芦北エリア

芦北地域は水俣市、芦北郡を所管しています。熊本県の南部に位置し、八代海の海岸線に沿って起伏に富んだ地形が形成され、平坦地が少ない中山間地域です。温暖な気候を活かして、田 (マルタ)ブランドの甘夏や不知火類(デコポン)、早生たまねぎ (サラたまちゃん)など、全国的に認知されている地域ブランド作物が生産されています。
特に、農業産出額の約5割を占める果樹は地域の基幹作物であり、なかでも不知火類(デコポン)は、12月の加温栽培から鮮度保持資材を活用した6月までの長期安定出荷が行われており、県内有数の産地です。また、肉用牛では「あしきた牛」ブランドとして、高品質な牛肉の生産が行われており、各種共励会で上位入賞するなど、県内外から高い評価を受けています。

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県南広域本部 芦北地域振興局 農業普及・振興課

〒869-5461 葦北郡芦北町芦北2670

電話:0966-82-5194

FAX :0966-82-2373

芦北エリア普及現地情報

2024年3月

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専門家によるゲノミック評価に関する講演
我が家の飼料設計(栄養状況)を確認中

水俣・芦北の畜産!繁殖でも県内トップクラスを目指して

水俣・芦北の畜産は、従来、肥育経営が主力の産地として有名ですが、子牛(肥育素牛)価格の高騰等により、繁殖経営への転換が進んでいます。
肥育経営では、食肉としての価値を高める飼養管理技術が必要ですが、一方、繁殖経営では、1年1産させる・子牛を健康な状態で分娩させる・子牛を良好に発育させる・市場価値の高い子牛を生産する等、より高い飼養管理技術が求められます。
そこで、R2年度から、関係機関と連携して、子牛成育調査や飼料設計の助言、繁殖検診等による飼養管理技術の向上や、早期に牛の能力を推定するゲノミック評価分析(計71 頭分)の実施等による高能力母牛の造成推進等に取り組んできました。
1月30日には、これらの取組(成果)について、生産者自らが、より有効に活用していくための方法・知識を身に付けてもらうことを重点に、飼料設計の実習(PC作業)を兼ねた研修会を企画・開催しました。
非常に厳しい畜産経営を強いられている今だからこそ、生産者が学べる場を提供できたことはとても有意義であったと思います。
これまで以上に、生産者・関係機関等が一丸となって、肥育だけでなく、 繁殖でも、県内(全国) トップクラス になれるよう支援して参ります。

2024年3月

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移植機での植付の様子
現地検討会

被災地域への加工用バレイショ新規導入に向けて

芦北地域では、令和2年7月豪雨で被災した芦北東部地区で基盤整備の計画が進んでおり、整備地への新規導入を目的として、令和3年度から加工用ばれいしょの栽培実証に取り組んでいます。
過去2年間の実証で有望品種や適した植付時期等が明らかとなり、本作では、収量向上や省力化を目的に、植付時期の早進化、栽植密度、機械化一貫体系について栽培規模で検討しています。
1月17日には、(株)クボタ、JAあしきた、農業技術課の協力のもと、移植機を用いて実証ほ場約50aに加工用品種「オホーツクチップ」を植付し、調査を行いました。また、1月25日には、(株)湖池屋、県関係機関、関係JA等と現地検討会を行いました。地域の担い手へ取り組みを周知するため、実証ほを基幹道路沿いに設け、作業機会には担い手候補者への参加呼びかけも行っています。
加工用バレイショの産地化には機械導入が必須であり、高齢化が進み担い手が少ない地域での導入には課題も多くありますが、産地化に向けて関係機関と連携しながら取り組んでいきます。

2024年3月

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先輩農家としてリアルライフを話す山本氏
就農希望者への質問に答える山本氏

