球磨エリア

球磨地域は人吉市、球磨郡を所管しています。県の南東部に位置し、九州山地に囲まれた盆地であり、中央を東西に貫流する球磨川の沿岸に広がる水田地帯と、周囲には畑地帯からなる中山間地帯及び山間地帯からなっています。水稲をはじめとした土地利用型作物や茶・葉たばこ等の工芸作物、野菜、果樹、さらには、酪農、肉用牛等多彩な農業生産が営まれています。中でも、葉たばこ、茶、クリ、モモは、県下1位の生産量を誇っており、二条大麦、ホウレンソウ、夏秋キュウリ、酪農も県における有数の産地です。なお、最近では球磨焼酎原料用としての多収穫米や、薬用作物等の栽培も行われています。

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県南広域本部 球磨地域振興局 農業普及・振興課

〒868-8503 人吉市西間下町86-1

電話:0966-24-4129

FAX :0966-24-4144

球磨エリア普及現地情報

2025年11月

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座談会の様子
立上式の様子

肉用牛産地の持続的発展を目指して~肉用牛生産性向上プロジェクト立上式~

球磨地域の肉用子牛生産については、生産者の高齢化及び後継者不足、資材価格高騰等の要因により、営農継続が困難となる農家や離農する農家が増加しており、産地としての生産力の維持が課題となっています。そこでこの度、熊本県畜産農業協同組合球磨支所を中心に関係団体が連携し、農家の繁殖成績及び飼養管理技術の向上を図り、地域の肉用牛生産の持続的な発展を推進するための「球磨地域肉用牛生産性向上プロジェクト」を実施することとなり、その立上式が8月21日に行われました。
立上式では、農業普及・振興課からプロジェクトにおける関係機関の役割についての説明を行い、城南家畜保健衛生所から畜産農家の繁殖指導方針や現状の課題について、熊本県農業共済組合球磨支所からは月別の事故牛データの情報共有が行われました。
また、当課では立上式に先立ち、管内の地区畜産会における座談会とアンケート調査を実施。管内全繁殖農家を対象とした繁殖雌牛の飼養状況と今後の分娩予定頭数を把握し、そのデータを基に各地域の繁殖指数を算出、地域ごとの繁殖成績を「見える化」しており、今回の立上式では、調査結果とそこから見えてきた課題について報告しました。
今後も、当課は、本プロジェクトを基盤に関係機関と連携しながら、畜産農家への指導や勉強会の開催等を支援し、地域の肉用牛生産性向上に取り組んでいきます。

2025年11月

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ドローン始動前
ドローン農薬散布中の様子

クリのドローン防除の取り組み拡大

球磨地域のクリ栽培では、生産者の高齢化や担い手の減少に伴う労働力不足が問題となっています。そこで農業普及・振興課では、山江村及び相良村と協力し省力化技術としてドローン防除の実施体制の整備を支援するとともに、管内の防除事例を収集・共有することで取り組み拡大を目指しています。8月13日には山江村の「山江村航空防除組合」、8月20日には相良村の「相良村スマート農業サービス組合」によってクリのドローン防除が行われ、当課でその散布状況を調査しました。
ドローンによる農薬散布は、山江村では手動操縦で行われており、計6.9haで防除が実施されました。今回調査した園地では、約40aの面積を農薬補充時間等含めて8分程度で散布されていました。初めてドローン防除を行った生産者からは「ドローン防除をしたことで作業が楽になった」という声も上がっており、慣行防除と比べて作業時間の短縮、労働力の削減ができることからドローン防除は労働力不足の解消に繋がると実感できました。また、昨年は試験的実施であった相良村でも本年は本格的に防除が実施され、計3.9haで散布が行われました。
今後は、防除実施者・生産者双方から聞き取り調査を行い、管内の防除事例を収集し、生産者や関係機関と情報共有することでドローン防除活用拡大に繋げていきます。

