熊本エリア

熊本地域は熊本市を所管しています。九州の中央、熊本県の西北部に位置し、金峰山を主峰とする複式火山帯と、これに連なる立田山等の台地からなり、東部は阿蘇外輪火山群によってできた丘陵地帯、西部は白川の三角州で形成された低平野からなっています。米や温州みかんが本県農業産出額の約14%を占めていて、特に野菜と果樹は県内でもトップレベルの産地です。

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県央広域本部 農林部 農業普及・振興課

〒860-0831 熊本市中央区八王寺町1-20

電話:096-273-9672

FAX :096-273-9693

熊本エリア普及現地情報

2023年6月

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現地検討会の様子
実際の施工の様子

温州みかんの高品質化に向け新たな取組みをスタート(Sマルチ導入)

JA熊本市柑橘部会では、温州みかんの安定した高品質化を目指し、令和4年、5年の2か年で生産現場では県内初のSマルチ※導入試験を実施しています。
これまで、同部会ではシートマルチを用いた栽培を中心に高品質果実のブランド化を進めてきましたが、近年の夏秋季の大雨等気象の影響を受け、毎年安定した高品質果実生産が課題となっていました。
そこで、当課とJA熊本市では、令和4年からSマルチを果樹研究所の支援を受けて2園地で試験導入し、その効果と栽培管理方法について検討を進めています。令和5年度には、さらに若手・中堅生産者4名の園への導入を計画し、2月から勉強会や現地検討会を重ね、3月下旬から約1か月かけて計画園の施工を完了しました。  
6か所の導入園は、園地条件や品種もそれぞれ異なるため、令和5年産の生育・生産データを当課とJA熊本市で収集・分析し、導入効果にについて検討していく予定です。当課では、引き続き、温州みかんの品質向上に係る産地の取組みを支援して参ります。

※専用のNARO.Sシートを樹冠外周部に埋設したうえでシートマルチ栽培を行うことで適切な水分管理を容易にした技術。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構で開発(正式名NARO.Sマルチ)。

2023年4月

支援機関も参集した総勢80名の研修会
先輩就農者5名の画像を使った体験発表

令和4年度熊本市新規就農者研修会を開催

令和5年3月22日、市民会館シアーズホーム夢ホールにおいて、新規就農者36名参加のもと、熊本市新規就農者研修会を開催しました。
はじめに、先輩農業者5名からそれぞれの就農から現在までの苦労や工夫、仲間づくりの大切さ等の事例報告をいただきました。その後、意見交換会を行い、就農間もない新規就農者から、発表者それぞれに対して、栽培方法等についてたくさんの質問がありました。
次に、指導農業士5名から、地域における担い手の役割や期待の激励の言葉をいただきました。さらに、(公財)新規就農支援センターから、県下の新規就農者の状況や熊本県新規就農セミナーや就農相談会の状況報告、熊本市4HCから、勧誘の意味も含めて、活動紹介がありました。
孤立しがちな新規就農者は、これを機に同じ仲間との交流や地域の師匠とのつながり、支援機関への相談のきっかけをつかめたと思われます。
今後とも、県としましては栽培技術の向上及び農業経営を発展させる知識を得る機会をつくり、就農定着につなげていきます。

2023年3月

活発な意見交換会の様子
果樹・施設園芸施設でプロジェクトを見学

熊本市指導農業士協議会研修会 熊本農業高校との意見交換会を開催

一昨年度からのコロナ禍により、同協議会は十分な活動が出来ておらず、熊本農業高校生の現場研修も無く、先生方との交流も少なくなっていました。
そこで、先生方と意見交換を通して、連携を深める事を目的に、2月3日(金)、指導農業士15名、熊本農業高校の先生6名の参加を得て、意見交換会を開催しました。
意見交換会では、熊本農業高校の概要(教育方針や生徒の構成等)や、本年度の農家派遣研修(現場研修)の計画案を聴き、受け入れ農家である指導農業士から直接の意見や提案が交わされました。
また指導農業士からは、食事の好き嫌いや、アレルギー等を持つ生徒の事前の周知をお願いする要望も出されました。そして短い日数の現場研修ですが、他人の家で寝食を共にし一緒に働く事の教育的意義を確認し合いました。
さらに、農場の施設を見学し、生徒たちの近年の学習環境も確認できましたので、新年度の生徒たちの受入れでは、楽しい会話も増えるものと期待します。

2023年3月

講習会の様子

水稲播種前講習会を開催

熊本県の平坦地における令和4年産水稲作の作柄は、高温や台風等の影響を受け、収量・品質ともに平年よりも低下し、熊本市地域産米も同様の傾向がみられました。
このような中、2月24日に城南・富合地区の水稲生産者約120名を対象に、農協と共同で令和5年産水稲の播種前講習会を開催し、耕種基準に沿った栽培要点を確認しました。4年産水稲は8月~9月にかけて高温、乾燥風及び台風の影響を大きく受けた状況を踏まえ、収量・品質の低下要因及び気象変動に負けない稲作りとして、特に、健苗の育成や生育ステージに応じた水管理等、基本的な管理技術の重要性について説明し、前年の稲作の管理を振り返りました。
生産者からは、品種や地域間での収量・品質差や除草剤の使い方等についての質問があり、改めて、5年産水稲の作付に向けて意欲的に取り組もうとする生産者の強い決意が感じられました。
農業普及・振興課では、今後も水稲の安定生産に向けて、栽培技術指導・支援を継続していきます。

