熊本エリア

熊本地域は熊本市を所管しています。九州の中央、熊本県の西北部に位置し、金峰山を主峰とする複式火山帯と、これに連なる立田山等の台地からなり、東部は阿蘇外輪火山群によってできた丘陵地帯、西部は白川の三角州で形成された低平野からなっています。米や温州みかんが本県農業産出額の約14%を占めていて、特に野菜と果樹は県内でもトップレベルの産地です。

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県央広域本部 農林部 農業普及・振興課

〒862-8570 熊本市中央区⽔前寺6−18−1(防災センター内)

電話:096-333-2776

FAX :096-333-2781

熊本エリア普及現地情報

2024年10月

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収穫前の子実とうもろこし(R6.7.18撮影)
子実とうもろこし収量調査(R6.7.26撮影)

子実とうもろこしの生産拡大進む

熊本市管内では飼料自給率の向上及び飼料価格の高騰対策として、R4年度から養豚・養鶏農家において子実とうもろこしの生産・利用拡大に取り組んでおり、本年度の春作の作付面積も昨年度の5.5haから12.2ha(前年比222%)と大きく拡大しました。
8月上旬には養鶏農家による収穫が行われ、一部、湿害による発芽不良やカラス及びイノシシの被害により収穫できないほ場がありましたが、収穫できたほ場での平均単収は524kg/10aとなりました。単収については、まだ伸ばす必要がありますが、昨年度の458kg/10aを上回ることができ、当課の坪刈調査では1,000kg/10aと平均単収を大きく超えたほ場もありました。これらのことは昨年度の結果を踏まえた、適正な堆肥の散布量や植栽密度、雑草防除の徹底等の対策を行った成果だと思われます。
今後、排水対策や鳥獣害対策が課題となっており、春作収穫後すぐに夏作を作付けされていることから、当課としても対策を検討し、更なる収量増を図るため継続して支援を行っていくことにしています。

2024年10月

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アリウムの貯蔵切り花の取組み~出荷ピークをずらして農家経営の安定を図る~

JA熊本市西部花卉部会(4戸)では、ジャパンフラワー強化プロジェクト推進事業(国)を活用して令和6年5月から低温管理下でジベレリン吸収後低温貯蔵して6、7月に出荷する試みを行っています。
これまでのアリウムの出荷は3~5月に集中し、単価下落や作業が集中する問題がありました。しかし、オランダ、中国など、海外需要の高まりもあり、1~2月出荷作型の拡大や切り花の貯蔵による6月以降の出荷期間拡大など、出荷ピークの分散が求められてきました。
このため、令和4年度には1~2月出荷作型へ挑戦し、次いで今年度は「丹頂」切り花の長期貯蔵技術に取り組みました。併せて消費地市場(大田花き、フラワーオークションジャパン)との意見交換を行い、市場に到着した時の開花が進みすぎていたなど、品質上の課題が明らかになりました。一方、海外輸出向けのアリウム切り花の需要が高いことから1、2月出荷に重点を置き5月一杯までしっかりと出荷していただきたいとの要望が市場側から出ました。
農業普及・振興課では、令和6年産以降のアリウム生産について出荷の前進化を主体とした技術的な支援を進め、農家経営の安定を図っていきます。

2024年10月

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個人面談の様子
生産者の出荷データ

いちご個人面談会を開催!! ~更なる収益向上を目指して~

JA熊本市白浜苺部会(部会員数17名)は、河内町白浜地区を中心として約6haの作付けがなされており、部会平均の収量が高く、いちごの生産力が高い部会となっています。
当課では、県育成品種「ゆうべに」の導入以降、毎年、前作の生産上の課題を振り返り、次作の収益向上を図ることを目的に「個人面談会」を開催しています。 
本年は新たに、生産者の出荷実績等をグラフ化することで、生産者が抱えている課題や、理想とする出荷体系の実現に向け、次作への対策を話し合いました。
生産者からは、「年内だけでなく、春先にもう少し収量を伸ばしたい。」といった生産上の課題や、「着実に出荷量が伸びているので生産面積を増やしたい。」など前向きな意見も聞かれました。
今後は、今回の面談により明らかとなった課題の解決と収益向上に向け、引き続き支援を実施して参ります。

