ピンク系トルコギキョウの発色不良を軽減する温度管理法

農業研究センター 農産園芸研究所 花き研究室

研究のねらい

トルコギキョウのピンク系品種では、開花期が5月以降の高温期出荷作型で花弁の発色の薄いものが見られますが、原因と対策は不明でした。そこで、ピンク系品種における発色不良を軽減する栽培管理を解明しましたので紹介します。

 

研究の成果

花きでは、花蕾が発達する時期の温度の影響で花の発色が変わる報告があります。そこで、本研究では、トルコギキョウの花蕾が発達する時期(がく片除く蕾長3mm~開花、図1)の温度が、ピンク系品種の発色に影響があるか調査しました。

図1 がく片除く蕾長3mmと開花の様子

1.図2のように、昼温と夜温を組み合わせてみると、昼35では夜温が低いと発色が薄くなり、昼25℃では夜温の影響はありませんでした。

図2 昼温および夜温が発色に及ぼす影響(品種:「グラナスピンク」)
注1)人工気象室(明期12時間)で実施
注2)異なるアルファベット間には Tukeyの多重比較検定により5%水準で有意差あり
(n=12)

2.次に、図3のように昼温が高い設定で夜温を変えてみると、昼35では、夜温が高いと発色が濃く、低いと薄くなり、発色不良は昼温が高く夜温が低いと発生しやすいことがわかりました。

図3 昼35℃での夜温が発色に及ぼす影響(品種:「グラナスピンク」)
注1)人工気象室(明期12時間)で実施
注2)異なるアルファベット間にはTukey の多重比較検定により5%水準で有意差あり
(n=8)

3.また、図4のように昼温を変えてみると、「グラナスピンク」では昼20が昼35より発色が濃くなりましたが、「クリスハート」では昼温による発色差はなく、昼温の影響は品種で異なりました(図4)。

図4 夜15℃での昼温が「グラナスピンク」、「クリスハート」の発色に及ぼす影響
注1)人工気象室(明期12時間)で実施
注2)t検定によりnsは有意差なし、*は5%水準で有意差あり(n=8)

4.そこで、県内で栽培されている主要品種において、昼温が高い設定で夜温を変えてみると、発色程度に品種間差はありますが、多くの品種で夜温が低いと発色は薄くなりました(表1、図5)。

図5 表1における発色の違い

5.以上のことから、ピンク系トルコギキョウの多くは、昼高温・低夜温で発色は薄くなることが明らかになりました。そのため、栽培現地では、花蕾が発達する時期に当たる3~4月にハウス内が高昼温・低夜温となりやすいため、昼の換気温度を20℃25℃に設定して、ハウス内が高温にならないように管理することがポイントになります。それでもハウス内の昼温が30℃を超える場合は、夜温15℃を目指した加温を行うことで、発色不良を軽減することができます。

普及上の留意点等

1.紫外線カットフィルム展張による発色への影響はありません(2019年8月9日開花、「クリスハート」、「グラナスピンク」で確認、データ省略)。
2.図表中のa値は、専用の測定器で色を数値化したもので、値が大きいほど発色が濃く、小さいほど薄くなることを示します。

 

 

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