玉名エリア

玉名地域は荒尾市、玉名市、玉名郡を所管しています。熊本県の北西部に位置し、有明海に面した平坦水田地域、金峰山や小岱山の山麓地域及び北東部の中山間地域の3地域に大別され、本地域の中央を阿蘇外輪山を水源とする菊池川が南北に流れています。
主な経営品目としては、平坦水田地域を中心に施設野菜や米・麦・大豆等が、山麓地域では温州みかん・ナシ等の果樹が、中山間地域では畜産など多彩な農業生産活動が行われています。

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県北広域本部 玉名地域振興局 農業普及・振興課

〒865-0016 玉名市岩崎1004-1

電話:0968-74-2136

FAX :0968-74-2194

玉名エリア普及現地情報

2023年8月

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生育状況の確認
栽培講習会の様子

水稲品種「くまさんの輝き」定着に向けた支援~中干し管理講習会~

中山間地域である和水町の板(いた)楠小原(くすこばる)集落営農組合では、今年度から水稲の主食用米品種「くまさんの輝き」の栽培に初めて取り組んでいます。「くまさんの輝き」は今まで同組合で栽培していた「ヒノヒカリ」と品種特性が異なるため、特性を把握してもらうためにも適正な栽培管理の指導が必要です。
そこで、中干し前の講習会を7月25日に行いました。講習会では実際にほ場で、現在の水稲の生育状況と水管理状況を確認し、適正な中干し、中干し後の水管理やトビイロウンカ等の病害虫防除について指導しました。生産者からは、中干しの程度や時期、具体的な水管理方法について多くの質問があり、品質の良い米づくりをしようという意欲が見受けられました。また、収穫時期前に適期刈取りの検討会や収量調査を実施しての今年度作の検討会をしたいという声もあがり、熱意を感じました。
今後も定期的な生育状況の確認を行う等、関係機関と情報共有を密にしながら、地域の実情に即した適正管理指導のもと、「くまさんの輝き」定着に向けて支援を行っていきます。

2023年8月

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講演会の様子(有働講師)
講演会の様子(松野講師)

玉名地方品目別専門部会が盛大に開催!~「農業経営」「みどり新法の取組」について~

玉名地方農業普及指導協議会野菜部会((一社)熊本県野菜振興協会玉名支部)では7月7日、4年ぶりに生産者代表(トマト・ミニトマト・いちご・なす・すいか・瓜類の正副部会長)や市町・JA指導員など91名の参集の中で令和5年度の玉名地方品目別専門部会をホテルしらさぎで開催しました。
今回の専門部会は2つのテーマで、以下の講演を頂きました。
①「農業経営と中小企業経営の相違点と今後の農業の展望について」
中小企業診断士、くまもと農業経営相談専門員 有働雄一氏
②「みどりの食料システム戦略とはー環境負荷低減事業とくまもとグリーン農業の新たなマークについて」
県農業技術課みどりの農業推進班 松野参事
講演後の情報交換会では、講師の方に対して生産者から無料経営相談の要望など活発な意見が交わされ、また、新たな「くまもとグリーン農業のマーク」をいち早く生産者に周知することができました。
今後も、生産者やJAからの様々な要望を元に講演会等の企画を行い、更なる経営力アップによる生産者の所得向上のために引き続き支援をしていきます。

2023年8月

田植えの様子
南関町生活研究グループの田舎弁当

南関町まるごと田舎体験、継続的な取組みに新たな役割の追加

南関町まるごと田舎体験事業推進協議会では農業理解促進を目的とした田植え会や稲刈り会を実施しています。本年の皮切りとして6月25日、上長田地区のほ場で田植え会を実施し、県内外から19名の参加がありました。当協議会は平成5年度から30年間継続した活動を実施されており、参加者はリピーターも多く地域PRにも貢献しています。
当日は水着姿で田植えに挑む御家族もあり、子供たちは泥んこになりながら田植えを楽しんでいました。昼食には南関町生活研究グループによる地域食材を利用した田舎弁当が用意され、またお土産として南関あげやそうめん、町内で採れたお米や農産物が配布され、南関町をまるごと満喫できる内容となっていました。
今年度からは体験及びその周辺ほ場において、「田んぼダム」の取組みとなる専用排水桝(機能分離型)の整備やせき板が設置されています。今後「田んぼ」が持つ防災や減災への理解促進活動の地域拠点としての利用が期待されます。当課では、人を繋ぎ農業と農地を未来につなぐこれらの取組みに対して今後も継続的に支援していきます。

