2024年のエリア普及現地情報

2024年10月

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茶園の土壌分析を基にした施肥講習会の開催

球磨地域は県内の荒茶生産量の約半分を占める最大の産地であり、現在約182haで栽培がおこなわれています。
JAくま茶部会では、毎年多くの部会員の方が土壌分析を行っていますが、その結果の活用が不十分な状態でした。そこで、その結果を次年度の栽培に活用していただくために、土壌成分が茶の製品品質に与える影響をテーマに講習会を開催しました。
講習会では、土壌に含まれる主要な成分が茶の生育・品質に及ぼす影響や、各成分が適正値から外れていた場合の対策方法、次年度に向けた施肥設計の改良の考え方について説明を行いました。
当日は20名程の生産者の出席があり、講習会後には、分析に用いる土の採取時期に関する質問や、施肥設計の改良について個別に相談があるなど、生産者の関心の高さを感じました。
当課では引き続き、農業革新支援センターやJAと連携して良質な茶の栽培・製造支援に取り組みます。

2024年10月

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栽培管理のDX化によるイチゴの収量向上を目指して

球磨地域では、農業のDX化の取組みの一環として、イチゴ栽培において栽培環境のデータに基づいた管理による収量向上を進めています。
令和5年産では、8戸のモデル生産者において環境モニタリングを実施しており、そのデータ検討会を8月9日に開催しました。
今回の検討会では、環境データ及び生育・収量データや、令和4年産の課題の一つであった炭酸ガス施用方法に関する展示圃の実績として、炭酸ガスの施用回数を増やすことにより、厳寒期の収量を10%程度増加できる可能性を示し、関係機関を交えた意見交換を行いました。
出席した生産者からは、「イチゴ栽培は2年目だが、手本となるデータを常に見ることができ、非常に参考になっている」、「炭酸ガスの施用方法についてもっと工夫していきたい」などの意見があり、栽培環境の「見える化」とデータの相互共有による効果が着実に現れています。
当地域では、令和6年産も引き続き環境モニタリングを実施し、炭酸ガス施用方法を中心とした栽培管理の改善とその効果を検証するとともに、JAの営農指導員とも連携して部会全体にも取組みを波及させていく予定です。

2024年10月

new
ドローン
見学会の様子

高齢化に対応したクリドローン防除への取り組み

球磨地域のクリ栽培では生産者の高齢化や担い手減少による労働力不足が問題となっています。球磨農業普及・振興課では、今年度、山江村及び相良村と協力して、労力削減のためのクリのドローン防除の実証に取り組んでおり、8月9日、19日には生産者、関係機関を参集して実演会を行いました。クリでのドローン防除は球磨地域において初めての試みであり、生産者の関心も高く、見学会当日は関係機関や生産者等約30名が参加しました。
ドローンによる農薬散布は、山江村では手動操縦で行い、相良村ではクリ樹によって、ドローン目視ができなくなる場面を想定して、南栄工業株式会社が3Dマッピングを活用した自動飛行(目視外)で実演しました。防除にかかる作業時間は、手動操縦で10aあたり3分程度、自動操縦で10aあたり5分程度と慣行防除と比べて大幅に時間を短縮することができました。実演会に参加された生産者からは、「自分の園地でも利用したい」という声が多く聞かれました。
山江村では「山江ドローン防除組合」が村の全面的な後押しにより、防除作業を請け負い、相良村では水稲のドローン防除を広く請け負う「相良スマート農業サービス組合」が目視外飛行の資格取得を進めるなど、体制を構築していく予定です。
今後は、本課ではドローン防除の効果と費用対効果を検証し、ドローンの活用拡大に向け生産者や関係機関と情報共有をしていきます。

2024年9月

RCFと雨風太陽社の連携協定記者発表
記者会見の様子

人吉球磨・農業未来プロジェクトにおけるRCFと雨風太陽社の連携協定について

球磨地域では、一般社団法人RCFを中心とした「人吉球磨・農業未来プロジェクト」が進められており、球磨地域振興局農業普及・振興課等と連携して農業の魅力発信や農家の経営課題の解決サポート等が行われています。
本プロジェクトの一環として、7月9日に一般社団法人RCFと株式会社雨風太陽の連携協定が発表されました。雨風太陽社は、生産者と消費者をつなぐ産直サイト「ポケットマルシェ」を運営しており、今回の連携協定に基づき、球磨地域のモデル農家5戸においてポケットマルシェの実証が行われます。
産直サイトは、卸売市場などを通さず消費者へ直接、農畜産物を供給することができるため、メリットとして、新たな販路確保だけでなく、生産者の希望する単価で取引できることや遠く離れた消費者にも顔の見える形で販売できること等があります。
記者発表ではモデル農家から「農作業におわれ、販売活動に割く時間が少ないなか、本サイトを活用して売れるチャンスを作ることができる。人吉球磨のファンづくりに貢献したい」と前向きなコメントがありました。
実証の結果は、9月に開催される若手農家の交流会において共有される予定です。当課では、今後も関係市町村や団体等と連携して、本プロジェクトの取り組みをサポートするとともに、より多くの農家の課題解決につながるよう、実証結果等をもとに地域全体への効果波及を図って、人吉球磨地域の振興につなげます

2024年9月

ネコブセンチュウ講習会の開催

球磨地域では製薬メーカーとあさぎり薬草合同会社が連携し、約15年前からミシマサイコの栽培が取り組んでおり、現在86haの栽培が行われています。
ミシマサイコにおいては近年、連作障害などにより、ネコブセンチュウの被害が問題となっているため、原因と対策について講習会を開催しました。
講習会では、まず当課からネコブセンチュウの生態と基本的な防除方法について説明を行い、次に農薬メーカーが、ミシマサイコで使用可能な農薬について講演を行いました。
当日は50名を超える生産者の出席があり、講習会後には生産者から防除の仕組みや農薬の散布方法についての質問が出されるなど、活発な意見交換が行われ、生産現場の関心の高さを感じました。
当課では引き続き、高い収益性が見込まれるミシマサイコの生産量増加に向け、関係機関と連携して、生産体制の強化を支援していきます。

