水稲の中間管理について~中干しから出穂までの水管理~

はじめに

近年、地球温暖化の影響による気象変動、夏場の高温などにより、例年通りに栽培管理を行っていても品質の低下や減収など水稲の安定栽培に向けては厳しい状況が続いています。特に2026年の7~8月は厳しい暑さの見通しです。このような状況下でも健全な稲体を保ち、品質と収量を向上させるためには生育ステージに応じた適切な水管理等の栽培管理の徹底は不可欠になります。
今回は下の図の水稲生育ステージの中干し~出穂期までの中間栽培管理を中心に解説します。適切な管理を行って暑さに負けないお米をつくっていきましょう!

生育ステージごとの水管理

図 生育ステージごとの水管理

水稲中間管理 ~中干し~

〇中干しの効果とは?
水稲の栽培管理において中干しは非常に重要な工程です。その主な効果は①無効分げつの抑制、②根の健全化、③登熟向上・倒伏防止、④落水期の延長など多岐にわたり、中干しの有無は水稲の生育後半に大きく影響します。

〇中干しの期間は?
中干し開始の目安は、㎡あたりの茎数が400本程度(坪あたり50株植えの場合1株25本)になった時ですが、品種によっても異なるため注意が必要です。継続期間は概ね5~7日程度で、田面に亀裂が入り軽く足跡が付く程度(写真1)まで継続するのが目安です。干し過ぎると必要以上に断根し根の再生・回復が遅れるため(写真2)、適切な期間・程度を守って中干しを行いましょう。また、排水が悪いほ場では溝切りを行うことで排水性が格段に向上します。

写真1 適度な中干しの程度 
写真2 干し過ぎの場合

水稲中間管理 ~間断かん水・深水管理~

〇中干し後~穂ばらみ期までの間断かん水
中干し後、穂ばらみ期までは間断かん水を行いましょう。間断かん水の効果としては①根の活力維持による登熟向上、②養分吸収の良化による受光体勢・倒伏耐性の改善があり、米の収量・品質のいずれにとっても重要な水管理になります。間断潅水は2~3日たん水して2~3日落水が目安ですが、ひび割れるほど乾かし過ぎないように注意しましょう。

〇穂ばらみ期~穂ぞろい期の深水管理
穂ばらみ期~穂ぞろい期は稲が最も水を必要とする時期です。この時期に水が不足すると開花期に受粉・受精がうまくいかず出すくみになり、不稔籾(ふねんもみ)の発生の原因にもなるので深水管理で水を切らさないように注意が必要です。

 

穂肥の施肥(分施体系の場合)

穂肥は穂の形成に必要な養分を与えることで籾を充実させ、収量・品質・食味を向上させる目的があります。散布のタイミングが早すぎると肥料が茎や葉に効いて徒長し倒伏の危険があり、遅れると食味・品質の低下に繋がります。そのため、適切な施肥のタイミングの判断が重要になります。
今回は幼穂の長さから出穂前の日数を確認し、施肥のタイミングと量を判断する方法を紹介します。

〇幼穂の長さを確認する方法は?
畦畔(けいはん)から1m以上入った場所の、茎数や草丈が平均的な株で、草丈が1番大きい茎を根元から抜き取ります。その茎の基部を丁寧に剥き幼穂の長さを測り、その長さで出穂前日数を確認します。
例えば、幼穂の長さを確認して3.0mmだった場合、表1より出穂前20日になります(写真3、表1)。また、茎を剥いて確認が難しい場合はカッターで茎を縦に真半分に切って断面から幼穂を確認することもできます。

写真3 幼穂が3mm程度の状態

〇穂肥のタイミングと施肥量は?
穂肥のタイミングは出穂20日前が目安になります。幼穂長から出穂前20日頃を確認し、その時の葉色を写真4の葉色板を用いて確認します。確認した葉色から下の表2を参考に施肥量を判断します。施肥の量は、水稲の生育量に応じて加減しましょう。

写真4 葉色板

台風時の水管理

台風通過前後は、稲体の倒伏軽減、脱水症状の軽減のため、通過後2日程度は5cmを目安に深水管理を行いましょう。通過後冠水している場合はただちに排水を行い、塩害・潮風害の可能性がある場合は速やかにほ場内の水の入れ替えを行ってください。また、通過後は葉いもちや白葉枯病等の病害虫の発生が予想されるので、ほ場観察を行い発生状況に応じて適切な防除を行ってください。

病害虫防除

病害虫被害は収量・品質に大きな影響を及ぼすため、病害虫の発生状況は定期的に確認し適期防除を心掛けましょう。発生状況は熊本県病害虫防除所より情報発信していますのでご確認ください。
熊本県病害虫防除所外部リンク

最後に

水稲栽培においては、近年の気象変動での高温障害による登熟不良、カメムシ発生、水稲紋枯病発生など病害虫の被害も多くなっており、これら以外にも例年にない問題が発生することも考えられます。栽培管理の面では対応が難しい状況が続くと思われますが、基本的な管理を徹底し、健康な稲体をつくることは気象変動への対策にもなりますので、改めて基本的な栽培管理を見直し品質・収量向上を目指しましょう。

県北広域本部 農林水産部 農業普及・振興課

水稲の中間管理について~中干しから出穂までの水管理~  (PDFファイル)