球磨エリア

球磨地域は人吉市、球磨郡を所管しています。県の南東部に位置し、九州山地に囲まれた盆地であり、中央を東西に貫流する球磨川の沿岸に広がる水田地帯と、周囲には畑地帯からなる中山間地帯及び山間地帯からなっています。水稲をはじめとした土地利用型作物や茶・葉たばこ等の工芸作物、野菜、果樹、さらには、酪農、肉用牛等多彩な農業生産が営まれています。中でも、葉たばこ、茶、クリ、モモは、県下1位の生産量を誇っており、二条大麦、ホウレンソウ、夏秋キュウリ、酪農も県における有数の産地です。なお、最近では球磨焼酎原料用としての多収穫米や、薬用作物等の栽培も行われています。

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県南広域本部 球磨地域振興局 農業普及・振興課

〒868-8503 人吉市西間下町86-1

電話:0966-24-4129

FAX :0966-24-4144

球磨エリア普及現地情報

2025年7月

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研修会の様子
説明資料の一部

球磨地域振興局内防疫研修会の開催

球磨地域では、5月16日に球磨地域振興局員を対象とした防疫研修会を開催しました。地域における高病原性鳥インフルエンザの発生は、平成26年に相良村及び多良木町で発生後確認されていませんが、国内での発生は毎年確認されている状況です。
昨年度は14道県51事例が発生し約930万羽が殺処分されました。また、今年度の4月には宮崎県都城市において野生いのししの豚熱感染が確認されており、県内に豚熱ウイルスが進入するリスクも高まっています。
当課では、昨年度から年度当初の5月に、局内での防疫研修会を開催していますが、今回は、高病原性鳥インフルエンザに加え、豚熱や口蹄疫等も含めた特定家畜伝染病の発生に備えた内容で開催しました。
研修は、新規採用職員や定期人事異動で転入した職員等を中心に参集し、当課及び城南家畜保健衛生所から初動防疫の流れやそれぞれの役割分担、特定家畜伝染病に係る基礎的な情報について説明しました。
今後は、各疾病の防疫マニュアルをもとに、現場での実地及び机上演習を実施するとともに、鳥インフルエンザ以外の家畜伝染病に対しても知識の普及・啓発を継続し、万が一管内で特定家畜伝染病が発生した際に、迅速に初動体制を確立できるよう取り組んでいきます。

2025年7月

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硬度計によるほ場調査の様子
(農)球米による田植えの様子

令和2年7月豪雨からの復興支援「球磨村尾緑地域で営農を再開」

令和7年6月6日に、球磨村渡の尾緑地域周辺では「令和2年7月豪雨」以来、約5年ぶりに田植えが行われました。
同地域では、令和2年7月豪雨災害の復旧工事に伴う土砂の仮置き場として使用されていましたが、令和7年3月に農地(約1.4ha)の復旧工事が完了し、長らく使用していなかった水路も、地元住民らで協力して土砂や落ち葉の除去作業を行い、令和7年産から水稲作付けを再開することができました。
農業普及・振興課では、この営農再開に際し、革新支援専門員及び熊本県農業研究センターに支援を依頼し、球磨村と連携して土壌分析およびデジタル貫入式土壌硬度計を用いたほ場調査を実施しました。この調査によって得られた土壌の化学性と物理性のデータをもとに、耕起や代かき、水管理について耕作者に指導助言を行いました。
今後、復旧農地で球磨村唯一の地域営農法人である農事組合法人球米(きゅうべい)が作業受託した田植えを皮切りに、各農家の田植えも始まります。法人の代表理事組合長である糸原幸樹氏は、「5年ぶりに営農再開できてうれしい」と喜びの声が聞かれました。
当課では引き続き、被災地の営農再開に支援してまいります。