2023年8月

コナジラミ類の誘殺板の設置状況
診断キットによる保毒虫の検定 (発光しているのが保毒虫サンプル)

来シーズンのトマト黄化葉巻病の発生リスクの評価に着手~トマト黄化葉巻病ウイルス保毒虫のモニタリング調査開始~

玉名地域では6月26日より重要病害であるトマト黄化葉巻病のウイルス(TYLCV)を保毒したタバココナジラミの頭数調査を開始しました。
本調査は、JAの指導員と連携し管内2か所で誘殺板を用いてコナジラミ類を収集し、農業研究センターの協力のもとウイルス保毒虫の検定を行っています。
野外の保毒虫をモニタリングすることで、次作のトマト黄化葉巻病の発病リスクを評価できます。産地では、モニタリング調査の結果を引用して、ハウスの片付けの徹底や定植時の防除の啓発を行っています。
今回の調査でも一定数の保毒虫が確認され、早速、関係機関に啓発情報を提供しました。 今後、10月まで月2回のペースで野外の保毒虫調査を行い、 次作のトマト葉巻病発生の最小化につなげてまいります。

2023年8月

検討会の状況
検討したナスとトマトの耕種基準

玉名地域の果菜類の更なる生産性向上を目指して~玉名地方果菜類(トマト、ナス)耕種基準検討会の開催~

玉名地域では、毎年、主要品目(トマト類、イチゴ、ナス類)について、新たな課題への対応や新技術等を反映する目的で耕種基準と防除暦の見直しを行っています。今回も、関係機関職員に加え農業革新支援専門員を招聘し5月23日、5月31日及び6月6日にトマト、ミニトマト及び促成ナスの検討会を開催しました。
トマト、ミニトマトでは、窒素投入の節減を図る施肥基準への見直しや病害対策情報の充実を図った他、主要病害や現地の栽培管理の動向に関し意見交換を行いました。
また、ナスでは、課題となっている低温時期の草勢維持の方策に加えて、気温上昇期の果実品質低下防止に向けた技術を新たに盛り込んでいます。
今回の耕種基準検討会を通じ、関係機関職員と管理技術だけでなく、産地の重要課題と対応に係る共通認識の醸成につながったと感じています。
今後とも、果菜類の生産性の向上に向け、関係機関との連携を強化していきます。

2023年8月

中村柑橘部会長挨拶
坂西専技:種苗法改正について

隔年結果の是正、高品質果実生産対策を!

令和4年産JAたまなの柑橘の販売数量は9,842tで、令和3年産の販売量13,319tの約74%であり裏年となりました。
令和5年産の温州みかんは表年になることが予想されるため、JAたまな柑橘部会では、生産対策の周知徹底のため、6月7日にJAたまな中央みかん選果場にて、全体集会を開催しました。
全体集会では、令和5年産の生育状況の説明の後、本年産の重点対策として、①隔年結果是正対策(令和6年産が裏年にならない)のため、着果過多樹の内・裾の摘果の徹底を早急に行うことや早生以降の新梢が少ない樹の翌年の結果母枝確保として、樹冠表層の枝別摘果(新梢発生部周辺を摘果)の方法、②品質向上対策としての植調剤であるフィガロンの散布及びマルチ被覆についての説明がありました。
また、農業革新支援センターの坂西専門員から種苗法改正に伴う注意点、肥後生科研の長溝氏から土壌診断による施肥設計の考え方の講演がありました。
今後も農業普及・振興課としては、JA等と連携し高品質な玉名みかん生産の指導を行っていきます。