2023年3月

研修会(1月)
先進地視察研修会(2月)

熊本市内の女性農業者合同研修会、盛会に終わる

女性農業者間の交流を深めるため、県が認定している農業女性アドバイザー、食の名人、及び営農生活研究グループ組織に加入している女性農業者を対象に合同研修会を開催しました。
1月の研修会では、県農業女性アドバイザーに各自の営農を発表いただき、営農生活研究グループと食の名人からは、地域活動の報告、更に地元農産物を使った料理の紹介やフルーツカッティングの実演等を行っていただきました。
また、今回は特別に、九州農政局から「みどりの食料システム戦略」を説明していただき参加者の知見を深めました。
盛沢山の内容でしたが、「充実した内容だった」など参加者からは好評でした。
2月の先進地視察研修会では、今年度全国農林水産祭の多角化経営部門で天皇杯を受賞した「(株)パストラル」を訪れ、代表取締役 市原氏から取組活動などについて講話していただきました。里山農業を軸に、生産から加工まで6次産業化を実現した話を、時に頷き、時に驚きながら参加者が聞き入り、「このような活動をされていることを知らなかった」「良い話だった」と感想が出ました。
2回の研修会とも20名を超える参加者があり、今後の取り組みについて意識の高揚に繋がりました。多忙な女性農業者ですが、県では今後も、新たな連携や活動の展開につながる取組を進めていきます。

2023年3月

講習会の様子
植物成長調整剤散布の実演

温州みかんの隔年結果是正に向けた今冬の取組支援

令和4年産の温州みかんはとても着果が少ない裏年であったことから、令和5年産は極端な表年が予想されています。このため、表裏を繰り返す温州みかんでは隔年結果が拡大する恐れがあるため、当課はJA熊本市とともに隔年結果是正の対策を進めています。
11~12月は、植物成長調整剤の散布や予備枝※の設定など、複数の技術で令和5年産の着花抑制、発芽促進を図りました。なお、指導に当たってはチラシ配布や講習会を行うとともに、実施方法の動画を部会のグループLINEを利用して配信し、取組の実施を呼びかけました。
講習会では、品種や着果程度の異なる樹に対する処理の方法や植物成長調整剤散布のタイミングなど多くの質問があり、生産者の関心の高さが伺えました。
現在、せん定講習会を各地で実施しているところですが、1月25日の寒波による樹体への影響を考慮し、樹勢状態に応じた対策に多くの生産者が取り組むよう、引き続き技術的な支援を行っていきます。

※先端の葉を残し全摘葉した夏秋梢や周囲の枝梢を除去した2~3年生枝

2023年2月

収穫された子実
コンバインによる収穫作業

子実用トウモロコシ収穫現地検討会を開催!

当課では、12月14日(水)に「株式会社サン・ファーム」圃場において、子実用トウモロコシの収穫現地検討会を開催しました(畜産課共催)。
近年の飼料価格高騰で生産コストが上昇しており、国産飼料生産の拡大が求められています。そこで、「株式会社サン・ファーム」(採卵鶏)と連携して展示圃場(約1.4ha)を設置し、今年度から初めて子実用トウモロコシ栽培に取り組みました。
当日は、県内畜産関係機関約40名が出席し、県庁畜産課から補助事業の紹介、「株式会社サン・ファーム」からの取組概要経緯等の説明の後、収穫実演を行いました。約24aの圃場の収穫作業を行い、初めての試験栽培でしたが粒も大きく充実しており、来年度からの面積拡大に向けて手ごたえを感じることができました。
来年度は、管内で約5.5haの子実トウモロコシ栽培を予定しており、引き続き、栽培技術指導を行い、国産飼料生産拡大に向けた取組みを支援していきます。

2023年2月

環境モニタリング装置
生育データ収集用の調査

ナス生産者が取り組める手軽な生育調査手法の開発

熊本市西南地域はナスの促成栽培が盛んに行われており、その一部ハウスには、スマート農業技術の柱である複合環境制御装置※1が導入されています。
しかしながら、栽培経験の浅い生産者は正しい生育判断が難しく、適切な環境制御ができずに装置の能力を十分に活かしきれない状況にあります。そのため当課では、生産者が正確に生育状況を判断するため、自身で手軽に“生育の見える化”ができる調査手法を開発し、普及させる必要があると考えています。
そこで、本年は、7戸の生産者のほ場に環境モニタリング装置※2を設置し、生育調査手法の開発に向けた調査・検討を実施しています。具体的には、生育調査の項目を決定するために、①“葉の大きさ”や“茎の太さ”等の生育、②ハウス内の環境、③ほ場の収量の3つのデータについて収集し、比較・検証を行います。
今後、当課では、検証結果を基に、生産者が自ら実施できる生育調査マニュアルを作成し、生産性の高い環境制御技術の開発・普及を図って参ります。

