阿蘇エリア

阿蘇地域は阿蘇市、阿蘇郡を所管しています。標高が200~900mと高低差が大きく、年平均気温は11~14℃で気候は冷涼であり、年間降水量は県内平坦地の1.5倍となっています。
農業生産は、減農薬・減化学肥料栽培による水稲(阿蘇コシヒカリ)や大豆、飼料用稲(WCS)、飼料作物が栽培され、水田裏作として麦が導入されています。野菜は夏季の冷涼な気候を活かした夏秋野菜産地として、トマト、アスパラガス、ホウレンソウ、ナス、ダイコン、キャベツなどが栽培されるほか、冬季にはイチゴの生産が行われています。また、花きでは、トルコギキョウ、リンドウなどが栽培されています。さらに、畜産では広大な牧野(放牧、採草)を活用した肉用牛繁殖経営や、大規模酪農経営が営まれています。

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県北広域本部 阿蘇地域振興局 農業普及・振興課

〒869-2612 阿蘇市一の宮町宮地2402

電話:0967-22-0622

FAX :0967-22-3563

阿蘇エリア普及現地情報

2024年3月

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牧野組合情報交換会の様子

牧野組合情報交換会の開催

古くから野焼き・放牧・採草を行い、膨大な時間をかけて形成・維持されてきた牧野は近年、有畜農家の高齢化及び離農による放牧頭数の減少や人手不足が深刻化しています。そこで、阿蘇の広大な牧野の維持・再生及び肉用牛生産の拡大を図るため、牧野組合及び管内関係機関(延べ56名)を参集し、牧野組合情報交換会を開催しました。
牧野における畜産的利用(放牧・採草)を推進するうえで必要な情報・支援策として、省力化技術の取り組み(リモコン草刈り機や放牧牛の監視システム等)や普及活動・試験研究等で得た成果について情報共有を図るとともに、意見交換を行いました。参加者からは放牧牛監視に要する多くの時間を削減するために、GPSを使った管理に取り組んでみたいという意見が多く聞かれました。
現在、飼料や肥料等の価格高騰や子牛価格低迷により、生産現場にとって非常に厳しい状況に直面しています。このような中、改めて自給飼料や堆肥の活用等、国内資源による生産基盤の強化が注目されており、阿蘇地域の草原の維持と持続的農業の重要性はますます高まっています。
農業普及・振興課としては、引き続き阿蘇の広大な草地資源の有効利用とIoT機器等の新しい技術の導入に向けた支援を行い、阿蘇の畜産振興に取り組みます。

2024年2月

研修の様子

市町村・団体等向け阿蘇地域家畜防疫研修を開催

高病原性鳥インフルエンザを始めとする悪性家畜伝染病対策には通常時の準備が必要です。後方支援体制の中心となる振興局内職員に対してはこれまで複数回にわたり研修を行ってきましたが、今回初めて市町村・団体等のみを対象とした研修を開催しました。
研修では、近県の発生から阿蘇管内での発生まで様々なケースを想定し、これに対応する各機関に必要な行動や準備などについて解説を行い、事前の人員貼り付け等の毎年の見直しなど、準備の重要性を伝えました。
また、埋却ができないと判断された場合に使用する可能性のある、移動式焼却炉について、映像を用いてその設置や稼働に必要な条件等を確認しました。
今後も引き続き、万一の発生時に迅速な初動防疫が行えるよう、体制の強化に取り組んで参ります。

2024年2月

中部トマト部会総会・反省会
生育調査の様子

過去最高の販売実績で夏秋トマト出荷終了!

