2024年のエリア普及現地情報

2024年10月

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生産者への個別ヒアリング
「菊池水田ごぼう」の播種作業(8月下旬~)

「菊池水田ごぼう」における個別ヒアリングに基づいた重点指導 の実施

「菊池水田ごぼう」※1は、平成31年に地理的表示(GI)※2の登録を受け、菊池地域の主要なブランド農産物として、更なる消費拡大、生産拡大が期待されています。しかし、近年は土壌病害の発生による単収の減少や高齢化に伴う担い手の減少によって安定生産が難しくなってきています。特に、昨年産は、夏季の高温・乾燥の影響で発芽不良や生育不良が生じ、収量の減少や出荷計画への影響が生じました。
そこで、本年度は「菊池水田ごぼう」の安定生産のためJA菊池ゴボウ部会と協力して7月に生産者への個別ヒアリングを実施し、令和5年産の反省と令和6年産に向けての目標・栽培管理上の注意点を確認しました。
個別ヒアリングの実施によって、生産者毎の状況が詳細に把握できるようになり、播種直後のかん水準備や病害虫防除等の適期指導に繋げています。
当課では、関係機関や農家と連携しながら「菊池水田ごぼう」産地維持に向けて取り組んでいきます。

※1菊池水田ごぼう:水田で栽培するゴボウ。一般的な畑ごぼうと比べ肌が白く柔らかで「あく」が少ない。
※2地理的表示(GI):産地と品質の結びつきを示す農林水産物等の名称。保護制度により登録されると名称が知的財産として保護される。

2024年10月

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技術&経営力UPを目指したニューファーマー研修会

県北農業普及・振興課では、令和元年度から菊池地方4Hクラブと共同で、新規就農者等を対象としたニューファーマー研修会を実施しています。令和6年度第1回目は8月8日に県立農業大学校で開催し、新規就農者等17名が参加しました。
研修会は3部構成とし、1部はクボタアグリサービス熊本営業所から講師を招き、草刈り機の安全な使用方法とメンテナンス手法について実技指導をしていただきました。2部では、菊池地方4Hクラブ員でもあるデザイナーの山本祥氏から販売会等で活かせるデザインの基礎について講義いただきました。3部では、参加者間の交流を目的とした意見交換の時間を設けました。
菊池地方4Hクラブの池田会長は、「就農5年目となり、今更聞きにくい草刈り機について学べて勉強になった。また、他業種から農業参入したクラブ員のキャリアを生かした研修会となり、良い刺激を受けた。」と話していました。
受講者アンケートでは約9割が満足と回答。次回の研修テーマについての要望もあり、ニューファーマー研修会は県北地域の担い手支援の取組みとして定着しています。
当課では新規就農者の技術力と経営力の向上に繋がる支援を継続していきます。

2024年9月

組合員による詰込み作業
農福連携コーディネーターとの作業内容の確認

他地域との広域連携に向けたフレコンバック輸送を検討

菊池地域では、地域から生産される堆肥を地域外へ流通するとともに、牛用飼料を受け入れる広域連携に取り組んでいます。これまではバラ堆肥にて輸送していましたが、利用する耕種農家側の利便性を向上させるために、堆肥のストックヤードからユニック車等で運搬ができ、耕種地帯から飼料を輸送した帰りに堆肥を持ち帰るフレコンバックによる輸送を進めています。
昨年度から、効率的なフレコンバックへの詰込み作業を模索しており、吊り下げ紐をホイルローダーに設置する方法やフレコンスタンドを活用した詰込みも検討してきましたが、堆肥生産組合では、実効性がある方法として、社会福祉事業所へ詰込み作業を委託する農福連携に着目しています。
福祉事業所へ作業委託するにあたり、料金設定や委託する作業量や留意点等を検討・確認する必要があるため、堆肥生産組合員による人力作業を7月26日に実施しました。当日は、農福連携に取り組む熊本県農福連携協議会員の福祉事業者の方や農福連携コーディネーターからのアドバイスを受けることで、作業切り分けの方法や受入れ時の注意点なども確認することができました。今後は、料金や出来高目標を設定しつつ、作業マニュアルを作成し福祉事業者との協議を進めていくことで、地域外への定量輸送を実現できるよう勧めて参ります。