2025年11月

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青年農業経営者等連絡協議会と4Hクラブの交流

球磨地域の30代~40代の農家8名で構成される球磨地方青年農業経営者等連絡協議会では、会員相互の情報交換や能力・資質の向上を目指した活動を実施しており、8月20日に本協議会の通常総会が開催されました。
総会では、昨年度に実施された宮崎県の視察研修に参加したメンバーから、キュウリやピーマンの自動収穫機械の実証試験の様子について報告が行われ、学びや気づきが会員に共有されました。また、本年度の事業計画として、会員と同世代で、常時雇用を入れて大規模に経営している優良農家への視察を行うこと等が承認されました。
総会後には、球磨地方4Hクラブとの交流会をコロナ禍以降初めて開催しました。協議会員には4HクラブOBも多く、クラブ員と相互に自身の農業経営を紹介しあい、栽培技術や経営管理について活発な意見交換やアドバイスが行われるともに、近年の米価上昇に伴う政策などについて話がおよびました。
今後、当課では、同年代の優良経営体の紹介などで世代のヨコのつながり醸成を支援し、地域農業の主軸を担う中堅農家の資質向上を図るとともに、若手農家との交流など世代のタテのつながりも深めることで、人吉球磨地域が一体となった農業の持続的な発展を目指していきます。

2025年11月

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屋内座学講習の様子
現地ほ場講習の様子

暑さに負けない!うまい米づくりのための水稲講習会の開催

水稲の高品質及び良食味米安定生産に向け、7月28日、29日の2日間、人吉市・錦町・あさぎり町・多良木町の4か所でJAくまと連携した栽培講習会を開催しました。
米の価格上昇により、球磨地域におけるR7年産の水稲作付面積は増加が見込まれており、今回の講習会では、例年より多い42名の参加がありました。米作りの関心の高さが伺えましたが、このような時こそ「産地評価を落とさない高品質、良食味米生産を目指した栽培管理の徹底」を呼びかけました。
まず、座学講習では、品質低下防止に特に重要な水管理について、各生育ステージでの適正な水位や、追肥のタイミング、台風時の事前・事後対策を説明しました。また、いもち病の防除適期、ウンカ類の本年の飛来状況や防除適期を説明し、注意喚起と防除の徹底を指導しました。
次に、会場付近のほ場において、中干しのタイミングや、葉色と生育状況に応じた追肥の現地指導を行いました。
参加した生産者からは、「移植直後にガスが発生するのを抑えるためにはどうすればいいか」、「追肥の量の判断について教えてほしい」など、本年の気温の高さや生育状況に応じた管理に関する質疑・意見交換が活発に行われ、有意義な講習会になりました。
当課では今後も講習会や現地指導を通した生産者への情報発信により、水稲の高品質及び良食味米安定生産に向けた支援を行って参ります

2025年11月

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室内検討の様子
現地検討の様子

イチゴ環境モニタリング実績検討会の開催

球磨地域では、スマート農業の取組みの一環として、イチゴ栽培において栽培環境のデータに基づいた管理による収量向上に取り組んでいます。令和6年産では12戸のほ場で環境モニタリングを実施しており、そのデータを用いた実績検討会を7月3日に開催しました。
今回の検討会では、各ほ場の環境・生育データを比較するとともに、当地域における課題の一つである「日中の炭酸ガス濃度不足の改善」に向け、生産者と関係機関を交えた意見交換を行いました。当課からは展示ほの実績を報告し、環境モニタリング機器を活用しながら、ハウス内の炭酸ガス濃度を好適にするための日中施用や谷換気の開度調整を行うことで、燃料を削減しつつ厳寒期の生育を維持できる可能性を示しました。
環境モニタリングの取組みを通して、厳寒期のハウス内管理温度を栽培管理指針よりも高めに設定するなど、球磨地域での高収量栽培モデルが徐々に確立しつつあり、栽培環境の「見える化」とデータの相互共有による効果が着実に現れています。
当課では、令和7年産も引き続き環境モニタリングを実施し、JAの営農指導員とも連携して講習会等で部会全体へ取組みを波及させていく予定です。