2024年10月

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熊本市青年農業士総会開催

令和6年8月23日(金)、防災センター会議室において、熊本市青年農業士協議会総会が開催されました。熊本市青年農業士協議会は、天明、飽田、中央、北部河内の5支部20名で構成されています。協議会は、熊本県青年農業士として県央広域本部長から認定された者で組織され、満40歳以下の青年農業士を対象としています。
総会には会員11名が参加し、昨年度の活動実績・決算、今年度の役員、今年度の活動計画・予算について検討され、議案はいずれも承認されました。
また、総会後の研修会では、「農業分野における労働の確保について」株式会社タイミー スポットワーク研究所 地方創生グループの出竹絵美里氏より、熊本県内の活用事例等を交えながらお話をいただきました。会員からは、自分の経営での活用方法等、熱心な質問や意見もあり、有意義な研修となりました。また、当課からは熱中症対策や無登録農薬使用注意などの情報提供を行いました。
当課では、引き続き、青年農業士の活動を支援していきます。

2024年10月

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熊本市青年農業者クラブ視察研修の開催~鳥獣害対策を学ぶ~

熊本市4Hクラブでは、8/26(月)にジビエファーム(運営:㈱イノP、宇城市三角町戸馳)での視察研修を開催し、鳥獣害対策について学びました。
参加したクラブ員7名のほ場でも、スイカがアナグマに被害を受けたり、ハウス菊がイノシシに荒らされるなど、鳥獣害が身近な課題となっています。
今回の研修では鳥獣害対策の基本的な考え方、捕獲センサー等IoTを活用した箱罠の設置・運用手法やジビエ加工処理施設の運用について学びました。また、昼には三角町で捕獲されたイノシシのジビエカレーを試食しながら、㈱イノP代表の宮川将人氏に農家ハンターとしての取組みや自身が経営する㈲宮川洋蘭の経営、今後の展望についてお話を伺いました。
そして、鳥獣対策の研修後にはクラブ員のミニトマト、キュウリほ場(熊本市南区城南町)を訪問し、その栽培状況について活発な意見交換がなされました。
今回の研修では、クラブ員間の交流も深めつつ、これから自分の地域を鳥獣害から守るために、主体的に何をしていくべきかを考える良い機会となりました。
当課では引き続き、青年農業者が抱える課題の主体的な解決に向けた各種の取組みについて、しっかりと支援していきます。

2024年9月

土壌還元消毒準備 耕耘後かん水チューブを設置し、 全面マルチして実施する
土壌還元中 消毒低濃度エタノールをかん水後、地温を 高めるためハウスを密閉する

低濃度エタノール土壌還元消毒の取組み~立ち枯れ症状を克服し農家経営の安定を図る~

JA熊本市トルコギキョウ部会(4戸)では、ジャパンフラワー強化プロジェクト推進事業(国)を活用して令和6年5月下旬から順次低濃度エタノールを使った土壌還元消毒に取組んでいます。
熊本県のトルコギキョウ栽培面積43ha(R4熊本県花き生産実績)のうち熊本市の栽培面積は5haで、このほとんどがJA熊本市トルコギキョウ部会で占められています。
しかし、平成30年から複数の農家で立ち枯れ症状が発生し、原因菌はフザリウムと判定されました。その後、薬剤を使った土壌消毒に取組んだところですが、薬効が必要な深さまで届かず、被害は拡大の一途でした。
今回取組んだ低濃度エタノールは粘性が低く、希釈水のかん水処理で土壌深くまで浸み込むため、土壌還元消毒効果が期待できます。
今回取組んだ土壌還元消毒により立ち枯れ症状の発生が減少することで出荷本数が増加し、農家経営の安定が期待されます。
農業普及・振興課では引き続き、令和6年産以降トルコギキョウ生産が安定して行えるよう、生産者への技術的な支援を進めていきます。

