2023年のエリア普及現地情報

2023年12月

立毛品評会審査のようす
えごま(収穫期)

菊池えごま生産組合の取組紹介 ~第4回立毛品評会と令和5年産えごまの収穫・販売~

菊陽町、大津町の生産者で構成される菊池えごま生産組合(代表:上村幸男組合長)では、えごまの栽培技術向上のため2020年から立毛品評会を開催しています。
本年は9月19日に第4回立毛品評会の審査を行い、えごまの生育やほ場の管理状況を採点しました。前年から施肥設計の改善等に取り組み、天候にも恵まれた結果、審査を行った10ほ場のうち8ほ場で、前年1位の得点を上回る素晴らしい結果となりました。特に、えごまの子実収量と関係する2次分枝数は全てのほ場で10点満点(令和4年平均:6.6点)であり、前年からの収量増が期待されます。
2023年産のえごまは10月末~11月初旬に子実の収穫を行い、乾燥、脱穀、搾油を経て「きくちのえごま油」の名称で販売されます。なお、同商品は菊陽町のふるさと納税の返礼品にも指定されているほか、令和4年産からグリーンコープでの販売が始まるなど、様々な経路で入手できるよう販路開拓が進められています。
えごま油に多く含まれる「α-リノレン酸」は健康効果が期待されており、メディア等で紹介される機会が増えています。また、えごまはイノシシ等の食害に遭遇しにくく、連作が可能なため、中山間地の経済作物としても有望です。農業普及・振興課では、関係機関と連携しながら当組合の活動を引き続き支援いたします。

2023年12月

菊池水田ゴボウ
冷蔵庫での貯蔵

「菊池水田ごぼう」の長期出荷体制を目指して

「菊池水田ごぼう」※1は、平成31年に地理的表示(GI)※2の登録を受け、菊池地域の主要なブランド農産物として、更なる生産拡大が期待されています。
 水田ごぼうは、作付体系上、7~10月が出荷の端境期となりますが、市場からその間も出荷を望む声が寄せられています。そこで当課では、貯蔵による出荷期間延長について、令和4年度より普及課題として取組み、貯蔵可能期間、最適貯蔵温度、梱包資材についてJA菊池ゴボウ部会や関係機関と連携して調査を行ってきました。
本年度は実用化を目指し、6月に収穫したゴボウを泥付きのまま1~2カ月間コンテナで冷蔵貯蔵し、順次出庫後、洗浄・あく抜き・箱詰め等の出荷調整を行って出荷しました。着荷状況の調査や市場評価を行ったところ、8月中旬までは概ね問題なく出荷できることがわかりました。一方で、出庫後の出荷調整時に長く常温にさらされると痛みが発生する課題が明らかとなり、一回に出庫する量についても検討する予定です。
これらの試験の結果については、10月24日にJA菊池ゴボウ部会の栽培講習会で報告し、長期出荷体制構築の実現に向けた意見交換を行いました。
当課では、関係機関と問題点や課題を整理しながら長期出荷体制構築の実現に向けた活動を進めていきます。

※1菊池水田ごぼう:水田で栽培するゴボウ。現在93戸145haで栽培。一般的な畑ごぼうと比べ肌が白く柔らかであくが少ない。
※2地理的表示(GI):産地と品質の結びつきを示す農林水産物等の名称。保護制度により登録されると名称が知的財産として保護される。

2023年11月

菊池地域特産の栗を使ったグルメを召し上がれ。クリの商品化で地域の魅力発信と活性化を目指す

菊池地域は、276t※1を生産する県下第4位のクリ産地であり、R2年度から、県北広域本部、JAおよび生産部会、各市町等と連携した菊池クリの販路開拓等に取組んでいます。その一環として、昨年度からは菊池地域観光推進協議会、および地元菓子店・飲食店と連携した「菊池和栗グルメフェア」を実施しており、今年は10月1日から11月31日まで開催しています。
県北農業普及・振興課では、中山間地域振興モデルとして、「農事組合法人菊池佐野」のクリの生産安定と一次加工品開発を支援しており、R4年から皮むき冷凍生栗の販売が開始されました。フェアの実施にあたっては、この皮むき栗や菊池産のクリペーストといった一次加工品をPRするとともに供給体制の整備を進め、参加店舗の新規開拓を進めました。
フェアには新規参加8店を含む28店舗が参加し、大福、ジェラート、グラタンなど和洋菓子から料理まで多様なメニューが販売され、菊池クリの魅力発信と共に、集客効果による地域活性化にも寄与しています。
当課では引続き、中山間地へのクリ導入や付加価値の高い生産・販売の取組支援により、競争力のあるクリ産地の確立を目指します。

