熊本エリア

熊本地域は熊本市を所管しています。九州の中央、熊本県の西北部に位置し、金峰山を主峰とする複式火山帯と、これに連なる立田山等の台地からなり、東部は阿蘇外輪火山群によってできた丘陵地帯、西部は白川の三角州で形成された低平野からなっています。米や温州みかんが本県農業産出額の約14%を占めていて、特に野菜と果樹は県内でもトップレベルの産地です。

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県央広域本部 農林部 農業普及・振興課

〒862-8570 熊本市中央区⽔前寺6−18−1(防災センター内)

電話:096-333-2776

FAX :096-333-2781

熊本エリア普及現地情報

2024年9月

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土壌還元消毒準備 耕耘後かん水チューブを設置し、 全面マルチして実施する
土壌還元中 消毒低濃度エタノールをかん水後、地温を 高めるためハウスを密閉する

低濃度エタノール土壌還元消毒の取組み~立ち枯れ症状を克服し農家経営の安定を図る~

JA熊本市トルコギキョウ部会(4戸)では、ジャパンフラワー強化プロジェクト推進事業(国)を活用して令和6年5月下旬から順次低濃度エタノールを使った土壌還元消毒に取組んでいます。
熊本県のトルコギキョウ栽培面積43ha(R4熊本県花き生産実績)のうち熊本市の栽培面積は5haで、このほとんどがJA熊本市トルコギキョウ部会で占められています。
しかし、平成30年から複数の農家で立ち枯れ症状が発生し、原因菌はフザリウムと判定されました。その後、薬剤を使った土壌消毒に取組んだところですが、薬効が必要な深さまで届かず、被害は拡大の一途でした。
今回取組んだ低濃度エタノールは粘性が低く、希釈水のかん水処理で土壌深くまで浸み込むため、土壌還元消毒効果が期待できます。
今回取組んだ土壌還元消毒により立ち枯れ症状の発生が減少することで出荷本数が増加し、農家経営の安定が期待されます。
農業普及・振興課では引き続き、令和6年産以降トルコギキョウ生産が安定して行えるよう、生産者への技術的な支援を進めていきます。

2024年9月

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退緑黄化病の感染株(左側)と非感染株(右側)
3地区合同会議の様子

ウリ類ウイルス病対策3地区合同会議を開催~対策推進のため関係機関で情報交換~

7月18日に、熊本、菊池、鹿本地域の県・市町・JAの担当者が一堂に会し、「第18回ウリ類ウイルス病対策3地区合同会議」を開催しました。この3地域は年間を通してウリ類の栽培が盛んであり、地域も密接していることから、ウイルス病対策推進のため持ち回りで本会議を開催しています。
会議では、各地域のウイルス病の発生状況や地域毎の課題、取組み等の共有に加え、今作における植木地域のウイルス病対策に係る優良事例紹介等を行いました。また、次作から新たに開発された退緑黄化病耐病性メロンの栽培が拡大することから罹病性品種や他のウリ類品目へ影響がでないよう、従来の対策を徹底する重要性を再確認しました。加えて、3地域のウイルス病発生状況調査法の統一や栽培終了後の閉め込み徹底について共通のチラシを用いて周知することとなりました。
意見交換では、JA職員から効果的な農薬散布方法についての質問があり、他JA職員等から地域の実例を基にした散布方法の提案が行われました。また、年に1回ではなく定期的に意見交換をしていきたいとの声もあがったことから、当課では今後も密な情報交換ができる場を設け、ウイルス病対策を推進していきます。

