八代エリア

八代地域は八代市、八代郡を所管しています。県のやや南に位置し、八代海と九州山地との間に位置し、東西に流域を持つ球磨川と氷川等からの土砂の堆積によりできた三角州が基部となり、江戸時代初頭からの干拓事業により形成された西の平野部と、九州山地の脊梁地帯を形成する東の中山間地域からなっています。
平坦地域では、水稲、いぐさ、野菜、花きなどの多彩な作物が生産されており、これらを組み合わせた複合経営や施設野菜(トマト、メロン、イチゴ)の専作経営が行われ、「はちべえトマト」で知られる冬春トマトは、日本一の産地となっています。
近年は、ブロッコリー等の露地野菜の作付面積が年々増加、また、飼料用稲は、農作業受委託組織による組織的な生産により県下有数の作付面積となっています。
中山間地域では、立地条件を活かした農業が営まれ、ショウガ、なし、晩白柚、茶などの産地が形成されています。

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県南広域本部 農林水産部 農業普及・振興課

〒866-8555 八代市西片町1660

電話:0965-33-3462

FAX :0965-33-4540

八代エリア普及現地情報

2024年7月

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意見交換の様子
意見交換の様子

鳥獣害対策について先進事業者と意見交換

八代地域は、中山間地域でのイノシシやシカなど獣類による被害が増加しており、収穫減や営農意欲の減退等深刻な問題となっています。特に、担い手不足や高齢化が進む中山間地域では、担い手確保や耕作放棄地解消に向けた対策と併せて、鳥獣害に対する地域ぐるみの対策を強化していく必要があります。
当課では、昨年度管内の中山間農業モデル地区4地区を対象として、共通の課題である鳥獣害対策の講習会を開催しましたが、今年度はこの取り組みをさらに加速・拡大させていく予定です。そのため、5月27日に、くまもと☆農家ハンター宮川氏と稲葉氏を訪ね、鳥獣害対策の基本的な考え方や、同対策の今後の展開について意見交換を行いました。
意見交換では、鳥獣害対策は単体として重要であることはもちろんですが、地域ぐるみで取り組むことで、地域活性化にもつながっていくという農家ハンターの取り組み姿勢が印象的でした。
当課では引き続き、中山間地域農業の課題解決に向けた支援を通じて、持続可能な中山間地域農業の実現に取り組んでいきます。

2024年7月

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会議の様子
水稲2番穂に飛来したカモの大群

カモから野菜を守れ!~まずは対策会議から~

八代地域は渡り鳥の通り道になっており、秋頃に飛来したカモ類は、稲刈り後の株から生えてくる2番穂(ひこばえ)やブロッコリーなどの露地野菜を食べながら春先まで生息するため、冬場の農作物被害が多発しています。
被害を防ぐためには、カモ類の飛来を防ぐことや地域に留まらないようにするための対策が必要で、餌となる2番穂や野菜残渣を処分したり、圃場や水路へのテグス設置や夜間のレーザーライト照射など、複合的にストレスを与える環境を作り、カモに安心できる餌場として認識させないことが重要です。
そこで、当地域では令和2年度にJAや市町、共済組合と県で組織する八代地方鳥類被害防止対策連絡協議会を立ち上げ、講習会や2番穂すき込みの実証展示ほ設置、対策資材への補助などの被害防止対策に取り組んでいます。その結果、被害額は年々減少し、令和4年度の鳥類被害額は前年と比べ約30%減少しました。
今年度も4月から協議会の会議を毎月開催し、昨年度の被害状況の共有や今年度の対策について検討しています。更なる被害軽減に向け、広報や会議等での啓発活動や講習会の開催、広範囲での実証展示圃の設置などを通じて、関係機関が一丸となって地域ぐるみで被害防止対策に取り組みます。