※1 令和3年産熊本県果樹振興実績

2023年10月

室内研修会で質問をする参加者
ワイヤーメッシュ柵設置ポイントの説明を聞く参加者の様子

自分の住むところは自分たちで守る! 有害鳥獣対策を先進地に学ぶ

菊池管内では近年、イノシシを中心とした野生鳥獣による農作物被害が急増しています。害獣侵入防止柵を設置しても、メンテナンスが不十分なため侵入防止柵の効果低減が懸念されるほ場が散見されるようになってきました。
そこで、有害鳥獣対策についての先進地視察研修をむらづくり課と企画し、対策を効果的に進めるには、先に広域的な関係機関で共通認識を持つ必要があるため、菊池地域のみではなく、山鹿、玉名、阿蘇地域の行政及びJA職員にも呼びかけたところ多数の参加があり、総勢26名で令和5年8月29日(火)に集落全体で対策に取組むあさぎり町松尾集落に行ってきました。
研修会では、あさぎり町松尾集落の遠山さんから、獣の種類により侵入防止柵の設置方法が異なること、柵は設置よりもメンテナンスが重要で、柵の管理者の明確化や住民共同の点検作業など地域全体で取り組む意識の醸成が重要であることを学びました。また、行政に対しては、待ちの姿勢ではなく、現地の実情を把握するために足を運び、解決に向けて地域リーダーを育てるなど、是非、共に行動をおこしてほしいとの要望をいただきました。
県北農業普及・振興課では、今後も勉強会等を開催し、有害鳥獣から守れる地域づくりの支援を継続していきます。

2023年10月

「くまさんの輝き」の現地検討会を開催!

水稲「くまさんの輝き」は、収量・品質・食味に優れる県育成の品種で、熊本県全体で生産が拡大しており、菊池地域においても、合志・西合志地区を中心に作付面積が拡大しています。
「くまさんの輝き」は、既存品種「ヒノヒカリ」と異なり、分げつが増えやすいという特性があります。この特性は、収量面でプラスになりますが、分げつが過剰になると、くず米や白未熟粒発生により、収量・品質が低下するため、分げつを制御する栽培管理が重要となります。
そこで、「くまさんの輝き」の栽培上のポイントを周知するため、8月29日に地域の生産者を参集した現地検討会を開催しました。当日は、合志・西合志地区の生産者を中心に約35名が参加しました。
室内講習会で、中干しの重要性を中心に説明した後、現地ほ場を見て、これまでの生育状況や今後の管理について検討を行いました。生産者から、今後の管理や中干しについて、活発な質問や意見交換が行われ、有意義な場になりました。
農業普及・振興課では、今後も講習会や現地指導等を通じて栽培上のポイントを指導し、収量・品質・食味の良い「くまさんの輝き」生産に向け、指導を継続していきます。

2023年10月

研修会の様子
意見交換会の様子

菊池地域女性農業者リーダー研修会の開催~災害に備えよう!農業版BCP等を活用した災害対策を学ぶ~

熊本県は、ここ数年様々な災害に見舞われてきました。毎年のように大型台風が熊本県に接近しており、農業分野においても災害に対する備えは重要性を増しています。  
そこで、8月17日に災害への備えや農業版BCPの活用をテーマにした女性農業者リーダー研修会を開催しました。当日は、菊池地域の農業女性アドバイザーやそのOGの方を中心に15名が参加しました。
研修会では、農業女性アドバイザーであり、災害備蓄管理士でもある隈部雅子氏を講師に、災害に備える考え方や適切な備蓄品に関する講演とグループトークを交えながら農業版BCPについて解説を行いました。講演の最後には『災害にあった時に前向きになれた方法や支えになった言葉』について、参加者一人一人にインタビューを行いました。参加者は、それぞれ平成28年熊本地震や平成3年の台風被害での経験などを交え、想いを語られました。
第2部では農業女性アドバイザーの役割やあり方について意見交換会を行いました。数年ぶりの開催だったため、非常に活発な意見交換が行われ、作型の違う人と交流が出来て良かった等の声が聞かれた一方で、農業女性アドバイザーの立ち位置がわからない、次代のアドバイザーの人選が難しいといった声が聞かれました。
農業普及・振興課では、災害に対する備えについて周知・対策を講じていくとともに、農業女性アドバイザーに対し、学びや活躍の場を提供できるよう引き続き支援を行っていきます。

