球磨エリア

球磨地域は人吉市、球磨郡を所管しています。県の南東部に位置し、九州山地に囲まれた盆地であり、中央を東西に貫流する球磨川の沿岸に広がる水田地帯と、周囲には畑地帯からなる中山間地帯及び山間地帯からなっています。水稲をはじめとした土地利用型作物や茶・葉たばこ等の工芸作物、野菜、果樹、さらには、酪農、肉用牛等多彩な農業生産が営まれています。中でも、葉たばこ、茶、クリ、モモは、県下1位の生産量を誇っており、二条大麦、ホウレンソウ、夏秋キュウリ、酪農も県における有数の産地です。なお、最近では球磨焼酎原料用としての多収穫米や、薬用作物等の栽培も行われています。

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県南広域本部 球磨地域振興局 農業普及・振興課

〒868-8503 人吉市西間下町86-1

電話:0966-24-4129

FAX :0966-24-4144

球磨エリア普及現地情報

2024年10月

茶園の土壌分析を基にした施肥講習会の開催

球磨地域は県内の荒茶生産量の約半分を占める最大の産地であり、現在約182haで栽培がおこなわれています。
JAくま茶部会では、毎年多くの部会員の方が土壌分析を行っていますが、その結果の活用が不十分な状態でした。そこで、その結果を次年度の栽培に活用していただくために、土壌成分が茶の製品品質に与える影響をテーマに講習会を開催しました。
講習会では、土壌に含まれる主要な成分が茶の生育・品質に及ぼす影響や、各成分が適正値から外れていた場合の対策方法、次年度に向けた施肥設計の改良の考え方について説明を行いました。
当日は20名程の生産者の出席があり、講習会後には、分析に用いる土の採取時期に関する質問や、施肥設計の改良について個別に相談があるなど、生産者の関心の高さを感じました。
当課では引き続き、農業革新支援センターやJAと連携して良質な茶の栽培・製造支援に取り組みます。

2024年10月

栽培管理のDX化によるイチゴの収量向上を目指して

球磨地域では、農業のDX化の取組みの一環として、イチゴ栽培において栽培環境のデータに基づいた管理による収量向上を進めています。
令和5年産では、8戸のモデル生産者において環境モニタリングを実施しており、そのデータ検討会を8月9日に開催しました。
今回の検討会では、環境データ及び生育・収量データや、令和4年産の課題の一つであった炭酸ガス施用方法に関する展示圃の実績として、炭酸ガスの施用回数を増やすことにより、厳寒期の収量を10%程度増加できる可能性を示し、関係機関を交えた意見交換を行いました。
出席した生産者からは、「イチゴ栽培は2年目だが、手本となるデータを常に見ることができ、非常に参考になっている」、「炭酸ガスの施用方法についてもっと工夫していきたい」などの意見があり、栽培環境の「見える化」とデータの相互共有による効果が着実に現れています。
当地域では、令和6年産も引き続き環境モニタリングを実施し、炭酸ガス施用方法を中心とした栽培管理の改善とその効果を検証するとともに、JAの営農指導員とも連携して部会全体にも取組みを波及させていく予定です。

2024年10月

ドローン
見学会の様子

高齢化に対応したクリドローン防除への取り組み

球磨地域のクリ栽培では生産者の高齢化や担い手減少による労働力不足が問題となっています。球磨農業普及・振興課では、今年度、山江村及び相良村と協力して、労力削減のためのクリのドローン防除の実証に取り組んでおり、8月9日、19日には生産者、関係機関を参集して実演会を行いました。クリでのドローン防除は球磨地域において初めての試みであり、生産者の関心も高く、見学会当日は関係機関や生産者等約30名が参加しました。
ドローンによる農薬散布は、山江村では手動操縦で行い、相良村ではクリ樹によって、ドローン目視ができなくなる場面を想定して、南栄工業株式会社が3Dマッピングを活用した自動飛行(目視外)で実演しました。防除にかかる作業時間は、手動操縦で10aあたり3分程度、自動操縦で10aあたり5分程度と慣行防除と比べて大幅に時間を短縮することができました。実演会に参加された生産者からは、「自分の園地でも利用したい」という声が多く聞かれました。
山江村では「山江ドローン防除組合」が村の全面的な後押しにより、防除作業を請け負い、相良村では水稲のドローン防除を広く請け負う「相良スマート農業サービス組合」が目視外飛行の資格取得を進めるなど、体制を構築していく予定です。
今後は、本課ではドローン防除の効果と費用対効果を検証し、ドローンの活用拡大に向け生産者や関係機関と情報共有をしていきます。