2024年9月

講習会の様子
現地検討会の様子

気象災害に強いイネづくりに向けた講習会・現地検討会の開催

近年の稲作は、登熟期の高温や台風の発生などの気象災害により、収量・品質が不安定な状況です。菊池地域は水稲栽培が盛んな地域であり、ベテラン農家の高度な技術が継承され、良食味米生産のための栽培管理が行われている一方、米価下落や高齢化の影響を受け、近年、一部では作業省略の方向に進み、基本技術への意識が薄れつつある現状があります。
そこで、農業普及・振興課では、今一度基本技術を徹底することで、高品質・高収量を目指すべく、昨年度よりJA菊池と連携して、各支所で講習会や現地検討会を実施しています。水稲生産者は、定年退職や農地継承をきっかけに、周囲の見よう見まねで栽培を始めた経験の浅い方も多いことから、講習会では、育苗管理や水管理について重要なポイントを絞って説明を行い、絵や写真を多用した資料を使用することで、参加者に視覚的な理解を促し、現地検討会では、参加者に中干しの開始時期や程度、茎数の数え方などを実際にほ場のイネを用いて説明しました。草の根レベルでの地道な活動ですが、生産者のレベルは少しずつ上がってきていると感じます。また、参加者からは、「このような場にもっと早くから参加すればよかった」との声が上がり、今後も定期的な開催が望まれます。
農業普及・振興課では、今後も関係機関と連携し、基本技術の周知徹底に向けた取組を続けてまいります。

2024年9月

ほ場内のタバコカスミカメを確認している様子
ハウス外部のクレオメに定着しているタバコカスミカメ

IPM技術に挑戦!持続可能なスイカ産地育成を目指して

JA菊池すいか部会では、青年部を中心に令和6年度春スイカから化学農薬のみに頼らないIPM技術として土着天敵タバコカスミカメを活用し、持続可能なスイカ産地育成に取り組んでいます。
3戸の若手生産者が、ウリ類のウイルス病を媒介するコナジラミ類やアザミウマ類等の天敵であるタバコカスミカメを導入し、防除効果を確認しました。生産者からは「春先の爆発的な増殖が見られず、発生密度を抑えることができた」、「次年度は勉強会を開き、取り組み農家数を増やしていきたい」等技術の導入に前向きな意見がありました。
なお、今年の春スイカでは販売額が過去最高の9億7千万円を超えました。秋スイカと合わせて、初の10億円越えに向けて生産意欲が高まっています。
農業普及・振興課では、IPM技術を踏まえた防除暦の作成や展示ほ調査等を通して、持続可能なスイカ産地育成に向けて支援していきます。

2024年9月

(農)えら の事例発表
意見交換会

後継者確保と育成をテーマに地域営農法人研修を実施

菊池地域には、県内最多の22地域営農法人が設立されており、土地利用型作物を中心に地域農業維持のための営農活動を行っていますが、法人代表者及び構成員の高齢化が進み、後継者の確保及び育成が喫緊の課題となっています。
そこで、7月30日に“後継者確保と育成”をメインテーマとした令和6年度菊池管内地域営農法人経営向上研修会を開催しました。
農事組合法人えら(合志市江良区)の 安武祐次代表理事から、高齢化の現状や区内外の若手を集めた法人概要説明会や作業体験、アンケートなどの取組み事例を紹介いただいた後、アドバイザーとして農事組合法人袈裟尾 有働代表理事とネットワーク大津株式会社 徳永代表取締役にも登壇いただき、意見交換会を実施しました。参加法人からは、(農)えらの事例を参考に集落の若手へアクションを起こしたい等、前向きな感想も聞かれました。
また、当課からは前年度法人経営分析結果や後継者確保の考え方について講義を行うとともに、後継者確保と併せて、近隣の法人や組織、農家との連携体制を作っていくことの必要性を伝えました。
今後、農業普及・振興課では、各法人の後継者確保に向けた取組や連携体制づくりのための話し合い活動を関係機関と連携し、支援してまいります。