2024年9月

退緑黄化病の感染株(左側)と非感染株(右側)
3地区合同会議の様子

ウリ類ウイルス病対策3地区合同会議を開催~対策推進のため関係機関で情報交換~

7月18日に、熊本、菊池、鹿本地域の県・市町・JAの担当者が一堂に会し、「第18回ウリ類ウイルス病対策3地区合同会議」を開催しました。この3地域は年間を通してウリ類の栽培が盛んであり、地域も密接していることから、ウイルス病対策推進のため持ち回りで本会議を開催しています。
会議では、各地域のウイルス病の発生状況や地域毎の課題、取組み等の共有に加え、今作における植木地域のウイルス病対策に係る優良事例紹介等を行いました。また、次作から新たに開発された退緑黄化病耐病性メロンの栽培が拡大することから罹病性品種や他のウリ類品目へ影響がでないよう、従来の対策を徹底する重要性を再確認しました。加えて、3地域のウイルス病発生状況調査法の統一や栽培終了後の閉め込み徹底について共通のチラシを用いて周知することとなりました。
意見交換では、JA職員から効果的な農薬散布方法についての質問があり、他JA職員等から地域の実例を基にした散布方法の提案が行われました。また、年に1回ではなく定期的に意見交換をしていきたいとの声もあがったことから、当課では今後も密な情報交換ができる場を設け、ウイルス病対策を推進していきます。

2024年9月

経営継承セミナーの様子

経営継承を考えるきっかけに!みかん産地で研修会を開催

熊本地域では、全国的に有名なみかん産地である河内地区を中心に、関係機関と連携し新たな担い手の育成・確保に取り組んでいます。
取組みの一環として、令和6年8月7日にJA熊本市河内支店にて「経営継承ミニセミナー&個別相談会」を開催しました。本セミナーは県農業会議の協力・熊本市の主催によるものです。認定農業者や青年農業者、女性農業者等約30名の果樹農家が参加し、山崎経済研究所 山崎政行所長の講話により、経営継承のノウハウについて学びました。個別面談では相続・継承についての具体的な相談が寄せられ、悩み解決の機会となりました。
現在、農業普及・振興課では、果樹生産者を対象とした産地の将来像等についてのアンケートを取りまとめています。この結果を踏まえ、担い手育成・確保の仕組みづくりと併せて経営継承への理解促進に取り組む予定です。

2024年8月

大長なすの栽培ほ場
果実品評会の様子

大長なす部会ほ場・果実品評会を開催~栽培技術向上を図るため、部会員で情報交換~

JA鹿本大長なす部会では、くまもとふるさと特産野菜である大長なすを植木町で約4ha栽培しています。部会員は7名と少ないですが、うち6名が40代と活気のある部会です。
部会の主催で6月28日に、ほ場・果実品評会が開催されました。県、市、JAと部会員で全ほ場を巡回し、ハウス内環境や草勢、着果性等を採点方式で評価しました。巡回をするなかで、部会員間で摘葉や肥培管理等の意見交換が積極的になされ、品評会の目的である大長なすの栽培技術向上に向け、全員で取り組む姿勢が見られました。
今年度はスマートフォンでハウス内環境が確認できるモニタリング装置「ハウスファーモ」の導入を予定しており、部会員での情報共有に更に力をいれるそうです。
部会員のほ場では、近年、青枯病※の発生が増加しており、ウリ類に品目転換するほ場もでてきています。当課では引き続き、栽培技術の向上や病害対策について、関係機関と連携しながら大長なすの生産維持に向け、支援していきます。