2024年9月

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経営継承セミナーの様子

経営継承を考えるきっかけに!みかん産地で研修会を開催

熊本地域では、全国的に有名なみかん産地である河内地区を中心に、関係機関と連携し新たな担い手の育成・確保に取り組んでいます。
取組みの一環として、令和6年8月7日にJA熊本市河内支店にて「経営継承ミニセミナー&個別相談会」を開催しました。本セミナーは県農業会議の協力・熊本市の主催によるものです。認定農業者や青年農業者、女性農業者等約30名の果樹農家が参加し、山崎経済研究所 山崎政行所長の講話により、経営継承のノウハウについて学びました。個別面談では相続・継承についての具体的な相談が寄せられ、悩み解決の機会となりました。
現在、農業普及・振興課では、果樹生産者を対象とした産地の将来像等についてのアンケートを取りまとめています。この結果を踏まえ、担い手育成・確保の仕組みづくりと併せて経営継承への理解促進に取り組む予定です。

2024年8月

大長なすの栽培ほ場
果実品評会の様子

大長なす部会ほ場・果実品評会を開催~栽培技術向上を図るため、部会員で情報交換~

JA鹿本大長なす部会では、くまもとふるさと特産野菜である大長なすを植木町で約4ha栽培しています。部会員は7名と少ないですが、うち6名が40代と活気のある部会です。
部会の主催で6月28日に、ほ場・果実品評会が開催されました。県、市、JAと部会員で全ほ場を巡回し、ハウス内環境や草勢、着果性等を採点方式で評価しました。巡回をするなかで、部会員間で摘葉や肥培管理等の意見交換が積極的になされ、品評会の目的である大長なすの栽培技術向上に向け、全員で取り組む姿勢が見られました。
今年度はスマートフォンでハウス内環境が確認できるモニタリング装置「ハウスファーモ」の導入を予定しており、部会員での情報共有に更に力をいれるそうです。
部会員のほ場では、近年、青枯病※の発生が増加しており、ウリ類に品目転換するほ場もでてきています。当課では引き続き、栽培技術の向上や病害対策について、関係機関と連携しながら大長なすの生産維持に向け、支援していきます。

※ 青枯病:ほ場内で一度発生すると根絶させることは難しい土壌病害。発生時期が早いと大きな減収につながる。

2024年8月

水稲栽培のプラスチック削減に向けた新技術を実証~水稲ペースト肥料二段施肥技術の実演会を開催~

水稲栽培では省力化を目的としてプラスチック被覆肥料による全量基肥施肥技術が一般化していますが、被覆資材のプラスチックが環境中へ流出することが問題となっています。そこで、本年度から当課ではプラスチックを排出せず環境負荷低減が可能なペースト肥料二段施肥技術について、熊本型みどりの食料システム戦略推進事業を活用し、環境保全型農業モデル展示ほを設置しています。
今回、令和6年6月25日に生産者及び関係機関約10名を参集し、ペースト肥料二段施肥機を装備した田植機による田植同時施肥の実演会を実施しました。実演会では当課から展示ほの概要を説明した後、肥料メーカーからペースト肥料二段施肥技術について説明を行いました。近年、ペースト肥料はプラスチックを環境中に排出しない肥料として注目されていますが、県内での水稲「くまさんの輝き」での実証例が無いことから、参加者からはペースト肥料の特徴や県内外での普及状況等についての質問があり、当該技術への関心の高さが窺えました。
今後、当課では継続して生育調査及び収量調査を行い当該技術の地域適応性を評価し、環境にやさしい農業の推進に取り組んでいきます。

2024年8月

柑橘摘果講習会の開催~高品質なみかんの生産に向けた産地の取組支援~

今年産の温州みかんは6月上旬頃に落果が落ち着き、果実肥大と品質向上のための摘果作業の時期に入りました。管内の着果状況は極早生で中程度、早生以降でやや少となっています。当課ではJA熊本市と協力し、6月10日から7月11日にかけて熊本市西区の農家組合を対象に、13地区で摘果講習会を開催しました。
講習会では座学で着果量に応じた摘果時期や方法を説明するとともに、近年秋季の発生が増えつつあるカイガラムシや、例年より早い時期から発生が確認され今後の被害が懸念されるカメムシの防除に係る指導、また品質向上対策としてシールディング・マルチ栽培※1の紹介等を行いました。
また、現地指導では、2月の講習会でせん定した樹の着果状況を確認しつつ、生産者と一緒に摘果数を数えながら小玉果などを落とし、求める品質の果実確保に向けて現時点でどの程度摘果すべきかを共有しました。
生産者からは摘果管理のほか、効果的な病害虫防除等についても質問や意見が積極的に飛び、今後の栽培管理に向けた有意義な講習会となりました。
当課では引き続き、令和6年産のみかんが高品質なものとなるよう、生産者への技術的な支援を進めていきます。

