温州みかんの品質向上対策

~適正着果による連年安定生産とフィガロン乳剤+シートマルチによる高糖度果実生産~

はじめに

7月は、温州みかんの生理落果が終わり、果実の細胞分裂も終了し果汁が集積し始めます。糖度が高い果実を生産するには、この果汁集積期に糖度を上昇させることが重要です。そのためには、摘果やシートマルチなどを適期に実施し、品質向上に努めましょう。

1.摘果の実施

摘果には、高品質果実生産と隔年結果防止の2つの目的があります。摘果をする際は、一樹あたりの適正着果量を考慮し摘果します。中玉で品質良好な果実を生産するために着果部位も考慮します。
上向きで果こう枝が太い果実ほど大玉で、糖度が低く、樹冠赤道部の果こう枝が細く下向きの果実ほど、品質が良い果実になります(図1)。
本年産の温州みかんの着花は、早生温州では樹によるバラツキがありましたが、どの品種もやや多い状況でした。生理落果後の着果状況に応じて、消費者が求める高品質・中玉生産を目指して摘果を実施しましょう。

 

(1)極早生温州
極早生温州は、新梢が程よく発生し、着果がやや多い傾向と思われますので、粗摘果が遅れると小玉が多くなる恐れがあります。粗摘果は、内なり、裾なりを確実に摘果するとともに、着果が多い部分(枝)の極小果を摘果しましょう。仕上げ摘果は、肥大や果実品質にあわせて、8月中旬から小玉果、傷果、病虫害果を中心に摘果します。また近年は、秋雨により、収穫前に果実が肥大し品質低下が起こっていますので、樹上選果で調整できるよう若干多く着果させておくとよいでしょう。(表1)。

 

(2)早生温州
早生温州の着果量は樹によってバラツキがあると思われます。着果が多く新梢発生が少ない樹では、粗摘果で内なり、裾なりを確実に摘果するとともに、翌年の結果母枝を確保するため、側枝3~4本に1本の割合で、枝先から50cm程度まで果実を全摘果する枝別摘果を行いましょう(表1)。
着果が少ない樹では、通常より摘果時期を遅らせ、軽めに行います。特に着果が少ない樹では、粗摘果は行わず、仕上げ摘果や樹上選果で調整してください。

 

(3)普通温州
普通温州は、新梢発生が少なく、着果量が多い傾向にあると思われます。着果過多の樹を摘果しないでおくと、隔年結果が大きくなります。翌年の結果母枝を確保するため、8月上旬までに側枝ごとに数本に1本は、枝別摘果を行いましょう。
着果が多く新梢が十分確保できている樹では、仕上げ摘果を中心に極大果、極小果、傷果、病虫害果を摘果します(表1)。

図1 果実着果位置・果梗径と温州みかんの
果実品質との関係(岸野,1990)
表1 摘果時期と摘果程度、シートマルチの実施時期目安
(果樹対策指針等より抜粋)
写真1 通路および株元までシートを被覆した園地

2.品質向上対策

(1)シートマルチ栽培
温州みかんでは、高品質果実の生産を目的に、透湿性防水シートを被覆する栽培法(以下、シートマルチ栽培)により降雨を遮断し土壌を乾燥させ、樹体に水分ストレスを与えることで糖度の上昇を図ります。シートの被覆時期は、表1を目安に行い、土壌が乾燥しにくい園では早めに被覆します。近年は集中豪雨などによりシート内に雨水が入り、糖度が低下する園が多くみられます。
そのため、園内の排水対策を行うとともに、株元から雨水が侵入しないようしっかり被覆し、効果のあるシートマルチ栽培を行いましょう。
さらに、高品質果実を生産できているかのチェックも重要となります。8月20日時点の果実糖度に応じた対策を表2に示していますので、乾燥ストレスの促進やかん水の目安として活用して下さい。

(2)フィガロン乳剤の散布
温州みかんでは、果実生育初期である7月~8月の果実糖度が収穫時の糖度と相関があります。
そこで果汁が集積し始める7月上旬頃にフィガロン乳剤を散布し、根の伸長を止め、養水分の吸収を抑制することで樹体に水分ストレスをかけて糖度を向上させます。
1回目の散布は、満開後60~70日(7月上旬頃)を目安に2千倍で散布します。2回目の散布は、気象条件や樹の水分ストレス状態に応じて行いますが、樹勢良好な樹では、1回目の散布から20日後を目安に2千~3千倍で散布します。
なお、フィガロン乳剤による樹勢の低下を防ぐため、発根を確認してから散布してください。また、樹勢が弱い樹では、さらに樹勢が衰弱するため散布は控えて下さい。

さいごに

平年の梅雨明けは、7月19日頃です。梅雨明け後は、本格的な暑さにまだ体が慣れていないと思いますので、熱中症に注意し、水分補給や休憩をこまめにとりながら、作業を頑張って下さい。

表2 温州ミカンの品質チェックと生産対応(果樹対策指針より抜粋)

2018年7月号
県北広域本部 玉名地域振興局 農業普及・振興課