農作業中の熱中症による死亡件数は、毎年20人前後にものぼっています。
例年、5、6月にも、ビニールハウス内等での作業中に熱中症による死亡事故が発生していますが、特に7、8月に70代以上の方が屋外作業を行うときに多く発生しています。
気象庁の発表によると、平均気温は、6月は東 日本・西日本で平年並か高い見込みとされており、今夏の暑熱環境下での農作業中の熱中症対策が重要です。
農作業中の熱中症対策
はじめに
夏の農作業で心がけること
1.気温の高い時間帯を外そう
農作業をする際は、日中の気温の高い時間帯を外して作業を行いましょう。
特に70歳以上の方は、のどの渇きや気温の上昇を感じづらくなるので、高温時の作業は極力避けることで、熱中症の予防につながります。
2.こまめな休憩を
作業前・作業中の水分補給、こまめな休憩をとることが重要です。のどが乾いていなくても20分おきに休憩し、 毎回コップ1~2杯以上を目安に水分補給しましょう。
もし足がつったり、筋肉がピクピクする症状 がみられたら、0.1~0.2%程度の食塩水 (1Lの水に1~2gの食塩)、スポーツ飲料、 塩分補給用タブレットを摂取しましょう
※市販品を摂取する際は、必ず成分表示をチェックし、 適切な量を摂取してください。
また、休憩時は、日陰等の涼しい場所で休憩し、 作業着を脱ぎ、手足を露出して体温を下げましょう。
3.熱中症予防グッズを活用
屋外では帽子、吸汗速乾性素材の衣服、屋内では送風機やスポット クーラーなどを活用しましょう。
熱中症予防グッズについてhttp://www.zennouki.org/ware.html
(全国農業機械商業組合連合会ホームページ)
4.単独作業を避ける
作業をする際は2人以上で行うか、時間を決めて水分・塩分補給の声かけを 行うなど、定期的に異常がないか確認し合うようにしましょう。
5.高温多湿の環境を避ける
※暑さ指数(WBGT)計、温度計、湿度計で、作業環境を確認することが重要です。
また、 作業場所には、日よけを設ける等できるだけ日陰で作業できるように工夫しましょう。特にビニールハウスなどの施設内は風通しが悪く、早い時期、早い時 間から暑さ指数(WBGT)が高くなるため、風通しを良くしたり断熱材を活用しましょう。
※暑さ指数(WBGT)とは、暑さの厳しさを示す指標です。 • 高ければ高いほど、熱中症になりやすくなります。お住いの地域の厚さ指数は、環境省のホームページから確認することができます。熱中症対策を行う場合、気温よりも暑さ指数を見るようにしましょう。
熱中症が疑われたら
1.すぐに作業を中断する
暑い環境で次のような体調不良の症状がみられたら、すぐに作業を中断しましょう。
・手足がしびれる、冷たい
・めまい、吐き気、頭痛
・まっすぐ歩けない
・汗をかかない、体が熱いなど
ただし、熱中症には特徴的な症状がないため、「暑い環境での体調不良」は全て熱中症の可能性があります。
環境省熱中症予防情報サイトhttp://www.wbgt.env.go.jp/
2.応急処置
熱中症の症状が見られたら、まず涼しい環境へ避難し、服をゆるめて風通しをよくしましょう。
次に、水をかけたり、扇いだりして体を冷やしましょう。また、水分・塩分を補給しましょう。
脇の下、両側の首筋、 足の付け根を冷やすと効果的です。
3.病院で手当てを受けましょう
意識がない場合、自力で水が飲めない場合、応急処置を行っても症状がよくならない場合は、すぐに病院で手当を受けるようにして下さい。
おわりに
農業者の皆さんは、日ごろから外の作業が多く、熱中症の症状と思わず、知らず知らずのうちに熱中症にかかっている場合があります。
尊い命が熱中症で奪われることがないよう、農業に従事する方全員が協力し、こまめな水分と塩分の補給や休憩などの声かけを行いましょう。
(参考:農林水産省「農作業中の熱中症対策」)
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