芦北エリア

芦北地域は水俣市、芦北郡を所管しています。熊本県の南部に位置し、八代海の海岸線に沿って起伏に富んだ地形が形成され、平坦地が少ない中山間地域です。温暖な気候を活かして、田 (マルタ)ブランドの甘夏や不知火類(デコポン)、早生たまねぎ (サラたまちゃん)など、全国的に認知されている地域ブランド作物が生産されています。
特に、農業産出額の約5割を占める果樹は地域の基幹作物であり、なかでも不知火類(デコポン)は、12月の加温栽培から鮮度保持資材を活用した6月までの長期安定出荷が行われており、県内有数の産地です。また、肉用牛では「あしきた牛」ブランドとして、高品質な牛肉の生産が行われており、各種共励会で上位入賞するなど、県内外から高い評価を受けています。

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県南広域本部 芦北地域振興局 農業普及・振興課

〒869-5461 葦北郡芦北町芦北2670

電話:0966-82-5194

FAX :0966-82-2373

芦北エリア普及現地情報

2023年6月

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県内一の早出し茶「みなまた茶」の概況

水俣地域で生産される『みなまた茶』は、温暖な気候で栽培されるため、県内で最も早く一番茶の摘採が始まります。今年は例年より約3日早い4月8日から摘採が始まり(写真1)、5月2日にはほとんどの生産者が終了しました。今年の茶は、冬場の2度の寒波と3月下旬の気温の高さから、生葉の質が例年と異なり加工の調整が難しい年となりました。当課及び農業革新支援センターも製造の技術支援に入って蒸し機の回転数や乾燥機の温度などの設定を微調整することで、生葉の力を引き出した品質の良い茶ができました。
また、産地の中には小売りをされている生産者が自身の商品の得意客を全国から招いて手摘みの茶園を管理したり(写真2)、昨年度、県の事業で萎凋機(写真3)を導入した生産者が機械を活用して和紅茶やウーロン茶の商品開発を行ったりと、生産者ごとに特色のある活動にも取組まれています。
当課では5月下旬から始まる二番茶以降も、品質の良い茶を製造できるよう、栽培と製造の技術支援を行っていきます。
蒸し製玉緑茶、煎茶、釜炒り茶、紅茶(みなまた和紅茶)、烏龍茶といったバリエーション豊かな芦北・水俣の茶をぜひ味わってみてください。

2023年6月

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新規就農者の果樹園の見学と園主(右側奥)との懇談

新規就農者支援のプロジェクト始動

水俣・芦北地域では当課を事務局に市町、JA等で構成する「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム」(以下PT)を設置し、当地域の主要品目である「果樹」の就農支援を実践しています。
PTでは、毎月会議を開催し、担い手や農地、住居の情報を共有しており、就農相談から就農園地での研修へとつなぎ、就農まで一貫した対応を行っております。
4月11日には、神奈県から当地域へ移住して就農準備型研修を希望されている方に新規就農者の園地を案内し、就農者から実際に研修時の苦労や経営開始までに必要なこと等を直に聞く機会を設けました。
細やかに且つ綿密に関係機関と携携を重ねながら、就農希望者が安心して当地域で研修、就農していただけるよう引き続き支援を行っていきます。

2023年4月

植付け中の様子
植付け中の様子

県内初の育成茶新品種「熊本TC01(くまもとティ-シ-ゼロイチ)」を定植しました

県内初の育成茶品種である「熊本TC01」は農業研究センター茶業研究所(以下、茶業研究所)が育種を行った品種で、令和4年に品種登録出願されました。令和5年から、現場への普及が始まり、芦北、球磨、上益城地域で定植が行われています。芦北地域では3月8日から定植が始まり、2戸で合わせて約30aを植付けました。苗は順調に活着しており、新しい芽が出てきている状況です。
当課では「熊本TC01」の普及にあたって、令和3年度から茶業研究所等と連携して品種検討会を開催しています。管内生産者を対象に茶業研究所の研究員から栽培の説明を受け、従来品種との飲み比べを行い、品種の特徴を体験してもらいました。また苗の受け渡し時や定植時には、栽培方法の現地指導や、県外へ流出しないよう種苗法の説明を行っています。
販売開始は令和10年頃を予定しており、定植した生産者は、緑茶への加工のほか、みなまた和紅茶の製造技術を生かした、発酵茶への可能性も検討されています。今後も引き続き生産技術や流通、加工等の総合的な支援を行っていきます。

2023年3月

資料 発行した耕種基準

酒米における栽培技術の高位平準化を目指して

中山間地域である津奈木町倉谷・古中尾地区では、酒米を高単価作物と位置づけ、「山田錦」約1haを栽培し、地元酒造会社の亀萬酒造へ販売されています。一方、生産面では、「山田錦」は長稈で倒伏しやすい品種のうえ、栽培基準等もなかったため、倒伏しにくい栽培方法の確立や栽培技術の高位平準化が課題となっていました。
そこで、倒伏軽減に向けた栽培法を把握するため、施肥体系や栽植密度等の実証ほを設置し、その結果や他地域の基準、試験研究の情報等を参考に耕種基準を発行しました。耕種基準には、時期ごとの作業内容だけでなく、水管理の徹底及び土壌改良材の施用といった栽培のポイントや「山田錦」の特性等も掲載しました。配布した生産者からは「次作の参考にしようと思う」「面積拡大ができる」といった声が聞かれました。
今後、耕種基準に沿った栽培管理の徹底を図り、酒米の安定栽培を支援していきます。

