八代エリア

八代地域は八代市、八代郡を所管しています。県のやや南に位置し、八代海と九州山地との間に位置し、東西に流域を持つ球磨川と氷川等からの土砂の堆積によりできた三角州が基部となり、江戸時代初頭からの干拓事業により形成された西の平野部と、九州山地の脊梁地帯を形成する東の中山間地域からなっています。
平坦地域では、水稲、いぐさ、野菜、花きなどの多彩な作物が生産されており、これらを組み合わせた複合経営や施設野菜(トマト、メロン、イチゴ)の専作経営が行われ、「はちべえトマト」で知られる冬春トマトは、日本一の産地となっています。
近年は、ブロッコリー等の露地野菜の作付面積が年々増加、また、飼料用稲は、農作業受委託組織による組織的な生産により県下有数の作付面積となっています。
中山間地域では、立地条件を活かした農業が営まれ、ショウガ、なし、晩白柚、茶などの産地が形成されています。

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県南広域本部 農林水産部 農業普及・振興課

〒866-8555 八代市西片町1660

電話:0965-33-3462

FAX :0965-33-4540

八代エリア普及現地情報

2023年11月

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講習会の様子

県南広域本部管内食品表示講習会を開催しました

9月29日に管内の食品関連事業者を対象に食品表示に関する講習会を開催しました。食品表示は消費者が安全・安心な食品を判断し購入するために重要な情報であり、食品関連事業者は食品表示法で定められた基準に従って表示を行う必要があります。今回の講習会には、食品メーカーやスーパー、物産館の担当者10名が参加されました。
講習会では初めに、あさりの産地偽装問題を受けての産地表示ルールの厳格化や、アレルゲンの義務表示に「くるみ」が追加されたこと等、食品表示制度の直近の重要な改正点について説明しました。その後、農産物漬物類、菓子類、弁当惣菜類等の各表示ルールについて説明した後、表示の間違い探しや表示ラベルの作成演習を行い、参加者の理解を深めました。
質疑応答では、アレルゲンや添加物に関する表示ルールの細やかな部分についての質問があり、参加者からは、適正な食品表示について学ぶ有意義な機会となったとの声がありました。
当課では引き続き、講習会や店舗での巡回調査等を通して、随時改正される食品表示基準の周知、管内の食品表示の適正化を推進し、食品の安全性、消費者の選択の機会の確保につなげていきます。

2023年11月

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稲刈り体験の参加者(ドローン撮影中)

献穀田において抜穂祭が執り行われる

秋の皇室行事である新嘗祭(にいなめさい)に献上する米の抜穂祭が、八代市川田町の献穀田において行われました。
新嘗祭は、今回で131回を数える歴史的、伝統的な行事で、本県においても地域持ち回りで行われ、今年度は八代市献穀事業推進協議会が中心となり、八代市で行われました。
今年は台風等の被害も無く、5月の清祓・播種祭に続き、6月の御田植祭で植えられた「くまさんの輝き」が立派な稲穂を実らせる中、「抜穂(ぬいほ)の儀」では、献穀者である本島碩哉・菊代夫妻をはじめ、田男と早乙女に扮した龍峯小学校の5、6年生が刈り取りを行いました。
献穀事業を通じて農業の素晴らしさを子供たちに伝えたいとの本島夫妻の強い思いを受け、神事終了後には、龍峯小学校の児童と県立八代農業高校の生徒による稲刈り体験会が開催されました。地元の人から稲刈り鎌の使い方の指導を受けながら、はじめは恐る恐る鎌を動かしていた参加者たちも、次第に慣れて稲刈りを楽しんでいました。
新型コロナ等の影響で、近年は郵送による献納が行われる中、今年こそはと期待していましたが、残念ながら今回も皇居での献納は叶いませんでした。
農業普及・振興課では、これまで献穀田における栽培指導を行っており、引き続き関係機関や地域の方々と協力して、立派な献納品の完成に向けて技術指導を行っていきます。