2024年8月

ニーズ調査の実施状況①
ニーズ調査の実施状況②

営農継続に向け、個別訪問による農業者ニーズ調査を実施~半導体関連企業集積への対応(県北PT営農継続支援チームの取組み)~

半導体産業の集積が進む菊池地域では、工業用地等としての土地取引が拡大し、農地の借地契約解除が急増する等、農地確保が課題となっています。そのため、当課では、昨年6月に県北PT営農継続支援チームを立ち上げ、関係機関と連携し、耕作放棄地等によるマッチングを進めていますが、まとまった農地の確保につながっておらず、更なる対策が必要となっています。また、一部の農業者の不安を把握している一方で、地域全体のニーズが捉えられていないという課題がありました。
このような背景から、営農継続に向けた支援策を検討するため、農林水産部PT営農継続支援チーム・市町・農業団体と連携し、影響を受けた農業者のニーズを詳細に把握する個別訪問調査を、菊池地域の約100経営体(畜産:約60経営体、露地野菜:約30経営体、施設野菜等:約10経営体※調整中※)を対象として実施しました(5月30日~7月12日(期間内のべ32日間)、のべ89名を動員※調整中※)。農業者からは農地減少の実態や営農上の課題等を聞き取るとともに、農地整備も含めた代替農地確保等、今後の対応策に対する様々なニーズを確認することができました。
今後、農業者から得られた個別具体的な様々なニーズ・意見を集約・分析し、関係市町、農業団体と共有しながら、今後の対策に活かして参ります。

2024年8月

現地検討会(ロボットトラクターの説明)
代かき作業の様子

ロボットトラクターによる代かき作業現地検討会の開催

6月10日、大津町のネットワーク大津株式会社水田ほ場においてロボットトラクターによる代かき作業現地検討会を県北主催で初めて開催しました。
ネットワーク大津株式会社では、麦類、飼料用米(SGS)、WCS用稲、大豆など約330ha(うち15haが本社経営)の経営を行っているため、麦収穫期から田植期は一年のうちで最もオペレーターの負担が大きくなります。そこで育苗は外部委託することで労力軽減を図っていますが、代かき作業は、水田の透水性が高い地域のため丹念に行う必要があり、30aのほ場あたりトラクター2台で約1時間~1時間30分と労力がかかり、省力化が課題となっています。
そこで、ロボットトラクターによる代かきは、GPS情報により作業の重なりが少なく、一筆書きで塗り絵を行うような工程を可能にすることから省力化が期待されます。
現地検討会では、農機メーカーから自動運転や安全面についての説明がありました。実証試験では、現状で可能な自動代かき工程を実施した場合、延べ作業時間は慣行の22.4%となりました。
また、慣行及び実証ほ場には、水位センサー(ELTRES)を設置しており、水田の減水深についても検証する予定です。
当課では、管内法人組織の自動運転農業機械を活用したスマート農業の実践を引き続き支援していきます。

2024年8月

研修の様子
研修カリキュラム

宿根カスミソウ新規作付け者に対する研修会を開催

熊本県は国内1位のカスミソウ産地です。中でも菊池地域の宿根カスミソウは県内1位の栽培面積を誇っていますが、生産者の高齢化により将来に亘る栽培面積減少が懸念されています。
当課では、昨年までにJA菊池花卉部会と連携し、宿根カスミソウの新規就農者を対象とした研修体制を構築しました。研修は、現役農家が研修生を受入れる実践研修と関係機関が行う座学研修とし、2年間のカリキュラムとしました。
今年度は、宿根カスミソウの栽培を始めて2年未満の生産者4名に対して座学研修を行い、栽培技術の習得を支援することとしています。5月には宿根カスミソウの栽培概要、6月には土づくりと定植準備について研修を行いました。研修生からは定植時の注意点について等の質問や、今後土壌病害についての研修を行ってほしいといったリクエストがありました。
今年度は6回の研修会を予定しており、昨年までに作成した研修カリキュラムについて関係者とブラッシュアップしながら、新規就農者確保から育成に向けた体制強化をして参ります。