2025年7月

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機械収穫の様子
選果場で出荷を待つばれいしょ

加工用ばれいしょを出荷しました

球磨地域では、県内に進出した(株)湖池屋の原料需要への対応として、加工用ばれいしょの試験栽培に取組んでおり、令和3年度から地域での適応性・普及性を検討しています。4年目となる今年は、今後の相良村振興の有望品目として導入を見据え、基盤整備予定地域の高原地区と柳瀬地区の2カ所に展示ほを設けており、5月27日に収穫を終え、29日に無事全量をJAくま下球磨第1選果場から(株)湖池屋に出荷しました。
本年は低温等による生育遅延で目標とした収量には届きませんでしたが、病害の発生は少なく順調に栽培ができました。展示ほ2園のうち1園では、農産園芸課の手配により県内の法人から賃借した機械を使って少人数(4名)で軽労的に収穫を進めることができました。一方で、当該機械で収穫可能な面積は1日で15a程度と思ったより少なく、機械の導入には、他品目と組み合わせて機械を活用するなど、費用対効果向上の工夫が必要であることが分かりました。
今後、農業普及・振興課では、さらに詳細に経済性や作業性を分析、具体的な導入モデルを検討し、地域への導入を進めて参ります。

2025年7月

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相良村十島地区営農生産組合の総会開催について

5月29日に相良村の集落営農組織「十島地区営農生産組合」の通常総会が開催され、役員から次年度の総会時期での法人設立を目指し、組織の法人化の話し合いを進めることが表明されました。
本組織は平成19年に設立され、十島地区およびその周辺地域で米を中心とした作付および作業受託を行っています。しかし、集落内の後継者が少なく、組合員の高齢化が進んでいる状況に危機感を持った役員を中心に、令和3年度から法人設立に向けた検討が行われてきました。
総会では、役員から集落や組織の先行きに不安を抱えていること、そのために農地の受け皿となる法人組織が必要なこと、そして将来的には若い後継者を雇用・育成することを目標としていることが、強く語られました。
今回、オペレーターも務める若手組合員が、新たな組合長に選出され、今後新しい役員体制の下で、法人設立に向けた詰めの協議が行われます。
これまで本課では、重点課題の1つとして本組織の経営を支援してきましたが、今回の総会で法人化の方針が決定されたことを機に、相良村やJAくまと連携して目標とする法人のカタチを具体化し、法人設立を支援してまいります。

2025年6月

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現地検討会の様子①
現地検討会の様子②

飼料作物(春作)の現地検討会を開催

現在、飼料価格の高止まりが継続している中、管内では厳しい経営を迫られている畜産農家もあり、コスト削減の観点から自給飼料生産の重要性は高くなっています。   
そこで球磨地域では、自給飼料の生産・利用拡大の推進、新品種の導入検討を目的として、らくのうマザーズと農業普及・振興課共同で展示ほを設置しており、4月9日に、相良村に設置した展示ほにおいて春作飼料作物の現地検討会を開催しました。
展示ほでは、飼料作物の主要品目であるイタリアンライグラス26品種、エン麦等を20品種(県奨励品種を含む)を比較するとともに、イタリアンライグラスの播種量を変えた区(3~6kg/10a)を設けて収量の向上を図っています。 
検討会当日は、畜産農家をはじめ管内外の畜産関係者約30名が参加し、各区の生育状況等の確認を行いました。
当課からは近年春先の天候が安定しないことが多く、今年は昨年に比べて生育の遅れも見受けられたことから、複数品種導入による収穫時期分散などのリスク回避が重要であることを説明しました。
また、畜産農家からは、お薦めの品種や雑草防除の方法についての質問が投げかけられるなど、意見が活発に交わされ、有意義な現地検討会となりました。
農業普及・振興課では今後も関係機関と連携しながら、自給飼料増産への取組みを支援していきます。

2025年6月

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検討会の様子
加工用バレイショの生育の様子

加工用ばれいしょの現地検討会を開催

球磨地域では、県内に進出した(株)湖池屋の原料需要への対応、相良村振興の有望品目として、加工用ばれいしょの試験栽培に取組んでおり、令和3年度から地域での適応性・普及性を検討しています。4年目となる今年は、今後の導入を見据え、相良村の基盤整備予定地域で2カ所、展示ほを設けており、4月25日には相良村と協力して基盤整備地区の推進委員を参集し、現地検討会を開催しました。
参加者からは、加工用ばれいしょが収穫後の出荷調整等に手がかからないことから、担い手が少なくなっている現在、整備地域での有望な品目候補として期待する声が聞かれました。一方で、販売単価が安いことから、十分な収益を得るためには、生食用品種以上の収量性確保や大規模経営が必須であり、特に規模拡大に必要な作業の機械化やその導入に係るリスクを懸念する声がありました。
今後、農業普及・振興課では、引き続き収量性の検証を進めるとともに、機械導入によるリスク軽減を図るため、他品目との組み合わせなどを検討してまいります。

