トマト促成長期栽培では、経験や勘に頼ったかん水・肥培管理が中心に行われています。特に地下水位が高い水田平坦地では地下部の管理が難しいことから、スマート農業技術を活用し増収につながる適正なかん水や施肥量を明らかにしました。
ICT養液土耕システムによるトマト促成長期栽培の増収技術
研究のねらい
研究の成果
1.ICT養液土耕システムは、自動で日射および土壌水分から培養液の濃度と量をクラウド上で演算し供給するため、普通土耕栽培(慣行)よりも土壌水分が安定する傾向にあります。また、茎径は期間を通じ太く、葉色は3月以降高く推移します(図2、3)。
2.ICT養液土耕システムは、普通土耕栽培(慣行)と比較し、果実品質(糖度・酸度)を低下させることなく、果実肥大に優れ、春先に出やすい小玉が減少するため、収量は1.22~1.24倍の増収となります(表1、図4)。
3.ICT養液土耕システムの導入・運営経費は10a当たり72万円/年増加するものの、粗収益は慣行の約1.2倍となり90万円/年の所得増が見込まれます。
また、かん水・施肥管理に要する45時間の労働時間は不要となります(表2)。
4.以上のことから、ICT養液土耕システムを活用することで、品質が低下する事なく増収できるため経営試算上も増益が期待できます。
普及上の留意点等
- ICT養液土耕システムは、熊本県農業研究センターアグリシステム総合研究所で共同開発した施肥量プログラムが反映されている(株)ルートレック・ネットワークスの製品を使用しました。
- 技術の詳細については「ICT養液土耕自動化支援装置栽培マニュアル」を参照してください。
お問い合わせ先
熊本県農業研究センター アグリシステム総合研究所 野菜栽培研究室
【TEL】0965-52-0770
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