2024年7月

見本茶及び価格情報(市場ニーズの把握)
市場ニーズに対応した製造指導

市場ニーズを捉えた一番茶生産対策の取組

茶の生産者にとって重要な一番茶の摘採作業が、4月16日から5月末にかけて行われました。今年の一番茶は凍霜害が見られず、概ね順調に生育しましたが、摘採直前から摘採期にかけて、強風や高温、天候不順など、茶の品質を損なう悪条件が続きました。特に、降雨の影響で予定通りに作業が進まない茶園が散見され、生産者からは「こんな年は記憶にない」といった不安の声が聞かれました。
そこで、市場の動向とニーズを生産者が把握し、出荷する茶の製造へ即時反映できるよう、入札販売会を頻繁に訪れ、市場関係者からの聞き取りや見本茶の収集へ取り組みました。また、JA菊池との打合せや生産者からの要請に応じて茶工場を巡回し、見本茶や価格情報を生産者と確認しながら、農業革新支援センター等からの助言を参考に、市場ニーズを捉えた製造方法を指導しました。
その結果、管内の入札販売茶の単価は前年並みとなり、一部の生産者からは「当初の想定よりも高値で売れた」といった感想が出るなど、生産者との連帯感が高まったと感じました。一方で、出荷最盛期の降雨の影響で、出荷を見送られた茶が在庫となるなど、厳しい状況の生産者は少なくありません。農業普及・振興課は関係機関と連携し、菊池地域の茶の生産対策や消費対策へ引き続き取り組んでまいります。

2024年7月

菊池水田ごぼう
ゴボウの収穫(冷蔵貯蔵分)

「菊池水田ごぼう」の安定生産を目指して

「菊池水田ごぼう」※1は、平成31年に地理的表示(GI)※2の登録を受け、菊池地域の主要なブランド農産物として、更なる消費拡大、生産拡大が期待されています。
「菊池水田ごぼう」栽培では、各生産者がゴボウの掘り取り、洗浄、あく抜き等の出荷調整を行っているため、1日に収穫できる量が限られます。特に、雨の多い時期には掘り取り作業が計画通りに実施できず、堀り取り遅れによって傷みが生じる等品質の低下が大きな問題となっています。
本年度は、JA菊池ゴボウ部会と連携し、適期収穫および品質保持を目的に、あらかじめ収穫したゴボウを泥付きのまま冷蔵貯蔵し、品質を検討する試験を計画しています。5月10~15日には3軒の農家の協力のもと、冷蔵貯蔵試験を開始しました。今後は6月下旬に品質や作業時間分散への効果について調査を行い、9月にとりまとめた結果を部会へ報告することとしています。
当課では、「菊池水田ごぼう」の安定生産に向けて関係機関や農家と協力しながら取り組んでいきます。

※1菊池水田ごぼう:水田で栽培するゴボウ。一般的な畑ごぼうと比べ肌が白く柔らかであくが少ない。
※2地理的表示(GI):産地と品質の結びつきを示す農林水産物等の名称。保護制度により登録されると名称が知的財産として保護される。

2024年6月

新役員の所信表明
経営改善に向けた話し合い

令和6年度菊池地方青年農業者クラブ総会開催~活動実績の総括と本年度方針・計画を報告!~

菊池地方4Hクラブは新規参入者、親元・雇用就農者等の若手農業者が所属し、技術面だけでなく、経営面や営業面でのスキルアップを目的とした視察や研修会を主体的に企画する等活発に活動されています。
4月22日は関係機関の参集のもと、菊池地方4Hクラブの総会が菊池市泗水公民館で開催されました。開催にあたっては、事前に会長自らJAきくちと意見交換を行い、連携をさらに深めました。
総会では、会長の交代をはじめとする役員改正、令和5年度の活動実績や本年度の活動計画等の全ての議案が承認され、新体制での新たな菊池地方4Hクラブの活動がスタートしました。
総会後には、野菜、果樹花き、畜産、普通作の4グループに分かれて、自身の経営改善に向けたプロジェクト活動への取組みについて農業普及・振興課の技術担当者を交えて話し合いました。1人1課題への挑戦に向けて生産上の課題や悩み、不安に思うことなどをシートに記入し、今年度の取組みの方向性を検討しました。
農業普及・振興課では、「青年農業者の地域リーダーへの育成」を普及振興計画の重点課題としており、今後も4Hクラブ員を中心とする若手農業者の経営力向上につながる活動支援を行っていきます。

2024年3月

アンケート調査用紙(茶工場ごと)
調査結果の取りまとめ(抜粋)