※1 専用のシートを植列と平行に埋設してマルチ下への雨水流入を防ぐことで、確実な乾燥ストレスを樹体に付与し、果実品質(糖度)の向上を図る栽培技術

2024年8月

講義の様子
実際の工事現場におけるドローン測量の実演

熊本農業高校における農業土木技術者の育成に向けた取組み ~スマート農業技術の必要性を啓発~

県央農林部では、農地整備課を中心に熊本農業高校生(農業土木科)に対し、技術力向上等を目的とした連携授業を平成27年から実施しているところです。
今後の農業は、担い手の減少やスマート農業、DX技術等の進展により、超省力、効率化生産へ移行することが予想されていますが、それらの技術導入・普及のためには、スマート農業技術に対応できるほ場整備等の生産基盤整備が必要です。
そこで、農業普及・振興課では、農地整備課と連携し、6月17日(月)に農業土木科3年生38名を対象に、スマート農業に関する授業を実施しました。当課からは本県農業の紹介や担い手不足等の課題、スマート農業技術の導入の必要性について啓発を行い、農地整備課からは実際の工事現場においてICT施工の実演を行いました。
農業高校生からは、「スマート農業技術の実装状況はどの程度か」といった質問や「将来、農業関係の公務員になりたいので、今日の学びを今後に活かしたい」とのコメントがありました。
当課では、継続してスマート農業技術の導入に向け取り組んでいきます。

2024年8月

指導農業士等が農大生の農家派遣研修を受け入れ

毎年度、農業大学校では、学生が県内各地域の農家へ10日間程度泊まり込み、農業を学ぶ農家派遣研修を行っています。今年度、熊本地域では5月8日から14日の間に1年生8名が5戸の農家で、5月23日から6月5日に2年生8名が8戸の農家で研修を受けました。農業普及・振興課では、農業大学校と農家の間での受け入れ調整、研修初日の受入式、中間巡回指導、最終日の修了式と反省会を実施しました。
研修の受入れ先となった農家は、農大のOBや指導農業士の皆さんです。指導農業士は、普及指導協力委員として県が委嘱した農家で、夫婦で委嘱を受けている人も多く、農大生や農業高校生の農家実習等を通じて担い手の育成に協力いただいています。
農大の学生は、この研修により、その時期・品目に応じた農作業を実体験するとともに、農業と一体となった農家の暮らしや経営主の農業に対する理念等を学ぶことができる実践的な研修となっています。
一方で、若い学生を何日も家庭で預かって一緒に過ごすことは、受入農家にとっても大変なことであり、反省会では、それぞれの学生が見せた頼もしい面や未熟な言動、気遣い・配慮が多かった苦労話など、受入農家から様々な感想が出されていました。
当課では、これからも農大や指導農業士と連携して農家派遣研修を継続して実施し、農業の担い手となる若者の育成に取り組んでいきます。

2024年7月

スイカの退緑黄化病の写真
トマトのウイルス病株の写真

ウリ類及びトマト類のウイルス病発生状況調査を実施しました!