2024年9月

屋内座学講習の様子
現地ほ場講習の様子

暑さに負けない!うまい米づくりのための水稲講習会の開催

水稲の高品質及び良食味米安定生産に向け、7月18日、19日の2日間、人吉市・錦町・あさぎり町・多良木町の4か所でJAくまと連携した栽培講習会を開催しました。講習会は、座学講習と現地ほ場講習に分けて行い、計37名の生産者が集まりました。
当日は、天気に恵まれ、梅雨明け後の高温下であったため、現場ほ場の時間を短く、日陰で行う座学を中心とした講習会となりました。
座学講習では、品質低下防止に特に重要な水管理について、各生育ステージでの適正な水位や、台風時の事前・事後対策を説明しました。また、いもち病の防除適期、今年度多発が懸念されているウンカ類の飛来状況や防除適期の説明を行い、注意喚起と防除の徹底を指導しました。
現地ほ場講習では、会場付近のほ場において、中干しのタイミングの指導、生育状況の確認を行いました。
講習会に参加した生産者からは、「『くまさんの輝き』と『ヒノヒカリ』の品種特性の違いや特徴について知りたい」、「追肥のタイミングについて教えてほしい」など、質疑・意見交換が活発に行われ、有意義な講習会になりました。
当課では、今後も講習会や現地指導を通した生産者への情報発信により、水稲の高品質及び良食味米安定生産に向けた支援を行っていきます。

2024年9月

梨の省力樹形の普及に向けた説明会を実施

梨栽培は通常、摘果や収穫、せん定等に多大な時間を要するとともに、長時間の上向き作業が続くため、作業者への身体的な負荷が大きく、生産者の高齢化が著しい現在、廃業や後継者不足の要因となっています。
この課題解決に向け、球磨地域では平成27年からジョイント樹形※1、令和元年からジョイントV字樹形※2の展示ほを設け、省力樹形を導入した場合の作業性や収量性の調査を行ってきました。
これらの成果をもとに上記2つの樹形の普及を図るため、農業普及・振興課とJAくまは、7月8日に省力樹形導入に係る説明会を実施しました。 
今回の説明会では、展示ほから得られたそれぞれの樹形における導入効果や、導入後の収支、活用できる補助事業等に重点をおき、午前(JAくまナシ部会)と午後(一勝地果実協同組合)併せて約50名の参加者に向け説明を行いました 
説明会では生産者が熱心に聞き入る様子が見られ、終了後には2名の方から導入に関する問い合わせがあるなど、導入に前向きな反応がありました。
省力樹形は多くのメリットがありますが、比較的新しい技術であり、品種ごとの適応性などさらに確認を進める必要があります。
農業普及・振興課では今後もナシの省力樹形の調査と、JAと連携した導入支援を継続し、産地の労働不足に対応した技術支援を行っていきます。

※1 ジョイント樹形:主枝の先端部を隣の樹へ接ぎ木し、連続的に連結させた直線状の樹形
※2 ジョイントⅤ字樹形:従来のジョイント樹形では平棚上にあった主枝を0.7~0.8mの高さまで下げ、側枝を斜立させた新しいジョイント樹形

2024年9月

カボチャの種まき準備の様子
ミシマサイコほ場での説明の様子

オープンラボを活用した農業体験学習の実施

あさぎり町では、令和2年度から球磨農業研究所の「オープンラボ機能」を活用した「あさ中農業体験ラボ」を実施しており、町内の中学生に対し、野菜栽培を中心とした農業体験学習を開催しています。令和6年度は5年目となり、7月18日に、球磨農業研究所にて、あさぎり町立あさぎり中学校2年生141人を対象とした、パンプキンキッズという小ぶりのかぼちゃの播種体験を実施しました。
当日は、農業普及・振興課、あさぎり町役場の職員が、各クラスに配置され、指導を行い、その後、生徒たちにかぼちゃの播種を体験してもらいました。農作業を初めて行う生徒もおり、農業に触れる良い機会となりました。今回、播種したかぼちゃは10月に収穫体験を行う予定です。
その後、あさぎり町特産の「ミシマサイコ」について、実際の作物を前に農業普及・振興課から、あさぎり町での生産の歴史、漢方薬としての利用について説明しました。生徒たちは、地元にこのような作物があることを知り、驚いたようでした。
農業普及・振興課では、これからも、将来の農家の担い手や食・農への関心を高めるため、教育現場と連携して農業の理解促進を進めていきます。

2024年8月

市町村への牛乳プレゼント(五木村)
牛乳・パンフレットの無料配布

父の日に牛乳(ちち)を贈ろう!キャンペーンの開催

6月11日と16日に、球磨酪農農業協同組合女性部、ホワイト酪農業協同組合女性部及びくま農業活性化協議会畜産部会の共催により、6月の牛乳月間に合わせた牛乳消費拡大の取組として、「父の日に牛乳(ちち)を贈ろう!キャンペーン」が開催されました。
6月11日には、管内10市町村長及び振興局長にらくのうマザーズの牛乳セットと1ℓの牛乳パック2本を、両組合女性部から贈呈しました。
「父の日」である6月16日には、管内の道の駅や高速道路のサービスエリア等、11か所において、200mlパックの牛乳を合計約1,100本、無料配布しました。併せて、当課では、牛乳の消費を促すパンフレットとして牛乳を使用した料理のレシピ集を作成・配布し、地元で生産された安全で安心な牛乳を消費者にPRすることができました。当日は天候に恵まれ、開始からわずか30分程で配布が終了する場所もあり、とても好評でした。
熊本県は、西日本一の酪農県であり、その中で球磨地域は県内2位の牛乳の生産地として、酪農家が毎日良質な牛乳生産に励んでいます。今後も当課では、管内酪農家の営農支援を行うとともに、消費者に向けた安心・安全な牛乳のPRを行っていきます。

2024年8月

若手へ伝授 
皆で検討の様子

球磨地域の夏ギク現地検討会の開催

球磨地域では、JAくま菊部会の部会員17名を中心に夏ギクが栽培されていますが、夏ギクの需要期が8月上旬の10日間程度ととても短いことから、高い単価で取引するためには、その時期に集中的に出荷する必要があります。また、従来の品種より切り花の品質が高い新品種「秀友」や「精の奏」への転換が始まっていますが、新品種であるために栽培管理のノウハウの蓄積が少なく、適正な管理技術を普及させることが課題となっています。
そのため、5月28日と6月4日の2日間にかけて、出荷目ならしを兼ねた現地検討会を開催し、農業普及・振興課からは、昨年度取り組んだ、新品種「秀友」「精の奏」の特性調査をもとに、高温傾向での管理の注意点等について説明しました。また、今年度の病害虫発生予察結果に基づき、アザミウマ類、ヤガ類の発生状況、この時期の菊のカメムシ被害について説明しました。
当日は、親子で参加する生産者もおり、地域の先輩農家から若手後継者に栽培のコツを伝授する場面も見られました。
JA菊部会は20代から30代の若手後継者が5名いますので、当課では、新品種の栽培技術の普及と併せて、若手農家を対象とした検討会や講習会等を企画していきます。

