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環境保全型農業が生物多様性の保全に貢献  ~生きもの調査の結果報告~

はじめに

環境保全型農業の取組を支援する制度に、環境保全型農業直接支払交付金(以下「環境直払」という。)があります。環境直払は、化学肥料や化学合成農薬の使用を県の慣行レベルから原則5割以上低減する取組と合わせて行う、地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い営農活動を支援する制度です。地球温暖化防止に効果の高い営農活動にはカバークロップの作付や堆肥の施用等、生物多様性保全に効果の高い営農活動には有機農業やIPM(総合的病害虫・雑草管理)の実践等があります。
今回は、生物多様性保全の効果を確認するために行った生きもの調査のうち、水生生物の調査結果についてご紹介します。

生きもの調査の結果

調査した取組は表1のとおりで、環境直払に取り組んでいるほ場を1ほ場ずつ選定し調査を行いました。なお、調査方法はとても簡単です。まず、たも網(D型フレーム網)を使って水底の土を薄くはぐようにすくいます。次に、すくった土を水を入れた白色トレーに返すだけです。すると、水の中をすいすい泳ぐ水生生物を観察することができます。
4箇所のほ場を調査した結果、写真で示すとおり多くの水生生物が観察されました(写真1、2)。
水生コウチュウ類は腹部の上が硬い翅で覆われているのが特徴で、主なグループはゲンゴロウ類やガムシ類です。一方、水生カメムシ類は腹部の中ほどまで硬い翅で覆われており、細長いストロー状の口が特徴です。
農業研究センターと連携した今回の調査では、ゲンゴロウ類やガムシ類が複数種類観察されたほか、タイコウチやミズカマキリも観察されるなど環境直払の取組が生物多様性保全に大きく貢献していることが確認できました。

写真1 水生コウチュウ類
写真2 水生カメムシ類

さいごに

今回ご紹介した調査は「農業に有用な生物多様性の指標生物 調査・評価マニュアル」に基づいて行いました。水生生物の他にもトンボ類やクモ類が指標生物として挙げられているほか、果樹や野菜などの指標生物も紹介されています。国立研究開発法人 農業環境技術研究所のHPにマニュアルが掲載されていますので一度ご覧いただき、ぜひ我が家のほ場で観察してみて下さい。

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