熊本エリア

熊本地域は熊本市を所管しています。九州の中央、熊本県の西北部に位置し、金峰山を主峰とする複式火山帯と、これに連なる立田山等の台地からなり、東部は阿蘇外輪火山群によってできた丘陵地帯、西部は白川の三角州で形成された低平野からなっています。米や温州みかんが本県農業産出額の約14%を占めていて、特に野菜と果樹は県内でもトップレベルの産地です。

このエリアに関するお問い合わせはこちら

県央広域本部 農林部 農業普及・振興課

〒862-8570 熊本市中央区⽔前寺6−18−1(防災センター内)

電話:096-333-2776

FAX :096-333-2781

熊本エリア普及現地情報

2025年1月

new
みかん栽培についての座学
糖度計を使ってみかんの糖度を測定

子どもたちへみかん栽培の魅力を発信する食育講座を開催

農業普及・振興課では、子どもたちが地域や農業への関心を持つきっかけとするために、熊本市河内町のみかん栽培に関する食育講座「河内みかん物語~おいしいみかんができるまで~」の開催を支援しています。本取組は、生産者の1年間の仕事の流れやみかん栽培の工夫についての座学、みかんの樹の観察や収穫体験を行う全3回の講座です。本年は熊本市内から3家族10名が参加しました。
11月10日に開催された3回目の講座では、収穫されたみかんが出荷されるまでの様子やみかんに含まれる栄養素を説明した後、収穫体験を行いました。子どもたちは前回観察したみかんとの大きさの違いに驚きながら、一つ一つ丁寧にみかんを収穫する様子が見られ、講座を通して生産者の苦労や思いを伝えられたと感じました。質問コーナーでは、子どもたちだけでなく保護者からもたくさんの質問がでてきて、農業への関心を高める講座にできたと思える取組となりました。
当課では、地域農業への理解を深めるために、子どもたちへ河内地域とみかん栽培の魅力を引き続き発信していきます。

2025年1月

new
訪問団へ説明をする金子氏
辛子れんこんと金子氏を囲んで

食の名人とフランス・ディジョンメトロポール訪問団が交流 ~「からし蓮根」で紡ぐ食文化伝承の輪~

11月23日、「くまもとふるさと食の名人」の金子雄子氏(熊本市南区)が、フランスのディジョンメトロポール(ブルゴーニュ地方のディジョン市を中心とした23自治体で構成される自治体連合)の訪問団と伝統的な郷土料理「からし蓮根」をテーマに交流されました。
熊本県とディジョンメトロポールは、令和5年度に締結した国際交流促進覚書(MOU)に基づき交流を深めています。今後のイベント開催や交流に向け、熊本の食文化を担う方々等とのつながりを持つことなどを目的として、ディジョン副市長をトップとする訪問団が来熊しました。
その一環として、ディジョンの特産品であるマスタードと親和性があり、熊本を代表する伝統料理「からし蓮根」の食の名人、金子氏との交流が企画されました。
訪問団メンバーのほとんどは今回が初来熊であり、蓮根を見るのも初めてです。そのため、蓮根の実物や和からし(粉)、試食などを準備し、金子氏からからし蓮根の歴史や作り方などを説明しました。
「和がらしとはどんなもの?」「ディジョンマスタードで作れるか?」などの質問が相次ぎ、金子氏が丁寧にジェスチャーを交え回答し、試食タイムには「とてもおいしい!」と絶賛されました。
以前は各家庭で作っていた「からし蓮根」ですが、現在はほとんどが購入するものになっており、金子氏が学校などで作り方を伝承していると説明した際には、「とても大事な活動。知識は宝です。」と真摯にコメントされ、国を超えて食文化伝承の重要性が共有された良い機会となりました。