2023年7月

導入したマニアスプレッター
土壌採取の様子

耕畜連携の新たな取組み、梅雨入りで断念

令和4年度から新たに耕畜連携を開始した(農)野口では、近年収量が減少している大豆への対策として播種前約30haのほ場に堆肥散布を行うことになり、マニアスプレッダーの導入やオペレーターの確保等の準備を進めていました。しかし、昨年12月に発注していたマニアスプレッダーの納品が遅れ、5月末納品後すぐに梅雨入りとなってしまいました。散布予定だったほ場はぬかるみ、無積載で約2tあるマニアスプレッダーは動かすことができず、大豆播種までに堆肥を散布することは難しくなりました。各ほ場の看板や、作業日誌等、細かい準備を進めてきた組合長は「ここまで準備してきたのに、初年度からこんな結果になるとは思わなかった。農業は本当に天気に左右される。」と肩を落とされていました。
天候による農作業への多少の影響は避けられないことではありますが、今回の反省を活かし、来年度は刈り取りが終わったほ場から順に堆肥散布を開始し、梅雨入りまでに作業を終えることができるよう、指導していきます。
一方、昨年度の耕畜連携で堆肥を散布したほ場においては、成分分析用の土壌を採取しました。秋の稲刈り後は約13haの耕畜連携に取組む予定です。農業普及・振興課では、引き続き畜産農家サイドとの調整や、土壌成分の経過観察、適切な施肥量の指導等を行い、耕畜連携の取組みが円滑に進むよう支援していきます。

2023年7月

講習会の様子
生育状況の確認

ホオズキの生産安定支援に向けて~高温期管理講習会~

板楠小原地区では、中山間モデル事業を活用し新規品目としてホオズキを導入し、今年度で5作目となります。前年度(R4)初出荷となり、今後は安定的に生産できる技術や収益力向上のための支援が必要です。そのため今回は、暑さが本格化する前の5月16日に「高温期管理講習会」を開催しました。
講習会では実際にほ場を確認しながら、ビニルハウスの換気や灌水の頻度、遮光ネットの展張、ハダニや白絹病等の病害虫対策について指導しました。合わせて、現在の生育状況を確認し、7月出荷までの作業スケジュールの確認も行いました。
また、農業革新支援センターの佐渡参事にも参加いただき、補足説明をいただきました。農家から灌水方法や液肥の使い方等の質問もあり、前年と比較し、自ら考え発言する姿もよくみられ、生産者のホオズキに対する熱の入れ方が深まったように感じました。
今後も安定的な生産や収益力向上のため、気候や生育状況にあわせた適正管理の指導とともに農家自ら考え行動できる環境づくりを意識し取り組んでいきます。

2023年7月

植付3年目のJVトレリス樹形
研修の様子

荒尾ナシの生産基盤の維持に向けて~若手農家へのジョイントV字トレリス樹形導入支援~

荒尾特産のナシ「新高」は近年、晩霜害や「みつ症」の発生等により、生産が不安定となっています。このため、当課では、JAたまな荒尾ナシ部会の青年部を対象に「新高」から改植による品種転換を進めて、経営安定を図るべく、指導を行っています。昨年、青年部員と面談し、ジョイントV字トレリス樹形(以下、JVトレリス)の導入希望が強かった2戸に対して今後のロードマップを説明し、経営にあわせた面積になるよう指導するなど、推進を行った結果、今年度、導入することとなりました。
導入の際は、国庫事業を活用し、資材のみ導入して専用棚を自主施工する予定のため、すでにJVトレリスの棚を自主施工して導入した例がある球磨地域で、5月9日に視察を行いました。視察先の園主さんから、自主施工する際の失敗例や注意すべき事項などの助言をいただくことができ、話を聞いた青年部員は、棚の施工方法やジョイントした後の樹形づくりなどについてしっかりイメージできたと話していました。
今後の計画では、「新高」収穫後の10~11月に棚を施工し、12月に苗を仮植え、3月にジョイントを行う予定です。地域内での導入は初めてであるため、革新支援センターや果樹研究所の協力も得ながら、支援を継続していきます。

※ジョイントV字トレリス樹形:主枝高を従来のジョイント栽培より低く、70~80cmの高さとし、そこから側枝を仰角60°に斜立させ、架線に誘引することで樹冠を形成する樹形。

