冬春トマトの温度管理が生育および収量に及ぼす影響

研究のねらい

近年、冬春トマトでは環境制御機器や環境モニタリング機器の導入が進んでおり、日平均温度に着目した管理や積極的な日中の加温により、生育促進や収量向上を図る事例が散見されますがその効果は明確になっていません。
そこで、冬春トマトの日平均温度を高温で管理した場合の生育および収量に対する影響を明らかにしましたので紹介します。

研究の成果

1 日平均温度の制御は11月~4月にかけて実施しました。19℃設定は昼24℃・夜15℃、16℃設定は昼21℃・夜12℃を目標に換気と昼夜の加温により調節しました。日平均温度の実測値は、19℃設定では11月~4月平均:1℃、12月~2月平均:19.1℃、16℃設定では11月~4月平均:16.9℃、12月~2月平均:16.5℃となりました。

2 生育は日平均温度19℃とした高温管理では16℃に比べ茎径が細く草勢が弱い傾向となり、特に12月に顕著に認められました(図1)。

図1 茎径の推移

3 19℃では2月に収穫果数が減少します(図2)。また、一果重が小さい傾向となります(図3)。期間を通じた総収量はほぼ同等の値となりましたが、19℃では小玉果や空洞果等の発生で可販果収量の低下が認められました。月別にみると2月の収量差が最も大きくなりました。(図4、5)。

図2 収穫果数の推移
図3 一果重の推移
図4 総収量
図5 可販果と主な外品の果数割合

4 燃油使用量は16℃に対し19℃が2倍近い値を示し、収入から燃油コストを引いた差額も40%下回る結果となりました(表1)。

5 以上の結果から、日平均温度を19℃で高温管理すると、16℃に比べ生育面および収量面で劣る傾向が認められ、収益性も低くなりました。

普及上の留意点等

1 本試験は、小型複合環境施設(6m間口×12m硬質フィルム単棟ハウス)において、栽培期間2019年8月~翌年4月、養液栽培(山崎処方基準、EC 0.7(栽培初期)~512月以降)、ロックウール培地)、炭酸ガス無施用での結果です。

2 供試品種は「桃太郎ホープ」、調査株数は1520株です。

お問い合わせ先

農業研究センター アグリシステム総合研究所 生産情報システム研究室
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