2024年8月

茶品評会荒茶の部で特別賞を受賞

令和6年度熊本県茶品評会の「荒茶の部」において、相良村の川上大和氏が特別賞である「県知事賞」を受賞しました。
熊本県茶品評会とは、茶の生産技術の改善と品質の向上を目的に、くまもと茶ブランド確立対策協議会が毎年開催している品評会であり、「荒茶の部」では「蒸し製玉緑茶」、「煎茶」、「釜炒り茶」の3茶種について表彰されます。
茶の主要産地である球磨地域では、多くの生産者がこの品評会での上位入賞を目指して、日々努力されていますが、なかでも20代の若手農家である川上氏は、栽培技術と加工技術の向上や実践に熱心に取り組んでおられ、昨年に引き続き、3茶種全てに出品されました。
審査当日である6月27日には、3茶種において県内6市町村から計33点が出品されたなか、川上氏の煎茶は外観、水色、香気、滋味の4項目で高い評価を受け、1等である「熊本県知事賞」の受賞の名誉につながりました。
今後は、8月に開催される「第78回全国茶品評会静岡大会」に出品予定であり、上位入賞が期待されます。
農業普及・振興課では、これまで摘採や仕上げ調整などについて、技術支援を行ってきましたが、今後も農業革新支援センターやJAと連携しつつ支援を継続し、品評会への取り組みなどを通して「球磨茶」のブランド力強化を支援していきます。

2024年8月

「オープンラボスマート農機実演会」の開催

当課では、地域農業の課題解決や生産性向上を目的に、球磨農業研究所において「オープンラボ」に取り組んでおり、関係機関と連携した試験ほ場の設置や実演会の開催等を行っています。
6月20日には、「オープンラボスマート農機実演会」として、株式会社クボタ、株式会社オーレック、北興化学工業株式会社の協力のもと、現場で普及が進んでいるドローンに焦点を当てた講義及び各種関連機械の実演を行いました。
まず、株式会社クボタからスマート農業全般の紹介があった後、当課からドローンを使った栗園での農薬散布事例紹介、アグリシステム総合研究所から棚田でのドローン防除における防除効率と効果について、そして除草剤メーカーの北興化学工業株式会社から自己拡散型除草剤の紹介とドローン散布による省力散布の講義が行われました。
その後、ロボット田植機による水稲の自動田植、自動操舵トラクタ、ラジコン草刈機の実演や、自己拡散型除草剤のデモンストレーションが行われました。
当日は、管内地域営農法人等の農業者を始め、JAや市町村担当者等約30名の参加があり、「ドローン活用の幅が広がり、今後の営農の参考になった」という声が聞かれました。
今後も当課はオープンラボを活用して、水稲品種の普及や技術指導、スマート農機の実演を行い、生産振興・普及拡大を図ります。

2024年7月

説明の様子
研修会の様子

球磨地域振興局内防疫研修会の開催

球磨管内での高病原性鳥インフルエンザの発生は、平成26年に相良村及び多良木町で発生して以降、確認されていませんが、国内での発生は毎年確認されている状況です。農場で感染が確認されると鶏を全て殺処分する必要があり、加えて、人に感染する可能性がある人獣共通感染症であることから、万が一管内で発生した際には、地域全体で迅速にまん延防止対策を講じる必要があります。
このような状況を踏まえ、当課では、今年度からの新たな取り組みとして、年度当初の異動後に、初動防疫の流れやそれぞれの役割を確認するため、防疫研修会を5月13日に開催しました。また、研修会に参加することが出来なかった職員に対応するため、研修会を録画し視聴できるようにしました。研修会では、初動体制の確認に加え、鳥インフルエンザに係る基礎的な情報について城南家畜保健衛生所と連携して説明しました。
今後は、令和6年度の防疫シーズンに向け、現場での実地及び机上演習を実施していくとともに、鳥インフルエンザ以外の家畜伝染病に対する知識の普及・啓発を行い、万が一管内で家畜伝染病が発生した際に、迅速に初動体制を確立できるよう取り組んでいきます。

2024年7月

収穫の様子(収穫機械の実証試験)
出荷用にトラックに積み込まれるばれいしょ

雨にもマケズ霜にもマケズ…加工用ばれいしょの収穫

球磨地域では、被災農地や葉たばこ廃作後等の新規作物として、加工用ばれいしょの試験栽培を令和4年度から実施しています。
昨年までは水稲前作を想定して水田圃場での試作を行っていましたが、試作3年目となる今年は、基盤整備が予定されている畑作地域でも試作を行いました。
本年は3月の低温による霜害や生育の遅れ、春からの天候不良が重なりましたが、条件が厳しい中でもすくすくと成長して5月29日に無事収穫を迎えることができました。作柄としては、気象条件の良かった昨年と比較すると劣るものの、1.5t~2.0t/10aとまずまずの収量を得ることができ、全量を(株)湖池屋へ出荷しました。
生産者からは、栽培に手間がかからない点に評価をいただいた反面、既に保有している機械のみでは収穫作業に手間がかかりすぎるため、規模拡大のためには専用の機械が必要という意見がありました。
今後、農業普及・振興課では、加工用ばれいしょを農業経営の中で柱として成り立つ品目とするため、他品目との組み合わせを含め、経済性や作業性を引き続き検証するとともに、担い手の確保を進めてまいります。

2024年7月

キュウリの天敵利用拡大のためのクレオメ苗を配布

球磨地域のキュウリ栽培は主に夏秋期であり、害虫の発生量が多いことや農薬の多用による薬剤抵抗性の発達が懸念されています。そこで、農業普及・振興課では令和4年度から環境保全型農業推進モデル展示ほにより市販の天敵「スワルスキーカブリダニ」に加え、土着の天敵「タバコカスミカメ」を利用した害虫発生抑制効果の検証を行い、有効性が確認されたため、天敵の利用拡大を目指しています。土着天敵の導入に際しては、バンカークロップとしてクレオメの導入が必要ですが、クレオメは発芽率が低いため、生産者に活用してもらうには、こぼれ種や挿し芽で増殖する必要があります。
そこで、県内でも例を見ない取り組みとして、普及とJAが主体となり生産者にクレオメ苗を配布し、増殖してもらうこと目的に、JAキュウリ部会員にクレオメの苗を配布しました。
この苗は球磨農研のオープンラボ機能を活用し、普及とJAが連携し、2月頃から育成したもので、5月23日からJAを通じて約150本を希望する生産者約70戸に配布しました。
農業普及・振興課では、今後も展示ほにおいて、害虫発生抑制効果について引き続き調査し、現地に周知を図りながら、普及に努めてまいります。

