上益城エリア

上益城地域は上益城郡を所管しています。熊本県の県央地域に位置し、熊本市に隣接する平坦地から九州山地の山間地まで広がっており、比較的温暖な地域から冷涼な地域まで、地形的にも気象的にも変化に富んだ地域です。平坦地域では米・麦・大豆の土地利用型作物やスイカ、ニラ、スイートコーン等の野菜、カキ、ミカン、クリ等の果樹、トルコギキョウなどの花きが、中山間地域では米のほか、トマト、ピーマン、キャベツ、イチゴなどの野菜、クリ、ブルーベリー、ユズ等の果樹及び茶など多様な品目が生産されています。畜産では酪農、肉用牛、養鶏及び養豚経営が点在し、中山間地域を中心に繁殖牛経営が行われています。

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県央広域本部 上益城地域振興局 農業普及・振興課

〒869-0532 上益城郡御船町辺田見396-1

電話:096-282-3010

FAX :096-282-0303

上益城エリア普及現地情報

2024年9月

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現地検討会の様子
現地検討会の様子

“くまさんの輝き”極良食味米の生産に向けて現地検討会を開催

上益城地域では、県育成品種である「くまさんの輝き」の生産が盛んに行われており、県内有数の生産地です(令和5年産作付面積:503ha)。生産者の関心も高く、今後も「くまさんの輝き」の作付面積拡大が見込まれており、高品質良食味米の生産に向けた技術の普及が求められています。上益城地域では、令和5年度より生産者(山都町島木地区)、農協、普及の3つからなる「上益城地域くまさんの輝き特A獲得プロジェクトチーム(以下、上益城特APT)」を立ち上げ、「くまさんの輝き」の魅力の1つである良食味を引き出す栽培技術について検討しています。
本年産の水稲も7月末には「中干し」や「穂肥施用」の時期にあたるということで、7月23日に生産者、JA、他地域普及員を対象とした「中干し」と「穂肥診断」についての現地検討会を開催しました。
検討会では、上益城特APTで実施している展示ほの目的や試験内容、これまでの栽培管理について説明を行ったほか、生育データをもとに現地の栽培ほ場を確認し、中干しと穂肥の時期について意見交換を行いました。参加者からは中干し開始の茎数の目安や実施期間・程度、穂肥後の水管理等、多数の質問があり、非常に有意義な検討会となりました。
今後も定期的な生育状況の確認を行う等、生産者や関係機関との連携を密にしながら、「くまさんの輝き」生産拡大と極良食味米生産に向けた支援を行っていきます。

2024年9月

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写真1 出荷規格を確認する生産者
写真2 優良系統の選抜の様子

ホオズキの出荷と次作に向けた優良系統選抜

上益城地域の山都町では冷涼な気候を活かして、8月盆向けのホオズキが栽培されています。今年は5戸の生産者が栽培しており、3万2千本(前年比120%)の出荷を見込んでいます。
そこで、7月27日からの出荷にあわせて、出荷査定会を7月25日に行いました。査定会では、市場が求める品質に応えられるよう生産者、関係者全員で出荷規格を確認しました(写真1)。農業普及・振興課からは、出荷調整時に使用するハサミ等の衛生管理や鮮度保持剤の利用について指導し、ホオズキの日持ち向上を図りました。 
また、ホオズキ栽培では出荷後すぐに次作の播種・育苗が始まります。栽培中のホオズキから優良株を選抜し、実を充実させるため収穫せずに管理した後、8月中旬に種子を採種します。そのため、出荷直前の7月22日、農業普及・振興課とJAで全戸を対象にした優良系統選抜を行いました(写真2)。実の形や着色が良好で、着果数が多いもの等を基準に各ほ場から10株程度ずつ選抜しました。今後、各生産者が採取した種子を農業普及・振興課で乾熱処理を行い、生産者に配布する予定です。
これからも関係機関と連携しながらホオズキ産地の育成に取り組んで参ります。