2024年9月

RCFと雨風太陽社の連携協定記者発表
記者会見の様子

人吉球磨・農業未来プロジェクトにおけるRCFと雨風太陽社の連携協定について

球磨地域では、一般社団法人RCFを中心とした「人吉球磨・農業未来プロジェクト」が進められており、球磨地域振興局農業普及・振興課等と連携して農業の魅力発信や農家の経営課題の解決サポート等が行われています。
本プロジェクトの一環として、7月9日に一般社団法人RCFと株式会社雨風太陽の連携協定が発表されました。雨風太陽社は、生産者と消費者をつなぐ産直サイト「ポケットマルシェ」を運営しており、今回の連携協定に基づき、球磨地域のモデル農家5戸においてポケットマルシェの実証が行われます。
産直サイトは、卸売市場などを通さず消費者へ直接、農畜産物を供給することができるため、メリットとして、新たな販路確保だけでなく、生産者の希望する単価で取引できることや遠く離れた消費者にも顔の見える形で販売できること等があります。
記者発表ではモデル農家から「農作業におわれ、販売活動に割く時間が少ないなか、本サイトを活用して売れるチャンスを作ることができる。人吉球磨のファンづくりに貢献したい」と前向きなコメントがありました。
実証の結果は、9月に開催される若手農家の交流会において共有される予定です。当課では、今後も関係市町村や団体等と連携して、本プロジェクトの取り組みをサポートするとともに、より多くの農家の課題解決につながるよう、実証結果等をもとに地域全体への効果波及を図って、人吉球磨地域の振興につなげます

2024年9月

ネコブセンチュウ講習会の開催

球磨地域では製薬メーカーとあさぎり薬草合同会社が連携し、約15年前からミシマサイコの栽培が取り組んでおり、現在86haの栽培が行われています。
ミシマサイコにおいては近年、連作障害などにより、ネコブセンチュウの被害が問題となっているため、原因と対策について講習会を開催しました。
講習会では、まず当課からネコブセンチュウの生態と基本的な防除方法について説明を行い、次に農薬メーカーが、ミシマサイコで使用可能な農薬について講演を行いました。
当日は50名を超える生産者の出席があり、講習会後には生産者から防除の仕組みや農薬の散布方法についての質問が出されるなど、活発な意見交換が行われ、生産現場の関心の高さを感じました。
当課では引き続き、高い収益性が見込まれるミシマサイコの生産量増加に向け、関係機関と連携して、生産体制の強化を支援していきます。

2024年9月

屋内座学講習の様子
現地ほ場講習の様子

暑さに負けない!うまい米づくりのための水稲講習会の開催

水稲の高品質及び良食味米安定生産に向け、7月18日、19日の2日間、人吉市・錦町・あさぎり町・多良木町の4か所でJAくまと連携した栽培講習会を開催しました。講習会は、座学講習と現地ほ場講習に分けて行い、計37名の生産者が集まりました。
当日は、天気に恵まれ、梅雨明け後の高温下であったため、現場ほ場の時間を短く、日陰で行う座学を中心とした講習会となりました。
座学講習では、品質低下防止に特に重要な水管理について、各生育ステージでの適正な水位や、台風時の事前・事後対策を説明しました。また、いもち病の防除適期、今年度多発が懸念されているウンカ類の飛来状況や防除適期の説明を行い、注意喚起と防除の徹底を指導しました。
現地ほ場講習では、会場付近のほ場において、中干しのタイミングの指導、生育状況の確認を行いました。
講習会に参加した生産者からは、「『くまさんの輝き』と『ヒノヒカリ』の品種特性の違いや特徴について知りたい」、「追肥のタイミングについて教えてほしい」など、質疑・意見交換が活発に行われ、有意義な講習会になりました。
当課では、今後も講習会や現地指導を通した生産者への情報発信により、水稲の高品質及び良食味米安定生産に向けた支援を行っていきます。