2024年7月

現地検討会の様子
芝草種子散布作業の様子

畦畔管理作業の省力化を目的とした「畦畔芝草化」現地検 討会開催

球磨地域では、農家の高齢化や担い手不足により、夏場の畦畔除草が課題となっています。特に中山間地域では、畦畔が広く、傾斜があることから、除草作業は重労働かつ危険が伴います。
そのような中、農業普及・振興課では畦畔除草の省力化を図るため、「畦畔芝草化」の実証試験を行いました。通常、畦畔被覆では被覆植物が生育する前に雑草が繁茂することが問題となりますが、今回、寒地型の芝を採用することで、雑草の活動が比較的落ち着く冬の間に生育させることをねらいました。その結果、昨年9月の播種後、順調に生育し、本年5月には畦畔一面を覆うほどとなりました。
5月16日には現地検討会を開催し、管内の農業法人や市町村、JAの他、管外の農業法人や振興局など約50名の参加がありました。検討会では、当課から試験の経緯や試験方法について、種苗メーカーや除草剤メーカーからはそれぞれ使用した資材の説明が行われ、真剣に話を聞く参加者の様子が伺えました。
畦畔管理はどの地域も同じ悩みを抱えており、参加者からは、「ここまで芝草が成長するなら良い」、「早速現地で試したいのでノウハウを教えてほしい」など、とても好評で前向きな意見が聞かれました。
現状では、「芝草化」の方法を模索する段階にあるため、当課では引き続き試験を重ねながら技術を確立し、畦畔管理の省力化を図っていきたいと思います。

2024年7月

お宅訪問の様子
お宅訪問の様子

球磨4Hクラブ×南稜高校「お宅訪問」を開催

球磨地方青年農業者クラブ(4Hクラブ)では、クラブ員相互の資質向上を図るため、自身の農業を他のクラブ員に紹介する「お宅訪問」を実施しています。これまでは、4Hクラブ内での開催でしたが、今年度は新たな取り組みとして、南稜高校生を招待し、交流の場を広げました。
お宅訪問では、ズッキーニを栽培する中神さんと、桃を栽培する山本さんの2名を訪問しました。中神さんは、元々栽培していたトマトをやめ、ズッキーニ栽培に切り替えた経緯を説明したほか、労働生産性など経営面に特化した説明がありました。山本さんからは、桃のせん定や新しい技術であるジョイント栽培などの技術面の説明があり、南稜高校生からは、「将来ズッキーニを栽培してみたい」、「桃の品種の違いは?」など活発な質問や意見交換があり、有意義な研修となりました。
当課では、引き続きクラブ員の資質向上を図るための活動を支援するとともに、異業種交流の場を増やすなど、魅力的な活動を支援していきます。

2024年6月

春メロン出荷開始

球磨地域は、県内有数の春メロンの産地です。球磨の春メロンは近年、消費地からの需要が高まっており、今年も4月に入り、プリンスメロン、ホームランメロン、アンデスメロンの出荷が始まりました。
本格的な出荷に合わせて、4月19日に多良木町にある上球磨選果場においてメロンの出発式が開催されました。
今作は播種期の天候が良好で、定植は2~3日程度早くなりました。一方で交配期以降の曇雨天や朝晩の気温の低さにより、初期肥大が昨年よりも鈍い状況にありました。このような状況ではありましたが、生産者の方々の日々の努力により、今年も美味しいメロンが出来ています。
近年、異常気象や肥料・資材の高騰、また連作によるネコブセンチュウの発生などメロンを取り巻く環境にも様々な課題があり、生産面積も減少傾向にあります。農業普及・振興課では、連作障害軽減の対策などにより、生産性の維持・向上に向けた取り組みを進め、産地の維持を図るべく生産者の方々と一緒に取り組んで行きます。

2024年6月

茶園の様子
新茶収穫

夏も近づく八十八夜

県内の荒茶生産量の約半分を占める一大産地である球磨地域では、4月18日から一番茶の収穫が始まりました。
今年は平年より2日程遅く萌芽し、害虫の被害も心配されましたが、新芽への被害はほとんどなく、順調に生育しています。
球磨地域では、一昨年からドリンクメーカー向けのJA茶工場が本格稼働し、ペットボトル用の茶葉とリーフ茶用の茶葉の両方が生産されています。
荒茶の品質は良好で、4月19日に行われた熊本経済連の初入札会では、86点の出品茶の中で球磨地域のお茶が最高値を獲得しました。
また、茶業研究所にて蒸し製玉緑茶や普通煎茶、釜炒り茶の出品茶製造が行われました。製造したお茶は県品評会(7月)へ出品する予定です。
当課では、今後も農業革新支援センターやJAと連携して、良質なお茶の製造支援に取り組みます。

2024年6月

総会の様子
お悩み相談会の様子

令和6年度球磨地方青年農業者クラブ通常総会開催

球磨地方青年農業者クラブは、20~30代の若手農業者を中心に現在8名で活動しており、このたび、令和6年度通常総会が4月25日に開催されました。
令和5年度の事業実績では、球磨独自で活動しているSNS(「くまよん農業チャンネル」X(旧Twitter)、Instagram、Youtube)を活用したPR活動のほか、これまで新型コロナウイルスの影響で活動できなかった「錦町ふるさと祭り」での対面販売や、八代・芦北4Hクラブとの交流を再開するなど、様々な活動が報告されました。
令和6年度の計画では「物価高に負けない農業経営を目指す」というスローガンのもと、クラブ員同士の勉強会や先進地視察研修を通して、自身の農業経営上の課題を解決できるような活動や、新規のクラブ員の勧誘による活動の活性化を図っていくことが決議されました。
また、総会終了後には、普及指導員との対面による「お悩み相談会」を実施。普及指導員がクラブ員の抱える農業経営・栽培上の悩みや不安を引き出し、課題解決に向けた展示ほ場やプロジェクト活動に関する計画を助言しました。
当課では、引き続き青年農業者の技術および経営所得の向上に向けた活動支援に取り組みます。

