温州みかんの品質向上対策

~今でしょ! 「おいしいみかん」をつくるには~

はじめに

今年の温州みかんは、収穫が遅い品種ほど着花が少ない傾向にあり、特に普通温州で収穫の遅れた園ではかなり着花が少ない樹も見られますので、着果量に応じたこまやかな対策が必要になります。
また、これまでの栽培では着果数確保が重要でしたが、今後は品質向上への管理が必要です。適期に適切な管理を行い、高品質果実の生産に努めましょう。

摘果の実施

まず摘果には、高品質果実生産と隔年結果防止の2つの目的があります。摘果を実施する時には、1樹あたりの適正着果量を考慮し摘果します。また、中玉で品質良好な果実を生産するために着果部位も併せて考慮します。
上向きで果こう枝が太い果実ほど大玉で糖度が低く、樹冠赤道部の果こう枝が細く下向きの果実ほど、品質のいい果実になります。
本年産の温州みかんの着花は、普通温州では樹によるバラツキがあったものの、どの品種も平年並み~やや多い状況でした。生理落果後の状況に応じて、消費者が求める高品質・中玉生産を目指して摘果を実施しましょう。

(1)極早生温州

極早生温州は、新梢が程よく発生し、着花がやや多い傾向ですので、粗摘果が遅れると小玉果が多くなる恐れがあります。粗摘果では、内なり、裾なりを確実に摘果するとともに、着花が多い部分(枝)の極小果を摘果しましょう。仕上げ摘果は、肥大や果実品質にあわせて、8月中旬から小玉果、傷果、病虫害果を中心に摘果します。また近年は、秋雨により、収穫前に果実が肥大し品質低下が起こっていますので、樹上選果で調整できるよう若干多く着果させて必要があります。

(2)早生温州

早生温州の着果量は樹によってバラツキがあり、着果が多く新梢発生が少ない樹では、粗摘果で内なり、裾なりを確実に摘果します。翌年の結果母枝を確保するためにも、側枝3~4本に1本の割合で、枝先から50cm程度まで果実を全摘果する枝別摘果を行いましょう。
着果が少ない樹では、通常より摘果時期を遅らせ、軽めに行います。特に着果が少ない樹では、粗摘果は行わず、仕上げ摘果や樹上選果で調整してください。

(3)普通温州

普通温州も、早生温州同様、樹によってバラツキがありますが、新梢発生が平年並みで、着花量がやや少ない傾向です。
着果量が少ない樹では大玉になりやすいため、摘果時期を遅らせ、極小果や大玉果を中心に摘果を行います。
着果が多い樹では、仕上げ摘果を中心に極大果、極小果、傷果、病虫害果を摘果します。

品質向上対策

(1)シートマルチの実施

温州みかんでは、高品質果実の生産を目的に、透湿性防水シートを被覆する栽培法(以下、シートマルチ栽培)により降雨を遮断し土壌を乾燥させ、樹に水分ストレスを与えることで糖度の上昇を図ります。シートマルチの被覆時期は表1を目安に行い、土壌が乾燥しにくい園では早めに被覆します。
近年は集中豪雨などによりシートマルチ内に雨水が入り、糖度が低下する園が多く見られます。そのため、園内の排水対策を行うとともに、株元から雨水が侵入しないようにしっかりと被覆し、効果が上がるシートマルチを実施しましょう(図1)。
更に高品質果実を生産できているかのチェックも重要となります。8月20日時点の果実糖度に応じた対応を表2に示していますので、乾燥ストレスの促進やかん水の目安として活用してください。

表1 摘果時期と摘果程度、シートマルチの実施時期目安(果樹対策指針等により抜粋)
図1 株元のマルチ被覆
表2 温州みかんの品質チェックと生産対応(果樹対策指針より抜粋)

(2)フィガロン乳剤の散布

温州みかんでは、果実生育初期である7月~8月の果実糖度が収穫時の糖度と相関があります。
このため、果汁が蓄積し始める7月上旬頃にフィガロン乳剤を散布することで、根の伸長を止め、養水分の吸収を抑制し、樹体に水分ストレスをかけることで糖度を向上させます。
1回目の散布は、満開後60~70日(7月上旬頃)を目安に2千倍で散布します。2回目の散布は、気象条件や木の水分ストレス状態に応じて行いますが、樹勢良好な樹では1回目散布から20日を目安に2千~3千倍で散布します。
なお、フィガロン乳剤による樹勢低下を防ぐため、発根をよく確認してから散布してください。特に、樹勢の弱い樹では、さらに樹勢が衰弱するため、散布は控えてください。

おわりに

高品質果実生産のためには夏秋期の管理が非常に重要です。暑い時期となりますので、体調面に十分注意して、しっかりと高品質果実の生産に取り組みましょう。