2024年7月

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手炒り釜茶体験ブース
手炒り釜茶体験の様子

昔ながらのお茶づくりを体験

県内有数の茶産地である八代市泉町では、6月2日に「第19回平家いずみお茶まつり」が開催されました。今回は4月に開駅した道の駅「秘境の郷いずみ」が会場となり、多くの来場者で賑わいました。
会場にはお茶に関する体験ブースが設けられ、泉町茶業振興協議が今年も手炒り釜茶体験コーナーを設営しました。手炒り釜茶は、大釜で茶葉を炒り、手でお茶を揉み込む工程を繰り返しながら作るお茶で、昔は茶樹を生垣にしていた家が多かったため、各家庭で作られていました。
手炒り釜体験は毎年大盛況のため、当課もスタッフとして体験のサポートを行いました。当日はお子様からご年配の方まで多くの方が参加し、「昔家族みんなで作っていた釜炒り茶が懐かしい」、「早く作ったお茶を飲んでみたい」、「大変だけど楽しかった」といった声が聞かれました。
今後もこのようなお茶の魅力を発信する活動について支援し、いずみ茶の認知度向上と更なる消費拡大に向けた活動を進めていきます。

2024年7月

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講習会の様子
ナス栽培ほ場の様子

中山間地での稼げる農業を目指して~当地域初の夏秋ナス栽培講習会の実施~

八代市二見地区では、中山間地特有の豊富な水資源と平坦部より冷涼な気候を生かした露地での夏秋ナス栽培が行われています。
これまで、各農家が独自の栽培方法で夏秋ナスを栽培しており、各時期での栽培管理のポイントや、適期の病害虫防除法が分からず品質や収量低下につながっている問題がありました。
これらの問題を解決するため、当課では、関係機関と協力し、5月23日に30名参集の下、講習会を実施しました。会の中では、定植後からの生育が良好に進むよう、今後の栽培管理のポイントや各病害に適した防除法について指導を行いました。
講習会終了後にアンケートを実施したところ、参加した生産者からは、「毎月、講習会を実施してほしい」「大変勉強になった」等の前向きな意見が得られました。
今後は、栽培技術の指導のみならず、中山間地で問題となっているイノシシや鳥類による作物被害防止に向け鳥獣害対策も併せて行っていきたいと考えております。
引き続き、関係機関と連携しながら、生産現場のニーズに沿った支援を行ってまいります。

2024年7月

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啓発活動出発前の打合せ
周知活動中(広報車)の状況

トマト黄化葉巻病対策の呼びかけ~コナジラミがハウスから逃げ出さんごつ、ごろっ蒸しこんで~

日本一のトマト産地である八代地域では、トマト黄化葉巻病を媒介するタバココナジラミの防除が課題となっています。
ウイルスを次作に持ち込まないために、産地では①前作は6月25日までに収穫を終了する、②6月末までに片付けを完了する、③次作は8月15日以降に定植を開始することを生産者申し合わせ事項として取り決め、地域全体でトマトの栽培が無い期間を設けています。
また、地域一体となったタバココナジラミの防除徹底にも取り組んでおり、令和5年産の栽培終了が間近の6月上中旬に、関係機関(JAやつしろ、八代市、氷川町、県南農業普及・振興課)による、トマト黄化葉巻病対策としてのタバココナジラミ防除対策の啓発活動を5月29日、6月5日、6月12日に実施しました。
啓発活動は、トマト、ミニトマト、メロンが栽培される地域を北部と南部の2班に分け、昨年度好評だったMEGさん(ラジオパーソナリティ)の八代弁による防除徹底の呼びかけ音声による広報車で実施しました。すれ違った生産者は手を挙げて反応を示してくれるなど、タバココナジラミ防除対策が浸透しているようでした。
当課では、関係機関と連携しながらタバココナジラミ防除対策指導を徹底し、引き続きトマト黄化葉巻病の抑制に努めます。

