褐毛和種去勢肥育牛では現在26カ月齢くらいまで肥育されており、その間、飼料や敷料の費用が多くかかっているため、肥育経営の負担になっています。
そこで、コスト削減を図るために、23カ月齢で出荷しても、現在と変わらない体重750㎏、肉質等級3等級になるような飼料給与方法を開発したので紹介します。
褐毛和種去勢肥育牛の早期出荷技術の開発
研究のねらい

研究の成果
1.濃厚飼料として肥育前期用配合飼料、肥育後期用配合飼料およびビール粕を、粗飼料としてイタリアン乾草、ヘイキューブ※1、ルーサンペレット※2、イネホールクロップサイレージ(イネWCS)およびバイオバガス※3を与えます(表1)。
※1 牧草アルファルファを乾燥圧縮し、キューブ状にしたもの。
※2 牧草アルファルファの乾草を粉砕し、圧縮成型しペレット状にしたもの。
※3 サトウキビの搾りかすに特殊な発酵処理をした機能性飼料。

2)日本標準飼料成分表(2009年版) 乾草 イタリアン(再生草・出穂期)を引用
3)日本標準飼料成分表(2009年版) サイレージ イネ(飼料用・黄熟期)を引用
4)製造元の分析値、補助的に利用
2. 発育速度が良い肥育前期は、粗蛋白質(CP)含量の高いイタリアン乾草、ヘイキューブおよびルーサンペレットを給与し、脂肪交雑が向上する肥育中期および後期には、可消化養分総量(TDN)※4の高い肥育後期用配合飼料を多く給与します(図1、表2)。
※4 飼料の栄養価の指標となるもので、畜産学等において飼料中の可消化養分(消化、吸収される養分)の単位当たりのエネルギー量から求められる。


3. 1日1頭当たり濃厚飼料を8.33㎏、粗飼料を2.69㎏摂取すれば、23カ月齢で終了した時の体重は、800㎏程度となり、肉質等級は3等級となります(表2、3、4)。


普及上の留意点等
1.脂肪交雑等級が3等級以上であっても、肉色や肉の締まりにより1ランク下の等級になる場合があります。
2.飼料摂取量が減少した時に、本試験では補助飼料としてビール粕やバイオバガスを1日0.5㎏程度与えましたが、牛が好んで食べそうな添加剤などを与えることも可能です。
お問い合わせ先
農業研究センター 畜産研究所 大家畜研究室
【TEL】096(248)64330
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