルク状果肉障害の軽減効果
(No.841(平成 30 年 5 月)分類コード 02-10)ナシ「秋麗」の除芽による摘果作業労力軽減技術
(No. 710(平成29年5月) 分類コード 02-10)摘蕾および早期摘果によるナシ「あきづき」果実のコルク状果肉障害発生軽減
(No. 794 (平成 29 年 5 月)分類コード 02-10)ナシのモザイク症状の被害は展葉初期から新梢伸長期までの2回の薬剤散布で軽減できる
(No.705 (平成28年5月) 分類コード 04-10)ナシのモザイク症状に対して被害抑制効果の高い薬剤
(No.755(平成28年5月)分類コード04-10)ナシ「甘太(かんた)」に適した果実袋の選定
(No.753(平成 28 年 5 月)分類コード 02-10)