菊池エリア

菊池地域は菊池市、合志市、菊池郡を所管しています。県の北東部に位置し、東部の一部並びに北部は阿蘇外輪山系に接する中山間地、西部並びに南部は菊池川・白川の流域に広がる平野・台地からなる自然豊かな地域です。畜産を主に野菜、米等多様な経営が展開され、県内有数の農業生産地域となっています。県下一の畜産地帯で、近年では菊池産の飼料用米で飼育した「えこめ牛」等、地元産の自給飼料にこだわった畜産物が生産されています。米についても、北部を中心に「うまい米づくり」が活発に行われています。

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県北広域本部 農林水産部 農業普及・振興課

〒861-1331 菊池市隈府1272-10

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FAX :0968-25-5401

菊池エリア普及現地情報

2024年3月

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サツマイモ基腐病対策講習会(大津町)
新規生産者への防除指導(合志市)

サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)の感染拡大防止に向けて

菊池地域は、県内栽培面積の約45%にあたる269haでサツマイモを栽培する県内最大の産地です。
近年、サツマイモ基腐病(以下「基腐病」)が九州を中心に大きな被害を与えており、管内でも令和2年に初めて発生を確認しました。当課では管内でも作付面積が最大である大津町やJA菊池と連携し、基腐病の拡大防止に向けて活動してきました。その成果もあり、JA菊池甘藷(かんしょ)部会の販売単価や販売額も高値で推移しています。
令和5年産も収穫作業が終了し、これから準備が始まる令和6年産の防除を徹底するため、12月26日に基腐病対策講習会を大津町で開催し、生産者51名の参加がありました。当課からは、本年の基腐病発生状況報告と基本的な防除対策、特に育苗ハウスや種芋、苗消毒の徹底について指導を行い、農業革新支援センターの樋口専門員から県外産地における基腐病の動向や防除のポイントについて説明いただきました。
また、サツマイモを作付けする生産者も増えているため、新規生産者を対象に病害対策講習会の開催や個別巡回を通して指導を行っています。個別巡回で訪問する中では、生産者から種芋や苗消毒の実施方法や処理のタイミング等についての質問も多数あり、生産者の防除対策意識の向上にも繋がっています。
今後も基腐病の感染拡大防止に向けて菊池地域全域での活動を進めてまいります。

2024年2月

農業者会議の様子
意見交換会の様子

菊池地方青年農業者会議in農業大学校 農大生×菊池4Hクラブ意見交換会も開催!

昨今、担い手の高齢化等を受け、新たな担い手の確保と育成は重要度を増しており、地域を担う農業者が集まる4Hクラブの育成と活動支援は、当課の重要な活動です。
そのような中、令和5年12月15日に菊池地方青年農業者会議を初めて県立農業大学校で開催しました。今回、農大との連携体制強化を図り、菊池の先輩農業者のリアルな課題と経営改善の取組みを見せることで、菊池で就農希望の学生に農業のイメージを掴み、将来を描いてもらいたいといった菊池4Hクラブや当課の要望を農大に受け入れていただき実現しました。農大のご厚意もあり、1年生を中心に60名以上が参加した本会議は、クラブ員自身の意識向上にも繋がり、意見発表1課題、経営改善プロジェクト発表8課題を報告しました。また、終了後は農大生と4Hクラブ員で意見交換会を実施し、将来の話や農大での取組み内容、前段の農業者会議についての内容など、とても活発な意見交換が行われました。
参加した農大生からは『菊池4Hクラブ員の色々な取組みは自分の卒論にも活かせると思う』や『4Hクラブについて知ることができ、就農後入ってみたいと思った』との声が聞かれました。今後も農大との連携を図りながら、新たな担い手の確保・育成と菊池地方4Hクラブの活動支援を行っていきます。

2024年1月

甘藷収穫作業支援
甘藷出荷調整作業

東海大学農学部×菊池地域 農業応援活動を実施~半導体関連企業集積への対応(県北PT営農継続支援チームの取組み)~

半導体産業の集積が進む菊池地域では働き手の確保が更に困難となることが見込まれます。そのため、当課では、短期雇用労働力確保策として民間求人アプリ活用等に加え、新たに東海大学農学部(学生数は約700名)との連携を模索しており、本年5月以降、東海大学キャンパス長、教授、学生等と意見交換を重ねて参りました。
この具体的な取組みとして、11月18日に、甘藷の主産地である大津町(対象農業者:JA菊池甘藷部会員)において、学生ボランティアによる収穫等の作業を実施(第一弾プロジェクト)しました。収穫等の作業を通して、学生からは、「甘藷生産に少しでも貢献できて嬉しく思う。是非今後も菊池地域の応援を続けたい。」との発言があり、農業者からは「収穫作業等に協力してもらえただけでなく、学生から色んな話を聞けて元気が出た。」との発言がありました。
東海大学農学部との連携は、農業生産力の維持・拡大や地域活性化だけでなく、就業先としての農業PRを含めた新たな担い手の確保策としても期待できるため、関係機関と連携しながら人参や畜産等への取組拡大を進めていきます。