2024年8月

集荷方法等の説明
果実選別

JA阿蘇蘇陽支所ブルーベリー部会出荷査定会の開催 九州随一の産地で良質果実生産を支援

JA阿蘇蘇陽支所ブルーベリー部会出荷査定会は、「収穫時の熟度の見分け方」、「病虫害被害果やワラ等を混入させない家庭選果の徹底」、「生産者が集荷場で行う厳正な検査方法の周知」等を目的に毎年開催されています。また、それらの申し合わせ事項は、「ブルーベリー出荷心得」でまとめられ、その結果、九州随一のブルーベリー産地として、61名の生産者が12haで生産し、主に加工用向けに年間32トンの良質なブルーベリーを出荷しています。
査定会では、JA営農指導員から、家庭選別での注意点、集荷場への持ち込みの形態や集荷時間変更等の留意事項の説明が行われ、次いで、農業普及・振興課から、生育状況と一部の園で発生している病害への留意点を説明し、併せて、当産地のブルーベリー栽培が先駆者による地域適正立証などの苦労の上に40年を超える九州随一の貴重な産地が形成されていることを伝えました。
参加した部会員からは、「改めて、当産地が九州随一の産地であることを実感し、これからもブルーベリーの生産を頑張りたい。」と実践への意欲的な声が聞かれました。
農業普及・振興課では、部会員のブルーベリー生産への意欲が高いことから、今後もJAとともに銘柄産地が続くよう剪定、施肥、病害虫防除、適期収穫等の基本管理の徹底への支援を行っていきます。

2024年8月

山都町茶品評会における審査

熊本県荒茶品評会において山都町から3点の入賞!~伝統ある品評会あっての山都茶~

6月27日に開催された熊本県荒茶品評会において、山都町から出品された茶が、蒸製玉緑茶の部で2点、釜炒り茶の部で1点入賞しました。
山都町の茶業は、160戸の生産者が158haで生産され、年間62tが出荷される県内有数の茶産地です。また、荒茶品評会に対し積極的な地域でもあり(令和6年度熊本県荒茶品評会出品数33点中17点が山都町より出品)、地域の生産者は毎年入賞を目指し、出品茶の生産に取り組まれています。
そこで、農業普及・振興課では、令和6年度に行われる各荒茶品評会における山都町からの出品茶の入賞に向け、良質な出品茶の製造には前年の夏場の茶園管理が重要であることから、令和5年8月に初めて山都町およびJAかみましきの担当者とともに茶園を一斉巡回し、生産者との意見交換を行いながら管理指導を行いました。生産者からは肥料や深耕の時期、整枝の方法等について質問があり、茶園管理の充実が図れたと思われます。その後も10月、3月、4月と、良質茶の生産に重要な時期に一斉巡回指導を行ったほか、出品茶の製造や調製にも立ち会い、良質な出品茶製造に向け取り組んできました。
今回の結果を受けて、農業普及・振興課としては、引き続き良質な茶の生産に向け生産者への指導を行っていきたいと思います。また、山都町では、山都町茶振興会主催で30年以上続く山都町茶品評会があり、このことが出品意欲にもつながっていると思われます。そこで、農業普及・振興課では、この伝統ある品評会がいつまでも開催されるよう、山都町とともに担い手の育成にも取り組んでいきたいと思います。

2024年8月

出荷基準の説明をうける生産者
ミニトマトパック詰め確認状況

山都町蘇陽地区夏秋野菜出荷査定会(JA阿蘇)で生産・販売目標を確認

農業普及・振興課は、JA阿蘇と連携し、蘇陽地区野菜の現地検討会や個別ハウス巡回等で生産向上支援を行っています。
そのような中、夏秋野菜が本格出荷を迎え、JA阿蘇の出荷者36戸4品目(ミニトマト、中玉トマト、ピーマン、軟弱野菜)9.1haの生産・出荷について合同出荷査定会が6月25日に開催されました。
開会挨拶の中で運営会長から、基本方針である①農薬の安全使用基準遵守、②基本管理の徹底及び選別の徹底による品質確保の確認がなされ、JA阿蘇からは春野菜に引き継き良好な販売となるよう尽力する旨の挨拶、農業普及・振興課からは本年の病害虫発生の情報提供と集中豪雨に備えた排水対策の確認を行いました。
また、取引市場(熊本県2社、鹿児島県1社)からは、高品質な夏秋野菜出荷への期待の声とともに1円でも高く売る努力をし、資材価格高騰の助けとなりたいという意欲的な発言がなされました。
実際の出荷物の査定では、参加者はJAによる出荷査定を市場担当者と一緒に真剣に確認し、出荷者からは、「秋まで長期にわたり高品質出荷できるよう、生産も出荷選別も努力したい」という声が聞かれ、有意義な出荷査定会となりました。