2024年9月

梨の省力樹形の普及に向けた説明会を実施

梨栽培は通常、摘果や収穫、せん定等に多大な時間を要するとともに、長時間の上向き作業が続くため、作業者への身体的な負荷が大きく、生産者の高齢化が著しい現在、廃業や後継者不足の要因となっています。
この課題解決に向け、球磨地域では平成27年からジョイント樹形※1、令和元年からジョイントV字樹形※2の展示ほを設け、省力樹形を導入した場合の作業性や収量性の調査を行ってきました。
これらの成果をもとに上記2つの樹形の普及を図るため、農業普及・振興課とJAくまは、7月8日に省力樹形導入に係る説明会を実施しました。 
今回の説明会では、展示ほから得られたそれぞれの樹形における導入効果や、導入後の収支、活用できる補助事業等に重点をおき、午前(JAくまナシ部会)と午後(一勝地果実協同組合)併せて約50名の参加者に向け説明を行いました 
説明会では生産者が熱心に聞き入る様子が見られ、終了後には2名の方から導入に関する問い合わせがあるなど、導入に前向きな反応がありました。
省力樹形は多くのメリットがありますが、比較的新しい技術であり、品種ごとの適応性などさらに確認を進める必要があります。
農業普及・振興課では今後もナシの省力樹形の調査と、JAと連携した導入支援を継続し、産地の労働不足に対応した技術支援を行っていきます。

※1 ジョイント樹形:主枝の先端部を隣の樹へ接ぎ木し、連続的に連結させた直線状の樹形
※2 ジョイントⅤ字樹形:従来のジョイント樹形では平棚上にあった主枝を0.7~0.8mの高さまで下げ、側枝を斜立させた新しいジョイント樹形

2024年9月

カボチャの種まき準備の様子
ミシマサイコほ場での説明の様子

オープンラボを活用した農業体験学習の実施

あさぎり町では、令和2年度から球磨農業研究所の「オープンラボ機能」を活用した「あさ中農業体験ラボ」を実施しており、町内の中学生に対し、野菜栽培を中心とした農業体験学習を開催しています。令和6年度は5年目となり、7月18日に、球磨農業研究所にて、あさぎり町立あさぎり中学校2年生141人を対象とした、パンプキンキッズという小ぶりのかぼちゃの播種体験を実施しました。
当日は、農業普及・振興課、あさぎり町役場の職員が、各クラスに配置され、指導を行い、その後、生徒たちにかぼちゃの播種を体験してもらいました。農作業を初めて行う生徒もおり、農業に触れる良い機会となりました。今回、播種したかぼちゃは10月に収穫体験を行う予定です。
その後、あさぎり町特産の「ミシマサイコ」について、実際の作物を前に農業普及・振興課から、あさぎり町での生産の歴史、漢方薬としての利用について説明しました。生徒たちは、地元にこのような作物があることを知り、驚いたようでした。
農業普及・振興課では、これからも、将来の農家の担い手や食・農への関心を高めるため、教育現場と連携して農業の理解促進を進めていきます。

2024年8月

市町村への牛乳プレゼント(五木村)
牛乳・パンフレットの無料配布

父の日に牛乳(ちち)を贈ろう!キャンペーンの開催

6月11日と16日に、球磨酪農農業協同組合女性部、ホワイト酪農業協同組合女性部及びくま農業活性化協議会畜産部会の共催により、6月の牛乳月間に合わせた牛乳消費拡大の取組として、「父の日に牛乳(ちち)を贈ろう!キャンペーン」が開催されました。
6月11日には、管内10市町村長及び振興局長にらくのうマザーズの牛乳セットと1ℓの牛乳パック2本を、両組合女性部から贈呈しました。
「父の日」である6月16日には、管内の道の駅や高速道路のサービスエリア等、11か所において、200mlパックの牛乳を合計約1,100本、無料配布しました。併せて、当課では、牛乳の消費を促すパンフレットとして牛乳を使用した料理のレシピ集を作成・配布し、地元で生産された安全で安心な牛乳を消費者にPRすることができました。当日は天候に恵まれ、開始からわずか30分程で配布が終了する場所もあり、とても好評でした。
熊本県は、西日本一の酪農県であり、その中で球磨地域は県内2位の牛乳の生産地として、酪農家が毎日良質な牛乳生産に励んでいます。今後も当課では、管内酪農家の営農支援を行うとともに、消費者に向けた安心・安全な牛乳のPRを行っていきます。