2025年11月

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当課による球磨地域の農業の説明

オープンラボを活用した農業体験学習の実施

令和7年7月7日に球磨農業研究所にて、あさぎり町立あさぎり中学校の生徒による、かぼちゃの種まき(播種)体験が行われました。
あさぎり町では、令和2年度から球磨農業研究所の「オープンラボ機能」を活用した「あさ中農業体験ラボ」を実施しており、町内の中学生に対し、スマート農業や野菜栽培を中心とした農業体験学習を開催しています。令和7年度は、「栗のめぐみ」という小ぶりのかぼちゃ品種の栽培に取り組みました。
当日は、農業普及・振興課の担当者とともに、あさぎり町役場の職員が、播種の方法の説明や、クラスごとに指導にあたりました。中には、かぼちゃの栽培が初めての生徒もおり、農業に触れる良い機会となりました。
梅雨明けの非常に暑い日でしたが、生徒たちはテキパキと動き、予定通りの時間で、作業は終了しました。その後、学校に戻り、当課とあさぎり町役場から管内農業や他地域にはない薬用作物、ミシマサイコについて説明があり、生徒たちは熱心に聞いていました。
今後、9月に除草作業や管内主要農産物としての栗の説明、秋にはかぼちゃの収穫を行う予定です。
当課では、これからも、将来の農家の担い手や食への関心を高めるため、教育現場と連携して農業の理解促進を進めていきます。

2025年8月

水上村長への牛乳プレゼント
牛乳・料理のレシピ集無料配布

父の日に牛乳(ちち)を贈ろう!キャンペーンの開催

西日本一の酪農県である熊本県にあって、球磨地域は県内第2位の牛乳の生産地として、酪農家が毎日良質な牛乳生産に励んでいます。そんな酪農家を応援するべく、6月の牛乳月間に合わせた牛乳消費拡大の取組として、球磨酪農農業協同組合女性部及びホワイト酪農業協同組合女性部による「父の日に牛乳(ちち)を贈ろう!キャンペーン」が今年も開催されました。
6月9日と10日には、管内10市町村長と球磨地域振興局長に、両組合女性部から牛乳の贈呈が行われました。
「父の日」である6月15日には、管内の道の駅や高速道路のサービスエリア等、11か所において、200mlパックの牛乳を合計約1,100本無料配布するとともに、当課では牛乳を使用した料理のレシピ集を作成・配布し、地元で生産された安全で安心な牛乳を消費者にPRすることができました。当日は雨天にも関わらず、開始からわずか30分程で配布が終了する場所もあり、とても好評でした。
今後も当課では、管内酪農家の営農支援を行うとともに、消費者に向けた安心・安全な牛乳のPRを行っていきます。

2025年8月

生育の様子(球磨農研)
JAくまへの受け渡し

キュウリの天敵利用のためのクレオメ苗を配布しました

球磨地域は夏秋キュウリの県内最大の産地ですが、害虫の多発と農薬の多用による薬剤抵抗性の発達が懸念されています。そこで、農業普及・振興課では令和4年度からモデル展示ほを設置し、市販の天敵「スワルスキーカブリダニ」と土着の天敵「タバコカスミカメ」の利用拡大を推進しています。
一方で土着天敵の導入に際しては、天敵の住処となるバンカークロップをハウス内に植える必要がありますが、代表的なバンカークロップ「クレオメ」は発芽率が低いという欠点があり、天敵導入の障害となっていました。
そこで昨年度から引き続き、当課はJAくまの協力のもと球磨農研のオープンラボ機能を活用してクレオメの苗を育苗し、JAキュウリ部会員にクレオメ苗を配布することとしました。
昨年度より配布数を増やすため、新たに育苗台や自動潅水装置を作成し、前年の約2倍の300株を育て、6月25日から順次JAくまを通じて希望する生産者約30戸に配布しています。
農業普及・振興課では、設置した展示ほにおいて、害虫発生抑制効果を調査し、生産者に周知を図りながら、技術普及に努めてまいります。

2025年8月

「オープンラボスマート農機実演会」の開催

球磨地域では、くま農業活性化協議会が球磨農業研究所を拠点とした「オープンラボ」に取り組んでおり、当課が関係機関と連携した試験ほ場の設置や実演会の開催等を行っています。
今回は6月12日に、株式会社クボタの協力のもと、「オープンラボスマート農機実演会」を開催しました。当日は、管内地域営農法人等の農業者を始め、JAや市町村担当者等45名の参加がありました。
室内検討会では、株式会社クボタからロボット田植機やKSASと連動したリモートセンシングについての紹介を、当課から現地で実施されているイチゴの環境モニタリングの実証の取組み、熱中症アラートの活用についての説明を行いました。
その後、室内検討で紹介されたロボット無人田植機による自動田植えの実演のほか、自動操舵装置が後付けされたトラクタの試乗、アシストスーツの使用体験を行いました。参加者からは、「実際に体験することで使用感を知ることができて良かった」という声が聞かれました。
今後も当課は、オープンラボを通して新品種や新技術の普及を推進し、地域に密着した課題解決や、更なる生産性の向上を図ってまいります。

2025年8月

視察の様子(南稜高校)
記念撮影の様子

球磨4Hクラブ×南稜高校 ほ場視察研修を開催!