2025年1月

new
適正な出荷規格を示したサンプル
栽培講習会の様子

高品質なスティックセニョールの出荷に向けて ~出荷説明会及び栽培講習会を実施~

スティックセニョールは、柔らかい花蕾※と茎が食用となるアブラナ科の野菜で、甘味があるため人気があります。JA熊本市スティックセニョール部会では、45名の生産者が11月から翌年3月にかけて生産を行い、県内や関東地域を中心に出荷されています。今期の出荷が本格化することから、当課ではJA熊本市と連携し、11月25日に出荷説明会及び栽培講習会を開催し、生産者や種苗会社合わせて約30名の参加がありました。
当部会に係るスティックセニョールの出荷は、収穫から箱詰めまで生産者が自ら行うため、生産者間でバラつきが生じないように、JA販売担当者から出荷規格や注意点についてサンプルを用いて説明がありました。また、今年は、収穫後の切口にトロケのような症状が散見されたことから、収穫後は注視して袋詰めを行なうよう周知されました。
当課からは、今後の病害虫防除管理について説明しました。生産者からは軟腐病対策について多数の質問があり、収穫用ハサミを洗浄、消毒する対策を伝え、病気を伝染させない重要性を理解いただきました。
当課は引き続き関係機関と連携し、高品質なスティックセニョールの栽培指導を行い、当産地の産地拡大を支援していきます。

※花蕾:蕾の部分。ブロッコリー等アブラナ科野菜の一部では、開花前の柔らかい時期に食す。

2025年1月

new

令和8年度の品種転換に向けて大豆新品種「フクユタカA1号」栽培講習会を実施

令和6年11月20日及び21日に熊本市南区の大豆生産者を対象に、大豆新品種「フクユタカA1号」への品種転換に係る講習会を実施しました。
熊本市南区の大豆作付面積は約480ha(県内シェア約18%)と県内でも有数の大豆産地であり、令和8年産から当該新品種への全面転換を予定しています。
講習会は2日間、計4回開催し、計60名の大豆生産者に対して、当該品種の特性について農業研究センター発表の「農業の新しい技術」を基に難裂莢性や大粒比率がやや高いこと、遅播きした場合に青立ちが多いこと等を紹介した後、現地試験では青立ちは少なかったことが過年度の展示ほ結果について報告しました。加えて、JA担当者より品種の全面転換となることから自家採種はせず、必ず種子を購入することを含め、諸注意事項の説明がありました。
次に、意見交換では、当該品種の難裂莢性による収量向上への期待の声や、本年度の大豆作柄や適期播種のための対策技術、雑草抑制技術など大豆栽培技術に対する幅広な質問があり、県内有数の大豆産地として大豆栽培への関心の高さが窺えました。
当課では引き続き、管内の品種転換に向けて支援を行っていきます。

2024年12月

大豆新品種「フクユタカA1号」の現地検討会を実施

令和6年10月21日、(農)秋津営農組合の大豆ほ場でJA熊本市管内(大豆作付面積約140ha)の大豆生産者を対象に、大豆新品種「フクユタカA1号」の収穫前の生育状況に係る現地検討会を実施しました。当課管内では約650haの大豆が作付けされており、「フクユタカA1号」は難裂莢性(莢がはじけにくい特性)を持つことで収穫適期幅が従来品種より長く、大豆の作付面積が拡大する大規模法人等で収量向上に資することが期待されています。
当日は(農)秋津営農組合の生産者をはじめ、県内大豆種子の約9割を生産する健軍大豆種子部会の部会員(8名)など約20名を参集し、当課から農業研究センター発表の「農業の新しい技術」を基に難裂莢性や大粒比率がやや高いこと、遅播きした場合に青立ちが多いことなど当該品種の特性を紹介した後、JA熊本市から過年度の展示ほ結果について報告がありました。
次に、本年産の生育状況を確認するため、(農)秋津営農組合の試験栽培展示ほ場にて生育量の違いや着莢状況の観察を行いました。ほ場を観察した生産者からは、「『フクユタカ』より草丈が高い」、「今年8月の少雨のわりには着莢が良い」といった意見が聞かれました。
当課では引き続き、生育状況の調査や生産物の収量・品質の調査により地域適応性を評価し、管内の品種転換に向けて支援を行っていきます。

2024年12月

果実外観調査の様子
大玉果実部門 優勝果実(707g)

植木町および鹿本地域のカキ「太秋」果実品評会開催!

