芦北エリア

芦北地域は水俣市、芦北郡を所管しています。熊本県の南部に位置し、八代海の海岸線に沿って起伏に富んだ地形が形成され、平坦地が少ない中山間地域です。温暖な気候を活かして、田 (マルタ)ブランドの甘夏や不知火類(デコポン)、早生たまねぎ (サラたまちゃん)など、全国的に認知されている地域ブランド作物が生産されています。
特に、農業産出額の約5割を占める果樹は地域の基幹作物であり、なかでも不知火類(デコポン)は、12月の加温栽培から鮮度保持資材を活用した6月までの長期安定出荷が行われており、県内有数の産地です。また、肉用牛では「あしきた牛」ブランドとして、高品質な牛肉の生産が行われており、各種共励会で上位入賞するなど、県内外から高い評価を受けています。

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県南広域本部 芦北地域振興局 農業普及・振興課

〒869-5461 葦北郡芦北町芦北2670

電話:0966-82-5194

FAX :0966-82-2373

芦北エリア普及現地情報

2025年7月

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収穫作業を見学する高校生
収穫したばれいしょ

~令和2年7月豪雨災害からの創造的復興を目指して~ 加工用ばれいしょを収穫しました

芦北地域では令和2年7月豪雨災害からの創造的復興を目指して、水田裏作として加工用ばれいしょの導入に取り組んでいます。
令和7年産は、JAあしきた及び管内営農組織と連携して、2カ所、計25aで栽培実証試験を行っています。5月28日に収穫を迎え、収穫機(ハーベスタ)を用いた機械化実証と併せて、この取組みを広く周知するため、地域の営農組織や芦北高等学校農学科の生徒らを招いた見学会を開催しました。
ばれいしょの収穫作業については、全体の作業時間に占める割合が最も大きく、収穫にかかる労力を削減すれば、栽培面積の拡大や雇用労働費の削減につなげることが可能です。今回使用したハーベスタは、運転手1名と選別作業員3~4名という少人数での作業が可能で、作業時間はハーベスタを使用しない場合の約1/2と、大幅な労力削減につなげることができました。
また、見学会では、営農組織からハーベスタの使用方法や処理能力に関する質問があったほか、高校生からは加工用品種の特徴について質問があるなど、加工用ばれいしょ栽培に興味を持つ様子が見受けられ、有意義な会となりました。
令和7年産の作柄としては、排水対策に課題が残り、目標としていた収量を達成することはできませんでした。
農業普及・振興課では、今後も引き続き、関係機関と連携して対策を検討・実証し、加工用ばれいしょの導入が農家の所得向上に結び付くよう取り組んでいきます。

2025年7月

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講習会の様子
支援専門員の指導に耳を傾ける生産者ら

作付け前に酒米講習会を開催! ~土壌分析を基にした指導で倒伏軽減へ~  

中山間地域である津奈木町倉谷(くらたに)・古中尾(ふるなかお)地区では、高単価作物として酒米「山田錦」を栽培し、地元酒造会社の亀萬酒造へ販売しています。当課で作成した栽培マニュアルや新規作付け者を中心とした伴走支援のもと、各生産者は毎年試行錯誤しながら取り組んでいます。一方で、倒伏しやすい品種である「山田錦」の難しい栽培に、昨年度は異常な高温も重なり、収量・品質ともに大きく落ち込む年となりました。
そこで今年度は、作付け前に酒米生産者全員が土壌分析を実施。倒伏の原因は過剰施肥によるものが大きいと推察されておりましたが、分析の結果、水管理不足や中干し不足も大きな要因であることが判明しました。
これらの結果を基にした栽培指導を行うため、播種前のタイミングである5月13日に作付け前講習会を開催。農業革新支援専門員の支援のもと、分析結果の説明や、倒伏軽減に向けた水管理技術の指導を行いました。生産者からは「倒伏の原因は地力のせいだと思っていたので、今後は水管理を徹底したい」という声が聞かれ、生産者の意識の変化を促すことにつながりました。
当課では引き続き、津奈木町の酒米産地形成に向けて、指導を行っていきます。