2024年6月

勉強会の様子
勉強会の様子

若手農家向けに農業経営勉強会を開催

球磨地域では、被災者支援・観光業者支援事業等を手がける一般社団法人RCFが中心となって「人吉球磨・農業未来プロジェクト」が進められており、以下の3つの事業が展開されています。農業普及・振興課も関係市町村や団体等と連携して、同社が進める地域の農業の魅力発信や課題解決の取り組みを支援しているところです。
① 球磨地域の農業・農家を多くの人に知ってもらう「情報発信事業」
② 勉強会や視察研修を通して農家同士の交流を図る「ネットワーキング事業」
③ スキマバイト募集サービス(タイミー)を活用した労働力の確保支援等の「経営課題サポート事業」
このうち、②ネットワーキング事業の一環として、農業経営の法人化や経営分析手法等を学ぶ「農業経営勉強会」が4月11日に開催されました。これは、本プロジェクトに参画している若手農家から「法人化のメリットやデメリットを学びたい」という要望を受けて実施されたもので、当日は農業者10名が集まり、当課から、法人化の利点や社会保険制度、財務諸表を用いた安全性分析等について説明しました。
参加者からは、「法人の種類について教えて欲しい」、「個人と比べて融資額にどのくらい差があるのか」といった質問が数多くあがり、出席者のスキルアップにつながりました。
当課では、今後も本プロジェクトと連携し、農家の課題解決に向けて取り組んでいきます。

2024年6月

発起人代表挨拶
集合写真

あさぎり町初!「農事組合法人須恵かちゃあ」設立総会の開催

4月26日にあさぎり町須恵地区において、あさぎり町初の地域営農法人となる「須恵かちゃあ」の設立総会が開催されました。
当地区では、農業者の高齢化や後継者不足等が問題となっており、このような状況に危機感を持った農業者や営農生産組合、機械利用組合の代表者が発起人となって、令和2年8月から法人設立に向けた検討が行われてきました。
農地集積の手法や法人の形態、経営の収支を検討するための話し合いや地区内の同意を得るための座談会等を70回以上経て、組合員82名(JAくま含む)が参加する「(農)須恵かちゃあ」が設立されました。
当法人では、須恵地区に残る「はじあい(支えあい)」と「かちゃあ(共同作業)」の精神のもと、将来にわたって地域の農業を維持・発展させ、「地域とともに稼げる農業」を実現することを目的に掲げています。当面は作業受託を経営の中心とし、将来的には構成員の農地を法人に集めながら、米・麦・大豆などの土地利用型農業を中心とした協業経営を行っていきます。
農業普及・振興課では、あさぎり町やJAくまと連携しながら法人設立に向けた話し合いをサポートしてきており、今後も関係機関との連携を活かしつつ、法人経営の安定化に向けた支援を行ってまいります。

2024年4月

現地検討会の様子
現地検討会の様子

飼料作物(春作)の現地検討会を開催

球磨地域では、畜産農家の自給飼料の生産・利用拡大の推進、新品種の導入検討を目的として、飼料作物・有望品種の展示ほをらくのうマザーズと球磨農業普及・振興課共同で設置しています。今回、4月8日に相良村の飼料作物展示ほにおいて春作飼料作物の現地検討会を開催しました。
今年度は飼料作物の主要品目であるイタリアンライグラスを26品種、エン麦等を18品種(県奨励品種を含む)、さらにイタリアンライグラスの播種量比較展示区(播種量:3~100kg/10a)を設けました。 
現地検討会当日は、悪天候の中、畜産農家をはじめ管内外の畜産関係者約30名が各飼料作物の生育状況等の確認を行いながら、活発な意見交換が行われ、有意義な現地検討会となりました。
現在、飼料価格は高止まりが継続しており、管内では厳しい経営を迫られている畜産農家も散見されており、飼料費削減の観点から自給飼料生産の重要性は高くなっています。また、昨年に引き続き春先の天候が安定しないことが多く、複数品種導入による収穫時期分散などのリスク回避が重要です。
農業普及・振興課では今後も関係機関と連携しながら、自給飼料増産への取組みを支援していきます。

2024年4月

土壌断面調査の様子
農業革新支援センター専門員による説明

就農予定地の土壌を確認しよう!~土壌断面調査の実施~

球磨地域では、地域農業を維持していくために新規就農者の確保・育成が重要となっており、就農希望者の円滑な営農確立の支援に取り組んでいます。
令和6年3月27日には、JAくまが受け入れている研修生の就農予定ほ場2か所において、ほ場の作土層や排水性を確認するために、土壌断面調査を実施しました。
当日は、研修生、JA営農指導員、振興局普及指導員が一緒になって、土壌を約50cm掘り、地層の幅、土性、ち密度などを農業技術課農業革新支援センターの協力のもと調査しました。
調査の結果、作土層が狭いことや排水性が悪いことが判明し、高畝栽培や明きょの設置、暗きょの掃除などを指導しました。
研修生からは、「今後作付けする地面の下がどのようになっているかを見ることができてよかった。」、「作土層の確保のため、畝の高さを検討する。」など、実際に営農を開始するために役に立ったと感じられるコメントがありました。
研修生のほか、JAからは5名の出席があり、営農指導員の資質向上とともに、地域を挙げた新規就農支援体制の確立にもつながりました。
当課では、球磨地域農業の維持・発展のため、新規就農者の育成及び定着に向けた支援に取り組んでいきます。

2024年3月

定植作業の様子(錦町現地ほ場) ※左:当課職員、右:JA職員
畑地の実証圃場(相良村)

加工用ばれいしょの現地実証開始!