阿蘇地域では、阿蘇市、南阿蘇村を中心に200名の生産者が56haで夏秋トマトを栽培しています。令和5年産は定植時期の低温や、梅雨前線による大雨、異常気象等の影響を受けながらも、順調に生育し、過去最高であった令和4年産の実績を更に上回る販売実績となりました。
さらに収量を伸ばすためには、7月下旬から8月中旬の出荷量の落ち込みを改善する必要があります。初期に草勢を強くしすぎると着果数が増加し、梅雨の曇雨天と重なる時期にスタミナ切れとなり、着果数が減少することがその要因の一つです。特に、地下水位が高く、土壌が乾きづらいほ場では、土壌水分とともに肥料分が吸収されるため、より初期の草勢が強くなる傾向にあります。
そこで当課では、令和3年度から継続して、地下水位の高い地域の初期の草勢コントロールの改善を目的に、肥料溶出が水分の影響を受けない緩効性肥料を利用した実証試験を実施しました。3年間の実証試験により、緩効性肥料を利用することで、初期の草勢を抑え、長期に渡って肥効を維持させることで草勢安定につながり、収量が向上する結果が得られました。
これらの結果を12月に行われたJA阿蘇中部トマト部会、ミニトマト部会の反省会の中で報告し、緩効性肥料の有効性の周知を行いました。生産者からは来作での導入を検討する声や導入に対する相談が寄せられ、関心の高さが感じられました。
今後も、初期の草勢コントロールの技術確立に加え、収量向上に向けた技術支援を行ってまいります。

2024年2月

相談会の様子
決算分析書

地域営農法人向け経営相談会を開催

農家の高齢化や担い手の減少等が加速する中、阿蘇地域では平成27年から多数の地域営農法人(以下、法人)が設立されています。今後、法人の担う役割がますます重要となることから、法人の運営を支援するため、管内19法人を対象とした経営相談会を開催しました。
経営相談会では、各法人の決算書やアンケート調査結果を基に決算分析書等を作成し、経営視点を持ってもらうため、経営状況を説明しました。併せて、農業公社、市町村、JAと連携して、法人が抱える課題について意見交換を行いました。経営分析では、売上部門ごとに製造原価費等を分けていない法人が多く、コスト削減に向けた取組みとして、部門ごとの収支を把握するよう指導しました。意見交換では、各法人によって課題は様々ですが、共通の課題として「労力の確保」や「収入源の確保」等が挙がりました。また、一部法人からは「法人間同士で機械・作業の共同化が必要である」といった意見が聞かれ、将来への危機感が強まっていると感じました。
当課では、法人の経営維持・発展に向けて、土地利用型作物の収量・品質向上や冬作の導入支援、法人間連携に向けた関係機関との協議等を引き続き行っていきます。

2024年1月

今シーズンの広域放牧が終了しました

阿蘇では、阿蘇地域以外から妊娠牛の放牧を受け入れる「広域放牧」が実施されています。11月30日、阿蘇市の狩尾牧野と跡ケ瀬牧野において、今シーズンの広域放牧を締めくくる退牧式が開催されました。これで阿蘇市の木落牧野と高森町の小倉原牧野を含めた4牧野における今シーズン(4月-11月)の全ての広域放牧が終了となりました。
4月下旬から阿蘇の草原でのびのびと放牧されていたあか牛や黒牛は、冬の間はそれぞれ地元の牛舎に帰り、来年の春にまた阿蘇の牧野に戻ってきます。
放牧期間中、草地畜産研究所と協力し、オンラインで放牧牛の位置情報がわかるICT機器の実証試験に取組みました。試験終了後には、「自宅で牛の居場所がわかるから安心だった」、「牛を捜索する際に目星をつけられて便利だった」という声が聞かれました。
当課では、引き続き牧野組合や農業団体等と協力し、広域放牧の拡大やICT機器活用による省力化の検討を進め、牧野の畜産利用を推進してまいります。

2024年1月

過去最高の販売高!阿蘇の園芸品目で「稼げる農業」を実現

阿蘇地域は冷涼な気候特性を生かして園芸品目の栽培が盛んな地域です。管内の農業師匠※1の元で研修を積み、新たに農業を始める新規就農者が多い地域で、その多くはJA阿蘇の各生産部会に所属しています。生産部会の総会や出荷査定会が開催される中、夏秋トマト、アスパラガス、イチゴでは過去最高の販売高を記録し、園芸品目で「稼げる農業」を実現しています。
農業普及・振興課は、これまで品目ごとの課題に対して関係機関と協力しながら解決に向けた支援を実施してきました。その成果が販売高のアップに結び付いたと思っています。総会や出荷査定会では「ありがとう。おかげで良い品質の物が取れたよ」など感謝されることも多く、普及活動の醍醐味を感じる機会が増えています。今後も世界農業遺産※2に認定された阿蘇地域農畜産物の安定供給に向けて、生産出荷体制の更なる強化を図っていきます。