2023年8月

TMRセンター設立に向けた勉強会を開催しました

近年、国際情勢や円安基調等により、飼料価格が高騰、高止まりし、改めて自給飼料を増産する動きが広がっています。特に、菊池地域は県内最大の畜産地帯であり、畜産農家は自家産堆肥を利用しながら、飼料用トウモロコシや稲WCS(ホールクロップサイレージ)、イタリアンライグラスなどといった、循環型の自給飼料生産に取り組んでいます。
農業普及・振興課では、市町及びJA菊池等と連携して地域の作業受託組織であるコントラクターや飼料生産組織であるTMRセンターに対して、自給飼料増産とその体制づくりをサポートしてきました。
また、当課では昨年度から菊池市七城地区の酪農家を対象に、新たなTMRセンター設立に向けた支援として、アンケートによる意向調査を実施してきたほか、関係機関を参集した勉強会を定期的に開催してきました。
今回、勉強会を開催するにあたり、昨年度、第61回農林水産祭にて天皇杯を受賞されたTMRセンター株式会社アドバンスの永田社長を講師として招聘し、会社の成り立ちや現在の経営状況等について講義をしていただきました。質疑応答では参加者から数多くの質問が出たことで、勉強会は盛り上がり設立に向けた機運が高まる良い機会となりました。
今後も勉強会等を行いながら、新規畜産支援組織(TMRセンター)設立に向けた支援に取り組んでいくこととしています。

※TMR(発酵混合飼料):濃厚飼料(穀物など)と粗飼料(牧草や稲わらなど)を混ぜ合わせ発酵させた飼料。畜産農家は飼料を混ぜ合わせる手間や濃厚飼料と粗飼料の分離給与が不要となるとともに、えり好みせず、必要な栄養を無駄なく食べさせることができます。

2023年8月

東海大学 安部特任准教授による講演
熱心に講演を聞く法人の研修参加者ら

菊池管内地域営農法人経営向上研修を実施

菊池地域では、県内最多の22地域営農法人が設立されており、今後も地域の農業を維持していくためには、構成員の高齢化や減少への対応を工夫しつつ、収益確保、経営強化及び経営継承する仕組みを作ることが課題となっています。
そこで、今回の研修は、“労働力確保”をメインテーマとし、当課から前年度法人経営分析結果の報告、組織間連携及び労働力確保対策の紹介を行った後、東海大学 安部美和特任准教授を講師に招へいし、“学生ボランティアと(農)菊池佐野”の取り組み事例を紹介いただきました。
安部氏は「佐野での活動は、学生にとって貴重な経験。受け入れ側は非常に大変だと思うが、双方にとって良い取組みになっている。」と話し、(農)菊池佐野の前田氏は「育苗等の労働力としてだけではなく、学生を受け入れて地域が明るくなった。今後もずっと続けていきたい。」とコメントしました。また、来場した東海大学学生からは「他の法人でも活動したいので、ぜひ声を掛けてもらいたい。」との発言があり、興味を示す法人も見られました。
今後、農業普及・振興課では、労働力確保に向け、学生ボランティアや民間を含めた組織間連携や就農・雇用対策を関係機関と連携し進めていきます。

2023年8月

個別面談の様子
過去2年の面談取りまとめ資料

花き産地維持に向け個別面談を実施

県北農業普及・振興課では、一昨年よりJA菊池と連携し、花卉部会員との個別面談を実施しています。面談では、主に部会員の作付け計画や病害対策について話し合いますが、高齢化が進んだ産地の現状を把握するため、今後の営農継続期間、後継者の有無についても聞き取っています。また、若手生産者に対しては、前年産の個人成績表に基づく次期作の目標設定を行うとともに、生産面積拡大の意向や将来の経営ビジョンを確認しています。
2ヶ年の実施を経て、産地の現状としては、10年後にカスミソウの栽培面積が半減する可能性があることが見えてきました。そこで、7月3日~7日に実施した今年度の個別面談では、各部会員にこの結果を伝え、今後の産地維持に向けた新規就農者獲得について意見を求めました。受入れ研修への協力や、譲渡もしくは貸出可能なハウス・機械の情報提供など、多くの部会員から前向きな回答をいただきました。
今後は、これらの結果を基に、JA・部会と協力してカスミソウ産地維持に具体的に取り組んでいきます。

