カンキツの着果対策のポイント

はじめに

今年もまもなくカンキツの開花が始まります。毎年、安定した量の果実を収穫するためには、この開花期前後において花と新梢(しんしょう)をバランスよく発生させることが重要となりますので、それぞれの樹の着花状況に応じて適切な管理を行い、高品質な果実の連年安定生産を実現しましょう。
今回は、温州ミカンや不知火類における着果管理について紹介します。

着花が少ない樹の対策

令和8年産は、着花量が極早生温州で「中」、早生・中生温州で「やや少」、普通温州で「少」、不知火類で「中~やや少」と予想されており、着果確保を優先した管理が重要となります。着花が少ない樹に対しては、以下の管理を行い、花に養分が十分に分配されるようにすることで、その後の生理落果を防止しましょう。

①芽かき・被さり枝の除去
写真1のように 新梢との養分競合を防ぎ、生理落果を防止するために、花周辺の新梢を芽かき、またはせん除します。特に、着花部位の被さり枝はせん除するようにし、花に光があたるようにします。

写真1 芽かき前後の状況(左:芽かき前 右:芽かき後)

②ジベレリン散布
開花始めから満開10日後までに着花部位にジベレリン25ppmを散布すると、生理落果が減少します(特に満開3~5日後の散布効果が高い)。また、図1のように花周辺部の芽かきと組み合わせることで更に着果率が向上します。なお、散布にあたっては、着果させたい部分の花(子房)に薬液がかかるよう心掛けてください。

図1 「熊本EC11」における芽かき、ジベレリン(GA)処理が着果率に及ぼす影響(2016~2018年の3か年平均)
※熊本県農業研究成果情報№.879より一部抜粋

③緑化促進対策
新梢の緑化が早いと生理落果の軽減、樹勢強化、果実肥大促進につながります。尿素500倍+硫酸マグネシウム500倍等による葉面散布を3~5日おきに3回程度実施しましょう。また、この時期に雨が少ない場合は、かん水することで肥料成分の溶出促進を図り、樹が肥料を吸いやすい状況を作ってあげましょう。

着花が多い樹の対策

着花が多く新梢が少ない樹は、次年度の結果母枝を確保する必要があります。早急に新梢発生を促すため、次の管理を確実に行いましょう。

①摘蕾(てきらい)と予備枝の追加設定
温州ミカンにおいて、開花前に予備枝を中心に摘蕾を行います。また、それでも新梢の数が十分でない時は、やや上向きの枝を中心に予備枝を追加設定し、新梢の発生を促します(写真2)。

写真2 予備枝の追加設定とその後の新梢の発生

②総状花部分のせん除
不知火類では、図2のような総状花部分をせん除して、充実した有葉花(5~7枚以上の葉がある10cm以上の結果枝)まで切り戻しを行うことで、貯蔵養分の浪費を防ぎましょう。

図2 総状花部分のせん除

③葉面散布・追肥
上記の対策と併せて、尿素の葉面散布や硫安を出蕾期から満開前までに施用し、新梢の発生と緑化の促進を図りましょう。

おわりに

近年は、夏秋季の過度な乾燥によって、樹勢が極端に低下する事例が見られています。樹勢が低下している中で着果負担が大きくなると、その後の隔年結果が助長されますので、今回の着果対策を実施して着果と新梢のバランスを整え、樹勢の維持を図り、毎年、高品質な果実を安定して生産できるよう努めましょう。

天草広域本部 農林水産部 農業普及・振興課

カンキツの着果対策のポイント (PDFファイル)