2024年7月

茶摘みの様子
手もみによる茶製造の様子

茶摘みと茶製造の体験活動支援を行いました

山都町の茶業は、160戸の生産者が158haで生産され、年間62トンが出荷される県内有数の茶産地です。
山都町の清和小学校では、茶の産地としての理解醸成と地域の魅力に触れ親しんでもらうことを目的に、茶摘みと手もみによる茶製造の体験活動を、小学1、2年生児童を対象に実施されています。農業普及・振興課では、活動の支援を通じ、教育機関との連携によるお茶の魅力体験活動を実施しました。
はじめに、小学校の先生から、矢部茶のペットボトルの茶は地元の茶葉からいれていることの説明を行い、児童の興味を惹かせました。その後、当課から茶葉にはいろいろな種類があること、すべての種類が同じ茶葉から作ることができることを説明しました。また、校庭のどの樹が茶の樹か、どのような色の茶葉を摘んでいいのかを説明をし、児童に茶摘みを体験してもらいました。茶摘みや手もみによる茶製造を体験した児童からは、「とても楽しかった」などの感想が寄せられ、一生の思い出となる貴重な体験になったと思われます。
近年は、地域の指導者の高齢化やコロナ禍により活動を中止していましたが、今回の再開により児童が地域の魅力として茶に触れたことによって、日々の生活の中で茶を飲むことに興味を持ってもらえたらと思います。
農業普及・振興課では、教育機関との連携活動に対し、これからも積極的に支援を行っていきます。

2024年7月

現地検討会の様子
講習会の様子

産地の中核を担う儲かるトマト農家の育成

山都町では夏の冷涼な気候を生かした夏秋トマトの栽培が盛んに行われており、JAかみましきトマト部会では今年も89名の生産者が38haの雨よけハウスで栽培に取り組んでいます。
このような中、梅雨入り前の5月27日から31日にかけて、7つの地区ごとにJAとともにトマト部会の現地検討会を開催しました。検討会では初めに参加者全員でほ場巡回をし、他の生産者の栽培や生育状況の確認、生産者間での情報交換を行いました。巡回後に種苗会社から品種特性に合わせた栽培管理全般を、JAから施肥管理や防除、生育診断について講習を行いました。農業普及・振興課からは、例年一部の圃場で病害の多発生による栽培後半の草勢低下がみられ、減収につながっていることから、梅雨期を中心とした病害の予防防除を重点的に説明しました。
これから梅雨期の日照不足や梅雨明け後の高温期を迎えることから、かん水、追肥や摘果などの細かな栽培管理が必要となります。当課ではJAと連携しながら現地検討会や講習会、また、ほ場の巡回を通して増収による産地の中核を担う儲かるトマト農家の育成に向けた支援を実施していきます。

2024年7月

柚子園
かぶさり枝の剪徐

緊急!柚子部会着果対策講習会の開催県内一産地での良質な柚子生産の支援

JAかみましき柚子部会では、28名の生産者が13haで良質な柚子を生産し、県内一の柚子産地として加工用向けに年間200トンを出荷されています。
今年産の着花が前年の2~3割程度と、例年になく少ないことから、着果対策として緊急に講習を5月22日に開催しました。
講習会には、部会員のほとんどである25人が参加し、冒頭、部会長から、「緊急に着果対策の講習を行うので、各自、自分の園で実施してほしい。」と意識統一に向けた挨拶がありました。JA営農指導員から5月2日の着花調査で着花が少ない状況であること、農業普及・振興課から6~8月にかけて気温が平年より高くなる見込みであるため、作業中の熱中症に注意することを説明し、実習では、着果の少ない樹を用いて、着果部周辺のかぶさり枝や強い新梢を剪徐し、果実へ光合成生産物を集積し、着果を促進させる方法の実演を行いました。
参加した部会員からは、「今日、教えてもらった着果部周辺の新梢の剪徐をやってみよう。」、「着果の少ない樹の隔年結果防止の方法を教えてほしい。」と実践の声が聞かれました。部会員の要望を踏まえ、7月に着果対策の講習会を行うこととしました。
農業普及・振興課では、部会員の柚子生産への意欲が高いことから、着果が少ないピンチを乗り越えるため、JAとともに技術的な支援を行っていきます。