2025年7月

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講習会(座学)の様子

担い手不足解消へ!初心者向けお米の学び直し講習会を支援 ~1俵は何kg?種まきってどうするの?~

芦北管内における近年の水稲作付け状況は、担い手不足によって耕作放棄地や受託組織への作業依頼が増加しています。しかし、昨年産からの米価高騰を受け、管内では水稲作付けを希望する声が一段と高まっています。
そこで今年度は、新たに米作りを検討する方に基本を学んでもらい、作付け意欲を向上させるため、津奈木町、地域営農組織代表者が計6回の初心者向けの講習会の開催を企画。JAと当課にも指導の支援要請があり、関係機関が連携して取り組むこととなりました。
そのスタートダッシュとして、5月11日に第1回を開催し、約30名が出席しました。講習会の一番のポイントは“誰にでも分かる”内容で説明すること。地域営農組織代表者からの「専門用語は使わず分かりやすい内容で説明してほしい」という要望に応え、当課の座学では「1俵は60kg」といった米作りに必要な基本的な内容から説明しました。その後、地域営農組織の代表者が種子消毒や播種等の育苗までの一連の流れを細かく実演しました。
講習会の開催支援を通して、普段の講習会で専門用語を使い過ぎていたことを実感し「内容を伝えられているか」考え直すきっかけとなりました。
残り5回の講習会も引き続き“誰にでも分かる”説明に努め、地域の担い手育成支援に取り組んでいくとともに、今後は、管内全域の担い手不足解消に寄与するため、関係機関と連携し、他市町での開催を検討していきます。

2025年6月

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農業コンクール大会受賞者スピーチ

農業コンクール受賞者を地域で祝福

4月22日に熊本県農業コンクール受賞者で構成する芦北地域農業経営改善同友会(以下、同友会)が、令和6年度総会および農業コンクール祝賀会を開催し、関係者を含め36名が出席して盛会となりました。
総会に続き、令和6年度熊本県農業コンクールの3部門と地域貢献賞の受賞者4人を招いての祝賀会が行われ、松原会長(NPO法人ばらん家代表)から花束が贈られました。その後、受賞者による主な活動内容を発表いただき、各自が実践している農業経営の工夫や商品開発、販路拡大への取組などが紹介され、会員は真剣に聞き入っていました。
併せて、令和6年度熊本県農業功労者表彰を受けられた同友会会員の竹林鉄也氏の功績も丁寧に紹介されるとともに盛大な拍手の中で受賞を祝いました。
引き続き行われた情報交換会では、会員と農業コンクール受賞者の交流が行われたほか、会員同士の課題(労働力確保、気候変動への対応、後継者育成等)について活発に意見交換が行われました。受賞者から新たに2名が同友会への入会を希望され、新たなメンバーとともに同友会会員の一層の活躍が期待されます。
農業普及・振興課では、市町・JAと連携して、同友会の活動を継続的に支援し、地域農業の発展と担い手の育成を支援していきます。

2025年6月

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営農組織連携会議の様子
組織連携のイメージ

組織連携に向けてキックオフ!営農組織連絡会議を開催しました ~人・機械の共同利用を目指して~

芦北管内の農作業受託では、狭小なほ場が多いため、平坦地に比べて多くの労力を要しています。また、後継者不足が問題であることから、人・機械の共同利用による地域営農法人・組織間の連携体制構築が課題です。
そこで当課では昨年度、組織連携に向けた第一歩として、管内の15法人・組織及び21ライスセンターを対象に実態・意向調査を実施し、各組織の人員体制や機械保有台数、経営状況等について把握しました。
今年度は、4月16日にJAあしきたと協力して営農組織連絡会議を開催し、組織代表者や市町担当者等、計18名が出席。当課から実態・意向調査の結果を報告した後、参加者それぞれの立場から組織連携に向けた意見交換を実施しました。
組織からは「受託ほ場が点々としていたり、地区内で田植え日が違っていたりして、作業効率が悪い」という意見や、「組織間での作業受託の競合は避け、連携していきたい」という前向きな想いが聞かれたところです。
今後は、組織間の受託ほ場の入れ替えや、田植え日の斉一化に向けて、JA、市町と連携し、モデル地区の選定や営農管理システムの実演会などの支援に取り組んでいきます。