2023年7月

ビストロすてっぷでの提供料理
メロンに笑顔の子供たち

やさしさのお裾分け まとめ

玉名地方農業振興同友会では、令和3年度から生産した農産物等をこども食堂に寄贈する活動に取組み始め、令和4年10月から令和5年5月にかけて計画していた4回の活動を5月25日に終了しました。
第4回目の活動は、5月18日と25日に9名の会員から寄せられた白米42kg、トマト25kg、じゃがいも15kg、たまねぎ15kg、キンショーメロン30玉、LL牛乳(250ml)144パックを、荒尾市の「荒尾すこやか食堂桜山」と「みやじま子ども食堂ももカフェ」及び長洲町の「地域食堂ビストロすてっぷ」へ提供しました。
これまでの4回の活動により、こども食堂等が開催したイベントへの参加者は、合計で700名を超え、多くの感謝の声が寄せられました。
令和4年度に計画した活動は終了しましたが、令和5年度の事業でも4回の提供を予定しています。子供たちの笑顔の輪が広がるよう、役員を中心に参加する会員が増えていくように働きかけていきます。
農業普及・振興課では、今後も同友会の円滑な運営を支援していきます。
(写真提供:NPO法人スローすてっぷ)

2023年6月

防疫措置の概要(DVD視聴)
係別業務内容説明の様子

鳥インフルエンザ防疫研修の開催

玉名地域では、約140万羽の家きんが飼養されており、平成28年及び令和3年には南関町において高病原性鳥インフルエンザの発生を経験しました。しかし、異動により局内に当時の後方支援業務を経験した職員はほとんどいない状態です。このため、悪性家畜伝染病の発生に備え、日頃から応援計画等を作成し、迅速な防疫対応が実施できるよう体制整備を進めています。4月19日、20日には、今年度の転入者を対象とした「鳥インフルエンザ防疫体制に係る研修会」を開催しました。
研修会では、DVDにより防疫措置の概要を学んだ後、国内悪性家畜伝染病の発生状況や管内の家きん飼養状況、管内発生時の後方支援における各係の業務内容等を説明しました。研修参加者からは、管内発生時の連絡体制の確認や、現場での混乱を防ぐための提案等が出され、職員の意識の高さが伺えました。
万が一管内で再度鳥インフルエンザが発生した場合に、円滑に後方支援を実施するためには、職員の意識醸成とスキルアップが必要です。そのためにも、農業普及・振興課では、局内の各職員が役割を認識し、円滑な防疫体制の構築及び防疫作業のサポートができるよう、今後も係別研修や防疫演習を行っていきます。

2023年6月

トマトにおけるIPM技術の導入を検討~タバコカスミカメを活用した黄化葉巻病の対策~

玉名地域では、昨年までの試験結果から天敵(タバコカスミカメ)を10月と2月の2回放飼することで春以降のハウス内のコナジラミを「増やさない」対策として効果があることを確認しています。しかし、天敵の2回放飼は導入コストが6万円/10a程度となり、導入コストの高さが現地普及の妨げとなっています。 
そこで1回の放飼(2万円/10a程度)で十分なタバココナジラミの抑制効果を得るため、今年は「放飼時期の前進化」や「温存植物(クレオメ)の花を増やす剪定方法」などについて実証・検証しました。
その結果、「放飼時期の前進化」、「クレオメの剪定(1月実施)」のそれぞれで、1回放飼で2回放飼と同等のタバコカスミカメの生息数を確保できることがわかりました。(4月末調査)。ただし、「放飼時期の前進化」を行ったほ場では、定植初期に天敵への影響を考慮し化学農薬による防除を控えたため、トマト黄化葉巻病の発生が他ほ場と比べ多くなっており、天敵への影響の有無の観点から化学農薬の使い分けについて、整理することが今後の課題となりました。
当課では今後も関係機関と連携し、収量・品質の更なる向上と環境に優しい農業の確立に向け、トマト黄化葉巻病の蔓延防止対策に取り組んでいきます。

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