2023年8月

経営の基礎を学ぶ新規就農者

ニューファーマー研修会~農業経営セミナー~を開催しました

農業者の高齢化が進む中、将来を担う若手農業者の育成は重要性を増しています。県北農業普及・振興課では、令和元年より菊池地方4Hクラブと共同で、就農5年目以内の新規就農者等を対象としたニューファーマー研修会を実施しています。本年度は7月26日に開催し、管内新規就農者約40人が参加しました。
研修会では、当課倉岡主幹より青色決算書と資金繰りノウハウについて講演。また、今回から新たに、就農者同士の悩みや聞きたいことについて意見交換する交流会を企画し、親睦を深めました。さらに、農業機器・資材展示ブースを設け、民間企業3社から出展いただきました。ブースでは資材等の説明を聞くだけでなく、実際の使用事例や自身の経営における活用方法を具体的に相談するなど、参加者の積極的な姿勢がうかがえました。
菊池地方4Hクラブの守川亜由美会長は、「今回は座学だけでなく、交流会や資機材展示等の新しい企画にチャレンジできてよかった。クラブ員の刺激になった。」と話していました。
また、参加した新規就農者からは「経営について見直すきっかけになった。」「他の新規就農者と交流できてよかった。」等の意見が寄せられ好評でした。
当課では今後も引き続き研修会や個別指導等を通して、新規就農者の技術力と経営力の向上に繋がる支援を継続していきます。

2023年8月

半導体産業の集積が進む菊池地域において労働力確保対策の取組みを進めています

半導体産業の集積が進む菊池地域では、今後、雇用需給がひっ迫し、働き手の確保が更に困難になってくるのではないかとの不安の声も寄せられています。
当課では、これまで取り組んできた民間求人アプリを活用した短期雇用労働力確保策の推進等に加え、新たに、菊池地域に隣接する東海大学農学部(東海大学阿蘇くまもと空港臨空キャンパス)の学生等との連携を図り、担い手育成と農業生産力の維持・拡大につなげる取組みを模索しているところです。
5月以降、東海大学キャンパス長、農学部教授等との意見交換や現地視察等を行いながら、学生のニーズや連携事例に関する情報収集等を進めています。今後は、6月27日に設置した県北広域本部PT営農継続支援チームの取組みの一環として、関係市町やJA等と連携しながら、研修会での優良事例紹介や農繁期の農作業を学生が支援する仕組みづくり等を進めていきます。
東海大学農学部との連携は、地域活性化や農業生産力の維持・拡大だけでなく、就業先として農業のPRも期待できるため、検討を進める予定です。

2023年8月

酪農組合総会でアンケートを説明する
耕作放棄地現地調査の様子

半導体産業の集積が進む菊池地域で県北広域本部PT営農継続支援チームを立ち上げました

半導体産業の集積が進む菊池地域では、農地の売買が加速化し、農業者の利用可能な農地の確保等の課題が明らかになってきました。これに加え、農業者から地下水の保全や労働力の確保等に対する不安の声も寄せられています。
そこで当課では、5月にワーキングチームを立上げ、農業者やJA、市町等から情報収集を開始しました。管内酪農家約200戸の農地や施設に関する賃借契約解除等についてのアンケート調査や、農業公社の情報をもとにした耕作放棄地の現地確認などを実施してきました。
そして、県庁内で農林水産部PT営農継続支援チームが設置された6月27日に菊池地域においても県北広域本部PT営農継続支援チームを立ち上げました。この支援チームは、これまでワーキングチームが行ってきたアンケート調査や農地情報の収集等をさらに広げるとともに、鳥獣害防止対策や簡易な基盤整備、水資源や農業労働力確保対策など、菊池地域で課題になると予想されることも含め、対策等を検討していくこととしています。
今後は、7月13日に営農継続支援チーム第1回会議をJA、市町、農業委員会参集のもと開催し、農業生産基盤や代替農地、鳥獣害対策などの現状や課題、今後の方向性等を検討、共有する予定です。