首都圏へ向けて就農情報で先輩農家としてリアルライフ を紹介

熊本農業を知りたい首都圏の方を対象に、芦北地域のリアルな就農の姿を見てもらい興味をもってもらいたいと考え、1月19日に「くまもと新規就農セミナー」が開催されました。サラリーマンから新規就農した先輩農家として、山本章太氏に体験発表を行ってもらいました。山本氏は一般企業を経験後1年6か月の就農準備研修を経て第三者継承をされて就農4年目になります。
農業者としていい面(いろんな縁や普通では味わえない経験)やつらい面(自然相手の抗えない部分や起業家として何から何まで自分でやる事)等リアルに体験し苦労してきたことを新規就農希望者へのアドバイスとして熱をもって話されました。発表後の山本氏への質問も多数ありました。
又セミナーを共催した芦北地方農業振興協議会から就農相談から産地見学会や農業研修そしてリリーフ園での就農までの「伴走型就農支援」を説明して、芦北地域への柑橘での新規就農の可能性を紹介しました。
今後も引き続き関係機関が連携して、新規就農者の確保支援を行ってまいります。

2024年2月

世界最高峰の茶コンテスト「THE LEAFIES」で生産者2名が受賞・表敬訪問

「THE LEAFIES」は昨年度から紅茶の本場イギリスで開催されている世界最高峰の茶のコンテストで、紅茶、緑茶、釜炒り茶等の20以上の部門に300点以上の茶が出品されます。
今年、管内の茶生産者である「お茶のカジハラ」さんが釜炒り茶で金賞を、「お茶の坂口園」さんが紅茶で優秀賞を受賞されました。梶原さんは昨年度のコンテスト最高賞に続き、2年連続での受賞となりました。(結果詳細は下表のとおり。)
12月22日には受賞されたお二方による、振興局長への表敬訪問をいただき、栽培や製造上のこだわりについてのお話や、受賞茶のふるまいを行っていただきました。
管内の茶が世界基準で高評価を受け、2年連続で受賞されたことは、生産者の皆さんへも明るいニュースとなりました。今後も当課では、高品質な茶生産のため栽培技術の支援等を行っていきます。

2024年2月

芦北地域「輝き」栽培面積推移
「輝き」に関心を寄せる生産者ら

「くまさんの輝き」作付け拡大へ!水稲講習会を開催

芦北地域の水稲作付けは、「ヒノヒカリ」が大部分を占めている一方で、「くまさんの輝き」(以下、「輝き」)の作付面積が年々拡大しています(下グラフ参照)。その大きな要因は、近年、記録的な猛暑が続く中、「輝き」は高温耐性に優れ、品質が保たれることにあります。実際に、今年の1等米比率は「ヒノヒカリ」の43.9%に対し、「輝き」は86.1%と差が開きました。
そこで、更なる「輝き」への品種転換を推進するため、JAあしきたと連携して講習会を開催しました。始めに、「輝き」のR5年産の出荷量と1等米比率、また、県内での生産状況や品種特性について説明を行いました。続けて、品種ごとに玄米サンプルを用意して、白未熟粒※の割合等を見比べてもらいました。
生産者からは、「『輝き』に来年からでも転換したい」という声が聞かれるなど、「輝き」の品質の良さを実感され、前向きに品種転換を検討される方が多くいました。
R6年産も「輝き」の作付面積は増加する見込みです。今後も当課では、「輝き」への転換が生産者にとって希望となるように支援して参ります。

2024年2月

Y氏の園地を見学する様子
JAあしきた選果場の視察状況

新規就農確保に向けてバスツアーの開催

芦北地域では、管内で就農を希望される方を対象に、地域の魅力や果樹農業の実情を見て知ってもらうための「バスツアー」を12月9日に実施しました。
今年度就農相談会の来場者や情報誌を通してツアーを周知したところ、関東を含む4名(県外3名県内1名)の参加がありました。当日は、新規就農者第1号のY氏の園地を見学し、Y氏からは就農のきっかけや果樹という作物のメリット・デメリット等を話され、その後の意見交換では参加者から多くの質問が出されました。選果場では、JAから県内でトップクラスの「でこぽん」の生産状況や販路について話され、参加者の中には芦北での就農に強い意欲を示され方もおられました。今後は、就農への次のステップとして果樹作業体験等の短期研修に参加いただき、円滑かつ就農希望者に寄りそう就農サポートを図っていく予定です。

