ナシ「新高」の矮小花および遅れ花への受粉が着果及び果実品質に及ぼす影響

農業研究センター 果樹研究所 落葉果樹研究室

研究のねらい

2019年から2020年にかけて、観測史上最も暖かい冬となり、本県のナシ「新高」では低温遭遇時間が不足し、開花時の発芽不良(不発芽や花蕾数の減少、花の矮小化)や開花の遅延がみられ、正常な花数が不足し着果不良が問題となりました。そこで、着果量確保のために、従来は利用しない矮小花や遅れ花への受粉が結実に及ぼす影響を明らかにしましたので紹介します。

研究の成果

図1 ナシ「新高」の正常花と矮小花
  (右:正常花、左:矮小花)

1.矮小花および遅れ花に受粉した場合の着果率は、正常花と差はありません(表1)。

2.果実肥大は、矮小花は正常花に比べ生育期後半に肥大が鈍ります。遅れ花は、正常花に比べて生育初期から肥大が劣ります(図2)。

3.収穫時の1果重は、矮小花は正常花と比べてやや軽い傾向があります。遅れ花は、正常花と比べて極めて軽くなります。また、矮小花および遅れ花は、正常花と比べて果実硬度、糖度に差はありませんが、果形がやや劣る傾向があります(表2)。

普及上の留意点等

1.低温遭遇時間の不足等により、正常花のみでは着果量の不足が心配される場合は、収量確保と樹勢調節のために矮小花や遅れ花に受粉を行い、着果量を確保しましょう。

ナシ