2023年7月

連絡会議での意見交換
連絡会議での配付資料

菊池地域新規就農支援連絡会議の開催~新規就農者数県内トップの地域の連携強化~

新規就農者数が県内トップを誇る菊池地域では、新規就農者が円滑に就農し、一日も早く地域を支える担い手として定着できるよう、支援機関の連携体制強化を進めています。この一環として、5月30日に農業普及・振興課が中心となり、各市町やJA菊池、地域就農支援アドバイザーを参集した「第1回菊池地域新規就農支援連絡会議」を開催しました。
会議では、就農相談の在り方や、新規就農者育成総合対策(経営開始資金)等の改正内容を年度毎に分かりやすく整理した早見表、各種支援制度等を情報共有し、新規就農者支援の流れや制度の理解を通して、担当者が抱える実務的な不安の解消を進めることができました。また、市町からは新規就農者の確保・定着に向けた独自の取組み、JA菊池からは研修品目「花き」の追加に向けた取組み等が共有され、相互の意見交換による有意義な会議となりました。
農業普及・振興課では、日々のフォローアップを通して、関係機関の更なる連携強化を図り、新規就農者の円滑な就農と定着に向けたきめ細やかな支援を継続していきます。

2023年6月

カスミソウ現地検討会

JA菊池花き部会「春の管理」現地検討会の開催

菊池地域では、主に秋から翌春にかけて宿根カスミソウやトルコギキョウといった切花が盛んに出荷されています。特に卒業式や歓送迎会、5月の母の日と、春は需要期が続き、3月以降多くの生産者は、潅水や温湿度管理、病害虫防除といった重要な作業が続きます。これらの栽培技術の向上を目的として、JA菊池花き部会と連携し、3月22日にトルコギキョウ、4月4日に宿根カスミソウの現地検討会を開催しました。
今春は、気温が高めで推移したため、平年よりアブラムシの発生が増加する予報が出ていることから、発生状況と適正防除について情報提供を行い、早めの防除を促しました。また、7月からは本年度の定植が始まるため、栽培終了後は早めに圃場を片づけ、定植準備に遅れが生じないよう呼びかけました。その後、各生産者の圃場を巡回し、今後の管理について意見交換を行ったことで、高品質生産への意識が更に高まったように感じました。
当課では、今後も管理のポイントとなる時期に現地検討会や講習会を開催し、高品質なトルコギキョウ、宿根カスミソウが生産できるよう指導していきます。

2023年6月

案内文の持ち込み様子
総会の様子

令和5年度菊池地方青年農業者クラブ総会開催

4月25日に菊池地方4Hクラブの総会が県北広域本部で開催されました。
今年度は、開催にあたり、会長自ら各市町、JAに開催案内文を持参し、活動内容の紹介や意見交換とともに出席をお願いすることで、関係機関との連携をさらに深めることが出来ました。
総会では、クラブ員全員が広報や視察受け入れなどの役割を担う役員改正も含めた全ての議案が承認された他、今年度新たに加入した2名のクラブ員が紹介されました。
総会後には各クラブ員の作付け品目毎に、野菜、果樹花き、畜産、普通作の4グループに分かれて、生産上の課題や悩み、不安に思うことなどをシートに記入し、自身の経営改善に挑戦するプロジェクト活動をどのように発展させていくかについて話し合いました。また、当クラブ員は経営者が多く、栽培技術面だけでなく経営面や営業面でのスキルアップを希望する意見も多数挙げられたため、プロジェクトと経営に関する研修会を組み合わせて企画することになりました。
農業普及・振興課では、今後も若手農業者の経営力向上につながる活動支援を行っていきます。

2023年4月

就農事例聞き取りの様子
酪農経営新規就農の手引き(表紙)

酪農経営新規就農の手引きを作成

近年菊池地域では、畜産経営の新規参入者や、親の経営と別に独立就農する新規就農者が増加しています。農業普及・振興課では、市町や農業団体と連携し、これら新規就農者の相談対応や、青年等就農資金、補助事業等を活用した支援を行っています。令和4年度には、4名の相談者に対し随時相談会や就農計画作成指導等を実施したほか、16名の営農状況調査を実施しました。(肉用牛繁殖12戸、酪農4戸)。
就農希望者の経歴は様々で、農家出身者や長年畜産業務に携わっていた方の他に、ほとんど経験のない方や、経営感覚に不安が残る方も散見されており、就農計画の作成に多大な時間を要することが課題でした。
そこで当課は、昨年度作成した肉用牛繁殖経営の就農希望者向け手引書に続き、玉名地域と合同で酪農経営の就農希望者向け手引書を作成しました。手引書には、就農を志す際の心構えや就農計画の作成方法等に加え、玉名地域の就農希望者研修を受け入れている農家や菊池管内で就農した先輩新規就農者4名の就農事例を掲載しました。手引書は酪農関係団体等に配布し、新規就農希望者への指導に活用します。
今後、本手引書の更新を随時行うとともに、これらの資料を活用し、畜産新規就農希望者の受け入れ体制を整え、安心して菊池で畜産経営を開始できるように支援していきます。