菊池地域の茶の現状把握と産地の再構築に向けた取組

菊池地域は茶の栽培面積、生産量ともに県北最大であり、県内の品評会などで多数の入賞歴があるなど、技術的にも優れた産地です。しかし、当地域の茶は認知が不足しており、全国的な消費低迷も相まって、生産者の経営は厳しい状況が続いています。
そこで、現状の打開策を検討するため、管内茶工場の現状や今後の関心事項等を個別にアンケート形式で調査しました。調査の結果、作業人員の不足、製茶機械の老朽化、取引先の販売不振による価格低下等の課題を抱える工場が多く、個々の努力では対応困難かつJA菊池茶部会としても対応に苦慮している実情がみえてきました。
こうした調査結果を踏まえて関係機関と協議を行ったところ、同茶部会と普及が連携して具体的な対策を検討していくこととし、販売面では経済連茶業センターの協力を得て、新たな販路開拓に取り組む方針としました。
菊池地域には厳しい状況下でも可能な限り運営継続を志向する茶工場が多く、現在を将来に向けた方向性を定める重要な局面と捉えています。農業普及・振興課では、関係機関と密に連携して対策の具体化を支援し、新たな挑戦も含めた産地の再構築へ引き続き取り組んでまいります。

2024年3月

金網柵設置作業
ホイルローダーによる支柱の打込み

飼料用トウモロコシの鳥獣被害防止対策の改善に向けて

菊池地域では、イノシシによる農作物被害が増加傾向にあります。その中でも飼料作物の被害は大きく、今般半導体関連企業の進出により貸借可能な農地が減少する中、対策が急務となっています。
飼料用トウモロコシは、一戸あたりの作付面積が大きく除草管理が行き届かないため、鳥獣被害防止対策については、収穫1カ月前に畦畔除草を行って電気柵を設置し、収穫直前に電気柵を撤去して機械収穫を行う方法が定着しています。
しかし近年、イノシシ生息域の拡大により、電気柵設置前に被害を受ける、あるいは幼獣侵入により倒伏したトウモロコシが電柵にかかり、十分な電圧が流れず成獣が侵入するなど、電気柵では確実に侵入を防止できないほ場が増加しています。
そこで当課では、被害を最も大きく受けているコントラクターと年度当初から検討を重ね、対策改善の実証を開始しました。
鳥獣被害防止対策アドバイザーの助言を受け、電気柵に代わる新たな防止策として有効な金網柵を2月7日に設置。当日は、コントラクターから30名を超える作業協力もあり、前作で8割減収となった農地約2haに延長480m分を1日で設置しました。
飼料用トウモロコシの収穫は大型機械で行うため、金網柵の近くや四隅は作業できません。また、当地域は黒ボク土壌でイノシシが掘りやすい土質です。そのため、今後は被害防止効果の実証だけでなく、機械収穫の作業性や収益性、除草対策についても調査し、熊本型の飼料作物鳥獣被害防止対策の確立に向け取り組んでまいります。

2024年3月

サツマイモ基腐病対策講習会(大津町)
新規生産者への防除指導(合志市)

サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)の感染拡大防止に向けて

菊池地域は、県内栽培面積の約45%にあたる269haでサツマイモを栽培する県内最大の産地です。
近年、サツマイモ基腐病(以下「基腐病」)が九州を中心に大きな被害を与えており、管内でも令和2年に初めて発生を確認しました。当課では管内でも作付面積が最大である大津町やJA菊池と連携し、基腐病の拡大防止に向けて活動してきました。その成果もあり、JA菊池甘藷(かんしょ)部会の販売単価や販売額も高値で推移しています。
令和5年産も収穫作業が終了し、これから準備が始まる令和6年産の防除を徹底するため、12月26日に基腐病対策講習会を大津町で開催し、生産者51名の参加がありました。当課からは、本年の基腐病発生状況報告と基本的な防除対策、特に育苗ハウスや種芋、苗消毒の徹底について指導を行い、農業革新支援センターの樋口専門員から県外産地における基腐病の動向や防除のポイントについて説明いただきました。
また、サツマイモを作付けする生産者も増えているため、新規生産者を対象に病害対策講習会の開催や個別巡回を通して指導を行っています。個別巡回で訪問する中では、生産者から種芋や苗消毒の実施方法や処理のタイミング等についての質問も多数あり、生産者の防除対策意識の向上にも繋がっています。
今後も基腐病の感染拡大防止に向けて菊池地域全域での活動を進めてまいります。

2024年2月

農業者会議の様子
意見交換会の様子

菊池地方青年農業者会議in農業大学校 農大生×菊池4Hクラブ意見交換会も開催!