熊本市の北区ではスイカやメロン等のウリ類、西南地域ではトマト類の栽培が盛んです。しかし、ウリ類やトマト類のウイルス病は、一部対策の不徹底などから増減を繰り返し、継続的に発生して経営への影響が見られます。
当課では、ウイルス病発生を抑える取り組みとして、JA、熊本市と連携して、ウイルス病の発生状況調査を実施しました。
ウリ類産地の北区6地区、トマト類産地の西南地域7地区を対象に、ウイルス病に感染した株数、ウイルスを媒介するタバココナジラミの発生数、防虫ネットの目合い等を調査しました。また、調査と共に、ウイルス病発生防除方法をまとめたチラシを配布し、ウイルス病防除の基本である「入れない、増やさない、出さない」対策を周知しました。
調査結果は当課で取りまとめた後、関係機関と連携して生産農家へ情報提供するとともに、栽培終了時のハウスの閉め込み徹底と、次作のハウスに保毒虫を入れない、増やさない対策支援に取り組んでいきます。

2024年7月

熊本市営農生活研究グループ総会開催

令和6年5月31日(金)、山鹿市鹿北町「古民家レストランさんきら」において、熊本市営農生活研究グループ総会が開催されました。熊本市営農生活研究グループは、植木、河内、飽田、秋津、富合等の6グループ27名で構成されています。会員には、農業女性アドバイザーやくまもとふるさと食の名人も多く、連携して営農、農産加工、直売、食育など女性農業者の活躍推進に向けた活動に取り組んでいます。
総会には営農生活研究グループ員13名が参加し、今年度の活動計画について検討され、議案はいずれも承認されました。
また、総会後の研修会では、「古民家レストランさんきら」をご夫婦で経営されている主計(かずえ)明美さんに地元食材の豊富さ、郷土料理・行事食等を継承していく必要性等について話をいただいたほか、当課から農作業事故防止や熱中症対策などの情報提供を行いました。
当課では、引き続き、女性農業者のグループ活動を支援していきます。 

2024年7月

担い手育成・確保設立会議の様子

果樹産地の新たな担い手の育成・確保を目指す~歴史ある果樹産地を未来につなげるために~

熊本市は県内でも有数の歴史ある果樹産地です。しかし、担い手の高齢化とともに、管理が十分に行き届かない園が見られなど、次代につながる産地維持を危惧する声が上がっています。
そこで、生産者、JA、市、県央広域本部などの関係機関で構成する「熊本市果樹産地推進協議会」では、5月16日に担い手育成・確保部会を設置する設立会議を開催し、多様な担い手を確保することで、歴史ある果樹産地を未来につなげるための支援体制の整備に取り組むこととなりました。
現在、管内全果樹農家(約800戸)に対して10年後の園の将来像についてのアンケート調査を実施しており、その結果をもとに、新たな担い手が栽培技術や経営ノウハウを学ぶための受け入れ農家や、継承できる樹園地のリストアップを行う予定です。
今後は、受入れから就農までの一連の過程を円滑に進められるよう、各機関の役割を明確にし、安心して熊本市で果樹農業が営めるような仕組みづくりに取り組んでいきます。
農業普及・振興課では、今後4年間の重点課題に位置付け、この取り組みを支援していくこととしています。

2024年6月

勉強会の様子
動画撮影

令和6年産温州みかん着果安定勉強会の実施

令和6年産の温州みかんは、昨年産の着果過多の影響で花がやや少ない傾向にあり、特に早生~普通温州でその傾向が顕著な状況にあります。そのため、JA熊本市と当課では、出荷量を確保するための緊急着果安定対策として、かぶさり枝の除去や芽かき等の新梢管理、植物成長調節剤の散布を推進してきました。
具体的には、着果安定対策を解説したチラシの配付や、JA熊本市柑橘部会生産プロジェクトで着果安定対策の勉強会を開催しました。勉強会では、芽かきと植物成長調節剤の組み合わせによる着果安定効果についての試験結果の説明やプロジェクトメンバーによるかぶさり枝の除去・芽かきの実演を行いました。さらに、より多くの生産者へ周知するために、実施方法を動画で撮影し、部会のLINEグループでの配信も行いました。
当課では引き続き、多くの生産者が着果促進対策に取り組み、出荷量を確保できるよう技術的な支援を進めていきます。

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