2024年6月

摘採指導の様子

高品質な新茶が今年も消費者に届きますように

上益城管内では、4月22日ごろから一番茶の摘採が始まりました。今年は2月の気温が平年と比較して高く推移したことから、萌芽が早くなり霜による被害が懸念されていましたが、3月以降大きな冷え込みがなかったことから霜の被害もなく、摘採時期も例年通りの時期となっています。一方で、3月下旬から4月上旬にかけて雨の日が多く、その後も断続的に降雨があったことから、雨の合間をぬって、管理・摘採作業が行われています。雨に濡れた茶葉での製造は品質低下の原因となることから、生産者は天気予報を見ながら高品質の茶生産に取り組まれています。
農業普及・振興課では、3月下旬ごろから茶園や生産者宅を巡回し、病害虫被害の発生状況、摘採に向けた管理方法、摘採時期、被覆の開始時期等について指導を行ってきました。また、荒茶製造にも立ち会い、製造方法や今後の茶園管理方法等についても指導を行っています。
併せて、管内の茶の主産地である山都町では、昨年度から普及、町、JAかみましき及びJA阿蘇の担当者が毎月打ち合わせを行い、生産振興に向けた取組みを検討しています。生産者が製造した高品質な茶の魅力が消費者に伝わるよう、関係者一体となって取り組んでいます。

2024年6月

JAかみましき柿部会「太秋」摘蕾講習の開催

4月19日、JAかみましき柿部会14人が参加し、大玉生産に重要な管理である摘蕾の講習会が開催されました。冒頭、部会長から、「「太秋」の令和5年産が小玉傾向だったことを踏まえて、令和6年産は大玉を目指し、早期摘蕾として1結果枝1蕾にする摘蕾を行ってほしい。」と挨拶があり、その後の摘蕾実習では、5月上旬頃と予想される開花の始まりまでに、雌花を1結果枝に1蕾にする摘蕾を優先し、次に、作業の進捗状況を見ながら、雄花の摘蕾及び摘花を行う方法が行われました。
その後、部会員から、「雄花の摘蕾は、雌花の摘蕾と一緒に行うべきではないか。」という意見が出されましたが、JA営農指導員から「昨年、雄花の摘蕾を行ってみたが、果実肥大への影響が明らかにならなかった。一方、雄花の摘蕾をすることで、養分の流れが雌花へ集まることが推測されるため、開花までの限られた時間では、とにかく雌花の摘蕾を実施してもらいたい。」と説明がなされ、皆で摘蕾に取り組むことが確認されました。
以上のとおり、部会員の高齢化は進んでいるものの、「太秋」の生産への意欲が高いことから、昨年の生産量の17tから20tへの飛躍が期待され、農業普及・振興課では、営農指導員とともに今後も活力ある「太秋」の産地を支援していきます。

2024年6月

上益城農業経営同志会総会・研修会の開催

4月12日、上益城農業経営同志会会員20経営体25人が参加し、総会を開催しました。同志会は、2021年11月に上益城農業経営改善同友会と上益城地方指導農業士連絡協議会を再編した組織で、年3回の研修会の開催、県立農大生等の研修生の受け入れを実施しています。
昨年は、7月の豪雨で農地等が被災した会員もいて、同月に予定していた庭先研修会を中止としました。会員の状況に応じて、相互の交流や資質向上につながる研修を実施していく計画です。
総会終了後は、令和5年度熊本県農業コンクール経営体部門、新人王部門参加者よる事例発表を行い、農業経営の概要、活動状況等を報告され、研修会後の懇親会では、同志会会員と活発な意見交換がおこなわれました。
農業普及・振興課では、今後も活力ある上益城農業のけん引役を担う同志会と連携し、円滑な運営を支援していきます。

2024年4月

清和地区での講習会の様子
名連川地区での講習会の様子

高品質な水稲種子の生産に向けて講習会を開催

上益城地域は県内でも有数の水稲種子生産地です。昨年は7月3日の豪雨災害で土砂の流入や冠水被害があり、ほ場ではいもち病や稲こうじ病の発生が散見されました。毎年気候が変化する中で、安定的な生産を行うためには基本的な栽培管理を行うことが重要となります。そこで、今年も高品質な水稲種子を生産するため、管内4地区で栽培管理講習会を開催しました。
講習会では、育苗から移植後まで常に水管理の徹底が重要であること、移植前から病害虫防除をしっかりと行うこと、遺伝的に純正である種子を生産するために日頃から徹底した管理を行うことなどについて説明を行いました。併せて、ほ場での鳥獣害被害対策として防護柵の設置・管理について説明しました。
生産者からは、箱施薬剤の散布方法や水田での雑草対策等について質問があり、非常に有意義な講習会になったと思われます。
上益城地域で生産した水稲種子が引き続き本県の水稲生産をしっかりと支えられるよう、今後も高品質な種子生産に向け生産者や関係機関と連携して支援を行っていきます。

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