2023年4月

JA菊池花き部会役員会での報告、提案

カスミソウ産地を守る~新規就農サポート体制の構築に向けて~

熊本県は全国1位のカスミソウ産地です。中でも菊池地域は県内1位の栽培面積を誇っていますが、近年は生産者の高齢化に伴う将来的な栽培面積減少が懸念されています。
当課では、昨年度から生産者への個別面談を実施しており、今後の生産計画や後継者の有無などから産地の現状把握を進めてきました。10年後には生産者数が現在の半数になる可能性がでてきたことから、この結果を各市町やJA菊池の担い手担当と共有し、R4年10月から12月にかけて、今後の対策について意見交換を行いました。産地の維持には、地域版の経営指標や栽培マニュアル等の基本情報、研修等のサポート体制の提供による新規就農者の獲得が必要との意見で一致しました。そこで、2月1日にJA菊池花き部会役員会において産地の現状と対策について説明したところ、役員も危機感を感じており研修受入れなど部会全体で協力する体制を構築していくこととなりました。
現在、地域版カスミソウ栽培暦を作成、地域内から「師匠」を選定し新規就農者の研修体制に向けた協議をすすめています。今後も関係機関と協力し支援体制の構築を目指します。

2023年3月

若木の管理講習会
放任クリ園の再生指導

クリ価格上昇で農家の生産意欲も上昇

菊池管内は、中山間地域を中心にクリが広く栽培されていますが、農家の高齢化や過去の価格低迷の影響もあり、あちこちで無せん定園が目に付く状況でした。
しかし、近年は価格が安定してきており、クリを新植する農家が増えつつあります。その中には新規就農者も含まれ、新たな担い手として期待される一方、栽培技術面での支援が必要です。また、令和4年産クリ価格が急上昇した後は、無せん定状態の放任クリ園を再生したいという相談も数多く寄せられるようになりました。
そこで、農業普及・振興課ではJA菊池と共に、過去3年以内にクリを新植した農家を対象に、若木の管理方法の講習会を実施しました。また、直売所の出荷農家対象の現地講習会や、個別現地指導を幾度も行い、複数の放任クリ園の再生に取り組んでいます。初めて栽培講習会に参加した新規就農者からは、今後も指導を続けてほしいとの要望もあり、今後も病害虫対策など技術面でのスキルアップに向けた支援を行います。

2023年3月

JA菊池の堆肥舎とペレット製造施設
R4堆肥共励会県知事賞 JA菊池有機支援センター

菊池地域における堆肥の広域流通の取組について

菊池地域は、県内最大の畜産地帯であり、畜産農家は自家産堆肥を利用しながら、飼料用トウモロコシや稲WCS(ホールクロップサイレージ)、イタリアンライグラスといった、循環型の自給飼料生産に取り組んでいます。
また県では、「堆肥の地域偏在性の解消」と「耕種地帯での有効利用」につなげるため、熊本県地下水と土を育む農業推進条例に基づき、グリーン農業推進の一環として畜産地帯から地域外へ堆肥の広域流通を推進しているところです。
農業普及・振興課では、耕種農家と畜産農家が連携した堆肥舎の整備に関する支援、稲わら・堆肥交換の広域連携などを支援してきたほか、JA菊池や機械メーカー等と連携して、視察研修等の中で耕畜連携や広域連携の重要性、事例の紹介などを行ってきました。
今回2年連続で県の堆肥共励会で県知事賞を受賞したJA菊池有機支援センターでは、一部ペレット堆肥の生産を行っており、管内の畜産農家の堆肥販売先との競合を避け、広く管外に堆肥を出荷するというコンセプトで、運搬や利用農家の散布に係る利便性向上が図られています。
化学肥料等の価格が高止まりの中、畜産農家からペレット堆肥製造や堆肥のストックヤード整備に関する相談等が増え、機運の盛り上がりを感じますが、耕種農家等利用側に関しては、今からという状況です。
今後、農業普及・振興課では、ペレット堆肥を利用した展示ほ、実証試験などに取り組み、さらなる耕畜連携、広域流通を進めていきます。

2023年3月

1/28旭志ツアー (好評でした!)
1/28旭志ツアー (好評でした!)