2023年3月

茶園の視察
意見交換

茶の先進地視察研修in相良村 川上製茶

芦北・水俣地域の茶業は、緑茶をはじめ紅茶等の商品を生産しており、販売面も経済連入札や小売販売で県内外に広まっているところです。一方で、担い手不足や茶価の低迷などの課題も発生しており、それらの対策の参考とするため視察研修を2月28日に管内茶関係者を対象に、相良村の川上製茶で茶の先進地視察研修を行いました。
相良村を含む球磨地域は県内でも主力の茶産地で、県内の茶生産量の約4割を占める程です。最近ではドリンク茶への移行が進んでいます。そのような中、川上製茶ではリーフ茶での販売を基本に、有機JAS認証及びJGAP認証の取得、萎凋香緑茶や紅茶の製造、全園へのスプリンクラー導入や販売時のメッセージカード同封等、多くの取組みをされていました。参加した生産者からは、有機栽培に切り替える際の注意点や収量の変化等を詳しく聞かれました。
また、水俣市、雇用創造協議会、ティーソムリエを招いたことで、販売促進に向けた意見交換の場ともなりました。
4月からは茶の摘採も始まり新たな茶シーズンを迎えます。品質の良い茶の生産や、茶の消費拡大の一助となるよう、今後も当課では活動を継続していきます。

2023年3月

指導の様子
温度管理を改善した生産者の デコポン合格率(R3→R4)

データに基づく管理指導で加温デコポン合格率向上

芦北地域は、県内で最も加温デコポンの栽培が盛んです。加温デコポンはお歳暮商材として高単価で取引されますが、燃油等経費が掛かることから、所得向上にはデコポン(※)の合格率を高める必要があります。
当課では、令和3年度に高品質果実生産に係る生産要因を調査し、「5月~7月までの最低温度管理を22~24℃に維持すること」が酸濃度の低下につながり、「9月以降の適切な水分管理」が糖度を高める重要な管理であることを明らかにしました。
そこで、令和4年度は過去合格率が低い生産者を5名選出し、重要な管理のポイントをチェックする改善指導を行いました。施設内温度の見える化、定期的な果実調査による水分管理指導を随時行った結果、最低温度を基準に則した温度管理で実行した生産者は、合格率が31%向上(合格率76%)しました。
今後も加温デコポン生産者の高位平準化を目指し、生産者個々のレベルアップ(技術改善)が図れる指導体制づくりに取り組んでいきます。

※デコポン:不知火類で高品質基準を満たした果実(JA果実連 登録商標)

2023年3月

作成した出展ブースツール

担い手確保に向けた新たな取組

当課が事務局を務める芦北地方農業振興協議会では、果樹の新規参入者を確保するため、相談から研修、就農・定着まで様々な支援を行っています。
令和4年度は、これまでの活動に加えて新たに①オンライン就農相談、②就農フェア出展ブースツールの作成、③就農支援策PR動画の作成等に取り組みました。
オンライン就農相談の実施により、遠方在住の就農希望者でも気軽に相談しやすい環境を整備できました。また、芦北地域の柑橘の就農支援策が一目で分かるようブースツールを作成し、就農フェアへ出展時の参加者への効果的なPRにつながっています。さらに、就農支援策PR動画は、新規就農者のインタビュー等を通して当地域の就農支援策のアピールや就農後の生活がイメージできる内容となっており、協議会HPでの掲載及び産地見学会時に活用する予定です。
このような取組の結果、今年度の相談者数は64名と昨年度の3倍となり、令和5年度の長期研修受講者は過去最高の5名を確保できました。令和6年度の長期研修受講希望者も既に4名おり、担い手確保が順調に進んでいます。
当課では、今後も関係機関と連携し、担い手確保と併せて長期研修受講者や新規就農者への支援も重点的に行い、担い手育成及び地域への定着を図っていきます。

2023年3月

講義の様子

芦北高校にてお茶講座を開催

1月19日(木)に県立芦北高等学校の農業科1年生21人を対象に、お茶講座を開催しました。この講座は、お茶の淹れ方体験を通して若い世代にお茶文化になじみを持ってもらうという目的から、芦北地方農業振興協議会(事務局:当課)主催で毎年開催しています。
お茶の淹れ方体験では、管内の茶6種(蒸し製玉緑茶、煎茶、釜炒り茶、焙じ茶、紅茶2種)の中から3種を選んでもらい、急須での淹れ方体験と試飲を行ってもらいました。R2~3年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため講義のみの開催で、淹れ方体験は3年ぶりに実施しました。生徒の皆さんからは「自分で急須を使って茶を淹れるのは初めて」、「2種類の紅茶で全く香りや味が異なる」といった声が聞かれました。
また、講義では、茶の生産や管内の茶農家の紹介、明治時代に水俣地域に伝わった『紅茶第一製法』の説明などを行いました。高校の教科書には茶の記載が少なく、さらに栽培や製造を体験する機会が少ない中、講義という形ではありますが、お茶について生徒の皆さんに伝える良い機会になりました。
現在、若い世代ではお茶の飲み方が簡便化し、ペットボトル茶が普及していますが、今回の講座で急須を使ってゆっくりとお茶を飲むことに興味を持ってもらうことが出来ました。今後も当課では茶の生産支援と併せて、消費拡大に繋げる活動を継続していきます。