※1:農業師匠とは、阿蘇地域で農業を営む、後進の育成に情熱を持った先進農家。
※2:世界農業遺産とは、国際連合食糧農業機関が開始した仕組みで、次世代に受け継がれるべき伝統的農業や生物多様性、伝統知識、農村文化、農業景観などを全体として認定し、その保全と持続的な活用を図るもの。阿蘇地域は平成25年に認定を受け、今年で10周年。

2023年12月

10周年記念シンポジウム
エクスカーション

「阿蘇地域世界農業遺産」認定10周年!

阿蘇地域の「草原の維持と持続的農業」が世界農業遺産に認定されて、今年で10周年を迎えました。このことを記念し、10月12日(木)に阿蘇の司ビラパークホテルにて、「阿蘇地域世界農業遺産認定10周年記念シンポジウム」を開催しました。
プログラム内のパネルディスカッションでは、生産、食、流通、報道、学術、行政それぞれの分野の専門家にパネリストとしてご登壇いただき、「阿蘇の持続的農業を未来につなぐために」をテーマに意見交換を行いました。
本式典には、県内外から約200名の方にご参加いただき、阿蘇の農業と草原を守るために私たちに何ができるか、一緒に考えるきっかけとなりました。
翌日13日(金)は、41名の参加者を対象に、北コースと南コースに分けたエクスカーションを実施しました。あか牛放牧や牧野散策といった草原の活用状況のほか、水源や資料館等、阿蘇の農業遺産を構成する資源を案内し、阿蘇に対する理解を深めていただいたところです。
今後も、当課では世界農業遺産の周知・PRを通して、阿蘇の農畜産物の認知度が全国的に広がるような取り組みを、関係団体と連携しながら進めて参ります。

2023年12月

話合い活動の様子
設立総会

産山村で新たな地域営農法人「農事組合法人弁財天」が誕生!

農業者の高齢化や担い手不足による耕作放棄地の増加が懸念されている中、当課では、地域の農地を守る地域営農法人の設立を推進しています。
このような中、産山村弁財天(べざいてん)地区において、村で3番目、阿蘇地域で20番目となる地域営農法人「農事組合法人弁財天」の設立総会が、10月21日に産山村基幹集落センターで開催されました。
弁財天地区では、「熊本県未来へつなぐ地域営農組織経営力強化支援事業」を活用し、令和4年度から法人設立に向けて話合い活動に取り組んできました。当課では、村、農業公社やJAとともに話合い活動に参加し、定款や5年間の事業計画の作成などを助言・指導してきました。
その結果、地区内農家22戸、農地28haを集積する同法人が誕生しました。今後は、補助事業を活用して米の乾燥調製施設や収穫機械等を導入するとともに、作業受託に取り組み、経営の安定化を図ります。
当課では、法人の経営安定に向けて、法人運営や作物の栽培技術指導、補助事業活用支援に取り組みます。

2023年11月

表彰授与式の様子
グランドチャンピオンの牛

阿蘇地域(阿蘇、南阿蘇、小国)畜産共進会の開催

天高く馬肥ゆる候と昔から言われていますが、秋はみのりのシーズンであり、又畜産共進会のシーズンでもあります。例年この好期に阿蘇地域では3地区で共進会が開催され、今年はコロナウイルス禍で4年ぶりの開催となった地域もありました。
共進会は、農家が自身の経営において改良や飼養管理技術を披露確認することに加え、地域全体で家畜改良を切磋琢磨していくことを目的としています。出品された牛馬は関係機関の審査員により1頭1頭手で触れるなどして、体格、月齢に応じた発育や全体的なバランスなどの項目について、厳格な審査が行われました。
ここで上位入賞した牛の一部は、熊本県畜産農協主催のふれあい畜産まつりに地方代表として出品されることから、さらなる愛情を注がれ、立派に仕上げられます。飼料価格の高止まりや子牛価格の下落など厳しい畜産情勢の中、農家はこれまで以上に改良への意気込みは強く、手塩にかけた牛馬が集い、大いに盛り上がりました。
今後とも農業普及・振興課は関係機関とともに、畜産振興及び経営の安定化に資する取り組みを推進していくこととしております。

