「福栄豊(ふくえいほう)」朝栄系稀少系統の復活!!
研究のねらい
熊本県では、「あか牛」と呼ばれる褐毛(あかげ)和種の肉用牛が数多く飼われています。あか牛は、明治の後半期から改良が重ねられ、今のように大型で肉量・肉質に優れた牛として誕生しました。その性格はおとなしいため飼いやすく、放牧にも適しています。当研究所では、あか牛の生産性・品質向上を図るため、種雄牛の研究・選抜を続けています。
研究の成果
産肉能力直接検定で選抜された候補種雄牛の遺伝的能力を推定するため、産肉能力現場後代検定(産子の肥育・枝肉調査の結果により、父牛である候補種雄牛の能力を評価する検定)を実施し、その成績と育種価評価の結果をもとに、褐毛和種種雄牛「福栄豊(ふくえいほう)」を選抜しました。
特徴は次のとおりです。
(1)血統
(2)現場後代検定成績及び育種価
○脂肪交雑(BMSNo.)
去勢の平均は4.10、雌の平均は3.50、全体平均は3.88と高く、育種価(BV)※も+2.168(評価種雄牛526頭中23位)と高い。
○枝肉重量
去勢の平均は505.8kg、雌の平均は463.6kg、全体平均は490.0kgと大きく、BVも+28.902kgと高い。
※育種価(BV):産子の成績等をもとに、その後代が父牛の遺伝的影響でどれだけ改良されるかを予測した数値
◆普及上の留意点等
以上の成績のとおり、現在の主流とは大きく異なる朝栄系の稀少系統でありながら脂肪交雑、枝肉重量ともに優れており、遺伝的多様性の維持への貢献も期待されます。
◆お問い合わせ先
農業研究センター 畜産研究所生産基礎技術研究室
【TEL】096-248-6433
肥育牛
褐毛和種種雄牛「菊幸(きくゆき)」の選抜
黒毛和種去勢肥育牛の早期出荷技術
放牧肥育牛の発育と肉質は、冬期および出荷前の発酵TMR給与で改善できる
褐毛和種去勢肥育牛の早期出荷技術の開発
「光晴重」の後継牛として「第一光晴(だいいちみつはる)」を選抜
ずば抜けた枝肉重量を記録!「光重球磨七(みつしげくまなな)」を選抜
脂肪交雑歴代2位!黒毛和種種雄牛「福安照重」を選抜
全国に通用する産肉能力をもつ黒毛和種種雄牛「美津福重」誕生!
地域資源を活用した肉用繁殖牛・育成牛向け発酵TMRは利用可能である
(No.868(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 08-11)阿蘇産牧草主体の褐毛和種育成牛・繁殖雌牛用発酵TMRは利用可能である
(No.871(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 08-14)飼料用米を含む発酵TMR給与により褐毛和種肥育牛の低コスト生産が期待できる
(No.780(平成 29 年 5 月)分類コード 08-14)粉砕玄米を多給した褐毛和種放牧肥育牛の肉質特性の解明
(No.787(平成 29 年 5 月)分類コード 08-14)飼料用玄米を肥育用配合飼料の代替として給与した褐毛和種去勢牛の放牧肥育技術
(No.742(平成28年5月)分類コード08-14)親子放牧下における褐毛和種哺乳牛の消費エネルギーの推定
(No.743(平成28年5月)分類コード08-14)胸囲の測定値から黒毛和種子牛の体重が推定できる
(No. 700(平成28年5月) 分類コード 08-14)