昨今、担い手の高齢化等を受け、新たな担い手の確保と育成は重要度を増しており、地域を担う農業者が集まる4Hクラブの育成と活動支援は、当課の重要な活動です。
そのような中、令和5年12月15日に菊池地方青年農業者会議を初めて県立農業大学校で開催しました。今回、農大との連携体制強化を図り、菊池の先輩農業者のリアルな課題と経営改善の取組みを見せることで、菊池で就農希望の学生に農業のイメージを掴み、将来を描いてもらいたいといった菊池4Hクラブや当課の要望を農大に受け入れていただき実現しました。農大のご厚意もあり、1年生を中心に60名以上が参加した本会議は、クラブ員自身の意識向上にも繋がり、意見発表1課題、経営改善プロジェクト発表8課題を報告しました。また、終了後は農大生と4Hクラブ員で意見交換会を実施し、将来の話や農大での取組み内容、前段の農業者会議についての内容など、とても活発な意見交換が行われました。
参加した農大生からは『菊池4Hクラブ員の色々な取組みは自分の卒論にも活かせると思う』や『4Hクラブについて知ることができ、就農後入ってみたいと思った』との声が聞かれました。今後も農大との連携を図りながら、新たな担い手の確保・育成と菊池地方4Hクラブの活動支援を行っていきます。

2024年1月

甘藷収穫作業支援
甘藷出荷調整作業

東海大学農学部×菊池地域 農業応援活動を実施~半導体関連企業集積への対応(県北PT営農継続支援チームの取組み)~

半導体産業の集積が進む菊池地域では働き手の確保が更に困難となることが見込まれます。そのため、当課では、短期雇用労働力確保策として民間求人アプリ活用等に加え、新たに東海大学農学部(学生数は約700名)との連携を模索しており、本年5月以降、東海大学キャンパス長、教授、学生等と意見交換を重ねて参りました。
この具体的な取組みとして、11月18日に、甘藷の主産地である大津町(対象農業者:JA菊池甘藷部会員)において、学生ボランティアによる収穫等の作業を実施(第一弾プロジェクト)しました。収穫等の作業を通して、学生からは、「甘藷生産に少しでも貢献できて嬉しく思う。是非今後も菊池地域の応援を続けたい。」との発言があり、農業者からは「収穫作業等に協力してもらえただけでなく、学生から色んな話を聞けて元気が出た。」との発言がありました。
東海大学農学部との連携は、農業生産力の維持・拡大や地域活性化だけでなく、就業先としての農業PRを含めた新たな担い手の確保策としても期待できるため、関係機関と連携しながら人参や畜産等への取組拡大を進めていきます。

2024年1月

農家巡回調査の様子
勉強会の様子

発酵TMRを活用した肥育に関する勉強会を開催

国際情勢や為替等の影響により輸入飼料価格が高止まりする中、飼料費削減効果が期待される飼料用米を加工したSGSや麦わらなどを原料にした肉用牛向け発酵TMR飼料の製造・販売をすすめています。[集落営農法人であるネットワーク大津株式会社が令和元年度から自家生産の飼料用米を活用した肉用牛向け発酵TMRの製造・販売を行っています。今年度は約100ha分のSGSを活用し、年間4,000tの製造を見込んでいます。]
今般、肉用牛肥育技術の普及を図るため、畜産研究所と連携した個別農家巡回や勉強会を開催しました。参加した畜産農家からは、牛の嗜好性も良好で、今後も継続して利用したい、利用量を増やしていきたいという感想や意見があり、利用者の定着と今後の供給量増加が期待されます。
また、発酵TMRを活用することによる肥育期間の短縮や発酵TMRのSGSの配合割合を増やす等の研究や製造に関する意見もあり、畜産農家の関心の高さが伺えました。
当課では、飼料費の抑制と飼料自給率向上にもつながる、発酵TMRの安定生産・供給に向け、今後も飼料生産組織や畜産農家へ継続した支援を行っていきます。

※発酵TMR(発酵混合飼料):濃厚飼料(穀物など)と粗飼料(牧草や稲わらなど)を混ぜ合わせ発酵させた飼料。畜産農家は飼料を混ぜ合わせる手間や濃厚飼料と粗飼料の分離給与が不要となるとともに、えり好みせず、必要な栄養を無駄なく食べさせることができます。
※SGS(ソフトグレインサイレージ):飼料用米の籾を収穫した後にサイレージに調製したもの。

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