※ 青枯病:ほ場内で一度発生すると根絶させることは難しい土壌病害。発生時期が早いと大きな減収につながる。

2024年8月

水稲栽培のプラスチック削減に向けた新技術を実証~水稲ペースト肥料二段施肥技術の実演会を開催~

水稲栽培では省力化を目的としてプラスチック被覆肥料による全量基肥施肥技術が一般化していますが、被覆資材のプラスチックが環境中へ流出することが問題となっています。そこで、本年度から当課ではプラスチックを排出せず環境負荷低減が可能なペースト肥料二段施肥技術について、熊本型みどりの食料システム戦略推進事業を活用し、環境保全型農業モデル展示ほを設置しています。
今回、令和6年6月25日に生産者及び関係機関約10名を参集し、ペースト肥料二段施肥機を装備した田植機による田植同時施肥の実演会を実施しました。実演会では当課から展示ほの概要を説明した後、肥料メーカーからペースト肥料二段施肥技術について説明を行いました。近年、ペースト肥料はプラスチックを環境中に排出しない肥料として注目されていますが、県内での水稲「くまさんの輝き」での実証例が無いことから、参加者からはペースト肥料の特徴や県内外での普及状況等についての質問があり、当該技術への関心の高さが窺えました。
今後、当課では継続して生育調査及び収量調査を行い当該技術の地域適応性を評価し、環境にやさしい農業の推進に取り組んでいきます。

2024年8月

柑橘摘果講習会の開催~高品質なみかんの生産に向けた産地の取組支援~

今年産の温州みかんは6月上旬頃に落果が落ち着き、果実肥大と品質向上のための摘果作業の時期に入りました。管内の着果状況は極早生で中程度、早生以降でやや少となっています。当課ではJA熊本市と協力し、6月10日から7月11日にかけて熊本市西区の農家組合を対象に、13地区で摘果講習会を開催しました。
講習会では座学で着果量に応じた摘果時期や方法を説明するとともに、近年秋季の発生が増えつつあるカイガラムシや、例年より早い時期から発生が確認され今後の被害が懸念されるカメムシの防除に係る指導、また品質向上対策としてシールディング・マルチ栽培※1の紹介等を行いました。
また、現地指導では、2月の講習会でせん定した樹の着果状況を確認しつつ、生産者と一緒に摘果数を数えながら小玉果などを落とし、求める品質の果実確保に向けて現時点でどの程度摘果すべきかを共有しました。
生産者からは摘果管理のほか、効果的な病害虫防除等についても質問や意見が積極的に飛び、今後の栽培管理に向けた有意義な講習会となりました。
当課では引き続き、令和6年産のみかんが高品質なものとなるよう、生産者への技術的な支援を進めていきます。

※1 専用のシートを植列と平行に埋設してマルチ下への雨水流入を防ぐことで、確実な乾燥ストレスを樹体に付与し、果実品質(糖度)の向上を図る栽培技術

2024年8月

講義の様子
実際の工事現場におけるドローン測量の実演

熊本農業高校における農業土木技術者の育成に向けた取組み ~スマート農業技術の必要性を啓発~

県央農林部では、農地整備課を中心に熊本農業高校生(農業土木科)に対し、技術力向上等を目的とした連携授業を平成27年から実施しているところです。
今後の農業は、担い手の減少やスマート農業、DX技術等の進展により、超省力、効率化生産へ移行することが予想されていますが、それらの技術導入・普及のためには、スマート農業技術に対応できるほ場整備等の生産基盤整備が必要です。
そこで、農業普及・振興課では、農地整備課と連携し、6月17日(月)に農業土木科3年生38名を対象に、スマート農業に関する授業を実施しました。当課からは本県農業の紹介や担い手不足等の課題、スマート農業技術の導入の必要性について啓発を行い、農地整備課からは実際の工事現場においてICT施工の実演を行いました。
農業高校生からは、「スマート農業技術の実装状況はどの程度か」といった質問や「将来、農業関係の公務員になりたいので、今日の学びを今後に活かしたい」とのコメントがありました。
当課では、継続してスマート農業技術の導入に向け取り組んでいきます。

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