2024年8月

若手へ伝授 
皆で検討の様子

球磨地域の夏ギク現地検討会の開催

球磨地域では、JAくま菊部会の部会員17名を中心に夏ギクが栽培されていますが、夏ギクの需要期が8月上旬の10日間程度ととても短いことから、高い単価で取引するためには、その時期に集中的に出荷する必要があります。また、従来の品種より切り花の品質が高い新品種「秀友」や「精の奏」への転換が始まっていますが、新品種であるために栽培管理のノウハウの蓄積が少なく、適正な管理技術を普及させることが課題となっています。
そのため、5月28日と6月4日の2日間にかけて、出荷目ならしを兼ねた現地検討会を開催し、農業普及・振興課からは、昨年度取り組んだ、新品種「秀友」「精の奏」の特性調査をもとに、高温傾向での管理の注意点等について説明しました。また、今年度の病害虫発生予察結果に基づき、アザミウマ類、ヤガ類の発生状況、この時期の菊のカメムシ被害について説明しました。
当日は、親子で参加する生産者もおり、地域の先輩農家から若手後継者に栽培のコツを伝授する場面も見られました。
JA菊部会は20代から30代の若手後継者が5名いますので、当課では、新品種の栽培技術の普及と併せて、若手農家を対象とした検討会や講習会等を企画していきます。

2024年8月

茶品評会荒茶の部で特別賞を受賞

令和6年度熊本県茶品評会の「荒茶の部」において、相良村の川上大和氏が特別賞である「県知事賞」を受賞しました。
熊本県茶品評会とは、茶の生産技術の改善と品質の向上を目的に、くまもと茶ブランド確立対策協議会が毎年開催している品評会であり、「荒茶の部」では「蒸し製玉緑茶」、「煎茶」、「釜炒り茶」の3茶種について表彰されます。
茶の主要産地である球磨地域では、多くの生産者がこの品評会での上位入賞を目指して、日々努力されていますが、なかでも20代の若手農家である川上氏は、栽培技術と加工技術の向上や実践に熱心に取り組んでおられ、昨年に引き続き、3茶種全てに出品されました。
審査当日である6月27日には、3茶種において県内6市町村から計33点が出品されたなか、川上氏の煎茶は外観、水色、香気、滋味の4項目で高い評価を受け、1等である「熊本県知事賞」の受賞の名誉につながりました。
今後は、8月に開催される「第78回全国茶品評会静岡大会」に出品予定であり、上位入賞が期待されます。
農業普及・振興課では、これまで摘採や仕上げ調整などについて、技術支援を行ってきましたが、今後も農業革新支援センターやJAと連携しつつ支援を継続し、品評会への取り組みなどを通して「球磨茶」のブランド力強化を支援していきます。

2024年8月

「オープンラボスマート農機実演会」の開催

当課では、地域農業の課題解決や生産性向上を目的に、球磨農業研究所において「オープンラボ」に取り組んでおり、関係機関と連携した試験ほ場の設置や実演会の開催等を行っています。
6月20日には、「オープンラボスマート農機実演会」として、株式会社クボタ、株式会社オーレック、北興化学工業株式会社の協力のもと、現場で普及が進んでいるドローンに焦点を当てた講義及び各種関連機械の実演を行いました。
まず、株式会社クボタからスマート農業全般の紹介があった後、当課からドローンを使った栗園での農薬散布事例紹介、アグリシステム総合研究所から棚田でのドローン防除における防除効率と効果について、そして除草剤メーカーの北興化学工業株式会社から自己拡散型除草剤の紹介とドローン散布による省力散布の講義が行われました。
その後、ロボット田植機による水稲の自動田植、自動操舵トラクタ、ラジコン草刈機の実演や、自己拡散型除草剤のデモンストレーションが行われました。
当日は、管内地域営農法人等の農業者を始め、JAや市町村担当者等約30名の参加があり、「ドローン活用の幅が広がり、今後の営農の参考になった」という声が聞かれました。
今後も当課はオープンラボを活用して、水稲品種の普及や技術指導、スマート農機の実演を行い、生産振興・普及拡大を図ります。

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