2023年11月

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会議の様子
現地視察の様子

中山間地域と農業を守るための新たな動き

9月27日(水)に、本年度2回目となる中山間地域農業プロジェクトチーム会議を開催し、各モデル地区の事業評価に係る報告と今後の中山間地域への支援についての協議を行いました。また、前回の五反田地区、泉町西部地区に続き、今回は二見野田崎地区の現地視察をしました。
八代市担当者から、これまでの様々な取組みが報告される中で、地区の代表からは、「組合を設立し、機械を揃えて貸し出すことで、何も持っていなくても農業ができる体制ができた」「個々では進められないことも地域ぐるみで動きたい」等の発言がある等、地域を担う方々の前向きな発言が多く見られました。また、今後の取組みとして、いずれの地区でも地域の特色に合わせた、観光農園の実施や特産品を活用した新商品開発、農村RMO形成に向けた検討等、中山間地域と農業を守るための新たな動きも始まっています。
農業普及・振興課では、地域の方々の取組みの進捗を把握しながら、病害虫や栽培技術の指導、鳥獣害対策支援等を引き続き実施し、関係機関と連携して、持続可能な中山間地域農業の実現に取り組んでまいります。

2023年11月

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ベテラン農家による助言
かし量の違う畳表サンプルを評価

“かし”技術の向上に向けて~夏と冬で適正かし量はどのくらい違う?~

JAやつしろい業部は9月6日に畳表加工講習会を開催し、生産者21名が参加しました。講習会では、ベテラン農家による今後の加工作業への助言の他、当課から“かし量”についての指導を行いました。
“かし”とは、収穫・乾燥後のいぐさ(原草)に水分を与えて柔らかくし、加工途中にいぐさが切れたりすることを防ぐために行う重要な作業です。畳表の色調や表面の滑らかさなどに大きな影響を与えるため、品種や季節に応じた水分量の微調整が必要となります。
前回の加工講習会は冬に開催しましたが、空気が乾燥している冬と湿気の多い夏では適正なかし量がどの程度違うのかをテーマとして、今回の講習会を実施しました。
講習会では、かし量を7段階に変えた畳表サンプル準備して、実際に生産者に評価してもらいました。事前に行った実需者(産地問屋)による評価では、原草の重量に対し12~14%の水分量を含んだものが高評価だったという結果を参考にしながら、生産者にかし量の重要性を再認識していただきました。
生産者は、季節に応じたかし量の調節が必要だと再確認し、今後の方法を改善したいという意見が聞かれました。
産地では生産者の高齢化や戸数減少が進んでおり、生産・加工技術の継承が喫緊の課題となっています。日本の伝統文化を支えるいぐさ・畳表産業の維持・発展のため、当課は今後も関係機関と協力して生産者の支援を行っていきます。

2023年10月

整枝位置の指導の様子
碾茶へ加工予定の「おおいわせ」茶園

廃園を有効活用した「いずみの抹茶」試作への取組み

八代市泉町で廃園予定の茶園を活用した抹茶づくりへの挑戦が始まりました。
八代市泉町では、高齢化等による荒廃茶園が増加する中、廃園予定の茶園を活かして抹茶を試作したいと若手生産者から声が上がりました。そこで、農業革新支援専門員や農研センター茶業研究所と連携して、抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)の栽培に向け、整枝や肥培管理、被覆時期の目安等の指導を行いました。
碾茶栽培と通常栽培の大きな違いは「被覆期間の長さ」にあります。茶は摘採前の被覆によって水色や旨味が向上するため、通常の緑茶(かぶせ茶)では7日程度被覆が行われています。一方碾茶の場合には、より鮮やかな緑色の水色が求められるため、20日程度の被覆を行う必要がありますが、長く被覆した園では樹勢が弱り、翌年の一番茶の収量が低下するため、廃園での碾茶生産は非常に有効です。
今後は、10月中旬ごろに摘採した茶葉を使い、茶業研究所の碾茶製造ラインを活用して、試作を行う予定です。作られた碾茶は、抹茶に加工した後、「ふれあいセンターいずみ」等の農産物加工施設へ提供し、抹茶を使ったスイーツ等の開発が計画されています。
若手生産者は、「抹茶の販路が安定したら、今後廃園となる泉町の茶園等を譲り受け、碾茶専用の園として管理を行いたい。『いずみの抹茶』で地域活性化のきっかけにしたい。」と意気込んでいます。
当課としても、抹茶試作までの栽培管理等を支援するとともに、関係機関と連携して「いずみの抹茶」の販路開拓と地域活性化に取り組んでいきます。