2024年1月

対策展示ほ設置検討会の様子
対策展示ほ設置検討会の様子

鳥獣被害に強い園地へ~防護柵のモデル園を設置~

芦北地域ではシカ等による農作物被害が急増しており、被害から「守れる」園地づくりを進めています。その一環として、11月20日に地域で初めての導入となる防護柵(金網柵)の対策展示ほ設置検討会を開催しました。
既存の防護柵の設置箇所においては、被害防止効果が導入時にはあるものの、管理不足等により柵が機能していない場合が見られます。そこで、今回の展示により、設置に係る施工性や農作物の被害軽減効果の検証を行っています。
現地検討会では、専門家や資材メーカーの担当者を始め、関係機関(市町、JA、農業共済)、農業者を招き、施工方法や施工性を体感しました。参加者からは「設置は力が必要で大変だけど、これなら守れそう」といった声が聞かれ、活発な意見交換を行うことができました。
鳥獣被害の軽減を図るため、これまで当課では関係機関と連携して地域連絡協議会を設立し、連携会議や講習会等を実施してきました(5月、9月普及現地情報参照)。
今後も連携を密にして、展示ほでの被害軽減効果を検証しながら鳥獣被害に強い園地づくりを進めていきます。

2024年1月

佐伯市での研修の様子(11/15)
放棄園や休耕田を再生した樹園地

果樹の基盤整備に向けて~先進事例研修の開催

水俣・芦北地域の基幹作物である柑橘類では、樹園地の多くが傾斜地にあるため、労働生産性の向上を図る上で基盤整備の推進が大きな課題となっています。
そこで、今後の基盤整備の参考とするため、主に水田の畑地化を通じて樹園地の基盤整備と、担い手への集積を推進している大分県佐伯市の取り組み状況を調査しました。研修会には、市町・JAあしきたの担当者に加え、JAあしきた果樹部会の役員等の農家3名も参加いただきました。
研修会では、大分県南部振興局並びに佐伯市の担当者から、地権者との交渉において地域リーダー農家の参画が大きな力になったこと、土質調査等により最適な改良工事を実施し、工費の節約に努めたこと等、取り組みの要点を説明いただきました。参加者からは、「集積推進チームの編成や進行管理の手法がポイントと感じた」「水田転換での果樹園整備の参考になる」等の声が聞かれ、当地域で樹園地の基盤整備を進める上で、貴重な知見を得られたと考えられます。
当課では、樹園地の基盤整備を進めるため、市町・JAあしきたで構成する「芦北地方農業振興協議会果樹部会」において、毎月の連携会議や、整備候補地の現地検討会等を実施しています。今後も関係機関との連携を密にし、樹園地の基盤整備の実現に努めていきます。

2024年1月

プロジェクト発表
表彰式

プロジェクト取組数倍増!4HC全員で農業経営改善能力を培う

芦北地方青年農業者クラブ連絡協議会(4HC)は、クラブ員がここ数年増加し、現在11名となり活気が増しています。しかし、プロジェクト活動に取組むクラブ員は、前年度で4名程度と半数以下の状況でした。
今年度は、新会長を中心に「クラブ全員でプロジェクトに取組むことで農業経営の改善を図りたい」という強い意志を受け、当課では全課員で5月から個別ヒアリングによる課題の選定や、9月の中間報告会、11月の合同発表練習など、実になるプロジェクト活動となるための積極的な支援を行ってきました。
その結果、11月17日に開催された芦北地方青年農業者会議では、意見発表と地域活動報告を含め、9名が発表しました。初めてプロジェクトを発表したクラブ員からは、「プロジェクトは面倒そうで抵抗があったが、普及指導員やクラブ員の協力を得ながら取組めたことで、問題を解決するための方法が身に付き、自信につながった」など、意欲の向上が見られました。
当課では、クラブ員のプロジェクト活動を通じた経営改善に向け今後も継続的に支援していきます。

2023年12月

現地検討会の様子
収量の推移

酒米の収量が過去最高を記録!