2023年10月

展示ほ調査の様子
阿蘇コシヒカリ出発式の様子

阿蘇「コシヒカリ」の品質向上に向けて

阿蘇地域では「コシヒカリ」約2,200haが作付けされており、その中でも、地域の慣行栽培基準より減農薬・減化学肥料で作られる「特別栽培米」が多くを占め、良食味米の生産が行われています。当課では、日本穀物検定協会が主催する「食味ランキング」で「特A」評価を獲得するため、今年度、JA阿蘇と連携して、展示ほ場を8か所設置し、その調査結果を基に、良食味米栽培技術指導を行っています。
そのような中、9月7日にはJA阿蘇が主催する「米初検査祈願祭」及び「阿蘇コシヒカリ出発式」が行われ、初検査を受けた333袋はすべてが1等に格付けされました。
今年の阿蘇の「コシヒカリ」は、4月下旬から田植えが行われ、7月下旬の出穂後は高温で推移したため、例年より早く8月28日から収穫が始まり、9月中旬に収穫のピークを迎えます。また、病害虫の発生は少なかったものの、8月の寡照や平均気温の上昇による白未熟粒の発生が懸念されます。
当課では、引き続き関係機関と連携しながら、環境負荷低減や気象災害等に対応した特色ある米づくりを支援していきます。

2023年8月

エダマメの収穫が終わりました

阿蘇市波野地区で新規導入を行ったエダマメの収穫が7月29日から8月1日の4日間で行われました。当地区のエダマメは、キャベツの間作として栽培されていた種バレイショに替わる品目として、昨年度から導入の検討を始め、本年度5名の生産者で3haの試作を行いました。
栽培は、生分解性マルチを用い、遅霜の心配がなくなった5月2~17日に播種を行い、6月中旬に「ダイズサヤムシガ」の発生があった以外は、発芽から収穫まで非常に順調でした。収穫は、鹿児島の業者から収穫機を2台(オペレーター付)を借受けて行い、収穫物を鹿児島に輸送し選別・袋詰めを行い、製品をJA阿蘇波野野菜集荷所に再送後、熊本東部青果に出荷を行いました。
農業普及・振興課では、昨年度から種バレイショに替わる品目としてエダマメの選定や鹿児島の業者への視察、品種・作型・元肥量の決定に携わるとともに、播種後も毎週生育状況や病害虫の発生状況を確認しながら、収穫適期の見極めを行ってまいりました。収穫直後ですので、収量の取りまとめは終わっていませんが、業者の話としては、収穫量は多いとのことです。現状の生産者の評価は、播種から収穫までほぼ機械化体系で行え、播種後の管理がほとんどいらないことから高評価を受けています。
今回のエダマメの試作は、エダマメの収益性に加え、後作のキャベツでの肥料費の節減や収量・品質向上を目的に行われていることから、エダマメ・キャベツの栽培体系としての評価を行い、生産者と来年からの本格栽培をどうするかを検討してまいります。

2023年8月

前田氏の発表の様子
県の集合写真

九州・沖縄地区青年農業者会議で発表!

7月20日、21日に九州・沖縄地区青年農業者会議(以下、九州大会)が大分県日田市で開催され、阿蘇4HCの前田裕介氏が意見発表されました。
前田氏は小国町の旅館で提供される「あか牛」料理に地元産のあか牛が利用されていない事実に衝撃を受け、同じこだわり・志を持つ2人の農家と協力して、地元産あか牛を生産・供給する活動を行っています。その取組みについて県大会で発表し、最優秀賞を獲得され、九州大会に出場することとなりました。発表では、手の動きを加えながら、内容が分かりやすいように話し方も工夫され、練習の成果が窺える堂々とした発表でした。
結果は惜しくも受賞を逃しましたが、「緊張したが、いい経験だった」と本人の自信につながる良い機会でした。
当課では、この発表を阿蘇4Hクラブ員各々のプロジェクト活動の参考にして、青年農業者の課題解決に向けた取組みを引き続き支援していきます。

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