平坦地における水稲「くまさんの輝き」は6月中の移植で収量・品質・食味が安定する

研究のねらい

「くまさんの輝き」は収量や食味、品質に優れる水稲品種です。県産米のリーディング品種として今後、各地域の様々な作型での栽培が見込まれます。しかし移植期を変えた場合の収量性などについては解明されていません。そこで異なる時期(5月下旬・6月上旬・6月中旬・7月中旬)で移植を行い、平坦地での収量・品質が安定する移植期を明らかにしました。

研究の成果

1.収量は、6月以降の移植で多くなります(図1)。5月下旬移植では登熟歩合が低下し千粒重も小さくなる傾向があるため、減収します(表1)。

 

2.外観品質は、7月上旬移植では年次によっては低下します。7月上旬移植では穂数が過剰となり弱小穂が増加する傾向があり(表1)、登熟期が高温となる年などでは乳白粒が多く発生することが要因です(表2、図2)。

 

3.食味は、6月以降の移植でほぼ同等です。5月下旬移植では年次によって玄米タンパク質含有率が高くなり、食味官能評価が低下します(表3)。

以上のことから、水稲「くまさんの輝き」は平坦地において、6月以降の移植で収量と食味が安定します。ただし、7月上旬移植では穂数が過剰となる傾向があり、年次によって乳白粒が増加する恐れがあります。

普及上の留意点等

1.本試験は、令和元年(2019年)~令和2年(2020年)に、農産園芸研究所内沖積土水田、1株3本手植え、栽植密度15.9株/㎡、窒素施用量基肥0.5kg/a、穂肥(出穂20日前)0.3kg/aで移植した結果です。

2.7月上旬移植を行う場合、中干しの徹底等、穂数が過剰にならないように注意してください。

お問い合わせ先

農業研究センター
農産園芸研究所 作物研究室

主食用米