2025年6月

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ミシマサイコ若手生産者意見交換会を開催

球磨地域は、生薬原料に用いられるミシマサイコが約86ha栽培されている国内最大の産地です。栽培技術が未熟な新規作付者の収量が低いことが大きな課題となっています。
今回は、あさぎり薬草合同会社と協議し若手生産者の生産技術のレベルアップを目的として意見交換会を開催しました。今後の産地を担うことが期待される50歳未満の生産者を対象に出席を呼びかけたところ、11名の出席がありました。
まず、室内において令和6年産の反省点や令和7年産作付けに向けた方策について意見交換が行われました。次に、現地ほ場での意見交換を実施し、栽培のポイントとなる摘芯作業の時期等について、活発な議論が行われました。当課は出席者から出た疑問について技術的な助言を行うとともに、他農家の事例などを紹介し、意見交換を深めました。参加者からは「他地域の生産者との交流やほ場見学の機会は少ないため、大変勉強になった」という声があがりました。
当課では引き続き、地域の担い手の確保・育成のため、関係機関と連携して管内の主力品目であるミシマサイコの生産技術の向上を支援していきます。

2025年6月

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総会の様子
お悩み相談会の様子

令和7年度球磨地方青年農業者クラブ通常総会開催

球磨地方青年農業者クラブは、20~30代の若手農業者を中心に現在8名で活動しており、4月30日に令和7年度通常総会が開催されました。
令和6年度の事業実績では、球磨独自で活動しているSNSを活用したPR活動(「くまよん農業チャンネル」)や、宇城4Hクラブ員のい草農家へ視察研修、南稜高校生を招いたクラブ員のほ場視察、総合1位を受賞した熊本県青年農業者会議への参加など様々な活動が報告されました。
令和7年度の計画では「「新進気鋭」~逆境に負けない強者たち進撃~」というスローガンを掲げ、クラブ員同士の勉強会や先進地視察研修を通して、自身の農業経営上の課題の解決を図り、今後の農業を担う次の世代との交流を増やし、新規のクラブ員の積極的な勧誘を行うなど、クラブの活性化を図っていくことが決議されました。
また、総会前には、普及指導員との対面による「お悩み相談会」を実施。普及指導員がクラブ員の抱える農業経営・栽培上の悩みや不安を引き出し、課題解決に向けた展示ほ場やプロジェクト活動に関する計画を助言しました。
当課では、引き続き青年農業者の技術および経営所得の向上に向けた活動支援の取り組みを通じて、地域農業の活性化を図っていきます。

2025年5月

フェスタ開催の様子
炊き立てごはん無料配布の様子

農業者主催イベントで「球磨産の輝き」のPR

3月30日に球磨地域のあさぎり町岡原地区において、農業者が中心となり「あさぎりGO!!農’sフェスタin岡原」が開催されました。このイベントは地域農業の振興を目的としており、町や関係団体の協賛を得て、企画・当日の運営がすべて地元の農家の手により実施されています。
3回目の開催となった今回は、主催者代表の片瀬克徳氏(たばこ、ミシマサイコ農家)による「農産物を介して地域を元気に!」のあいさつを皮切りに、農産物の無料配布や、水田を利用した競技、農機の試乗体験等が行われ、地域の住民だけでなく、地域外からも多くの参加がありました。
当課では、ご飯無料配布の「炊き立てご飯食べ放題」の催しを支援。ご飯は地元産の「くまさんの輝き」が使用されており、来場者に県オリジナル品種、地元産米のおいしさを実感してもらいました。催しはご飯の供給が間に合わないほど大盛況であり、来場者からは「もっとおかわりしたい!」という嬉しい声が聞かれました。
その後も、様々のステージショー、競技の表彰式(賞品はお米1年分)などが行われ、くまモンも応援に駆け付けました。
当課では引き続き、県産農産物の良さをより多くの消費者に届けるとともに、「食のみやこ」を支える農業者の活動を支援していきます。