2024年7月

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連携会議の様子
新規就農者の推移

新規就農者を増やせ!八代地域新規就農・雇用就農連携会議の開催

昨年度の八代地域の新規就農者は新規自営が19名、新規雇用が26名で、近年減少傾向にあります。
八代地域では、新規就農連携会議を平成29年に設置し、新規自営者の経営安定や早期の定着を支援してきました。今年度は、それに加え、八代地域に多い雇用型農業を支える新規雇用者の増加を支援するための雇用就農連携会議も同時に5月15日に開催しました。
新規就農連携会議では市町やJA、農業者組織の代表など17名が出席し、関係機関の支援策の共有化や新規就農者激励会開催内容などの検討を行いました。
それに続き、雇用就農連携会議では、管内の2つの農業法人に加わってもらい、雇用の状況や日本人雇用者への期待等について意見交換を行いました。
新規就農者等が減少する中での、末端までの情報提供の方法などについて、活発に協議がなされました。当課では、連携会議での意見を踏まえ、今年度は、新たに新規就農者向けのリーフレットを作成し、関係機関の広報誌でPRしながら、新たな地域農業の担い手の確保を進める予定にしています。

2024年6月

アグリシステム総合研究所での花摘みの様子
採取できた粗花粉

令和6年産吉野梨の生産に向けた花粉確保の取り組み~ナシ切枝加温による花粉確保の事例~

中国からの輸入花粉停止に伴い、ナシの花粉確保に向けた花粉採取の体制づくりに取り組んでいます。
まず、当面の課題であった開花の早い品種の花粉確保の中で、八代・球磨管内から採取したナシ「豊水」、「新興」の切枝を加温する施設として、アグリシステム総合研究所、果樹研究所、農業大学校のハウス施設を準備・提供し、また農家自ら花粉確保ができるよう事業を活用し開葯機等の採取機材の整備も併せて行いました。
令和6年産花粉は粗花粉約5㎏を採取でき、開花の早い品種に必要な量は十分に確保することができました。また、開花の遅い品種については、農家が自園で花粉採取しながらの人工授粉や部会内での花粉の融通により、花粉不足で交配ができない状況はありませんでした。また、当課では継続して、採取花粉による着果状況や肥大状況について追跡調査しています。
本年産は天候不順で交配できる日が限定されたこともあり、着果は全体的に並~やや少ない状況ですが、開花期(3月25日~4月5日頃)は授粉を適時実施されています。今後は着果した果実が順調に生育するよう薬剤防除など栽培管理の徹底を呼び掛けています。
令和7年産以降、花粉の自家採取の徹底と優良受粉樹の植栽(開花の早い横山梨・ネパール梨等)により、生産者が花粉確保を自力で行っていけるような体制づくりの確立と併せて国産花粉購入など県内外の梨産地との連携も視野に入れながら、当課では持続可能なナシ産地づくりに取り組んでいきます。

2024年6月

八代産メロン3品種の果実
6個体の食味検査

糖度16度超!八代産メロンの品質は今年も良好!

八代地域では、4月下旬から春メロンの出荷が始まり、クインシーは5月中旬に、アールス系と肥後グリーンは6月上旬に出荷の最盛期を迎えます。
出荷最盛期に向け、メロンの外観、糖度、食味の品質を評価する査定会を5月9日に実施し、当日は八代産の3品種に加え、県外2産地からも3品種を加えた、合計6品種による評価を行いました。
本年は降雨が多く、晴天が少なかったことから、生育だけでなく着果状況や果実肥大、品質への影響が心配されましたが、査定会当日の八代産メロンは最高糖度も16度以上であり、生産者の高い技術力により外観、糖度、食味のいずれも良好で高品質を維持できていました。
八代産メロンの出荷は、6月下旬まで続く見込みであるため、当課では引き続き関係機関と連携しながら、病害虫防除など栽培管理の周知を図り、安定した高品質のメロンを出荷できるよう支援を行っていきます。

