ブドウ「巨峰」はアブシジン酸液剤を果房散布することで着色が向上する

果樹研究所落葉果樹研究室

1 研究のねらい

ブドウ「巨峰」をはじめとした黒系ブドウは、近年、着色期に夜温が下がらない年が多く、着色不良が問題となっています。そこで、着色始期のアブシジン酸液剤(アブサップ液剤)果房散布による着色向上効果を明らかにしたので、ご紹介します。

2 成果

(1)着色始期にアブシジン酸液剤1000ppmを果房に散布することで着色促進効果が認められます(表1)。
(2)入手可能で容易な電動スプレー(写真1)、ハンドスプレー(写真2)でも着色のバラツキは少なく、特に電動スプレーは着色向上効果が十分に認められます(表1、写真3)。
(3)果房散布による果粉溶脱はみられますが、外観を損ねるほどではありません。
(4)慣行区は摘粒終了後に袋がけ、その他の区では着色始期に袋がけを行っても、慣行区と着色始期までの約2週間では病害虫の発生は見られません。

写真3 処理区ごとの果実着色程度

3 留意点

(1)この成果は屋根掛け栽培での試験結果であるため、露地栽培では病害虫の発生に注意してください。
(2)使用濃度・方法を厳守し、降雨等が心配される日の使用は控えてください。
(3)着色のムラをなくすためには細霧噴霧が必要であるため、2021年はスプレーガンで散布しましたが、コンプレッサー・電源が必要である。

No.1 042(令和5年(2023年)5月)分類コード02-10
ブドウ「巨峰」はアブシジン液剤を果房散布することで着色が向上する

落葉果樹類