促成栽培における黄化葉巻病抵抗性トマト品種の特性

農業研究センター農産園芸研究所野菜研究室

研究のねらい

近年、黄化葉巻病抵抗性トマト品種の改良が進み、生産現場では栽培面積が拡大しています。また、トマト価格の低迷に対応するためには、収量および品質に優れる品種が求められています。そこで、最近の黄化葉巻病抵抗性トマト品種の特性について解明を行いましたので紹介します。

研究の成果

.「かれん」は「桃太郎ホープ」と比べ秀品率が高く(図1)、春先の果実が硬いです(図3)。また、糖度は期間を通じ高く推移します(図4)。
.AMS-019」は「桃太郎ホープ」と比べ可販果数が多く収量性に優れます(表1)。一方で、果実肥大は劣ります(表1、図2)。
.「麗妃」は「桃太郎ホープ」と比べ春先の果実が硬いです(図3)。一方で、茎長は長い傾向にあります(表1)。

図1 品種と等級との関係
注)等級は、JA熊本県経済連とまと標準規格に準じた。
図2 品種と階級との関係
注)階級毎の直径は3L:8cm以上、2L:8~7.5cm、L:7.5~7cmとして調査した。
M:7~6.5cm、S:6.5~6cm、2S:6~5.5cm
図3 春先の果実硬度の月別推移(2019年)
注1)調査は月末に無作為の5果を調査した。
注2)測定機器はIMADA製 DIGTAL FORCE GAUGE(果実硬度計)
に直径5mmの先端部を取り付け、果実赤道面を測定した。
図4 糖度の月別推移(2019年)
注1)調査は月末に無作為の5果を調査した。
注2)果実は破壊し、PAL1(糖度計)により測定した。

4.本試験で供試した品種の主要な特性を一覧表に取りまとめました(表2)。

成果活用面・留意点

1.本試験は、2018年9月19日~翌年6月20日の促成作型および2019年8月21日~翌年6月25日の促成長期作型で実施しました。栽植密度は2222株/10a(株間50cm、畝幅180cmの2条植え)とし、着果数は最大4果に摘果しました。また、炭酸ガス施用は、11月下旬~3月下旬の期間、7時から16時まで設定値600ppmで施用しました。
2.過去の黄化葉巻病抵抗性トマト品種の特性は、農業研究成果情報No.771、772(平成29年5月公表)およびNo.851(令和元年5月公表)を参照して下さい。本試験の「はれぞら」の評価は過去の成果情報と同様の傾向でした。
3.黄化葉巻病抵抗性トマトの標準品種として、生産現場での普及率が高い「桃太郎ホープ」を選定しました。

トマト・ミニトマト