温州みかんの樹勢回復と土づくり

はじめに

R5年産は着花量が非常に多く、ほぼすべての品種で着果が多い状況でした。肥大については、夏秋期の高温と少雨で後半の肥大に伸び悩んだところもあったかと思います。着果が多かった樹は養分が果実肥大に消費されて貯蔵養分が少なくなっていることが予想されます。翌年の花芽を確保するために、収穫が終わった品種から早めにかん水や施肥などで樹勢回復を図りましょう。

樹勢回復の重要性

収穫後の樹勢を早く回復させ貯蔵養分を蓄えることは、翌年の着果確保にとても大切です。夏から秋にかけて作られた光合成産物の一部は樹幹部や根部に貯蔵養分として蓄積され、翌年の発芽後の初期生育に使われる養分となります。そのため、貯蔵養分の蓄積量が翌年の収量や果実品質へも大きく影響します。

樹勢回復の方法

①丁寧な樹上選果と適期収穫
収穫が遅れると、本来樹体に蓄えられるはずの養分が果実に奪われるため、樹勢回復が遅れます。また、収穫遅れは浮皮や腐敗果の増加など、果実品質の低下にもつながります。本年は着果が多く例年以上に収穫作業に追われるかと思いますが、最後まで樹上選果で小玉果を排除し、収穫が速やかに行われるように努めましょう。

②かん水
シートマルチ栽培は長期間にわたって樹体に水分ストレスがかかっています。収穫後はすぐにマルチを除去し、十分にかん水を行って水分ストレスを解除してあげましょう。

③秋肥の施用
秋肥は収穫後のなり疲れを回復させ翌年度の着花を確保することと、耐寒性強化、萌芽(ほうが)、春枝伸長に効果があります(図1)。収穫期に入ると作業で追われ、秋肥の施用は遅れがちになりますが、地温が低下すると根の活性が下がり養分が吸収されにくくなるため、一時収穫を休止しても11月上旬までに施用して年内に十分に吸収させることが大切です。施肥後に降雨が期待できない場合はかん水を必ず行いましょう。

④葉面散布
窒素の葉面散布は収穫後の樹勢回復に効果的です。収穫後に尿素300~500倍を3~5日おきに3回程度行います。散布回数が多いほど、窒素補給効果は高くなります。散布は0℃前後の低温時を避け、暖かい日に行いましょう。

図1 各時期の施肥とそのゆくえ(農業技術体系 果樹編 村松原図)

土づくりについて

柑橘類は土壌の環境が悪くても樹体にすぐには影響が出にくいため、把握することはなかなか難しくおろそかになりがちです。しかし、樹勢の維持・強化のためには、樹体に必要な養水分を吸収してくれる根を増やし、活性を高めることが重要です。

①堆きゅう肥の施用
堆きゅう肥を施用し有機物を補給することで土壌中の腐食含量が増加し土壌の団粒化が促進され、土壌の保肥力・保水力が増加し、土壌緩衝作用が高まり土壌pHなどの変動が小さくなります。
堆きゅう肥には多くの種類があり、それぞれ施用効果が異なりますので、表1を参考に園地に合った資材を選定してください。未熟な堆きゅう肥を施用すると根腐れや病気の原因になるなど、樹体に悪影響を及ぼすことがありますので、堆きゅう肥は必ず十分に腐熟したものを使用しましょう(図2)。

図2 堆きゅう肥の施用

②石灰の施用
土壌pHが適正値(5.5)以下の酸性に傾いている園地が増えています(温州みかんの適正値:pH5.5~6.2)。酸性土壌では、肥料成分の吸収効率が低くなり樹体に障害が発生する恐れがあるため、適正なpHにすることは健全な生育を維持することにとても重要です。定期的に土壌診断を行い、酸性に傾いているときは苦土石灰を施用しましょう。

おわりに

収穫後の樹勢回復は、翌年産に向けての最初の作業となります。今年もおいしいみかんを作ってくれた樹に感謝の気持ちと十分な栄養を与えて、翌年産へのスタートをきりましょう。これから早生品種以降の収穫が続き忙しい日々となりますが、体調管理と農作業の事故には十分注意しましょう。

県央広域本部 農林部 農業普及・振興課

温州みかんの樹勢回復と土づくり(PDFファイル)