玉名エリア

玉名地域は荒尾市、玉名市、玉名郡を所管しています。熊本県の北西部に位置し、有明海に面した平坦水田地域、金峰山や小岱山の山麓地域及び北東部の中山間地域の3地域に大別され、本地域の中央を阿蘇外輪山を水源とする菊池川が南北に流れています。
主な経営品目としては、平坦水田地域を中心に施設野菜や米・麦・大豆等が、山麓地域では温州みかん・ナシ等の果樹が、中山間地域では畜産など多彩な農業生産活動が行われています。

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県北広域本部 玉名地域振興局 農業普及・振興課

〒865-0016 玉名市岩崎1004-1

電話:0968-74-2136

FAX :0968-74-2194

玉名エリア普及現地情報

2024年7月

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まなびば・たまなでの提供料理
受け取って笑顔の親子

1000人にやさしさのお裾分け~同友会による農畜産物提供~

玉名地方農業振興同友会では、令和3年度から生産した農産物等をこども食堂に寄贈する活動に取組み始め、5月14日に通算9回目となる活動を実施しました。
今回の活動では、会員4名から寄せられたトマト、にんじん、たまねぎ、キンショーメロン、LL牛乳(250ml)を、玉名市の「まなびば・たまな」と和水町の「みんなの食堂」及び長洲町の「地域食堂ビストロすてっぷ」へ提供しました。
これまでの9回の活動により、こども食堂等が開催したイベントへの参加者は、合計で1,000名を超え、多くの感謝の声が寄せられています。
この活動は現役員の発案で始まったものですが、役員改選後の令和6年度も継続して実施される予定です。同友会では、子供たちの笑顔の輪を支えに、役員以外にも寄贈活動に参加する会員が増えていくように働きかけることにしていきます。
農業普及・振興課では、今後も同友会の円滑な運営を支援していきます。

2024年7月

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選定ほ場

地域営農法人における大豆の収量向上のための土壌養分動態把握の取組み

玉名市岱明町の「農事組合法人 野口」では、約100haのほ場で水稲、麦および大豆のブロックローテーションに取り組んでいます。しかし、法人の大豆の収量が県内平均を下回っていることから、農業普及・振興課が指導し、地力の回復による収量向上に向けた取り組みを実施しています。
昨年度は、堆肥施用区と無施用区を設けて収量調査および土壌分析を実施したところ、堆肥施用の有無に加え、大豆栽培前の石灰施用の有無が大豆の収量に影響していることが判明しました。
そこで、今年度は調査対象ほ場を拡大し、堆肥施用の有無と大豆栽培前の石灰施用の有無による土壌養分の経時変化と収量を評価することとしました。当課と法人で協議を重ね、過去の堆肥投入および大豆前石灰施用の有無から、約100haのうち20ほ場を選定しました。土壌の採取は、選定ほ場の耕作者である組合員に採取方法を説明したのち、自ら採取を行ってもらうことで、土壌養分把握の必要性を認識してもらいました。現在、農業研究センター協力のもと、土壌分析を実施しています。
当課では、土壌養分の経時変化を組合員へ還元し、堆肥や石灰の適正施用量を指導することにより、大豆の収量向上支援を行っていきます。

2024年7月

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クレオメ
タバコカスミカメ

トマト・ミニトマトの天敵利用展示ほ現地検討会の開催~土着タバコカスミカメによる低コスト防除の普及に向けて~

玉名地域の冬春トマト類で各種ウイルス病を媒介し重要害虫となっているタバココナジラミは、近年、農薬感受性の低下が懸念されています。このため農業普及・振興課では、関係機関と連携し、令和3年産からタバココナジラミの天敵(タバコカスミカメ)を利用した防除を検討してきました。
令和3~4年産の検証では、購入天敵を活用した防除方法はコストが高い(3~6万円/10a程度)ため、更に安価な方法に改良する必要があると感じました。
そこで令和5年産からは天敵導入コストを低減するため、天敵誘引植物(クレオメ)を用い野外の土着天敵を収集、トマト施設内に導入した場合の防除効果を検証しています。
今回、土着天敵を利用した防除効果を見てもらうため、令和6年5月10日にトマト類生産者や関係機関を対象とした現地検討会を開催しました。会場のトマト施設は、野外のクレオメで収集したタバコカスミカメを定植前後から導入し増殖させました。施設内のトマトはタバコカスミカメの定着が確認でき、ほぼタバココナジラミの発生が無く、トマト黄化葉巻病等のウイルス病の発生も低く抑えられていました。更に、土着のタバコカスミカメを利用することで、費用が従来の購入天敵の5%程度(3千円/10a)に低減しました。展示ほ生産者からは、農薬散布回数が減って、タバココナジラミがいなくなったとの説明があると共に、参加生産者からは次作で天敵を利用した防除に取り組みたいとの声が聞かれました。
農業普及・振興課では、引き続きトマト生産の安定につながる低コストな防除技術の普及に向け支援を行って参ります。

