阿蘇地域における業務用水稲品種「やまだわら」の移植適期は5月中~下旬である
研究のねらい
阿蘇地域では良食味米の「コシヒカリ」が広く作付けされています。一方で安価な業務用米の需要が高まっており、阿蘇地域においても業務用品種「やまだわら」の導入が始まっています。しかしながら、「やまだわら」は登熟期間が長くなる特性があり、遅植えした場合には登熟期の低温により、収量や品質が低下する事例もみられています。そこで、移植期ごとの栽培特性を把握し、阿蘇地域における移植適期を明らかにしましたので紹介します。
研究の成果
1.5月中旬~6月上旬移植では、移植期が遅いほど出穂期までの期間が短くなりますが、登熟期間は長くなります(図1)。6月上旬移植の場合、年次によっては登熟期の低温により成熟期に達しないことがあります。
2.移植期が遅くなるほど稈長が長くなる傾向があり、6月上旬移植では年次によっては倒伏程度が大きくなります(表1)。
3.6月上旬移植では、年次によっては登熟歩合や千粒重の低下が要因となり、減収します(表2)。
4.6月上旬移植では、充実不足に加えて乳白粒が発生し、年次によっては検査等級が低下します(表2)。
以上のことから、阿蘇地域における「やまだわら」の移植適期は5月中旬~下旬です。
普及上の留意点等
1. 高原農業研究所内水田(阿蘇市一の宮町:標高543m、黒ボク土)での試験結果です。
2.育苗期間は20日(稚苗)とし、栽植密度は2018年は18.5株/㎡、2019年は19.1株/㎡としました。
3.施肥は有機配合肥料をN成分で0.9kg/a(基肥0.6kg/a、穂肥0.3kg/a)施用しました。
4.「やまだわら」は「コシヒカリ」より栽培期間が長く、トビイロウンカ等の被害を受けやすい特性があるため、防除を徹底する必要があります。また、「ベンゾビシクロン」、「メソトリオン」、「テフリルトリオン」を含む除草剤は、薬害を生じるので使用しないでください。
お問い合わせ先
熊本県農業研究センター 高原農業研究所 【TEL】0967-22-1212
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