球磨地域では、令和4年度から新たな品目として加工用ばれいしょの導入を検討しており、令和5年度は管内2か所で現地実証を開始しました。
令和4年度に行った錦町での実証では、収穫作業に多くの労力を必要することを確認したため、令和5年度では区画を10aから30aに広げ、機械による収穫体系を実証することとしています。更に、畑地での適応性を検討するため、新たに相良村においても実証を開始しました。
導入にあたっては、当地域で作付けの多い葉たばこに対して、アブラムシによるウイルス病の発生が懸念されるため、今後、徹底した病害虫対策や葉たばこ作付地域との住み分けの検討が必要となってきます。
農業普及・振興課では、実証結果を取りまとめ、関係機関とともに球磨地域での加工用ばれいしょ導入の検討を進めていきます。

2024年3月

データに基づく栽培管理によるイチゴの収量向上を 目指して

球磨地域では、スマート農業の取組みの一環として、イチゴ栽培において栽培環境のデータに基づいた管理による収量向上に取り組んでいます。令和5年産は、8戸のモデル生産者において環境モニタリングを実施しており、2月21日に各生産者のほ場において現地検討会を開催しました。
今回の現地検討会では、厳寒期における栽培管理の違いによる生育や収量の差を説明し、改めて厳寒期の温度管理と積極的な炭酸ガス施用の重要性を確認する機会となりました。特に、炭酸ガスを積極的に施用したほ場では収量向上が見られ、農業革新支援専門員からも炭酸ガスの有効性について説明があり、活発な意見交換が行われました。
現地検討会に参加した生産者からは、「次年度は炭酸ガス施用を改善したい」、「定植前や年末にも現地検討会を開催してほしい」などの意見があり、環境モニタリングの「見える化」による改善が少しずつ広がっています。
今後、6月に実績検討会を開催して、令和5年産の課題を共有するとともに、令和6年産の単収向上に向けた改善を話し合うこととしています。
農業普及・振興課では、球磨地域のイチゴの更なる収量向上を図るため、環境モニタリングを活用した根拠に基づいた栽培指導により、データに基づく栽培管理を推進していきます。

2024年3月

切り枝回収の現地打合せ(R6.2.6)
園地での切り枝回収の様子

ナシの火傷病に対する広域連携の取り組み

昨年8月に中国で火傷病が発生したことによりナシの花粉が輸入停止となったため、八代地域では、令和6年産の人工受粉用花粉が不足する事態となっていました。一方で、球磨地域は花粉を供給する樹を混稙したハチ交配が主流であるため、花粉の輸入停止による影響は少なく、また、交配に適した品種「新興」の生産量が県内で最も多いことから、JAやつしろナシ部会の依頼を受け、「新興」のせん定作業で出た切り枝を提供することとなりました。
まず、1月にJAくまと連携して生産者説明会を管内4地区で開催し、アンケート調査により切り枝の提供可能者数や「新興」の本数・面積等をとりまとめ、回収方法を八代地域と協議しました。その後、令和6年2月6日から2月22日にかけて、当課とJAくま、八代地域の関係者で3班体制を組み、各提供園を巡回して切り枝の回収や選別を行いました。
花粉採取には新鮮な枝が必須であるため、回収日2日前~1日前に切り枝を用意しておく必要がありましたが、ほとんどの生産者は計画通りに準備していただき、当初の予定日で終了することができました。最終的に提供者は25名、計361樹分となりました。
農業普及・振興課では今後も他産地と連携をとりながら、県産ナシの生産安定に向けた活動支援を行っていきます。

※切り枝: 花芽の着生した枝のこと。温室で水差しし開花させ、花粉を採取することができる。

2024年3月

農業版BCPについて説明
BCPについて意見交換

女性農業者へ農業版BCP活用研修会を開催

3月1日に、球磨管内の農業女性アドバイザー研修会を対象に「農業版BCP活用研修会」を開催したところ、アドバイザーなど女性農業者6名の出席がありました。
近年、豪雨や台風による農業被害が頻繁に起こっており、気象災害の直前の対策に加えて、災害発生後にいかに早く営農を復旧させるかが重要になってきています。
当課から農業版BCPとは何か、事前対策との違い、早期復旧による事業継続の重要性等について説明した後、実際にチェックリストと計画書様式を用いて記入していただきました。
様式記入後は、記入で難しいと感じた点や、令和2年7月豪雨での体験についてグループに分かれて意見交換を行いました。7月豪雨の記憶も新しく、河川の増水・氾濫や橋を通行できなくなった際のほ場への移動について心配する意見などがあげられました。また、記入できなかった項目については、どのように対応をするか、家族内で話し合いの機会を設けてもらうように伝えました。
農業普及・振興課では今後も農業女性アドバイザーに対し、様々な情報提供の場を設け、さらなる活躍を支援していきます。
※農業版BCP:インフラや経営資源等について、被害を事前に想定し、被災後の早期復旧・事業再開に向けた計画

2024年3月

セミナーの様子
基調講演の講師 有田氏

球磨地域農業の発展を目指して~活性化セミナーの開催~

令和6年2月27日に、球磨地域の農業の活性化・発展を目的として「球磨地域農業活性化セミナー」を開催しました。管内の農業者や関係機関から63名の参加がありました。
第一部の基調講演では、令和5年度(第62回)農林水産祭において最高賞である天皇杯を受賞された、錦町の株式会社有田牧場の代表取締役有田耕一氏から、これまでの歩み及び経営戦略について講演いただきました。参加者からは有田牧場の経営に対して多くの質問があり、有田氏の経営理念や仕事に対する熱心さは、参加した農家のやる気を奮い立たせるものでした。
第二部では、農業普及・振興課から「管内のスマート農業の実践例」及び「地域営農組織の法人化と経営支援」について普及活動の状況を報告するとともに、農業研究センター球磨農業研究所から研究内容の紹介と南稜高等学校から学習成果の発表を行っていただきました。当課の支援活動や最新の農業技術、地元高校生の活動等を地域の方々へ情報発信することで有意義なセミナーとなり、農業への機運を高める良い機会となりました。
当課では、今後とも地域農業の活性化につながる取り組みを推進し、情報発信等に努めます。

2024年3月

研修の様子

食品表示と効果・効能表示に関する研修会を開催!

人吉・球磨物産販売施設連絡協議会は、管内の物産館、直売所、加工グループなどの11組織で構成され、組織間の連携・協調や地域物産の安定的な販売等を目的に活動しており、農業普及・振興課では、当協議会の活動に対して支援・助言を行っています。
今年度は、会員の資質向上を図るための機会を5年ぶりに企画し、令和6年1月24日に食品表示や効果・効能表示に関する研修会を開催したところ、6組織8名の参加がありました。
当日は、人吉保健所衛生環境課の職員が講師となり、食品表示法に基づく原材料名や添加物等の正しい表記方法と、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律)に基づく広告規制等について講義がありました。
講義後には会員から、具体的な事例や表示方法について多くの質問がありました。参加した会員からは、「食品表示や効能表示について学ぶことができ、とてもためになった。」などの感想があがりました。
農業普及・振興課では、今後も当協議会の活動支援を通して、さらなる球磨地域の発展を目指します。

