水稲の中間管理 ~水管理と防除~

はじめに

近年の稲作では、登熟期間の高温や梅雨時期の不安定化などの異常気象が続いており、慣行どおりの栽培管理を行うだけでは対応しきれないケースが増えています。栽培管理の基本は、ほ場の生育状況を確認することですので、状況に対応した適切な管理を心掛けましょう。
今回は水管理と病害虫防除について紹介します。特に水管理は、肥料等の高騰が続く中で、資材コストをかけずに生育を制御できる重要な技術ですので、もう一度確認しましょう。

 

水管理

1 各育成ステージの水管理の目安

(1)中干し
中干しには、①過剰分げつの抑制、②ほ場のガス抜き、③根の健全化、④耐倒伏性の向上などの効果があります。
開始の目安は、茎数が㎡当たり400本程度(坪当たり50株植えの場合、125本程度)になった時ですが、栽植密度や品種、地域によって異なるため注意しましょう。期間は概ね1週間で、田面に小さな亀裂が入り、軽く足跡が付く程度とします。
水回り等の問題で、中干しができないほ場では、できる限り浅水管理を行いましょう。また、極端な疎植を避ける等、他の方法で茎数を制御しましょう。
また中干しには、温室効果ガスである「メタンガス」の発生抑制効果もあり、期間を通常より37日程度延長することで、発生量を平均30%程度削減できるとされています。

 

写真1 中干しの程度(目安)

(2)中干し後~穂ばらみ期
中干し後は、一気に入水するのではなく、徐々に入水しましょう。その後は、穂ばらみ期(出穂5日前)までは間断かん水を行うことで、適度な水分と酸素を供給し、根の活力を維持しましょう。

(3)出穂前後
穂ばらみ期から開花期までの期間は、イネが最も多くの水分を必要とする時期です。穂ばらみ期~出穂5日後までの期間は、水深57cm程度の深水管理を行いましょう。

 (4)登熟期~収穫まで
基本的には間断かん水を行います。しかし、気温の高い日が続く場合(目安:出穂後20日間の日平均気温が27℃以上)は、かけ流しを行うことで、稲体の温度を下げましょう。
また落水開始の目安は、出穂期から約30日後(収穫の710日前)です。早期落水は充実不足や白未熟粒発生等の要因となるため避けましょう。

病害虫防除

(1)ウンカ類
イネに被害をもたらすウンカ類は、トビイロウンカ、セジロウンカ、ヒメトビウンカの3種です。中でもトビイロウンカは、通称「秋ウンカ」と呼ばれ、海外から飛来し、繁殖に適した条件下では大量に増加して「坪枯れ」を引き起こします。飛来量が少ない年でも、気象条件や栽培管理によっては急激に増加することもあるため、適切な防除を徹底することが重要です。
他の2種についても、セジロウンカは主食用米への被害は少ないものの、ミズホチカラ等の飼料用米品種ではトビイロウンカと同様、坪枯れを引き起こします。また、ヒメトビウンカは、吸汁の被害だけでなく、イネ縞葉枯ウイルスを媒介します。
ウンカ類の防除は、育苗箱施用と本田防除が基本となります。本田防除は成虫に対する効果が低いため、若齢幼虫期(適期)に防除を行うことが非常に重要です。近年は無人航空機による防除が普及していますが、天候やスケジュールによっては適期を逃してしまう可能性もあるため、注意しましょう。熊本県病害虫防除所では、飛来日や飛来量から予測した防除適期を公開しています。ぜひご活用ください。
【 熊本県病害虫防除所 https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/75/125504.html 】

 

(2)いもち病
中間管理の時期には、葉に紡錘状の病斑が現れる「葉いもち」が発生します。葉いもちは、進展するとズリコミ症状(株全体が萎縮)が現れ、さらに「穂いもち」の発生にも繋がります。
今年度は、育苗期間中に苗いもちの発生が見られる等、感染に好適な条件が続いていたため、本田での発生にも注意が必要です。また、余り苗は感染源となるため、活着後は処分しましょう。
いもち病は育苗箱施用剤による予防が基本ですが、発生状況を確認し、発見した際は適期に防除を行いましょう。また、ウンカ類と同様に県病害虫防除所の情報も活用しましょう。

 

「くまさんの輝き」について

「くまさんの輝き」は、令和4年度から栽培や販売についての要件が緩和されており、今年産から導入された方、もしくは導入を検討している方も多いのではないでしょうか?
「くまさんの輝き」は、穂数型の品種のため、ヒノヒカリと比べて茎数が増えやすい特性があります。茎数を多くするほど収量も増加する、というのは基本的には誤りで、実際はクズ米が増加し、また白未熟粒等の発生によって品質や食味も著しく低下します。上述の中干し等の管理を徹底しましょう。また、いもち病への抵抗性が「やや弱」であり、加えてヒノヒカリと比べて出穂期や収穫適期がやや遅い傾向があるため、防除や穂肥の施用等にも注意が必要です。
今後「くまさんの輝き」の市場価値を高めていくためには、高い水準で食味と品質を維持することが必要不可欠です。「くまさんの輝き」という品種を、一から・みんなで・育てていくという意識を持って、品質・食味を重視した栽培を行いましょう。

県北広域本部 鹿本地域振興局 農業普及・振興課

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