2024年7月

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玉東町スモモ「ハニーローザ」の将来に向けて

6月2日、玉東町で第14回ハニーローザ※収穫祭が開催されました。県内外から多数の応募があり、抽選で選ばれた約220名が色づいたハニーローザの収穫を楽しみました。
ハニーローザの導入の経緯は、「ミカンの収入のない時期に収入をあげられる品目」の導入を目的に、部会で検討し、当時、新品種だったハニーローザに着目。部会で果樹研究所に勉強に行き、ハニーローザの食味に感動し、取組むこととしました。しかし、本県における栽培技術が確立されていなかったことから、栽培管理は手探りの状況でした。雨による裂果で収穫がほとんどできない年もありましたが、困難に見舞われるたび、部会や関係機関と協力し、施設の導入や検討会等で、安定して高品質果実を生産できるようになりました。併せて、部会と玉東町が協力して収穫祭を始め、ハニーローザのPRや消費者との交流を継続してきました。その結果、玉東町を代表する産品として、県内外に周知されるようになり、新規品目の導入による産地活性化の成功例となっています。
一方で、後継者のいる生産者が少なく、担い手の確保がこれからの課題です。20回の収穫祭を目指して、産地維持に向けた検討を部会を中心に始めていきます

2024年6月

研修会の様子

鳥インフルエンザ防疫研修の開催

玉名地域は養鶏が盛んな地域であり、約140万羽の家きんが飼養されています。平成28年及び令和3年には南関町において高病原性鳥インフルエンザが発生し、関係機関含め職員一丸となって後方支援にあたりました。この経験を踏まえ、当課では悪性家畜伝染病発生の際に迅速な防疫対応が実施できるよう、体制整備を進めています。
しかし、2度目の発生から2年が経ち、局内に当時の後方支援業務を経験した職員がほとんどいない状態であることから、今年度の転入者を対象として4月19日及び22日に、「鳥インフルエンザ防疫体制に係る研修会」を開催しました。
研修会は2部構成で行い、第1部では国内悪性家畜伝染病の発生状況や管内の家きん飼養状況等を説明後、DVDにより管外発生時の応援の流れを説明しました。また、第2部は管内発生時の後方支援にあたる職員を対象に、各係の業務内容等を説明し、発生時の自身の役割や動きを確認してもらいました。夏季には改めて係別の研修会を開催し、さらに詳細な業務内容の説明や意見交換を行う予定です。
管内で鳥インフルエンザが発生した際に、後方支援を円滑に実施するには、職員の意識醸成とスキルアップが必要です。当課では、今後も係別研修や防疫演習等様々な研修を行うことにより、局内の各職員及び管内関係機関が自らの役割を認識し、円滑に防疫作業のサポートができるような体制を構築していきます。

2024年6月

葉色測定会の様子
ドローンによる赤かび防除の様子

高品質小麦“プレミアムT”生産への取組みと麦類赤かび病防除徹底の周知

小麦「ミナミノカオリ」の県内有数の産地である玉名地域では、パン加工適性の高いタンパク含有率12.5%以上の小麦を「プレミアムT」(製造販売:熊本製粉(株))というブランド名で販売しています。
JAたまな及び当課は、小麦の高品質化を進めるにあたり、タンパク含有率を高めるために重要な「実(み)肥(ごえ)」の時期である穂揃い期前に、各生産者がほ場から持ち寄った株の上位第2葉の葉色と長さを測定し、ほ場ごとの適正施肥量を診断する取り組みを実施しています。今年は葉色測定会を4月3日~6日に実施し、診断結果を生産者に提供することで適正施肥量の徹底につなげました。
本年産の麦は生育が平年に比べて早いため、赤かび病の防除適期が早まっています。さらに気温が高く、雨の日が続いているため多発条件となっています。赤かび病は人畜に有害なかび毒によって収穫物の汚染を引き起こすため、JA等関係機関と連携して防除の徹底について生産者へ周知しています。
当課では、今後も関係機関と連携しながら、高品質小麦の生産振興に取り組んでいきます。