JA鹿本カキ部会(部会員48名)のカキ「太秋」果実品評会が、令和6年10月23日(水)に部会員相互の生産技術向上による「太秋」の銘柄確立ならびに部会発展を目的に開催されました。
夏季の高温の関係で、成熟が例年より10日ほど遅延気味だったにもかかわらず果実品質部門に19点、大玉果実部門に11点の出品があり、外観、果形、糖度等について審査が行われました。今年は、高温乾燥、カメムシの多発等カキ栽培にとっては厳しい環境でしたが、出品された果実はどれも高品質で、こまめな樹体管理や防除等の生産努力が感じられました。大玉果実部門優勝は、707gの果実で、一般的な果実の約2倍の大きさがありました。果実品質部門最優秀賞を受賞された生産者は、R5年産に引き続き2連覇されました。
今年産「太秋」は、成熟期後期の多雨による汚損果注1)発生が多い中、新梢管理や通風改善などの基本管理を徹底して外観が美しく食味の良い大玉果を安定して生産される方もあり、今後も当課としては、講習会等をとおした栽培技術の指導により、高品質かつ安定生産に向けた取り組みを支援していきます。

注1)汚損果とは、樹上または収穫後の果実の表面が黒変するもの。黒変は果皮のみに発生し、剥皮すると普通のカキと変わりはないが、外観が悪いので商品価値が著しく低下する。

2024年12月

熱心に研修を受ける参加者

新たな果樹担い手の確保に向けて先進事例を探る ~農業法人による果樹産地維持の取組みを研修~

生産者と関係機関で構成する「熊本市果樹産地推進協議会」では、今年度から果樹産地の維持に向けた取組みを進めており、その参考とするため10月30日(水)に福岡県行橋市の「(株)ふるさぽ新田原(しんでんばる)」を訪れて事例調査研修を行いました。
当日は偶然にも芦北地域との合同研修となり、熊本地域からはJA熊本市、熊本市、県央広域本部の11名の参加でしたが、(株)ふるさぽ新田原の役員の方と京築普及指導センターから、果樹産地では珍しい地域ぐるみ型農業法人の設立による産地維持の取組みについて詳しく話を聞くことができました。
新田原は、栽培面積25haのイチジク等の落葉果樹産地で、果樹部会員86名のうち70歳以上が8割を超えています。このため平成28年に定年就農者等の比較的若い生産者が高齢生産者のせん定作業等を受託する「果樹サポート部」を設立。利用者からのニーズ拡大とサポート部の労力不足等に対応するため、令和5年3月に(株)ふるさぽ新田原が設立されました。
研修では参加者から熱心な質問が相次ぎ、(株)ふるさぽ新田原の運営や受託作業の状況、新規就農者への樹園地継承の取り組み、普及組織による園地マップ整備支援等、産地の維持に向けて大変役に立つ話を伺うことができ、貴重な機会となりました。
当課では、現在の担い手の営農継続支援と将来的に不足する担い手の新たな確保・育成について、引き続き関係機関と共に対策を検討していきます。

2024年12月

出荷協議会
極早生みかん出発式

お待たせしました!令和6年産夢未来みかんの出荷はじまります

JA熊本市果樹部会柑橘部会では、9月6日に令和6年産夢未来みかん※1出荷協議会を開催しました。協議会では部会員、取引市場関係者、業者など約400名が参加のもと、本年産夢未来みかん18,400tの販売計画について説明され、部会員一丸となって仕上げ対策を徹底していくことが確認されました。
そして、9月13日に「夢未来みかん」のトップバッターである極早生みかん「肥のあかり」の初売りが行われ、本年産温州みかんの販売が始まりました。本年産は、早生~普通温州で着花がやや少なかったものの、生産者による着果確保対策の取組やマルチの設置やフィガロン乳剤※2散布の実施徹底により糖度は平年より高く高品質に仕上がり、昨年を上回る価格で取引され、好調な出だしとなりました。今後は、早生・中生・普通温州をリレーしながら2月まで出荷が続きます。今後も農業普及・振興課では、講習会や調査活動などを通じて高品質かつ安定生産に向けた取組を支援していきます。