2023年10月

いぐさ、麦、露地野菜をカモ類から守ろう!カモ類被害防止 対策講習会を開催

八代地域で問題となっているカモ類による露地野菜等への被害を減少させるため、8月21日と23日の2日間、管内4カ所で、カモ類被害防止対策講習会を開催しました。講習会には農家と関係機関合わせて延べ100名程が出席し、氷川町と八代市のそれぞれ担当者からカモ類の被害状況と防止対策の説明があり、餌場となる2番穂に潜む大量のカモの動画が放映されると会場から驚きの声が上がりました。
また当日は講師として(株)イノPの稲葉氏を招へいし、カモの飛来が始まる前に大好物である水稲2番穂のすき込みやカモ滞留防止のための水路へのテグス設置など、地域をあげてカモが暮らしにくい環境を作ることや「カモ被害は他人に任せても解決しない。地域と畑は自分達で守るしかない。」と地域ぐるみでの活動の重要性を強調されました。参加した米農家からは「2番穂にカモがたくさん隠れているのを初めて見た。露地野菜等の被害防止のために稲作農家も地域ぐるみで協力しないといけない。」との意見も聞かれる等、地域ぐるみの対策の必要性への理解も進んでいます。講習会ではその後も活発な質問や意見交換が行われました。
当課では今後も関係機関と連携しながら啓発活動を行うとともに、水稲2番穂のすき込み等の展示ほを設置する等、様々な対策検証等の取り組みを支援していきます。

2023年10月

環境モニタリング機器
検討会の様子

ICT機器を活用したイチゴの生産性向上~生育・環境・収量の相関を紐解き、栽培管理の改善へ~

施設園芸農業で高収量を実現するためには、施設内の環境を適正に管理することが重要です。しかし多くの場合、施設内管理が各農家の経験や勘に基づいて行われており、どの時期のどのような管理が収量に影響しているのかが明確ではありません。
そこで当課では、環境モニタリング装置を高収量農家2名と若手農家3名に設置し、定期的な生育調査も行いながら、分析に必要なデータの収集を一昨年から開始しています。
昨年から本年にかけては、施設内環境データと生育・収量データを月ごとに整理し、栽培終了後の8月28日には革新支援専門員、営農指導員、農家で個々の栽培管理について多角的に分析を行いました。データだけでは読み取ることができない水分調整等の管理については、併せて農家の考えも聞き取りしながら、一つ一つ丁寧にデータを解析していきました。その結果、高収量につながっている管理技術や農家ごとの改善点が明確となり、農家からは「今まで経験に頼っていた部分が可視化されることで自身の改善点が分かった」「環境モニタリング装置を積極的に活用していきたい」といった声が聞かれました。   
当課では、他産地での活用事例も参考にしながら、環境モニタリング装置を農家が積極的に活用し、データに基づいた栽培を行えるよう、今後も引き続き本取組みを進め、安定した高収量の確保へつなげていきます。

2023年10月

出発前トラックと梨部会員
台湾輸出される吉野梨

JAやつしろ吉野梨、台湾へ向けて出発~JAやつしろ吉野梨、台湾輸出出発式開催~

8月25日に、JAやつしろ吉野果実選果場で農家や関係機関30名程度参集の下、吉野梨「新高」の台湾への輸出出発式が開催されました。今年の「新高」は、開花が早かったため生育は平年より早く、天候にも恵まれ大玉の果実となりました。9月29日の中秋節に向けて4回出荷し、30t程度が輸出される予定です。
JAやつしろ永田梨部会長から「コロナ禍の影響もあり、5年振りの出発式の開催。今年で20周年の節目を迎える輸出は、農家にとってなくてはならないものとなった。」と挨拶がありました。
9月12日~14日にはJAの梨部会員と関係機関が台湾を訪れて、5年振りとなる台湾での試食宣伝販売会も予定されています。
近年の温暖化による生理障害の発生等で「新高」は栽培しにくくなっていますが、輸出量を確保していくために当課では、関係機関と連携して新たな担い手の確保等、様々な課題解決に取り組んでいきます。

2023年10月

吉野果実選果場(氷川町)の研修の様子
(株)アグリ日奈久(八代市)の研修の様子

4年ぶりに開催。城南5地域の「城南ブッロク農業経営同友会研修会」

9月1日(金)に「城南ブロック農業経営同友会研修会」を4年ぶりに開催しました。
この研修会は八代、芦北、球磨、宇城、天草の5地域の県農業コンクール大会参加者や指導農業士で構成された地域農業経営同友会が連携して毎年開催されていましたが、コロナ感染症の影響により開催が延期されていたため、今回は4年ぶりとなりました。
本年度は八代地域での開催となり、当日は65名が参加し、輸出20年を迎える吉野梨の選果場と令和3年度に秀賞を受賞した地域営農法人(株)アグリ日奈久の現地研修を行いましました。その後の交流会では、各地域の会長から地域の現状や活動状況の報告等があり、盛会な研修会となりました。
参加者からは「隣の地域なのに今日初めて知ったことがあった」、「近い地域だからこそわかり合える」など研修会に参加して良かったとの声が聞かれました。来年度は球磨地域が担当で、皆さん楽しみにしている様子でした。

