牛行動モニタリングセンサーは、群管理による飼養形態下において効果的に疾病が発見できる

畜産研究所大家畜研究室

1 研究のねらい

1戸当たりの乳牛の飼養頭数の増加に伴い、フリーストール等の個体ごとに採食量等を把握することが難しい飼養形態が増えています。また、搾乳ロボットを導入した場合、乳房に触れる機会が減少し、乳房炎の症状の発見が遅れることが問題となっています。このような中で、牛の首にセンサーを装着し牛の採食や反芻等の行動時間をモニタリングすることで、異常検知時には飼養者へ通知する機能をもつ製品が開発されています。
そこで、行動モニタリングセンサーの一つであるU-motion(デザミス株式会社)について、疾病検知状況を調査し、乳房炎等の疾病の発見の有効性を検証しました。

写真 U-motionを装着した牛

2 成果

(1)調査期間中に治療が必要な疾病については、すべてにおいて疾病アラートが確認されました。
(2)疾病アラート確認延べ137頭に対し、「治療を要した」または「治療中」は延べ39頭で、その割合は28.5%でした(図1)。
(3)治療牛を分娩後日数別にみると、分娩後10日以内(分娩直後)と11~50日及び51~100日の泌乳初期の牛で74.4%を占めました(図1)。
(4)治療を要した牛の乳量低下(不完全搾乳)発生率は100%であったことから、搾乳ロボットにおける乳量低下の状況から疾病発見も可能であることが明らかとなりまた。加えて、U-motionの利用により、異常行動開始時期と治療後の回復状況の確認が可能でした。

図1 分娩後日数別にみた治療頭数(延べ39頭)
(令和3年4月~令和4年11月)

3 留意点

(1)疾病アラートには最低8日間のデータ蓄積が必要であるため、分娩直後の疾病アラートを確認するには分娩前からのセンサー装着が必要です。
(2)治療を要しない事例においても疾病アラートが確認されるため、疾病アラート確認後は図2のような対応が望ましいです。

図2 疾病アラート確認後の対応

No.102 3 (令和5年(2023年)6月)分類コード 08-13
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