2024年1月

農家巡回調査の様子
勉強会の様子

発酵TMRを活用した肥育に関する勉強会を開催

国際情勢や為替等の影響により輸入飼料価格が高止まりする中、飼料費削減効果が期待される飼料用米を加工したSGSや麦わらなどを原料にした肉用牛向け発酵TMR飼料の製造・販売をすすめています。[集落営農法人であるネットワーク大津株式会社が令和元年度から自家生産の飼料用米を活用した肉用牛向け発酵TMRの製造・販売を行っています。今年度は約100ha分のSGSを活用し、年間4,000tの製造を見込んでいます。]
今般、肉用牛肥育技術の普及を図るため、畜産研究所と連携した個別農家巡回や勉強会を開催しました。参加した畜産農家からは、牛の嗜好性も良好で、今後も継続して利用したい、利用量を増やしていきたいという感想や意見があり、利用者の定着と今後の供給量増加が期待されます。
また、発酵TMRを活用することによる肥育期間の短縮や発酵TMRのSGSの配合割合を増やす等の研究や製造に関する意見もあり、畜産農家の関心の高さが伺えました。
当課では、飼料費の抑制と飼料自給率向上にもつながる、発酵TMRの安定生産・供給に向け、今後も飼料生産組織や畜産農家へ継続した支援を行っていきます。

※発酵TMR(発酵混合飼料):濃厚飼料(穀物など)と粗飼料(牧草や稲わらなど)を混ぜ合わせ発酵させた飼料。畜産農家は飼料を混ぜ合わせる手間や濃厚飼料と粗飼料の分離給与が不要となるとともに、えり好みせず、必要な栄養を無駄なく食べさせることができます。
※SGS(ソフトグレインサイレージ):飼料用米の籾を収穫した後にサイレージに調製したもの。

2023年12月

立毛品評会審査のようす
えごま(収穫期)

菊池えごま生産組合の取組紹介 ~第4回立毛品評会と令和5年産えごまの収穫・販売~

菊陽町、大津町の生産者で構成される菊池えごま生産組合(代表:上村幸男組合長)では、えごまの栽培技術向上のため2020年から立毛品評会を開催しています。
本年は9月19日に第4回立毛品評会の審査を行い、えごまの生育やほ場の管理状況を採点しました。前年から施肥設計の改善等に取り組み、天候にも恵まれた結果、審査を行った10ほ場のうち8ほ場で、前年1位の得点を上回る素晴らしい結果となりました。特に、えごまの子実収量と関係する2次分枝数は全てのほ場で10点満点(令和4年平均:6.6点)であり、前年からの収量増が期待されます。
2023年産のえごまは10月末~11月初旬に子実の収穫を行い、乾燥、脱穀、搾油を経て「きくちのえごま油」の名称で販売されます。なお、同商品は菊陽町のふるさと納税の返礼品にも指定されているほか、令和4年産からグリーンコープでの販売が始まるなど、様々な経路で入手できるよう販路開拓が進められています。
えごま油に多く含まれる「α-リノレン酸」は健康効果が期待されており、メディア等で紹介される機会が増えています。また、えごまはイノシシ等の食害に遭遇しにくく、連作が可能なため、中山間地の経済作物としても有望です。農業普及・振興課では、関係機関と連携しながら当組合の活動を引き続き支援いたします。

2023年12月

菊池水田ゴボウ
冷蔵庫での貯蔵

「菊池水田ごぼう」の長期出荷体制を目指して

「菊池水田ごぼう」※1は、平成31年に地理的表示(GI)※2の登録を受け、菊池地域の主要なブランド農産物として、更なる生産拡大が期待されています。
 水田ごぼうは、作付体系上、7~10月が出荷の端境期となりますが、市場からその間も出荷を望む声が寄せられています。そこで当課では、貯蔵による出荷期間延長について、令和4年度より普及課題として取組み、貯蔵可能期間、最適貯蔵温度、梱包資材についてJA菊池ゴボウ部会や関係機関と連携して調査を行ってきました。
本年度は実用化を目指し、6月に収穫したゴボウを泥付きのまま1~2カ月間コンテナで冷蔵貯蔵し、順次出庫後、洗浄・あく抜き・箱詰め等の出荷調整を行って出荷しました。着荷状況の調査や市場評価を行ったところ、8月中旬までは概ね問題なく出荷できることがわかりました。一方で、出庫後の出荷調整時に長く常温にさらされると痛みが発生する課題が明らかとなり、一回に出庫する量についても検討する予定です。
これらの試験の結果については、10月24日にJA菊池ゴボウ部会の栽培講習会で報告し、長期出荷体制構築の実現に向けた意見交換を行いました。
当課では、関係機関と問題点や課題を整理しながら長期出荷体制構築の実現に向けた活動を進めていきます。