球磨地方青年農業者クラブ(4Hクラブ)では、クラブ員相互の資質向上を図るため、自身の農業を他のクラブ員に紹介する「お宅訪問」を実施しています。昨年度はこの取り組みを拡大して、南稜高校生をクラブ員のほ場へ招待し、交流の場を設けました。
今年度はさらなる取り組みとして、クラブ員と南稜高校生の親睦を深めるため、4Hクラブ員が南稜高校のほ場で視察研修を行いました。
南稜高校ではメロンやトマトなどの野菜ほ場の見学をはじめ、モモやブドウなどの果樹園や麦の選別の様子等も見学し、クラブ員と南稜高校生で活発に意見交換を行うなど積極的な交流が図られました。
南稜高校のほ場見学後はクラブ員の藤原さんの牛舎に移動し、肥育牛を見学しました。出荷直前の大きな黒牛に南稜高校生からは歓声が上がりました。動物コースの生徒から多くの質問があり、非常に活気のある有意義な研修となりました。
当課では、引き続きクラブ員の資質向上を図るための活動を支援していきます。

2025年7月

研修会の様子
説明資料の一部

球磨地域振興局内防疫研修会の開催

球磨地域では、5月16日に球磨地域振興局員を対象とした防疫研修会を開催しました。地域における高病原性鳥インフルエンザの発生は、平成26年に相良村及び多良木町で発生後確認されていませんが、国内での発生は毎年確認されている状況です。
昨年度は14道県51事例が発生し約930万羽が殺処分されました。また、今年度の4月には宮崎県都城市において野生いのししの豚熱感染が確認されており、県内に豚熱ウイルスが進入するリスクも高まっています。
当課では、昨年度から年度当初の5月に、局内での防疫研修会を開催していますが、今回は、高病原性鳥インフルエンザに加え、豚熱や口蹄疫等も含めた特定家畜伝染病の発生に備えた内容で開催しました。
研修は、新規採用職員や定期人事異動で転入した職員等を中心に参集し、当課及び城南家畜保健衛生所から初動防疫の流れやそれぞれの役割分担、特定家畜伝染病に係る基礎的な情報について説明しました。
今後は、各疾病の防疫マニュアルをもとに、現場での実地及び机上演習を実施するとともに、鳥インフルエンザ以外の家畜伝染病に対しても知識の普及・啓発を継続し、万が一管内で特定家畜伝染病が発生した際に、迅速に初動体制を確立できるよう取り組んでいきます。

2025年7月

硬度計によるほ場調査の様子
(農)球米による田植えの様子

令和2年7月豪雨からの復興支援「球磨村尾緑地域で営農を再開」

令和7年6月6日に、球磨村渡の尾緑地域周辺では「令和2年7月豪雨」以来、約5年ぶりに田植えが行われました。
同地域では、令和2年7月豪雨災害の復旧工事に伴う土砂の仮置き場として使用されていましたが、令和7年3月に農地(約1.4ha)の復旧工事が完了し、長らく使用していなかった水路も、地元住民らで協力して土砂や落ち葉の除去作業を行い、令和7年産から水稲作付けを再開することができました。
農業普及・振興課では、この営農再開に際し、革新支援専門員及び熊本県農業研究センターに支援を依頼し、球磨村と連携して土壌分析およびデジタル貫入式土壌硬度計を用いたほ場調査を実施しました。この調査によって得られた土壌の化学性と物理性のデータをもとに、耕起や代かき、水管理について耕作者に指導助言を行いました。
今後、復旧農地で球磨村唯一の地域営農法人である農事組合法人球米(きゅうべい)が作業受託した田植えを皮切りに、各農家の田植えも始まります。法人の代表理事組合長である糸原幸樹氏は、「5年ぶりに営農再開できてうれしい」と喜びの声が聞かれました。
当課では引き続き、被災地の営農再開に支援してまいります。

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