ニセナシサビダニが原因と考えられる葉の退緑斑点症状に伴う早期落葉は、ニホンナシの品質低下及び花芽不充実を招きます。本研究では、新梢における退緑斑点症状を7月の伸長停止期まで軽減できる防除法を明らかにしましたのでご紹介します。
ニホンナシの新梢の退緑斑点症状は水和硫黄剤とスピロテトラマト剤の体系防除で軽減できる
果樹研究所病虫化学研究室
1 研究のねらい
2 成果
(1)越冬期(2月下旬)に水和硫黄剤(クムラス)300倍を、新梢伸長期(5月中下旬)にスピロテトラマト剤(モベントフロアブル)2000倍を散布すると、新梢の退緑斑点症状の発生を新梢停止期(7月)まで抑制できます。
(2)さらに、退緑斑点症状の発生を抑制するだけでなく、本症状が発生した葉の被害度についても軽減できます(図1)。
(3)本防除体系は、同時に幼果の果梗裂傷被害も軽減できます。
(令和4年度熊本県農業の新しい技術 No.743 https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/187212.pdf)
3 留意点
(1)水和硫黄剤の散布は、薬害回避のために発芽前までに行います。
(2)越冬期にマシン油乳剤や石灰硫黄合剤を散布できない園で本技術が活用できます。
(3)本試験は、果樹研究所内の露地栽培「あきづき」「幸水」で実施しました。
No.753(令和5年(2023年)6月)分類コード 04-10
ニホンナシの新梢の退緑斑点症状は水和硫黄剤とスピロテトラマト剤の体系防除で軽減できる
ナシ
ナシ「秋麗」の裂果は、裂果発生期前のかん水及びシートマルチにより軽減される
ニホンナシの幼果の果梗裂傷被害は2月下旬の水和硫黄剤散布で軽減できる
ナシ「秋麗」の裂果は新梢(しんしょう)停止後の降雨で発生が助長される
ナシ「甘太」の本摘果時における着果程度と収量性
ナシ「新高」の矮小花および遅れ花への受粉が着果及び果実品質に及ぼす影響
秋冬期の低温遭遇時間の不足がナシ「新高」の開花に及ぼす影響
白一重袋を被袋したナシ「甘太」は収穫後にポリ個装することで日持ち性が向上する
ナシ「秋麗」は5℃〜10℃で貯蔵すると1か月程度、15℃では2週間程度品質が保持できる
(No.883(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 01-10)ナシ「甘太」の白一重袋の被袋時期が果実品質ならびに日持ち性に及ぼす影響
(No.884(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 01-10)エテホン散布によるナシ「あきづき」の熟期促進とコルク状果肉障害の軽減効果
(No.841(平成 30 年 5 月)分類コード 02-10)ナシ「秋麗」の除芽による摘果作業労力軽減技術
(No. 710(平成29年5月) 分類コード 02-10)摘蕾および早期摘果によるナシ「あきづき」果実のコルク状果肉障害発生軽減
(No. 794 (平成 29 年 5 月)分類コード 02-10)ナシのモザイク症状の被害は展葉初期から新梢伸長期までの2回の薬剤散布で軽減できる
(No.705 (平成28年5月) 分類コード 04-10)ナシのモザイク症状に対して被害抑制効果の高い薬剤
(No.755(平成28年5月)分類コード04-10)ナシ「甘太(かんた)」に適した果実袋の選定
(No.753(平成 28 年 5 月)分類コード 02-10)