水稲の中間管理~水管理と病害虫防除の基本~

はじめに

国から発表された令和2年産水稲の県平均収量は、470㎏/10a(作況指数89)となっています。
減収の主な要因は、出穂期の高温や日照不足に加え、トビイロウンカの被害による登熟不良が挙げられます。
登熟不良は気象による影響が大きいと考えられがちですが、水稲の移植から登熟までの中間管理で米の充実は大きく改善されます。
また、トビイロウンカ被害についても同様で、飛来量が多い年でも、適期に適切な防除を行うことで被害の発生を抑えることができます。
安定した収量確保のため、ご自身の作業と照らし合わせながら、中間管理技術を確認していきましょう。

表 熊本県の令和2年産水稲作況

水管理について

水管理は軽視されがちですが、重要な技術の一つです。ほ場の見回り等の労力は必要ですが、資材を使わず、イネの生育を制御できる唯一の方法です。
特に、令和2年のように高温や日照不足の年は、水管理の良し悪しが収量に大きく影響します。

①中干し
適切な茎数(地域や品種で異なりますが、概ね一株当たり20本程度)が確保されたら、中干しを行いましょう。
中干しは、ほ場の水を落とし、土壌中に酸素を供給することで、「過剰分げつの抑制」、「ほ場のガス抜き」、「根の健全化」など、様々な効果が得られます。
特に「くまさんの輝き」などの穂数型の品種では、茎数が増えやすく、充実不足や食味の低下に繋がるため、必ず中干しを実施しましょう。
また、中干しでほ場の地固めを行うことで、収穫前の落水時期を遅らせることができるため、収量の向上に繋がります。

②穂ばらみ期まで
中干しが終わったら徐々に水を入れ、間断潅水(かんすい)を行いましょう。
根の活力を維持するためには、適度な水分と酸素が必要です。
概ね2日湛水、3日落水の周期で水管理を行います。

③出穂前後
穂ばらみ期から出穂期前後は、イネが最も多くの水分量を必要とする時期です。水不足になると、穂の発育不良や不稔が発生しやすくなります。穂ばらみ期になったら、出穂7日後までは十分に潅水するようにしましょう。

④登熟期~収穫前
登熟期の日中の気温が35℃以上で、夜温が25℃を超える日が続く場合は高温障害が発生しやすいため、注意が必要です。
このような場合、地温や稲体の温度を下げるための水のかけ流しや、根の活力維持を図るための間断潅水は非常に有効です。
収穫まではできるだけ長く(収穫の7~10日前頃まで)間断潅水を行いましょう。
収穫前落水の時期が早いと、根の活力が低下し、充実不足に繋がります。

図 基本的な水稲の水管理

病害虫防除について

近年は効果が高く、残効が長い箱施薬剤が普及したことにより、基本である種子消毒や本田防除が軽視される傾向にあります。
箱施薬剤を散布しているほ場であっても、周辺の環境や気象、その他外的要因により、病虫害が蔓延してしまう場合もあるため、ほ場のイネを十分に観察し、適期に防除を行うことが重要です。

 

①ウンカ類
イネに被害をもたらすウンカ類には、トビイロウンカやヒメトビウンカ等があります。
特にトビイロウンカは、飛来数が多く、定着し増加数が多いと「坪枯れ」が発生します。令和元年及び令和2年は特にトビイロウンカの飛来量が多く、県内各地で坪枯れが確認されました。
また、ヒメトビウンカは吸汁の被害に加えて縞葉枯れ病ウイルスを媒介します。
ウンカ類は、若齢幼虫期の本田防除が基本となります。適期を逃すと防除効果はほとんどありませんが、適期に適切な防除を行えば剤型に関係なく効果が得られます。
県の病害虫防除所から発表される予察情報を参考に、適期に防除することで被害が抑えられます。

(熊本県病害虫防除所http://www.jppn.ne.jp/kumamoto/ )

写真 払落し板に付着したウンカ類

②コブノメイガ
コブノメイガは6月に飛来し、7~9月に幼虫がイネの上位葉を食害します。止め葉の被害葉率が30%を超えると10%減収するといわれています。
令和2年はコブノメイガの飛来量も多く、発生予察注意報も発出されました。
本田防除の適期は、粒剤では発蛾最盛期、液剤や粉剤ではその1週間後となっています。ウンカ類と同様に、病害虫防除所が発表する予察情報を参考に、適期防除を心掛けましょう。

③いもち病
葉いもちは初めにイネの葉身に紡錘形の病斑が現れ、進展すると株全体が萎縮する「ずりこみ症状」が見られます。伝染力が強く、感染好適条件下では病斑の拡大が非常に早いのが特徴です。
いもち病は気温が20~25℃の範囲内で、降雨等によりイネの葉が長時間濡れている場合、発生率が高まります。また、窒素過多の栽培でも発生しやすくなります。
「くまさんの輝き」はいもち病に対する抵抗性が「やや弱」となっているので注意が必要です。
いもち病が発生した場合、早い段階での対応防除が重要です。
こまめにほ場のイネを確認し、葉に病斑を見つけた際は、治療効果のある薬剤を選択して早めに散布しましょう。

最後に

気象条件や飛来性害虫の発生量は毎年変化していきます。これらに動じないような特効薬的な栽培技術はないため、地道に基本技術を実行していくことが重要です。
こまめにほ場に入り、イネの生育状況や病害虫を早期に発見し、それに応じた水管理や防除を行うことが基本です。
安定した収量確保のため、中間管理の徹底に努めましょう。

県北広域本部 鹿本地方振興局 農業普及・振興課

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