食味良好な早生(わせ)の青ナシ「秋麗」は、熊本県イチ押しのブランドとして産地化を進めており、現在約11haが栽培されています。しかしながら、梅雨期の降雨の影響で裂果(写真1)が発生し、収量低下を招いています。そこで、裂果軽減技術を確立するために、その発生要因を明らかにしましたので、紹介します。
ナシ「秋麗」の裂果は新梢(しんしょう)停止後の降雨で発生が助長される
農業研究センター果樹研究所落葉果樹研究室
研究のねらい
研究の成果
1.「秋麗」の裂果は、年次により発生率に差がありますが、発生が多かった2016年の気象は、6月中・下旬の降水日数及び降水量が多かったです(表1)。
2.6月中・下旬の「秋麗」の生育ステージは、新梢(しんしょう)停止期頃であり、果実肥大が最も盛んになる時期です(表2、図1)。
3.6月中・下旬に人為的な樹上散水による連続的な多雨を再現したところ、「秋麗」の裂果が増加しました(表3)。
成果活用面・留意点
1.5月~6月中旬の降雨量が少なく果実肥大が抑制され、その後急激に肥大すると裂果が助長されますので、その時期に降雨が少ない場合は、かん水(20~30t/10a程度、降水量で20~30mm相当)を実施してください。
2.6月中旬から樹冠下にシートマルチを行い、降雨の侵入を防ぎ、急激な果実肥大を抑制することで、裂果の発生が軽減できます。
ナシ
ニホンナシの新梢の退緑斑点症状は水和硫黄剤とスピロテトラマト剤の体系防除で軽減できる
ナシ「秋麗」の裂果は、裂果発生期前のかん水及びシートマルチにより軽減される
ニホンナシの幼果の果梗裂傷被害は2月下旬の水和硫黄剤散布で軽減できる
ナシ「甘太」の本摘果時における着果程度と収量性
ナシ「新高」の矮小花および遅れ花への受粉が着果及び果実品質に及ぼす影響
秋冬期の低温遭遇時間の不足がナシ「新高」の開花に及ぼす影響
白一重袋を被袋したナシ「甘太」は収穫後にポリ個装することで日持ち性が向上する
ナシ「秋麗」は5℃〜10℃で貯蔵すると1か月程度、15℃では2週間程度品質が保持できる
(No.883(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 01-10)ナシ「甘太」の白一重袋の被袋時期が果実品質ならびに日持ち性に及ぼす影響
(No.884(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 01-10)エテホン散布によるナシ「あきづき」の熟期促進とコルク状果肉障害の軽減効果
(No.841(平成 30 年 5 月)分類コード 02-10)ナシ「秋麗」の除芽による摘果作業労力軽減技術
(No. 710(平成29年5月) 分類コード 02-10)摘蕾および早期摘果によるナシ「あきづき」果実のコルク状果肉障害発生軽減
(No. 794 (平成 29 年 5 月)分類コード 02-10)ナシのモザイク症状の被害は展葉初期から新梢伸長期までの2回の薬剤散布で軽減できる
(No.705 (平成28年5月) 分類コード 04-10)ナシのモザイク症状に対して被害抑制効果の高い薬剤
(No.755(平成28年5月)分類コード04-10)ナシ「甘太(かんた)」に適した果実袋の選定
(No.753(平成 28 年 5 月)分類コード 02-10)