※1複合環境制御装置:施設内の気温、湿度、日射量、土壌水分量等の測定結果を基に、暖房機やかん水装置等をコンピュータで複合的に制御する装置のこと
※2環境モニタリング装置:ハウス内の気温、湿度、炭酸ガス濃度、日射量、土壌水分量等を測定し、そのデータをリアルタイムにインターネット上で確認できるようにする装置

2023年1月

現地検討会の様子
展示ほ調査の様子

加工用ホウレンソウ大規模産地形成に向けて

熊本市では、青果物冷凍加工施設の整備に併せ、令和元年度から加工用ホウレンソウ産地の形成が進んでいます。今年度は、7名が計約17haで栽培を行っており、JA熊本市や種苗会社等関係機関と連携し、安定生産技術の確立に取り組んでいます。
昨年は、過乾燥による生育不良やハスモンヨトウの食害等が問題となりました。そのため、今年度は栽培カレンダーを作成し、適切な施肥・防除体系の指導を実施しました。加えて、フェロモン剤によるハスモンヨトウの防除効果検証や品種比較試験などを実施し、収量・品質の向上に向けて取り組んでいます。
その結果、11月収穫の実証ほでは、主品種の商品化収量が2.2t/10a、雑草混入率0%と収量・品質ともに良好な結果が得られました。
当課では、現在、堆肥及び長繊維不織布※の効果に関する試験を実施しており、JAとともに引き続き、安定生産技術の確立及び更なる面積拡大に向けて支援を行ってまいります。

※長繊維不織布:ポリエステルなどの素材でできた、保温による生育促進や防虫等を目的としたべたがけ資材のこと。

2023年1月

収穫直前の加温デコポン果実
摘果モデル樹の説明シート

~これまでの生産管理努力の成果やいかに~加温デコポンの出荷が始まりました

JA鹿本デコポン専門部(全32戸うち植木地区21戸)では、11月29日から加温デコポンの出荷が始まり、本年産は270tの出荷を計画しています。
当専門部では、年内出荷が可能で高品質果実が生産できるヒリュウ台「肥の豊」の導入を積極的に進めており、当課では、JA鹿本と連携して、結実管理及び秋期の水分管理徹底に重点を置いた栽培支援を行いました。
全園にモデル樹を設定し、摘果の程度を示す説明シートを取り付けることにより、適切な摘果の実施を促すとともに、秋期の水分管理では、自園の土壌状態や果実肥大等の観察によりかん水量を調節するよう巡回指導を行いました。
これらの取組と生産者の生産努力により、品質・外観ともに良好な果実に仕上がっており、有利販売が期待されます。
今後は、1~2月に全園の土壌分析を予定しており、来年産に向け適切な施肥設計を進めることとしています。当課では、引き続き生産者の所得向上を念頭に、加温デコポン栽培の支援を進めていきます。

2023年1月

大豆コンバインによる刈り取り
フレコンバックへの詰込作業

営農組織化に向けた大豆試験栽培を実施

合志川流域地区(植木町平井・宝田・舟島・伊知坊の4地区)と当課は、11月28日(月)に大豆試験栽培の収穫作業を行いました。
合志川流域地区では、令和2年に営農改善組合を立ち上げ、運営検討会や地区座談会を開催しながら営農組織化に向けた合意形成を進めています。今年度は、営農組織設立後の主力となる大豆の栽培技術向上を図るため、試験栽培に取り組みました。
当日は、近隣農事組合法人のコンバインを借り、合志川流域地区営農改善組合役員、熊本市、機構駐在員及び当課12名で約60aの収穫作業を行いました。初めての栽培でしたが、粒も大きく充実しており、来年度からの面積拡大に向けて手ごたえを感じることができました。
合志川流域地区の農地面積は、約140haあり、営農組織化の際は、約54haが新組織に集積される見込みとなっています。引き続き、大豆等作物の栽培技術指導や営農組織設立に向けた合意形成の取組を支援していきます。

2022年11月

JA営農センター会議室にて

ナス新規就農者の実績検討会を開催

当課では関係機関(市・JA)と連携して、新規就農1~4作目のナス重点指導農家名を対象に、実績検討会を9月に開催しました。
検討会では、個別面談形式により令和3年産の生産・販売実績を振り返り、令和4年産に向けた生産計画について検討しました。
令和3年産の収量は、4名の平均で20t/10aと目標を上回る実績でした。出荷実績、経営成績、自己評価シートを基に、栽培を振り返るとともに、令和4年産の栽培上の改善策、目標の収量・所得について協議しました。
課題はそれぞれ異なりますが、関係者から栽培技術や経営について助言を行いました。
燃料・肥料価格上昇の情勢下にあって、4名の経営改善意識は高く、施肥改善や排水対策など、課題に応じた改善に取り組んでいます。
当課では引き続き、新規就農者の経営安定のため、技術や経営など、多方面から支援を行うとともに、研修から就農、現在に至るまでの経過を取りまとめ、就農希望者の参考となる事例集の作成に取り組んでいきます。

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