2025年5月

新たな担い手への園地継承成果
中央果実協会理事長賞受賞

「日本一のカンキツ就農支援」の取組みが評価される

芦北地域では、「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム(以下、PT)」を設置し、地域一丸となって新規就農者の確保に取り組んでいます。PTでは就農相談会後に現地見学やお試し研修と段階を踏みながら、農業体験や移住に向けた住居検討、生活面の不安の解消にもつなげるなど、切れ目のない就農支援の活動を実施しています。
その効果もあって、令和6年度は7件のオンライン相談や9件の短期研修受け入れ(過去最大数)を経て就農準備研修に入る方が年々増えています。4月に就農準備研修生5名でスタートし、年度内に4組5名(うち夫婦1組)を新規就農者として送り出しましたが、年度末には研修生は6名となり、次々と新規就農希望者が集まっています。
また、芦北地域独自の特徴である「リリーフ園制度」の研修園地から就農園地として新規就農する流れも安定しており、取組み開始からのほ場継承実績は11haを超え、芦北地域の将来を担う世代で活気が生まれています。
これらの取組みは、(公財)中央果実協会主催の「令和6年度果樹農業における担い手の育成及び活躍表彰」において「全国の後継者育成の取組みの促進に活用すべき事例」として「中央果実協会理事長賞」を受賞しました。
この流れを止めることなく、これからも農業普及・振興課では市町、JAと一体となった「日本一のカンキツ就農支援」で担い手候補者に選ばれる産地を目指していきます。

2025年4月

当課発表の様子
佐々先生講演の様子

稼げる「あしきた牛」を目指して!飼養管理技術研修会を開催

昨今の飼料価格及び資機材価格の高騰に加え、牛枝肉価格及び子牛価格の低下により、肉用牛経営は非常に厳しい状況にあります。この状況を乗り切るには、これまで以上に牛の病気・事故などを最小限に抑えて生産効率を高め、収益を確保する必要があります。
そこで、当課では城南家保・JAあしきたと連携し、肉用牛(繁殖・肥育)の飼養管理技術及び更なる生産性向上を図ることを目的に、2月14日に研修会を開催しました。
当課からはR2年からデータ収集している子牛市場成績の分析結果について情報提供し、地域の現状及び課題について周知・啓発しました。城南家保からは地域の繁殖成績結果及び繁殖成績向上対策について講義がありました。
また、外部講師(ルーメン家畜診療所 佐々先生)をお招きし、ワクチネーションを中心とした疾病対策についてご講演いただきました。先生の牛飼いと獣医の両面からの経験を基にした講義内容に、参加者からも積極的に質疑が出て、非常に内容の濃い研修会になりました。
これからも生産者・関係機関と連携して、生産者が更に稼げる「あしきた牛」を生産できるよう支援して参ります。

2025年4月

先進地研修会の様子
施工中の基盤整備園

果樹の基盤整備を実現! ~耕作放棄地を再生し担い手に集積~

水俣・芦北地域の基幹作物である柑橘類において、樹園地の基盤整備は重要な課題の一つです。そこで、当地域では昨年度から推進体制を整備し、先進地研修による機運の向上や、関係機関の連携会議による整備計画の進行管理等を通じて、基盤整備の実現に取り組んできました。
こうした取り組みを進め、JAを中心として市町・農業委員会・農業公社等の連携により、管内で計4地区・面積合計2.9ha(水俣市44a、津奈木町70a、芦北町113a・68a)の耕作放棄地を、新たな樹園地として再生できました。
整備園のうち、2地区で4戸の担い手が入植を希望しているうえ、残る2地区も新規就農リリーフ園として活用予定で、担い手への集積が見込まれています。また、令和7年度に向けても、整備計画地区を1地区選定しているところです。
果樹産地の維持のためには、担い手向けに基盤整備された優良樹園地を確保することが不可欠であり、今回の整備園をモデルとして、基盤整備への機運が高まることが期待されます。当課では、今後も関係機関と連携して、計画的な基盤整備の実現に努めて参ります。

2025年4月

もう草刈りに追われない!?畦畔芝草化の現地検討会を開催 ~県内初の取組で畦畔管理2.0へ!~

芦北管内は中山間地域が大半を占めており、急傾斜な畦畔が多く存在します。そのため、農業者にとって畦畔管理作業は大きな負担となっており、省力化が課題となっています。
その解決策の一つである畦畔芝草化※1については、県内でも過去に複数の取組事例がありますが、技術が普及していないのが現状です。そこで当課では、技術の確立を目指してメーカーや担当農家と協力し、県内初の試みとなるマット苗※2の定植にチャレンジしています。
2月26日には、10月に続いて2回目の現地検討会を開催し、約25名の参加がありました。参加者による共同作業や、栽培方法についての議論を行うなど、“農業者・地域の実状に合った技術の確立”を目指せるような工夫を取り入れて進行しました。参加した農業者からは、具体的な作業やコストに関する質問がある等、関心の高まりが感じられ、「マット苗の定着率が良さそう」「試験がうまくいけば取り入れたい」といった前向きな声も数多く聞かれました。
当課では引き続き関係機関と連携して管理指導を行い、畦畔管理作業の省力化支援に取り組んでいきます。