2023年3月

タマネギ移植機の検討
バレイショ畝立現地検討会

タマネギ等露地野菜の機械化体系の検討

水俣・芦北地域は、温暖な気候を活かしたサラダタマネギ「サラたまちゃん」の栽培が盛んな産地ですが、販売価格低迷や生産者の高齢化により生産者が年々減少しています。また、令和2年7月豪雨で被災した芦北東部地区では復旧・復興を図るため、水田裏作に導入可能な品目を検討しています。当課では、サラダタマネギの産地維持及び水田裏作での栽培品目として加工用ばれいしょの産地化を進めるため、植付け準備から収穫までの機械化体系について、(株)クボタの協力を得て、JAとともに検討を行っています。
12月27、28日に芦北町宮浦の約1.5haのほ場で、乗用移植機でのタマネギ植付の検討を行いました。また、1月10日の芦北町花岡での加工用ばれいしょ畝立現地検討会では、直進アシスト付きトラクター、施肥機、施薬機、畝立機を使用した実演を行いました。
今後、機械による植付、収穫作業の実演、調査を行い、産地化に向けて収益性を検討するなど課題解決に取り組んでいきます。

2023年2月

出荷反省会の様子
青枯れについて

特別栽培による「くまさんの輝き」の作付推進へ

芦北地域では、付加価値を高めるため、特別栽培による「くまさんの輝き」の生産を推進しています。その一環として、毎年、JAと連携して「くまさんの輝き」生産者を対象とした出荷反省会を開催しています。
今年も12月19日に令和4年産出荷反省会を開催しました。本年産は台風14号の影響で倒伏や青枯れによる白未熟粒が増加したことで、令和3年産と比較して1等比率が低下しました。このため、多くの生産者から青枯れについて質問があり、発生要因を説明し、対策として基本的な水管理の徹底等を指導しました。
また、青枯れ症状の発生要因や対策について農業革新支援センター等に助言をもらいながらまとめた資料を作成し、「くまさんの輝き」生産者だけでなく、JAの広報紙を通じて幅広く情報提供を行いました。
当課では引き続き、収量・品質向上に向けた栽培指導を行うとともに、特別栽培による「くまさんの輝き」の作付推進を図っていきます。

2023年2月

新規就農者との意見交換
JAあしきたマルタ選果場の見学

芦北地方新規就農バスツアーを開催

当課が事務局を務める芦北地方農業振興協議会は、熊本県新規就農支援センターと共催で12月10日に「芦北地方新規就農バスツアー」を開催しました。
募集定員以上の参加申し込みがあり、当日は県内外から10人が参加しました。
バスツアーでは、芦北地域や農業の魅力と実際を感じてもらうために新規就農者との意見交換や果樹園地見学、不知火の収穫体験、選果場の見学などを実施しました。
各見学地では、参加者から積極的に質問があり、「その場で質問ができて勉強になった」、「実際に自分の目で見て様々な気づきがあった」などの感想が聞かれました。今回のバスツアーをきっかけに芦北地域での就農を前提とした研修受講を本格的に検討している方もおり、就農に向けて継続的な支援を行っていきます。
当課では、今後も関係機関と連携し、新たな担い手確保につながる取り組みを進めていきます。

2023年1月

鳥インフルエンザ発生に備えた農場の消毒確認を実施

今年度は鳥インフルエンザの発生が、昨年と比較して10日ほど早く発生し、猛威を振るっている状況にあり、11月2日に知事の消毒命令が発出され、県内の養鶏場に消毒用の石灰配布を行うことが決定しました。これを受け、水俣・芦北地域は鹿児島県の養鶏地帯である出水市と隣接していることから、城南家畜保健衛生所及び管内市町と連携し生産者に石灰を配布し、防疫体制の強化を依頼しました。
出水市の養鶏場では鳥インフルエンザが7例(12月8日現在)発生しており、管内の出水市に隣接する水俣市では防疫の意識が高まっています。
これまで、当課では城南家畜保健衛生所及び熊本県建設業協会芦北支部(以下、芦北支部)と共に管内養鶏場に立ち入り、農場主立ち合いのもと、敷地内の現状確認を行い、万が一発生した場合の現場事務所、埋却地、資材置き場等の具体的な設置場所の情報を共有しています。
当課では、今後も関係機関と連携して、家畜防疫の強化に努めていきます。

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