2024年3月

連携協定締結式の様

夏秋イチゴの産地化に向けた連携協定締結式の開催

五木村の子(こ)別峠(べつとうげ)地区では、標高1000mと冷涼な気候を生かし、6月~11月に出荷する夏秋イチゴが栽培されています。夏秋イチゴは、通常11月~5月に出荷する冬春イチゴより希少価値が高いため、量販ケーキ店などで需要の高い品目です。そのため、五木村では、担い手の確保・育成や耕作放棄地の解消に向けて、夏秋イチゴに着目し、その産地化に取り組んでいます。
 令和6年1月30日には、夏秋イチゴ生産の団地化を図るうえで、夏秋イチゴの先進農家である前畑農園(代表:前畑佳男氏)と連携するため、五木村と前畑農園による連携協定締結式が執り行われました。官民連携の強化により、耕作放棄地の解消のみならず、村への移住・定住の促進や新たな特産化としても期待されることから、五木村の木下村長は、協定書に署名するとともに、「明るい将来につなげたい」と抱負を語りました。
今後、五木村では、新規就農希望者を地域おこし協力隊として募集し、栽培技術の習得や施設整備を支援することで、村への定着につなげていく予定です。
農業普及・振興課では、今後も五木村と連携し、中山間地の特徴を活かした産地づくりなどを継続して支援します。

2024年3月

勉強会の様子
勉強会の様子

茶生産者向け勉強会を開催しました

管内では、茶の新梢枯死症が毎年発生しています。収量に影響を及ぼす発生量ではないものの、毎年症状が出ているため、生産者から「防除方法について知りたい」との声があがっていました。そこで、2月2日に茶の新梢枯死症に関する勉強会を開催しました。勉強会には19名の生産者が参加しました。
勉強会では、農業革新支援センターや農薬メーカーから担当職員を招き、新梢枯死症の生態や基礎的な防除方法に加え、薬剤混用による新しい防除法、農薬の効果的な使用法について学びました。今回の勉強会には若い生産者が多く出席しており、お茶生産に対する意欲の高さが感じられました。参加された生産者からは「こういった勉強会をもっと企画してほしい、次も参加したい。」との声をいただきました。
球磨地域は県内で若手生産者が最も多い地域ですが、就農年数や経験も様々であるため、今後は栽培管理の基礎から応用まで、技術レベルに応じた勉強会を開催しつつ、栽培管理技術の底上げ支援を行っていきます。

2024年3月

講座の様子
講座の様子

次代につなぐ担い手の育成に向けて ~キュウリ若手生産者勉強会 全6回終了~

球磨地域では夏秋キュウリの作付面積が約20haと県内一の産地ですが、高齢化によって若手生産者の割合は低く、なかには技術力が不足して反収が低い生産者も見られます。一方、新規就農者の定着も課題となっており、経営や栽培に関する基礎知識と技術の習得・向上が必要となっています。
そこで、農業普及・振興課では、次代につなぐ担い手の育成に向けてキュウリの若手生産者を対象とした勉強会を8月から毎月開催してきました。
最終回となった1月18日(木)は、くまもと農業アカデミーを活用し、農作業安全や農業機械の操作・管理等を学ぶ「農業機械講座」を開催したところ、JAの研修生3名を含む12名の参加がありました。
講師として農機メーカーの担当者を招き、実際の事故事例から原因と対策を学んだ後、実技では、刈払機の安全操作と日常点検、トラクタの点検方法について学びました。参加者からは、「草刈機の取り扱い方法など詳しく教えて頂いたので良かった。」「農業機械の危険性がよくわかった。」という感想がありました。
農業普及・振興課では、次年度以降も夏秋キュウリ産地の維持・発展のための支援を通して、担い手の育成を進めていきます。

2024年2月

勉強会の様子
勉強会の様子

全共北海道大会に向けた勉強会を開催

球磨地域では、令和9年度に開催される全国和牛能力共進会北海道大会に向けた機運醸成及び畜産農家の経営発展を目的として、12月22日に球磨家畜市場にて「全共北海道大会に向けた畜産関係者勉強会」を開催しました。勉強会には球磨地域の畜産農家42名、行政機関・農業団体31名の計73名の参加がありました。
当日の勉強会では、熊本県畜産協会及び熊本県農業研究センター畜産研究所から講師を招き、畜産協会からは「肉用牛改良についての基礎、全共北海道大会に向けた取り組み」について、畜産研究所からは「熊本県における種雄牛造成の流れ、熊本県の種雄牛」について講演いただきました。また、勉強会の後半では黒毛和種2頭を実際に展示し、良い牛の見方や各部位における着眼点について畜産協会から説明いただきました。
参加者からは、「今回のような肉用牛改良の基礎的な説明は初めて行われたが、非常に良かったと思う」等の感想がありました。また、畜産農家に県有種雄牛を周知する良い機会にもなりました。
子牛価格の下落など厳しい状況の中であっても、良い牛づくりは農業所得を確保するために非常に重要です。当課では、今後も今回のような勉強会を定期的に企画しつつ、また、全共北海道大会に向けて取り組んでいく畜産農家に対しては、関係機関一体となって支援していきます。

2024年2月

講習会の様子

クリ園再生のため、せん定講習会を開催

球磨地域では、クリの生産量減少が続いており、10年前と比較して約4割減と深刻な状況となっています。この要因には、生産者の減少に伴う栽培面積の減少と併せ、老木化・樹勢低下による園の生産力の低下が挙げられます。
そこで、農業普及・振興課では、改植・新植による園の再生に加え、適正なせん定の徹底による樹の若返りを指導し、生産量拡大・安定化を図っています。
その一環として、12月7日に、球磨農業研究所において、球磨管内全域からクリ生産者約50名を集め、果樹研究会主催によるせん定講習会が開催されました。
講習会参加者には、定年帰農などにより老木園を継承されたものの、クリ栽培に慣れておらず、せん定方法が分からない生産者も複数名おられたため、農業普及・振興課の職員により、老木におけるせん定方法を実演し、樹の若返りへの理解促進を図りました。
球磨栗は品質の高さから、実需者からの評価が高く、近年高値傾向が続いています。量的にも市場からの要望に応え、農家所得の安定を図るため、農業普及・振興課では今後も球磨栗の増産を図っていきます。

2024年2月

立毛品評会の様子(12月13日)
切り花品評会の様子(12月20日)

