馬凍結精液を用いた子宮深部注入法による定時人工授精は受胎率の向上が期待できる

草地畜産研究所

1 研究のねらい

農用馬の凍結精液を用いた人工授精では、授精適期が排卵前12時間から排卵後6時間と短いため、発情周期が長い馬の授精適期を正確に判断することが非常に難しく、受胎成績は術者の熟練度と発情確認検査の回数に左右されます。そこで、農用馬の卵胞長径が40㎜以上、子宮に明確な浮腫の出現、排卵窩(はいらんか)が母指頭大に開口した時点でホルモン剤(hCGまたはGnRH)を投与し、hCGでは投与後32時間、GnRHでは投与後40時間で子宮深部へ精液を注入(図1)した場合の成績を調査しました。

2 成果

令和2年から令和4年に実施し、延べ11頭中7頭が受胎し、本法での人工授精では受胎率が63.6%となりました(表1)。また、1発情当たりの平均人工授精回数(受胎時)は1.29回(人工授精翌日に未排卵の場合は再度人工授精を実施)、1頭当たりの平均発情期回数(受胎時)は2.43回となりました。

・1発情当たりの平均人工授精回数(受胎時)=受胎した発情期に実施した授精回数/受胎頭数
・1頭当たりの平均発情期回数(受胎時)=受胎した馬のその年の排卵誘起回数/受胎頭数

3 留意点

(1)hCGの投与は抗体産生の恐れがあるため年2回までの使用に留めます。GnRH製剤は比較的半減期の長い酢酸ブセレリンを使用します。なお、ホルモン剤の投与は獣医師の指示のもとに行ってください。
(2)発情兆候には個体差や季節が影響するため、ホルモン剤の投与条件が必ずしも揃うとは限らず、その際は本交配も検討する必要があります。

 

No.1030(令和5年(2023 年)6月)分類コード 13-17
馬凍結精液を用いた子宮深部注入法による定時人工授精は受胎率の向上が期待できる

畜産