麦類の管理について~基本管理を徹底して高品質な麦づくりを目指しましょう~

はじめに

麦類を含め土地利用型作物の栽培では、減収や品質低下等のリスクを減らし、安定的な生産に繋げるために最も有効な方法は、基本管理技術の徹底です。麦においても、国産需要が高まる中、求められる品質・収量を確保するためには適切な管理が重要です。特に、麦類は湿害に弱いため、排水対策をしっかりと行う必要があります。
ここでは、2月以降に行う麦類の管理について説明します。

基本管理

①麦踏み(鎮圧)
麦踏みには、分げつの促進や下位節間伸長の抑制による倒伏防止、早期茎立ち抑制、穂揃いの向上の他に、霜による根の立ち上がり防止や根張りの増強などの効果があります。特に暖冬傾向の年は生育が早く進み、春先の遅霜による被害リスクが高まるため麦踏みを行い、生育を抑制することが有効です。
トラクターけん引の鎮圧ローラーなどを使用し、3~4葉期(1月上旬頃)から茎立ちが始まる時期(2月下旬頃)にかけて2~3回行います。土壌水分が多い時は麦の生育に影響があるため麦踏みは行わないようにしましょう。

 

②中耕
条間の固まった土を軟らかくすることで、土壌内の通気、透水性を良くし、新根の発生促進や雑草抑制などの効果があります。

写真1 麦踏み作業の様子

③土入れ
麦の茎葉の上から土を振りかけ株元に土を入れる作業で、過繁茂の抑制や雑草防除、倒伏防止、根ぎわの乾燥防止などの効果があります。
中耕作業と併せて管理機などを使って、3~4葉期頃は浅く、その後は生育に合わせて土入れの量を増やしながら3回程度行います。麦踏みと同様に土壌水分が高い時は麦の生育に影響があるため実施しないようにしましょう。
また、この土入れ作業は表面排水溝の整備も兼ねており、湿害防止の効果が大きいため、必ず実施しましょう。

 

④追肥
イネなどの夏作物が幼穂形成期までに総窒素吸収量の60%を吸収するのに対して、麦類は生育期間が長く、冬の低温期には生育が一時停滞するため、吸収量は約30%程度と言われています。そのため、麦作ではイネ以上に追肥が重要です。
追肥には、幼穂の栄養状態をよくし、1穂当たりの粒数を増やすことでの増収効果や、パン用小麦の場合に求められるタンパク含有率の向上効果などがあります。(表1)
現在は、緩効性肥料が普及しており、分施による追肥作業は少なくなっていますが、赤かび病防除に併せ液肥での追肥作業が行われる例もあります。

写真2 中耕・土入れ作業の様子

⑤雑草防除
雑草が多発すると、肥料が雑草に吸収されることによる収量・品質の低下、収穫機に雑草がからみつくことによる収穫作業の効率低下、雑草種子(カラスノエンドウ等)が混入することによる品質低下などの問題が起こります。
中耕や土入れ作業による耕種的な防除に併せて、播種時に行う茎葉処理剤と生育中後期に行う茎葉処理剤を使った薬剤による体系的な防除を行うことで除草効果が高くなります。

 

⑥赤かび病防除
赤かび病の病原菌が生産するかび毒デオキシニバレノール(通称DON)は、赤かび病菌である一部のフザリウム菌が生成する人畜に有害なかび毒の一種です。厚生労働省により暫定基準値が設定されており、その防除の徹底が求められます。また、農産物規格規定では赤かび被害粒の混入率は0.0%と規定されています。これにより,カルトン上(約1千粒)に1粒でも混入していると規格外となります。
有効な薬剤防除の時期は、麦種で違いがあります。(表2)また、使用する農薬については、地域の防除基準等で確認し、使用時はラベルをよく読み、記載された登録内容に基づいて使用しましょう。

写真3 赤かび病

⑦収穫
成熟期は「穂首部分が黄化し、頴が枯れ、粒は緑色が抜け、ツメ跡がわずかにつき、ほぼ“ろう”ぐらいの硬さに達した穂が全体の80%を占める日」です。この時期は、小麦で出穂後およそ45日、大麦で38~40日が目安となります。しかし、熟色によって成熟期と判断される時期は穀粒水分が約35%と高く、自脱型コンバインで収穫する場合に損傷粒の発生が多くなるため、成熟期から4~5日後(子実の含水率30%以下)に収穫しましょう

最後に

高齢化や後継者不足などにより、麦を含めた土地利用型作物の栽培は担い手を中心に規模拡大が進んでおり、農業経営や農地の維持、自給率向上等において麦作の重要性はますます大きくなっています。
そのため、需要に応じた麦の安定生産を行うために基本技術を再確認し、適切な管理による品質・収量の向上に努めましょう。

県北広域本部 農林水産部 農業普及・振興課

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