農業普及・振興課と観光振興部署の連携による農業体験 スポット創出とモデルツアー実施

今年度、県北広域本部では、新型コロナ感染症で冷え込んだ観光客数の回復支援、また農業者の新たな収益確保及びファンづくりを目的として、当課と振興課がタッグを組み、①農業体験スポット10か所の掘起こし、②旅行業者向け資料整備、③モデルツアー2回開催に取り組んでいます。
取組みは、県地域振興課所管の地域づくりチャレンジ推進事業予算を目途に当課が企画発案し、振興課と協議・連携し実施(予算窓口は振興課、JTB熊本支社に事業委託)。また、県むらづくり課が主催する「農と観光の体験プログラム開発」にも別途2地区で同時並行に取り組んでいます。
体験スポット掘起こしは、様々な農家に出向いて情報交換した結果、菊陽町のバラ農家や合志市の酪農家、菊池市の自然栽培農家など10か所に目途が立っており、今後、旅行業者向け商品説明書として情報整理します。
モデルツアーは、下記4回を予定。元シルク・ド・ソレイユの宮海彦氏(菊池市に移住)とコラボし「フィットネス麦踏み」も実施します。

<県北主催> JTB委託、貸切バスで熊本市→菊池市、( )は参加費  
・2/11(土)ごぼう収穫見学、農家スイーツ、フィットネス麦踏(5,990円)
・2/25(土)キク芋・ネギ収穫、旬弁当、自家焙煎コーヒーほか(4,990円)

<むらづくり課主催> 読売旅行委託、菊池市マイカー集合       
・1/28(土)麦踏、菊芋堀り、製粉見学、収穫素材で食事(旭志、1,000円※)
・2/18(土)ごぼう収穫&かき揚げ、栗木箸作り、ほか(菊池佐野、無料※)
※むらづくり課予算による参加費補助後。 参加は4コースとも10人程度の予定。    

2023年3月

会議の様子
展示ほでの栽培検討会

地域営農法人の個別ヒアリングを実施

菊池地域では、県内最多の22地域営農法人が設立されています。当課では、重要な担い手である地域営農法人の経営力向上を支援するため、H29年度から毎年1月頃に個別ヒアリングを実施しています。
ヒアリングでは、作付状況や人材の確保、運営状況、インボイスの対応状況等を聞き取り、意見交換を行う中で、法人自らが課題に気付き、改善に取り組んでもらうことを目的としています。今年は、設立3年以内の法人や、新たな園芸品目に取り組んでいる法人など、6法人を対象に実施しました(1月26日~2月1日)。
今回のヒアリングでは、昨年度のヒアリングで法人代表者が設定した「R4年度重点取組目標」の達成状況についても確認を行いました。農地集積や新規作物の定着等の課題解決に取り組まれ、当課や農業公社の担当による支援により、「順調に目標が達成できた」と代表者からの発言もありました。
また、全ての地域営農法人へ11月に広域連携アンケート調査、12月に広域連携をテーマとした法人研修会をJAや市町と連携し開催しました。ヒアリングでも広域連携の取り組み状況や課題等を共有しました。
今後は、各法人の経営力向上を引き続き支援するとともに、広域連携に向けた話し合い活動を関係機関と進めていきます。

2023年2月

新規就農者巡回指導
ニューファーマー研修会

肉用繁殖牛ニューファーマー研修会及びランチミーティングを開催しました!

近年、菊池地域では新規就農者が増加しており、特に肉用牛繁殖経営を希望する農家が多い状況です。昨年度は、就農希望者向けの「肉用牛繁殖経営新規就農の手引き」を作成し、今年度は新規就農10年以内の肉用繁殖牛経営者を対象に個別巡回指導を行ってきました。
巡回指導の中で、新規就農者にとっては相談できる仲間が必要ですが、コロナ禍で仲間づくりができない状況にあり、また、技術はあるが経営に課題があることも判明してきました。
その対策として、12月14日にJA菊池パシオンにおいて、「肉用繁殖牛ニューファーマー研修会及びランチミーティング」を開催しました。8名の農家が出席した研修会では、「肉用繁殖牛における経営管理」として当課で講義後、各出席農家から自己紹介を兼ねて自分の経営概要について発表を行いました。出席した農家からは、「このような研修の機会があって良かった。」「今後も続けてほしい。」といった多くの意見が寄せられました。
ランチミーティングという形で食事をとりながら意見交換をする予定でしたが、コロナの感染拡大のため、ゆっくりと時間をかけた交流の場とはなりませんでしたが、互いの経営を知り、人脈を形成するいい機会となりました。
今後も個別指導や研修会等を行いながら、新規就農者同士の交流や経営支援に取り組んでいくこととしています。