2025年5月

梨栽培の省力化技術の定着に向け「球磨地域版ジョイント V字樹形導入の手引き」を配布

梨栽培は収穫やせん定等の作業に多く時間を要するとともに、長時間の上向き作業により、身体的な負荷が大きく、廃業や後継者不足の要因ともなっています。この課題解決を目的として、農業普及・振興課では「球磨地域版ジョイントV字樹形導入の手引き」を作成し、JA及び生産者団体に配布しました。
球磨地域では、作業時間の短縮が可能なジョイント樹形※1が改良された軽労化まで可能なジョイントV字樹形※2の導入を推進しています。しかしこの省力化技術の導入には、これまで県外のマニュアルが参考に用いられていました。
一方で、当課ではJAの協力のもと、令和元年よりジョイントV字樹形の展示ほを設け、作業性や収益性の調査を行ってきました。この調査結果をもとに技術導入に際する開園方法や導入後初期までの管理方法を記載した手引き書の策定を進め、この度、球磨地域版の手引き書を完成させました。
ジョイントV字樹形は導入時~導入後初期に、接ぎ木や樹形づくりでの失敗が起こりがちですが、具体的・可視的に作成された手引き書の活用により生産者が安心して栽培ができるようになります。今後、技術導入園での樹体や果実の生育特性をより詳細に調査し、さらに改定を重ねていく予定です。
農業普及・振興課では今後もナシの省力樹形の導入を支援し、産地の労働力不足に対応した技術支援を行っていきます。

※1 ジョイント樹形:主枝の先端部を隣の樹へ接ぎ木し、連続的に連結させた直線状の樹形
※2 ジョイントⅤ字樹形:従来のジョイント樹形では平棚上にあった主枝を0.7~0.8mの高さまで下げ、側枝を斜立させた新しいジョイント樹形

2025年5月

総会の様子
球米が栽培する大麦の生育状況(R7.3.17)

球磨村の農事組合法人球米が活躍しています!

球磨村初の地域営農組織である農事組合法人球米(きゅうべい)の第2回通常総会が令和7年3月19日に開催され、第2期(令和6年1月~12月)の決算報告等が行われました。
第2期では、主食用米の作付面積を前期の約2倍にあたる218aに拡大させ、新たに大麦120a、飼料用米340aの栽培にも取り組まれました。また、乾燥籾摺の受託は、前年の約1.6倍にあたる約123tを請け負うとともに、米の買取を増加させ、ふるさと納税などを通した地域内外への販売量は前年の8倍超えとなりました。
第3期では、作付面積や販売量をさらに増やす計画となっており、出席者からは今後の法人活動に期待する声が挙がりました。
令和2年7月豪雨災害後に球磨村農業の「復旧・創造的復興のシンボル」として立ち上がった(農)球米は、村内で唯一、乾燥籾摺を受託する法人であるとともに、地元農家から地域単価よりも高く米を買い取る等によって、農業生産の存続や農村機能の回復に貢献しています。また、球磨村の地域計画はもとより、隣接する人吉市でも担い手として位置付けられており、地域にとって重要な存在になっています。
農業普及・振興課では、これまで組織のしくみ作りから補助事業・制度資金の活用、経営管理等についてサポートしてきましたが、今年度からはさらに、栽培技術の指導を重点に、当法人の収益拡大と経営安定に向けて支援していきます。

2025年4月

基盤整備園におけるクリの枯死発生軽減対策の実施

球磨地域では国営川辺川土地改良事業地区において問題となっているクリの枯死に対応すべく、平成28年に設置された「川辺川地区営農支援プロジェクトチーム」(事務局:農地整備課、球磨農業普及・振興課)で対策を検討しています。この度、10月に実施した土壌断面と透水性の調査を基に、令和7年1月30~31日と2月10日に山江村とあさぎり町のほ場で、県庁農地整備課とともに枯死対策技術を施した展示ほを設置しました。
今回、設置した展示ほでは植栽前に、重機による深耕と高畝の成型を施しています。クリの健全な生育は60㎝以上の作土層が必要であるため、今回の土壌改良により、土壌硬度と排水性に問題がある土壌でも枯死の発生を抑えることが見込まれます。
球磨地域では、今回展示ほを設置したほ場以外にもクリの枯死が発生しており、特に水田転換園と基盤整備園で発生が散見されます。併せて今年度、当課では枯死の発生を未然に防ぐため、排水不良園への植栽基準の作成を行っております。
当課では今回設置した展示ほにおいて、数年にかけて生育調査及び経過観察を行い、得られた結果を基に基盤整備園や水田転換園に向けた、クリの枯死対策技術の確立を図っていきます。

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