※1菊池水田ごぼう:水田で栽培するゴボウ。現在93戸145haで栽培。一般的な畑ごぼうと比べ肌が白く柔らかであくが少ない。
※2地理的表示(GI):産地と品質の結びつきを示す農林水産物等の名称。保護制度により登録されると名称が知的財産として保護される。

2023年11月

菊池地域特産の栗を使ったグルメを召し上がれ。クリの商品化で地域の魅力発信と活性化を目指す

菊池地域は、276t※1を生産する県下第4位のクリ産地であり、R2年度から、県北広域本部、JAおよび生産部会、各市町等と連携した菊池クリの販路開拓等に取組んでいます。その一環として、昨年度からは菊池地域観光推進協議会、および地元菓子店・飲食店と連携した「菊池和栗グルメフェア」を実施しており、今年は10月1日から11月31日まで開催しています。
県北農業普及・振興課では、中山間地域振興モデルとして、「農事組合法人菊池佐野」のクリの生産安定と一次加工品開発を支援しており、R4年から皮むき冷凍生栗の販売が開始されました。フェアの実施にあたっては、この皮むき栗や菊池産のクリペーストといった一次加工品をPRするとともに供給体制の整備を進め、参加店舗の新規開拓を進めました。
フェアには新規参加8店を含む28店舗が参加し、大福、ジェラート、グラタンなど和洋菓子から料理まで多様なメニューが販売され、菊池クリの魅力発信と共に、集客効果による地域活性化にも寄与しています。
当課では引続き、中山間地へのクリ導入や付加価値の高い生産・販売の取組支援により、競争力のあるクリ産地の確立を目指します。

※1 令和3年産熊本県果樹振興実績

2023年10月

室内研修会で質問をする参加者
ワイヤーメッシュ柵設置ポイントの説明を聞く参加者の様子

自分の住むところは自分たちで守る! 有害鳥獣対策を先進地に学ぶ

菊池管内では近年、イノシシを中心とした野生鳥獣による農作物被害が急増しています。害獣侵入防止柵を設置しても、メンテナンスが不十分なため侵入防止柵の効果低減が懸念されるほ場が散見されるようになってきました。
そこで、有害鳥獣対策についての先進地視察研修をむらづくり課と企画し、対策を効果的に進めるには、先に広域的な関係機関で共通認識を持つ必要があるため、菊池地域のみではなく、山鹿、玉名、阿蘇地域の行政及びJA職員にも呼びかけたところ多数の参加があり、総勢26名で令和5年8月29日(火)に集落全体で対策に取組むあさぎり町松尾集落に行ってきました。
研修会では、あさぎり町松尾集落の遠山さんから、獣の種類により侵入防止柵の設置方法が異なること、柵は設置よりもメンテナンスが重要で、柵の管理者の明確化や住民共同の点検作業など地域全体で取り組む意識の醸成が重要であることを学びました。また、行政に対しては、待ちの姿勢ではなく、現地の実情を把握するために足を運び、解決に向けて地域リーダーを育てるなど、是非、共に行動をおこしてほしいとの要望をいただきました。
県北農業普及・振興課では、今後も勉強会等を開催し、有害鳥獣から守れる地域づくりの支援を継続していきます。

2023年10月

「くまさんの輝き」の現地検討会を開催!

水稲「くまさんの輝き」は、収量・品質・食味に優れる県育成の品種で、熊本県全体で生産が拡大しており、菊池地域においても、合志・西合志地区を中心に作付面積が拡大しています。
「くまさんの輝き」は、既存品種「ヒノヒカリ」と異なり、分げつが増えやすいという特性があります。この特性は、収量面でプラスになりますが、分げつが過剰になると、くず米や白未熟粒発生により、収量・品質が低下するため、分げつを制御する栽培管理が重要となります。
そこで、「くまさんの輝き」の栽培上のポイントを周知するため、8月29日に地域の生産者を参集した現地検討会を開催しました。当日は、合志・西合志地区の生産者を中心に約35名が参加しました。
室内講習会で、中干しの重要性を中心に説明した後、現地ほ場を見て、これまでの生育状況や今後の管理について検討を行いました。生産者から、今後の管理や中干しについて、活発な質問や意見交換が行われ、有意義な場になりました。
農業普及・振興課では、今後も講習会や現地指導等を通じて栽培上のポイントを指導し、収量・品質・食味の良い「くまさんの輝き」生産に向け、指導を継続していきます。

