放牧肥育牛の発育と肉質は、冬期および出荷前の発酵TMR給与で改善できる

研究のねらい

阿蘇地域の草地を活用するため放牧肥育に取り組んでいますが、放牧肥育牛肉は枝肉重量が小さく、肉色が濃く、脂肪色が黄色くなり、肉の評価が低くなる傾向があります。そこで、発酵TMR※1を活用した放牧肥育牛の肉質改善技術を確立しましたので紹介します。
(※1)阿蘇産牧草、籾米サイレージ

写真1 一般的な牛肉
写真2 放牧肥育牛肉
写真3 発酵TMR

研究の成果

放牧していた肥育牛を出荷前の4~6か月間、牛舎で飼養し、放牧中の冬期と牛舎飼養期間に発酵TMRを給与する試験を実施しました。

1.牛舎飼養期間が4か月間の場合では、通常の放牧肥育牛より枝肉重量が大きくなりました。しかし、肉色、脂肪色に改善はみられませんでした(表2、3)

2.牛舎飼養期間が5か月間の場合では、4か月間の場合と比較して、水分含量、加熱損失(加熱した時の保水性)、肉の柔らかさ、肉色が改善しました。さらに6か月間の場合では脂肪色の黄色みが薄くなる効果がみられました(図1)

図1 肉質特性

3.本飼養方法では、飼料自給率が55%以上(表2)となり、舎飼の約6%と比べて、阿蘇地域の草地を有効に活用できる肥育技術といえます。

4.以上のことから、阿蘇地域の草地を活用するために放牧肥育を行う場合は、放牧期間中の冬期および出荷前5~6か月間の牛舎飼養期間に発酵TMRを給与することで、発育と肉質を改善することができます。

普及上の留意点等

1.放牧(肥育)開始月は4か月区が3月、5か月区が4月、6か月区は5月、発酵TMR給与期間は放牧中の冬期を含めそれぞれ6か月間、8か月間、10か月間です。

2.放牧中は配合飼料を体重比1.5%量、発酵TMRは15kg加算した体重のTDN要求量を満たす量を給与し、低温状況下(気温5℃以下)では増飼いする必要があります(表2脚注1)参照)

3.肥育中期は中期用、肥育後期は後期用の発酵TMRを給与しました(表1)

お問い合わせ先

農業研究センター 草地畜産研究所
TEL】0967(32)1231

肥育牛