2023年10月

新規就農者の自己紹介
集合写真

令和5年度八代地域新規就農者激励会を開催

令和5年8月23日(水)に県南広域本部で、新規就農者激励会を開催しました。(R5年度の就農予定者24名のうち9名の出席。)
第1部の全体研修では、まず、県南広域本部、市町、JAから、支援制度等について説明が行われた後、先輩農業者2名の就農体験発表がありました。先輩農業者からは、就農時の失敗や就農時に気を付けた点、記録の取り方等参考になる事例の紹介があり、新規就農者達は、熱心に耳を傾けていました。
つぎに、第2部の分科会では、トマト、イチゴ、露地野菜、土地利用型作物に分かれて、関係者(市町、JA職員、先輩農業者、4Hクラブ員、指導農業士、就農支援アドバイザー、広域本部職員)と意見交換を行いました。活発な意見交換を通じ、新規就農者達は、それぞれがもつ就農にあたっての疑問や不安を解消することができたようでした。
参加者した新規就農者からは、他の新規就農者と友人となり、先輩農業者に質問や様々な助言を受けることができたとの声が聞かれました。
今後、当課は、関係機関と協力しながら、これら新規就農者の経営安定化や定着に向けた個別指導・支援を行っていきます

2023年8月

情報交換会の様子

第1回「八代地域営農法人情報交換会」の開催

管内の地域営農法人が抱える課題の共有化と解決の糸口を探ることを目的に、第1回目となる「八代地域営農法人情報交換会」が8月7日に開催され、懇親会を含めて大いに盛り上がり有意義な会となりました。
これまでに管内では13の地域営農法人が設立しており、そのうち氷川町では連絡協議会が組織されているものの、八代市管内の法人は横のつながりがほとんど無い状態でした。当課から関係機関に組織化を働き掛ける中、現場からも近年の燃油・資材費高騰、高齢化や労働力不足等への不安を訴える声が高まり、それに応えて今回の開催となりました。
情報交換では、参加者から、人手不足や役員への負担増といった運営の悩みが語られると共に、低迷する米価やインボイス制度への批判等、皆が抱えている不満が次々に飛び出し、会場は重たい空気に包まれました。
しかし、その後の基調講演において、株式会社農テラス代表取締役の山下弘幸氏からエネルギーを受け取った会場は、一転元気を取り戻しました。懇親会においても、「設立当時のポジティブな感情が蘇った」、「せっかく立ち上げた法人だから守っていかねば」といった前向きな意見が多く聞かれました。
今回の情報交換会は、法人にとっても、関係機関にとっても大切な一歩となりました。農業普及・振興課としても、法人が抱える課題解決の一助となるよう、今後も会の継続と運営を支援していきたいと考えています。

2023年8月

会議の様子
現地視察の様子

STGs(Sustainable Tyusankan Goals)の実現に向けて

八代地域では、持続可能な中山間地域農業を目指す地区として、鶴喰地区、五反田地区、泉町西部地区、二見野田崎地区をモデル地区に設定しています。
7月20日(木)に、市町、JA、県で構成される中山間地域農業プロジェクトチーム会議を開催し、各モデル地区におけるこれまでの取り組み状況についての情報共有と今後の活性化に向けた支援についての協議を行いました。会議の後は、今年度最終評価を行う2地区(五反田地区、泉町西部地区)の現地視察をしました。
これまでの支援を通じて、アスパラガス等の高収益作物の導入や耕作道整備による作業の効率化、機械の共同利用によるコスト削減といった顕著な成果が出てきており、これからは成果の中山間地域全体への波及を検討していく必要があります。また、担い手の確保やイノシシ、シカ等の鳥獣被害対策等の残された課題については、地区の方々とともに実情に合わせた振興策を考えることが重要です。
農業普及・振興課では、持続可能な中山間地域農業の実現に向けて、関係機関と連携して、モデル地区農業ビジョンが達成できるよう支援していきます。

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