こだわっとる農

大玉トマト、水稲

八代市 トマト産地・農家としてやるべきこと

八代市 松本 吉充さん

はじめに

私は八代市郡築で大玉トマトを150a栽培しています。我が家は父の代から大玉トマト栽培を行っており、8年前までは抑制トマト+春メロンの栽培体系でしたが、現在では10月~6月まで収穫するトマトの長期採りに全て移行しています。150aのトマトを9ヶ月間収穫しながら栽培管理を続けるのには大変な労力がかかり、現在は私と後継者の和大を含む家族4人、常時雇用1人、外国人技能実習生4人による経営を行っています。

地域へのこだわり

現在、JAやつしろ郡築園芸部の部会長を務めています。郡築園芸部は1961年から発足した歴史ある部会であり、特に味にこだわった品質重視のトマト生産をモットーとしています。部会員の結束は非常に固いと自負しています。全ての部会員が「みんなで儲ける」ために、生産者としてやるべきことをしっかり考え、実践するための舵取りをすることが部会長の責務と捉え、微力ながらその役を努めています。
みんなで儲けるためには、まず、収量を向上・安定する必要があります。トマトの生産を安定させるうえで最も大きな課題は、やはり、トマト黄化葉巻病対策です。ウイルスの媒介虫であるタバココナジラミの駆除を地域が一体となり、徹底して行う必要があるため、栽培期間の遵守や防除対策を必ず実践するよう、部会として指導を徹底しています。
当部会は若手の後継者も多く、栽培技術に関して飽くなき向上心を持って収量向上に取り組んでいます。JAの藤本指導員は現地検討会や講習会を通じて基本技術から新技術まで、的確に、且つ情熱をもった指導を行ってくれます。また、指導員と部会員がさらなる資質向上に努めて欲しいと考え、定期的な情報源として「藤本通信」の発信に取り組んでもらっています。
郡築園芸部はトマトの出荷アイテムが豊富であることも特徴です。大玉トマトではスタンダードな4kg箱以外に小箱、スタンドパック、フードパックなどの約20アイテムを設定しています。選果場の販売担当職員は、如何にして生産者が収益をあげるかを考えぬき、市場や実需者が求め、消費者が購入しやすいアイテムを考案し続けています。また、ミニトマトでは平成29年にエア方式の高性能選果機を導入したことで、ミニトマト生産者の大幅な労力削減と品質の安定・向上につながっています。
JAやつしろの3つのトマト部会では、平成28年度からGAPに取り組み始めました。八代地域のトマトは冬春トマトであり、2020年の東京オリンピック・パラリンピックへの直接的な食料供給はありませんが、消費者から求められるトマト生産を極め続けること、また、自らの経営改善を図っていくことは産地として、また、農家として取り組んでいくべきことと考えます。平成29年には熊本県版GAPに取り組み、郡築園芸部は地域でいち早く認証を受けました。GAPに取り組むことで、各部会員の農舎ならびに選果場の整理整頓が改善され、食品安全をはじめとした多様なリスクの低減と作業の効率化につながったと感じています。今後も取組の継続と内容の向上を図っていきたいと思います。

郡築園芸部トマトアイテムの数々
県版GAP農舎整備講習会

栽培へのこだわり

後継者の和大は就農10年目であり、栽培技術の向上に意欲的に取り組んでいます。我が家のトマト栽培は土耕栽培であり、固形肥料主体の追肥と手動による灌水を行う、標準的な栽培方法をとってきました。和大は我が家のトマトが時期によって収穫量の増加、草勢の低下、収穫量の減少、草勢回復…を繰り返す、波の大きい生育であることに課題を感じていました。そのような中、関係機関の紹介により、日射量と土壌水分に基づく自動管理を行う、新たな養液土耕システムの研究に協力することとなりました。この取組を通じ、灌水・施肥といった地下部の管理が改善されたことによりトマトの生育が安定し始め、温度や湿度等の地上部管理にも目が向いた結果、全体的な環境改善に結びつき、28年産トマトでは収量面についても良好な結果となりました。とは言え、課題はまだ多く、和大は今も悩みながら技術の改善・向上に取り組んでいるようです。私も陰ながらこの取組を応援している一方、これまでの私の考えとは違った管理とその結果を目の当たりにし、私自身の管理方法にも少なからず影響が及んでいることを感じています。このように、後継者が意欲的に技術を勉強し、それに私が触発される…共に技術を研鑽しあえる環境にあることをうれしく思っています。

新たな養液土耕システム
同システムを利用したトマト

さいごに

近年はトマトの価格が安定し、八代地域ではハウスの増設・高度化をはじめとした投資も続いていましたが、平成29年産トマトは価格が伸び悩み、低温により重油経費が増加したため、経営面はきびしい状況となっています。今後の事はまだ判りませんが、八代のトマトが今後も魅力ある産業として生き残っていくためには、基本技術・新技術を問わず、やるべきことを見極め、地域のみんなで団結して取り組んでいくことが大事だと思います。そのために私ができる事を、今は郡築園芸部の部会長として努めていきたいと考えています。

プロフィール

松本 吉充さん
●経営概要
大玉トマト :150a
水稲     :20a
●主な労働力
本人、妻、長男、長男の妻
常時雇用1人
外国人技能実習生4人

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