不知火類の収穫・貯蔵管理

はじめに

12月は不知火類の収穫最盛期であり、一年の努力が結実する大切な時期です。丹精込めて育てた果実も、収穫後の扱い次第で品質が大きく左右されます。今回の記事では、収穫・予措・貯蔵の重要なポイントを整理していますので、ぜひ参考にしていただき、最後まで品質を守り抜きましょう。

収穫

果実の着色程度や、果皮のクラッキング(ひび割れ)の発生状況を確認して、適期に収穫を始めてください。収穫期間中は気象情報に十分留意し、寒波襲来や暖かい雨等が予想される場合には、収穫時期を早めましょう。収穫時の果実の取り扱いが不適切だと、貯蔵庫内での腐敗果発生につながりますので、丁寧な作業を心がけましょう。
収穫を行うにあたって、特に重要なポイントは3つです。

①果実が濡れた状態で収穫しない
果実が濡れた状態で収穫をすると、腐敗果発生の原因になります。

②2度切りは確実に行う
収穫後の果実の軸(果梗枝)が長いと、ほかの果実を傷つけて腐敗が増える原因となります。デコ部分にハサミ傷がつかないよう、丁寧に2度切りを行いましょう(図1)。

③収穫した果実は丁寧に扱う
不知火類は果皮がデリケートで衝撃により傷みやすいため、コンテナに移す際は1果ずつ丁寧に入れ、コンテナ内は6割程度(果実3段程度)にとどめてください。

図1 収穫時には2度切りを

予措の実施

予措によって果皮を適度に乾燥させることで、果実の呼吸や蒸散作用を抑え、貯蔵中の品質低下や浮皮、腐敗果の発生を少なくすることができます。収穫した果実は、コンテナなどの貯蔵容器に入れ、雨や直射日光が直接当たらない風通しの良い場所に積み上げて、乾燥予措を行いましょう。
予措(減量)の程度は、収穫時の天気や果実の状態に応じて調整します。予措の前には必ず2~3コンテナの重さを測定し、乾燥の目安としてください。
収穫時の天候が乾燥気味であれば予措・貯蔵中にこはん症(写真1)の発生が懸念されるため、3%の減量を目安に軽めの予措とし、降雨後や湿気気味の天候であれば、果皮水分が多いため、5%の減量を目安に強めに予措をしましょう(図2)。
なお、急激な予措はこはん症の発生につながるため、風が直接あたるところなどでは行わないようにするか、新聞紙やブルーシート等でコンテナや果実を覆い、2~3週間かけて実施します。もし、予措中にこはん症が確認された場合は、直ちに貯蔵に移りましょう。

図2 予措の具体的な方法
写真1 こはん症発生果

貯蔵

「貯蔵中のロスを減らし、収穫した果実をいかに出荷につなげるか」という視点から、貯蔵管理の徹底が重要になります。
貯蔵中は果実が乾燥しすぎないように庫内に温湿度計を設置し、庫内湿度8590%、温度5~10℃(15℃以下)で管理してください。長期貯蔵を行う場合は、速やかにポリやPプラス等で個装し、乾燥を防ぎましょう。なお、貯蔵量が多く、ポリ個装に時間がかかり遅れる場合は、コンテナを新聞紙やタイベックシートで覆うなどの対策を実施してください(写真2,3,4)。
コンテナ内の腐敗果を放置しておくと、周りの果実まで腐らせます。特に、気温が高くなった後は腐敗果が増加しますので、外気温と庫内の温度を確認しながら、少なくとも2週間に1回は貯蔵果実の点検を行い、腐敗果を除去してください。貯蔵庫には、コンテナを詰めすぎず、1坪あたり1tを目安に入れましょう。

写真2,3,4 果実貯蔵の様子(左:ポリ個装 中:新聞紙被覆 右:タイベック)

さいごに

今年の成果を確かなものにするために、収穫・予措・貯蔵の一つひとつを丁寧に行い、青果率や秀品率の向上につなげましょう。

県南広域本部 芦北地域振興局 農業普及・振興課

不知火類の収穫・貯蔵管理 (PDFファイル)