2023年2月

会議の様子
会議の様子

若手農業者・経営者が自らの経営について発表

菊池地域は、県内でも新規就農者が多い地域です。地域の若手農業者が集まる菊池地方4Hクラブは、親元就農だけでなく、自身が経営者である新規参入者や、雇用就農の割合が多いのが特長です。
このような中、菊池地方4Hクラブでは農業に対する思いや経営改善に向けた取組みを発表する「菊池地方青年農業者会議」を12月23日に開催し、計9名が意見発表・経営紹介(※)・経営改善取組発表(プロジェクト)の3部門に分かれて発表を行いました。また、会長から今年度のクラブ活動についての報告や、1月に福岡で行われるプロジェクト九州大会に出場するクラブ員からのプレ発表もありました。
クラブ員は、仕事の合間にデータとりまとめやスライド作成を行い、GAPの取組や病害虫防除方法の検討などバラエティに富んだ内容で発表を行いました。審査員からの改善に向けたアドバイスや質問を受け、今後の経営改善が期待できる発表会となりました。
農業普及・振興課では、引き続き地域農業の将来を担う農業者の支援を行っていきます。

※経営紹介部門:スライド2~3枚の簡易発表。取組ハードルを下げるための菊池地方4Hクラブ独自部門。

2023年1月

防疫演習(現場事務所)の様子
係毎説明会の様子

県内最大の畜産地帯で悪性家畜伝染病防疫演習を開催

菊池地域は県内最大の畜産地帯であり、悪性家畜伝染病が発生した場合、甚大な影響を受けることになります。今シーズンは例年に比べ発生が早く、九州内発生も継続しており、緊張感が高まっています。
当課では、9月に熊本県鳥インフルエンザ防疫対策マニュアルが改正されたのを受けて、県北広域本部地域対策本部各係の手引きの改正を行いました。
その改正を周知し、発生に備えるため、11月2日に合志市と合同で防疫演習を開催し、建設業協会菊池支部や警察をはじめ、関係団体及び市町担当者等113名が参加しました。当日は、家畜伝染病の発生状況や発生時の防疫措置、防疫体制について研修会を行った後、実際に現場事務所及び消毒ポイントを設営し、防疫作業員の導線とスタッフの役割について実演をしました。
更に、11月22日から30日にかけて、地域支援対策本部における8つの係毎に研修会を開催し、県北広域本部職員及び市町の係員を対象に、係の役割や具体的な作業内容、タイムスケジュールの説明を行いました。
今後も農業普及・振興課では、県内最大の畜産地帯を守るため、関係機関と連携し、発生予防対策や危機管理体制の強化を図っていきます。

2023年1月

講師の瀬川竜次氏
児童の淹れ方実習の様子

お茶消費拡大を目指して「玉緑茶の美味しい淹れ方講座」が開催

11月18日に大津町立美咲野小学校の5年生を対象に「玉緑茶の美味しい淹れ方講座」が大津町教育委員会生涯学習課の主催により開催されました。
瀬川製茶の瀬川竜次氏を講師に茶農家3名、JA菊池職員2名、県北広域本部農業普及・振興課員1名が補助員として参加しました。
最初に講師から一煎目の5人分の淹れ方の実演を行い、児童が実習をしました。次に、二煎目の淹れ方の説明を行い、同じように実習したところ、児童からは、一煎目が美味しかったとの意見が多く聞かれました。
次に、水出し緑茶の作り方の説明を行い、事前に作っておいたものを試飲してもらいました。児童からは「水出し緑茶のほうが苦くなくて美味しかった」、「温かいお茶のほうが美味しかった」等の様々な感想が聞かれました。
最後に講師からお湯の温度の違いによる味の違いやお茶の効能の話を児童たちは真剣に聞いていました。
近年は家庭でも、お茶を入れる習慣がなくなってきています。
農業普及・振興課では、今後もお茶の消費拡大のため子供達にお茶の文化を理解してもらえる活動を支援していきます。

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