2024年6月

ほ場でメロンの生育を確認する市場関係者
令和6年産メロン出荷協議会

生育順調!メロンの本格出荷に向けて市場との意見交換

本県メロンの栽培面積は、近年減少傾向となっていますが、出荷量と産出額は全国第2位と本県農業の重要な野菜品目の1つです。八代地域でも春メロン(アールス系、クインシー、肥後グリーンなど)が約55ha栽培されており、4月下旬から6月下旬にかけて本格出荷となります。
八代産メロンの有利販売に向け、4月23日に生産者、JA、輸送関係者、市場関係者、市町等総勢75名が一堂に会して、令和6年産八代地方メロン出荷協議会が開催されました。
本年は降雨が多く、晴天が少なかったことから、生育等への影響も懸念されていましたが、産地からは生産者の高い技術力により順調な生育を維持していることや出荷計画による安定供給への取組み状況が市場関係者へ伝えられ、市場からは消費地の動向や販売戦略の提案が行われるなど、活発な意見交換が行われていました。
有利販売の実現には安定した出荷量が重要なことから、全国有数のメロン産地である八代地域の生産量を維持・確保し、食料の安定供給の一翼を担えるよう、当課では現地検討会やほ場巡回等を通じ、関係機関と連携しながら支援を行っていきます。

2024年6月

製造研修会
摘採の様子

新茶シーズン到来!お茶の収穫が始まりました

八代市泉町では、地域の基幹作物として茶が約25ha栽培されており、山間地の寒暖差を活かした良質なお茶が生産されています。お茶農家は小売り販売が中心で、各農家こだわりのお茶が楽しめるのが地域の特徴です。
新茶のシーズンを前に、4月17日に泉町茶業振興協議会の製茶研修会が県農業研究センター茶業研究所にて開催されました。研修では、松田会長の茶園で収穫された「おおいわせ」の新芽75kgを使用し、同協議会員を含め12名が今年の茶葉の状態や製造感覚について確認しました。松田会長からは「今年も良質ないずみ茶生産に向け、頑張っていきましょう」と会員へ力強いエールが送られました。
当課としても、良質な茶葉の安定生産に向け、栽培講習会や検討会の開催を通じて支援を行っていきます。

2024年4月

試験結果説明会の様子
食味検討会の様子

トマト・ミニトマト有望品種の特徴を共有

八代地域では、トマト・ミニトマトの最新品種に関する情報を把握し、産地に適する品種を検討するために、毎年、一般社団法人熊本県野菜振興協会八代支部主催により、県、市、JAで協力して品種比較試験を実施しています。ここで得られた試験結果は、各生産者が次作の品種選択を行う際の有効な判断材料となっています。本年はトマト7品種、ミニトマト5品種を試験しており、収量、生育、食味に関する調査を実施しています。
この試験結果をトマト類生産者等へ情報共有するために、八代地方トマト・メロン販売連絡協議会主催のもと、3月29日に実績検討会が実施されました。会議には、生産者代表25人の他、JA、八協連、JA熊本経済連、市町、農業普及・振興課等が出席し、総勢42人で情報共有を図りました。農業普及・振興課からこれまでの試験結果を報告し、参加者はトマト、ミニトマトの食味検討を行いました。生産者からは、「各試験品種の開花日は分かるか?」等の質問がありました。
農業普及・振興課では、JA、市と連携し、収穫が終了する6月まで調査を継続し、品種の特徴を把握して産地を支援していきます。

2024年4月

生産者「nimaruJA」入力の様子
いちごパッケージセンターの様子

いちご集出荷体系のデジタル化への挑戦

当地域では、集荷所への持込み量が集中した際に、荷受け処理に時間がかかり混雑することや天候により出荷量が大きく変動した際の輸送トラックの調整が難しいという問題があります。この原因として、生産者が持込み量を紙伝票に記入し、これを荷受け担当者が検品するという紙ベースでの出荷作業であることや、担当者の経験や勘に基づく輸送トラックの手配であることがあげられます。
これらを改善するため当地域では、和鹿島いちご部会、いちごパッケージセンター利用組合においてシステム「nimaruJA」を活用したいちご集出荷体系のデジタル化について実証しています。
実証では、生産者が事前に持込み量を入力し、その情報を見ながら荷受け担当者は
入荷量を検品することで、荷受け作業時間は約3割と大幅に短縮しました。また、入荷量の事前把握ができるため輸送トラックの手配が容易となりました。
当課では、引き続きいちご生産現場におけるDX化を関係機関と協力しながら推進し、他品目・他部会への波及も見据えながら、現場の問題解決に向けて挑戦していきます。

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