※1「夢未来みかん」:JA熊本市果樹部会柑橘部会で生産販売を行っている柑橘のブランド。
※2 フィガロン乳剤:柑橘類などで品質向上効果がある植物成長調整剤。

2024年12月

地域営農法人の経営安定を目指して ~従業員雇用に向けた意見交換会を実施~

熊本地域では、本年度から管内地域営農法人の経営安定を重点課題に位置付け、経営支援や大豆の栽培支援に取り組んでいます。
今回は取組の一環として、令和6年9月25日に管内3法人((農)アグリ郷おおい(植木町 R2設立)、(農)吉松グリーンファーム(植木町 R5設立)、(農)火の君とよだ(城南町 H30設立))を参集し、今後の労働力不足対策を目的とした従業員の雇用に係る意見交換会を実施しました。
まず、(農)火の君とよだ代表理事の岩永氏から、経営の概要や労働力不足から法人設立後3年目に従業員を雇用したことについて説明いただき、意見交換をスタートしました。植木町の2法人からは、厚生年金や雇用保険などの社会保険料に関することや従業員の昇給の仕組み、既存の組合員との作業分担など具体的な内容について質問があり、活発な議論が行われました。さらに(農)火の君とよだの従業員からは、入社当時に感じたことやほ場管理システムについて被雇用者側の貴重な意見をいただきました。
今回、同規模の地域営農法人が集まったことで、法人間ではより具体的な議論が交わされ、今後の法人運営の参考になる意見交換会となりました。
当課では引き続き、地域営農法人の経営安定に向けて支援を継続していきます。

2024年12月

野口氏の園地にて
木之内氏の講話

女性農業者の活力に期待!農業経営同友会研修会の開催

令和6年9月2日(月)に、植木町農業経営同友会(以下、同友会)がコロナ禍以降数年ぶりに視察研修会を実施し、農業コンクール歴代参加者のほか農業女性アドバイザー、女性農業委員等地域のリーダー約30名が参加しました。
「女性のパワーが大事!」という同友会会長の熱い思いから、今年度は地域の主要な役職を担う女性農業者7名が新たに会員となりました。その波及効果で、これまで参加が少なかったベテラン会員も復帰し、当日の出席者の約半数は女性会員が占めました。
研修のテーマは「絆をつなぐ」。後継者や次世代へ農業をつないでいく事例として、上益城地域の「お茶ののぐち」の野口拓哉氏、(株)藤木牧場の藤木陽子氏、東海大学臨空キャンパスの木之内均キャンパス長3名の取組み事例を紹介いただきました。資材高騰や気候変動などの厳しい状況の中でも、農業を次世代につなげていく方策を前向きに検討し行動されていることに感銘を受け、帰路の車中では「私たちもがんばらんといかん!」と盛り上がりました。
農業普及・振興課としては、今後も引き続き同友会の活動を支援していきます。

2024年12月

熊本市の果樹産地の担い手育成・確保に向けて ~生産者と関係機関で現状と課題を共有~

生産者、JA、市、県央広域本部などの関係機関で構成する「熊本市果樹産地推進協議会」では、今年度「担い手育成・確保部会」を設立し果樹産地の維持に向けて取り組みを進めています。
今回、管内全果樹農家(約900戸)を対象に、10年後の園の将来像についてのアンケート調査を実施し、その結果を9月12日に開催された協議会総会で報告しました。10年後の生産者の平均年齢の上昇や温州みかん栽培面積の縮小(共に推計)、労働力不足など厳しい予想を示すことになりましたが、より一層担い手育成・確保の必要性を認識してもらうことができました。一方で、規模拡大意向や新規就農者にみかんづくりを教えてもよいとする生産者も多数いることがわかり、産地維持に向けて明るい兆しも感じられました。
農業普及・振興課では、現在の担い手の営農継続支援と将来的に不足する担い手の新たな確保・育成について、引き続き関係機関と共に対策の検討を進めていきます。

2024年10月

収穫前の子実とうもろこし(R6.7.18撮影)
子実とうもろこし収量調査(R6.7.26撮影)

子実とうもろこしの生産拡大進む

熊本市管内では飼料自給率の向上及び飼料価格の高騰対策として、R4年度から養豚・養鶏農家において子実とうもろこしの生産・利用拡大に取り組んでおり、本年度の春作の作付面積も昨年度の5.5haから12.2ha(前年比222%)と大きく拡大しました。
8月上旬には養鶏農家による収穫が行われ、一部、湿害による発芽不良やカラス及びイノシシの被害により収穫できないほ場がありましたが、収穫できたほ場での平均単収は524kg/10aとなりました。単収については、まだ伸ばす必要がありますが、昨年度の458kg/10aを上回ることができ、当課の坪刈調査では1,000kg/10aと平均単収を大きく超えたほ場もありました。これらのことは昨年度の結果を踏まえた、適正な堆肥の散布量や植栽密度、雑草防除の徹底等の対策を行った成果だと思われます。
今後、排水対策や鳥獣害対策が課題となっており、春作収穫後すぐに夏作を作付けされていることから、当課としても対策を検討し、更なる収量増を図るため継続して支援を行っていくことにしています。

もっと過去の普及現地情報についてはアーカイブで年を選択してください。

エリアカテゴリ