※「プレミアムT」のTは“Tamana”、“Tasty”、“Traditional”の3つの意味

2024年4月

研修会議の様子
現地検討会の様子

玉名地域鳥獣被害防止対策研修会の開催

玉名管内の野生鳥獣による農作物の被害額は、5,600万円(令和4年度)を超えており、特に、イノシシの被害は市町を超えて広範囲に及んでいます。また、近年では、干拓地においてカモによるブロッコリー・キャベツ、麦等の被害が増加傾向であり、カモ対策は喫緊の課題です。
そこで、玉名地域における被害状況や課題を共有し、広域的な鳥獣被害対策につなげるため、令和6年3月8日に関係機関担当者を参集して研修会を開催しました。
講習会では、熊本県えづけSTOP!ソリューションアドバイザーとして活躍されている㈱イノPの稲葉達也氏を講師に迎え、自分たちで対策をすることの重要性やICTを活用した捕獲等について講演をいただきました。次に、カモ被害対策を実施している玉名市の横島干拓のキャベツ畑にて検討会を実施しました。
今後は、地元捕獲隊による捕獲や防鳥ネットによる侵入防止、またレーザーライトや爆音機等複数の取組を組み合わせ、継続的に実施することで被害を少しでも減らせるよう、関係機関と連携・協力し、対策に取り組んでいきます。

2024年4月

露地ナス畝立前の滞水状況(南関町米田地区)
ショウガ種苗の貯蔵試験(和水町上久井原地区)

持続可能な中山間地域を支える園芸品目の定着を目指して(玉名) ~中山間農業モデル地区の園芸作物定着支援~

玉名農業普及・振興課では、南関町及び和水町の中山間農業モデル地区を対象に、地域営農組織の収益性の向上につなげる園芸作物の定着を支援しています。
その中で、地域の特産である夏秋ナスの生産に取り組む南関町の米田地区は、昨年、防除作業の遅れから収穫量が前年より減少しました。この背景には、作業や機械利用を共同で行う地域営農組織は、天候の変化や病害虫の発生等への迅速な対応が難しいという点があります。本年も春の記録的な豪雨による定植作業への影響が懸念されております。こうした中、当課では、ナスの定植までの作業工程を整理し、天候や人出に影響なく進められる作業を抽出し、できることから着実な早めの対応を指導しています。
また、地域の新たな特産品としてショウガの栽培に取り組む和水町の上久井原地区では、安定生産に不可欠な種苗貯蔵に関する低コストな方法を関係者と検証しています。今季は室内保管を併用した簡素な資材での越冬貯蔵法が実証され、今後の安定貯蔵に向けた足掛かりを掴むことができました。
当課では、今後も、地域営農組織の経営の安定化に向け、関係機関と協力して、収益性が期待される園芸作物が地域で安定して生産できるように支援していきます。

2024年4月

授粉用花粉取りの様子
「新高」満開期の花の様子(3/29)

産地を挙げた花粉確保によりR6年産のナシ生産が順調にスタート

昨年の9月、中国で果樹に甚大な被害を与える火傷病が発生し、中国産ナシ花粉が輸入停止となりました。輸入停止は当地域の生産者にも影響を与え、管内で23名の生産者が花粉不足になることが分かりました。これを受け、産地では産地内で安定的に花粉を確保できる体制を確立するため、ビニールハウスや開葯機等の施設・機械を補助事業(次代につながる果樹産地づくり支援事業)を活用して導入するとともに、花粉採取技術の確立を目指し、2月から自家採取花粉の採取実証に取り組みました。
その結果、2月下旬までに授粉樹をビニール被覆したことで開花が早まり、「新高」の開花が始まる前に十分量の花粉が採取できました。併せて、花粉が不足する生産者に対しても、受粉樹を持つ生産者が花粉採取用の花・枝を提供する生産者間連携により、花粉を十分確保することができました。
今年は開花期に降雨が多く、生産者は適期授粉に苦慮しましたが、丁寧に筆で授粉を徹底し、十分な着果量が確保できる見込みです。
今後も当課では産地内で安定的に花粉を確保できる体制を確立するため、花粉採取用「新興」の新植や高接ぎの推進及び花粉が不足する生産者へのマッチング等の支援を行っていきます。