中山間地域である津奈木町倉谷(クラタニ)・古中尾(フルナカオ)地区では、酒米を高単価作物と位置づけ、「山田錦」1.5haを栽培し、地元酒造会社の亀萬酒造へ販売されています。
一方、「山田錦」は長稈で倒伏しやすい品種のため、生産面において収穫時の労力や収量等の問題が生じていました。
このため、令和3年度から当課では、耕種基準の策定や現地検討会等を開催するなど、倒伏軽減に向けた伴走型の指導を行い、生産者の意識や技術(適正な肥培管理や水管理の徹底等)の向上を図ってきました。
この結果、今年産の平均収量は393kg/10aとなり、目標としていた360kg/10aを上回り、過去最高を記録しました。いずれのほ場もなびく程度の倒伏に抑えられ、収穫したオペレータからも、「以前より収穫しやすい、これなら問題ない。」と太鼓判を頂くことができました。
今後も、酒米の安定栽培だけでなく、面積拡大を目指し、新規作付者・オペレータの確保等も支援していきます。

2023年11月

室内研修会における質疑応答の様子
果樹園における柵の説明

鳥獣被害に強い地域へ!高校と連携し研修会を開催

芦北地域では、鳥獣による農林業への被害が年々増加傾向にあり、被害軽減対策の取組みが喫緊の課題となっています。
そこで本年6月に、地域の関係7団体で構成する連絡協議会(以下、協議会)を立ち上げ、一丸となって被害軽減対策に取り組んでいます。その活動のキックオフとなる地域全体の研修会を、9月13日に芦北高校において開催し、110名を超える参加がありました。
(株)イノPの稲葉氏から「地域と畑は自分たちで守る」と題して、鳥獣害対策の基本的な考え方について講義をいただきました。その後、芦北高校の果樹園で取り入れている金網柵を前に、効果的な対策について説明をいただきました。
参加者は熱心に聞き入り、質疑の挙手が次々と上がりました。またアンケートでは参加者全員が「役に立つ内容だった」と回答するなど、大変意義深い研修会となりました。
鳥獣対策の基本的な考え方をより多くの方に広めるため、協議会の構成員が講師となって管内の地区ごとに講習会を開催するなど、点を線にする取組みを展開し、鳥獣被害に強い地域づくりを進めていきます。

2023年11月

個別指導の様子
個別指導の様子

カキ「太秋」低樹高ジョイント仕立て栽培の安定生産に向けた濃密指導を実施

芦北地域では、カキ「太秋」の生産が盛んであり、省力・軽労化が図れる低樹高ジョイント仕立て栽培(以下、ジョイント栽培)を県内でいち早く導入しました。現在、JAあしきた柿部会員52戸のうち12戸の農家がジョイント栽培に取組んでいます。
部会で積極的に取組んでいるものの、新しい技術ということもあり、一部の農家において収量が不安定な状況にあります。
そこで当課では、JA指導員と連携し安定生産のための濃密指導を行いました。まず、7月にジョイント栽培の全園巡回を実施し、実態を把握したうえで農家5戸を選出しました。9月27日に先行して3戸の農家に管理方法を聞き取り、園地状況に応じた管理方法を実演を交え1農家あたり1時間超の指導を実施しました。
農家からは、「園地の問題と課題が良く分かり、今後の適正な管理方法について自身で考えることができた。」「今後もせん定時期など、定期的に個別指導を受け安定生産につなげたい」など、栽培管理への意欲向上が見られました。
当課では、今後もせん定や接ぎ木など、安定生産のための重要な管理時期に個別指導を実施し、産地の栽培技術の高位平準化を図ります。

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