※1:ゴルフ場等で使われる芝生を畦畔に播種し、雑草の発生を抑制することを目的とする。本検討会では「ナイトライフ」という耐暑性に優れた寒地型の芝生を使用。
※2:水稲の育苗と同様に、育苗箱に播種し、苗が順調に生育後、畦畔に苗を移植する。直播では、定着しない箇所の補植が必要となるため、本取組を試験的に採用。

2025年4月

意見発表の様子
芦北地方参加者

芦北地方4HCが県青年農業者会議で大躍進

2月18日に県青年農業者会議が県庁で開催され、芦北地方青年農業者クラブ連絡協議会(4HC)からは4名のクラブ員が参加しました。今年度は意見発表部門とプロジェクト発表(特作)の2部門で秀賞を、プロジェクト発表(畜産)では優賞を獲得。共同プロジェクトでは、一昨年度から実施している芦北高校生との交流会について発表。これらの結果、地方総合順位2位という快挙を達成しました。
当課では、5月から伴走型の個別指導を実施し、合同練習会や地方大会で得られた担当普及員以外からのアドバイスも参考にしながら、内容指導や発表練習の機会を何度も設けて支援を進めてきました。各クラブ員の頑張りはもちろんのこと、課全体で濃密な支援を実施したことが今回の結果につながっています。
同会議にて高い評価を受けたことで、クラブ員は今後の活動に対してモチベーションが向上しています。
今後もプロジェクト活動の支援を行うとともに、将来地域のリーダーとなるクラブ員の成長を後押しできるよう取り組んでいきます。

2025年4月

座談会の様子
周知チラシ

中山間農業モデル地区が地域の担い手へ!座談会開催

芦北地域では、令和元年から担い手の高齢化・後継者不足の問題を抱える地域の農業を総合的に支援するため、「水俣市薄原(すすばる)・深川(ふかがわ)地区」、「芦北町大川内(おおかわち)地区」、「津奈木町倉谷(くらたに)・古中尾(ふるなかお)地区」の3地区を中山間農業モデル地区に設定。各地域が目指す「農業ビジョン」の達成に向けて市町・農協・農業公社等関係機関で支援プロジェクトチームをつくり、農作業受託組合の設立・機械の導入、新規高単価作物の導入などの支援に取組んでいます。
このうち、津奈木町の倉谷・古中尾地区農作業受託組合は、2月13日に座談会を実施しました。これまでの経緯や現状・課題を改めて振り返り、目指す方向性について協議を行いました。話し合いの結果、来年度からの活動の活発化に向け、他地区への活動共有・意見交換や募集チラシの配布、新規担い手の勧誘について取り組もうとの意見で一致しました。今後は、耕作放棄地や農地を手離す人が出てきた場合に備えて組合で営農するための高単価作物の導入品目の検討を行なっていきます。
当課では、中山間地域の担い手育成を通じて、芦北地域の農業が持続・発展するよう、引き続き運営支援を行ってまいります。

2025年4月

質疑応答の様子
リリーフ園制度を紹介する様子

就農の道、アリかも?若手農家が高校生に農業の魅力を伝授!

芦北地域では担い手不足が問題であり、新規就農者の確保が重要な課題です。そこで、芦北地方青年農業者クラブ連絡協議会(以下、芦北4HC)では、芦北高校農業科と協力した活動に力を入れており、2月20日には、高校生に進路の選択肢に就農を検討してもらうため、就農講演会を開催しました。
講演会には生徒16名の出席のもと、芦北4HC員2名と当課4名が講師となり、芦北4HCの活動や、園地の継承サポートする「リリーフ園制度」を紹介。また、クラブ員が就農の経緯や経営状況、農業の魅力等を説明し、地元の農業や就農へのイメージを持ってもらいました。普段の授業では中々聞けない就農支援制度の説明や農家のリアルな話に対し、生徒からは質問が多く出されるなど、農業や就農に強い興味を持たせることができました。
終了後に行ったアンケートでは「就農への興味が湧いた。進路の一つに考えたい」「農業への疑問が解消された」といった声を聞くことができ、就農講演会の開催の意義を改めて実感したところです。
当課では引き続き、地域に密着した芦北4HCの活動を支援するとともに、地域の担い手を育てる活動に取り組んでいきます。

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