2024年4月

神奈川県農業技術センターでの研修の様子(11/17)
JVトレリス接ぎ木研修会の様子(3/14)

荒尾ナシの生産基盤の維持に向けて~若手農家がジョイントV字トレリス樹形を初導入~

荒尾特産のナシ「新高」は近年温暖化の影響で、晩霜害やみつ症等が発生し、生産が不安定となっています。このため、当課ではJAたまな荒尾ナシ部会の青年部を対象に、温暖化の影響を受けにくい優良品種への改植推進と同時に、省力栽培技術であるジョイントV字トレリス樹形(以下、JVトレリス)をすすめています。
今年度、青年部の2名が補助事業(産地パワーアップ事業)を活用し、JVトレリスを導入することになりました。玉名地域では初の取組みであり、棚を自主施工するため、11月13日に講師を招いて棚施工の現地検討会を行い、導入する2名に加え青年部3名も参加し、試行錯誤しながら棚を施工しました。
また、11月17日には青年部でジョイント栽培を開発した神奈川県農業技術センターへ視察を行い、JVトレリス樹を実際に見て、これまでの生育状況や収量、栽培管理のポイントなどを学びました。その後、12月に苗木の植付けを完了し、3月に接ぎ木(ジョイント)を完成させました。
革新支援センター等の協力も得ながら、技術指導等の支援を継続し、この2園が地域のモデルとなるよう育成していきます。
※ジョイントV字トレリス樹形:主枝高を従来のジョイント栽培より低く、70~80cmの高さとし、そこから側枝を仰角60°に斜立させ、架線に誘引する樹形。

2024年4月

(農)野口指導会

地域営農法人の経営安定をめざして

玉名地域には地域営農法人が平坦地域に6法人、中山間地域に2法人ありますが、法人毎に様々な運営がなされており異なる課題があります。
そこで、それらの課題を解決することにより、法人の経営安定を図ることを目的として、今年度は平坦地域及び中山間地域の各1法人((農)野口及び(農)よなだ)を対象に、当課主催による個別経営改善指導会を開催しました。
まず、過去3期分の決算書により現在の当該法人の経営状況(収益性・健全性等)について分析・検討を行いました。次に、現在の課題を踏まえ、来年度の重点活動事項について各法人との意見交換を行いました。
(農)野口では昨年度から耕畜連携を開始して地力増進に努めており、特に大豆収量向上に向けて取組むことで収益力向上を目指しています。(農)よなだではここ数年、高収益作物として導入したナスの適正管理が上手く実施できていないため、法人の収益が減少してきています。そのため、来年度は収穫曜日ごとの作業班を組み、特定の人に作業が集中しないように改善することで、ナスの適正管理による収益力向上に取り組んでいきます。
当課では、各法人の抱える様々な課題解決を支援し、地域営農法人の継続的かつ安定した経営が可能となるよう、より一層の経営支援を実施していきます。

2024年3月

森川竜典氏ほ場視察風景
丹生敏也氏ほ場視察風景

農業振興同友会冬期研修会開催

玉名地方農業振興同友会では、2月27日に冬期研修会を開催しました。当日は14名の会員参加(うち夫婦2組)のもと、会員である玉名市横島町の森川竜典氏(㈱イチゴラス)のイチゴ経営と本年度加入の丹生敏也氏のミニトマト経営の視察を行いました。
森川氏のほ場では、「淡雪(白イチゴ)」の生育状況を視察しつつ、力を入れられている輸出関連の取り組みについて説明を受けました。森川氏は9カ国に輸出しており、販売先を商社に極力頼らず、国の補助事業を活用して独力で開拓していることやその際の手法等、興味深い話の数々に参加者からも質問が次々と出され、活発な意見交換が行われました。
次に丹生氏のほ場では、ミニトマトの経営概況に始まり、新たな取り組みとしてスイートコーン栽培を始めたことやそれを利用した加工への取り組みも検討していること、キノコの菌床を使ったたい肥生産のこと等について話していただきました。丹生氏のハウスには摘葉した葉等の残渣がほとんど見当たらず、整然と管理されたハウスの状況に参加者は感心しきりでした。
農業普及・振興課では、今後も同友会の円滑な運営を支援していきます。

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