2023年10月

研修会の様子
意見交換会の様子

菊池地域女性農業者リーダー研修会の開催~災害に備えよう!農業版BCP等を活用した災害対策を学ぶ~

熊本県は、ここ数年様々な災害に見舞われてきました。毎年のように大型台風が熊本県に接近しており、農業分野においても災害に対する備えは重要性を増しています。  
そこで、8月17日に災害への備えや農業版BCPの活用をテーマにした女性農業者リーダー研修会を開催しました。当日は、菊池地域の農業女性アドバイザーやそのOGの方を中心に15名が参加しました。
研修会では、農業女性アドバイザーであり、災害備蓄管理士でもある隈部雅子氏を講師に、災害に備える考え方や適切な備蓄品に関する講演とグループトークを交えながら農業版BCPについて解説を行いました。講演の最後には『災害にあった時に前向きになれた方法や支えになった言葉』について、参加者一人一人にインタビューを行いました。参加者は、それぞれ平成28年熊本地震や平成3年の台風被害での経験などを交え、想いを語られました。
第2部では農業女性アドバイザーの役割やあり方について意見交換会を行いました。数年ぶりの開催だったため、非常に活発な意見交換が行われ、作型の違う人と交流が出来て良かった等の声が聞かれた一方で、農業女性アドバイザーの立ち位置がわからない、次代のアドバイザーの人選が難しいといった声が聞かれました。
農業普及・振興課では、災害に対する備えについて周知・対策を講じていくとともに、農業女性アドバイザーに対し、学びや活躍の場を提供できるよう引き続き支援を行っていきます。

2023年8月

TMRセンター設立に向けた勉強会を開催しました

近年、国際情勢や円安基調等により、飼料価格が高騰、高止まりし、改めて自給飼料を増産する動きが広がっています。特に、菊池地域は県内最大の畜産地帯であり、畜産農家は自家産堆肥を利用しながら、飼料用トウモロコシや稲WCS(ホールクロップサイレージ)、イタリアンライグラスなどといった、循環型の自給飼料生産に取り組んでいます。
農業普及・振興課では、市町及びJA菊池等と連携して地域の作業受託組織であるコントラクターや飼料生産組織であるTMRセンターに対して、自給飼料増産とその体制づくりをサポートしてきました。
また、当課では昨年度から菊池市七城地区の酪農家を対象に、新たなTMRセンター設立に向けた支援として、アンケートによる意向調査を実施してきたほか、関係機関を参集した勉強会を定期的に開催してきました。
今回、勉強会を開催するにあたり、昨年度、第61回農林水産祭にて天皇杯を受賞されたTMRセンター株式会社アドバンスの永田社長を講師として招聘し、会社の成り立ちや現在の経営状況等について講義をしていただきました。質疑応答では参加者から数多くの質問が出たことで、勉強会は盛り上がり設立に向けた機運が高まる良い機会となりました。
今後も勉強会等を行いながら、新規畜産支援組織(TMRセンター)設立に向けた支援に取り組んでいくこととしています。

※TMR(発酵混合飼料):濃厚飼料(穀物など)と粗飼料(牧草や稲わらなど)を混ぜ合わせ発酵させた飼料。畜産農家は飼料を混ぜ合わせる手間や濃厚飼料と粗飼料の分離給与が不要となるとともに、えり好みせず、必要な栄養を無駄なく食べさせることができます。

2023年8月

東海大学 安部特任准教授による講演
熱心に講演を聞く法人の研修参加者ら

菊池管内地域営農法人経営向上研修を実施

菊池地域では、県内最多の22地域営農法人が設立されており、今後も地域の農業を維持していくためには、構成員の高齢化や減少への対応を工夫しつつ、収益確保、経営強化及び経営継承する仕組みを作ることが課題となっています。
そこで、今回の研修は、“労働力確保”をメインテーマとし、当課から前年度法人経営分析結果の報告、組織間連携及び労働力確保対策の紹介を行った後、東海大学 安部美和特任准教授を講師に招へいし、“学生ボランティアと(農)菊池佐野”の取り組み事例を紹介いただきました。
安部氏は「佐野での活動は、学生にとって貴重な経験。受け入れ側は非常に大変だと思うが、双方にとって良い取組みになっている。」と話し、(農)菊池佐野の前田氏は「育苗等の労働力としてだけではなく、学生を受け入れて地域が明るくなった。今後もずっと続けていきたい。」とコメントしました。また、来場した東海大学学生からは「他の法人でも活動したいので、ぜひ声を掛けてもらいたい。」との発言があり、興味を示す法人も見られました。
今後、農業普及・振興課では、労働力確保に向け、学生ボランティアや民間を含めた組織間連携や就農・雇用対策を関係機関と連携し進めていきます。

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