年末ギクの立毛及び切り花品評会を開催

球磨地域は県内有数の大中輪ギク産地であり、令和5年は生産者22名が面積654aで栽培に取り組み、需要の高い7~9月、11月~12月、3月を中心に出荷しています。
今回、高品質な黄色い菊の生産・出荷を図るため、12月13日に立毛品評会、12月20日に切り花品評会がJAくま菊部会主催で開催されました。
立毛品評会では、部会3役が予備選考した上位ほ場において、県(農業技術課、球磨農業普及・振興課)と経済連から各2名の計4名により、ほ場管理、生育状況、開花揃い等の審査を行いました。一方、切り花品評会では、部会の主力品種「精興光玉」を栽培する農家12名が出品したものから、上位3位を選定しました。
今年度は、①定植時期である9月が例年より高温、乾燥傾向に推移したため、初期の活着が難しかったこと、②当初、暖冬傾向と想定し開花調節したため、秋口の急激な温度低下により、1~3日ほど開花ピークがずれたことなど、栽培には難しい気候でしたが、当課から、気象に合わせた管理や、市場ニーズに合わせた産品づくりについて指導したことで、ほぼ順調に出荷できました。
今後は、1月24日開催の出荷反省会にて、審査講評と表彰式を行う予定です。

2024年2月

イチゴ集出荷作業の効率化に向けて

球磨管内にはJAくまが運営するイチゴのパックセンター(以下、PC)が3か所あり、生産者は調整出荷をPCに委託することで労力を軽減し、その分を管理作業に充てることで、収量・品質の向上を図っています。ところが、近年、PCに委託する生産者が増加傾向にあるため、PCの作業効率化が課題となっています。また、生産者からは出荷伝票のペーパーレス化が要望されているところです。
そのため、農業普及・振興課では、イチゴ集出荷作業の効率化等を図るため、12月から荷受予約システム「nimaruJA」の現地実証を行っています。「nimaruJA」とは、株式会社kikitoriが運営するサービスで、生産者がスマホ等のアプリで出荷予定量をJAに報告することができたり、システム内の情報配信機能を活用して、病害虫や気象などの営農情報を生産者へ迅速に届けたりすること等ができます。
この実証により、JA担当者からは「電話やFAXのやり取りが少なくなり、出荷数量の取りまとめ等が簡単になった。今後、有利販売に繋げていきたい。」、生産者からは「出荷実績や市況情報がスマホから確認できるようになり、とても便利である」などの意見があっています。
今後も、荷受予約システムによる作業の効率化を検証することで、PCを核にした生産体制の強化を図っていきます。

2024年2月

プロジェクト発表の様子
クラブ員集合写真

球磨地方青年農業者会議の開催

球磨地方青年農業者クラブでは、自身の農業経営や栽培方法に係る問題を解決するため、自らが課題を設定して解決に向かうプロジェクト活動に取り組んでいます。
12月12日に、球磨地方青年農業者クラブと農業普及・振興課の共催により、「令和5年度球磨地方青年農業者会議」を開催し、8名のクラブ員が意見発表(口頭論述)やパワーポイントを使ったプロジェクト発表を行い、1年間の取り組みの成果を発表しました。当日は、指導農業士などの先進農家をはじめ、南稜高校やJA、市町村担当者など計45名の参加がありました。
審査の結果、意見発表では「歴史ある茶産地の継承」について相良村の山村さん、プロジェクト発表では「微発酵茶プロジェクト~萎凋香緑茶の商品化を目指して~」について五木村の松井さんがそれぞれ秀賞に選ばれました。クラブ員の発表について審査員から、「スライドや発表の完成度が高く、審査が難しかった」などの意見が聞かれたほか、改善が必要なポイントについてコメントをいただき、さらなる課題解決に向けてクラブ員自身がやるべきことや方向性を見出すことができました。
今回秀賞に選ばれた2人をはじめ、推戴されたクラブ員は、令和6年2月14日に開催される熊本県青年農業者会議で発表を行います。当課では引き続き、青年農業者クラブの活動を支援していきます。

2024年1月

新しい選果基準に基づいた選果の様子
加工施設内にて搾汁風景

普及現地情報 幻の柑橘くねぶの加工施設竣工!

五木村の特産柑橘「くねぶ」が本格的な収穫シーズンを迎え、村が活気づいています。
村内で苗木を植え付け始めてから約5年となる今年は、収穫量の増加が想定されるなか、農業普及・振興課では、出荷基準や出荷体制の整備支援を行ってきました。
まず、高単価で取引された昨年の実例をもとに、果実表面にそばかすや傷のない高品質な製品を目指すよう、出荷基準を見直しました。この出荷基準を生産組合で開催された査定会で説明し、生産者統一の認識のもと11月21日から出荷が始まっています。
また、村内で使われなくなっていた味噌加工施設を改修し、従来、委託製造していた「くねぶシロップ」などの商品を自前で製造できるよう、くねぶ加工施設をオープンさせました。オープンに向けては、加工施設に求められているHACCPに準拠した製造工程に対応するため、アグリシステム総合研究所など関係機関の協力を得て、清涼飲料水の認可を受けました。関係者全員が、未経験の加工所運営に戸惑いながらも、初日には約150㎏の搾汁ができました。
農業普及・振興課では、今後も高品質な果実生産や加工所運営支援など継続して支援します。

2024年1月

イチゴの環境モニタリング3期目スタート!!

球磨地域では、令和3年度からイチゴ施設内の環境モニタリングと生産者間でのデータ共有による栽培管理の向上を図っており、3期目となる令和5年度は、管内8戸の生産者で取り組みがスタートしました。
今年度、初めて導入した生産者からは「自分のハウス内の既存温度計では温度が高めに表示されており、イメージしていたハウス内の温度管理ができていないことが分かった」など反応があり、生産者自らの「気づき」が生まれています。
農業普及・振興課では、さらに生産部会全体へ効果が波及するよう、講習会や現地検討会において、これまでのモニタリングデータを基にした「高収量生産者の栽培管理の傾向」や「栽培管理の改善事例」を提供しています。
今後は、これまでの取組みで課題となっている“効果的な炭酸ガスの施用方法”を検討するため実証展示ほを設置して、生育や収量調査を行い、その結果等を部会に共有することとしています。
引き続き、球磨地域のイチゴの更なる収量向上を図るため、環境モニタリングを活用して、データに基づく栽培管理を推進していきます。

2024年1月

室内検討の様子

次代につなぐ担い手育成に向けて~キュウリ若手生産者勉強会の開催~

球磨地域では夏秋キュウリ栽培が盛んに行われており、作付面積は約20haと県内一の産地です。しかしながら、高齢化の進展により、JAくま胡瓜部会において30代までの若手生産者の割合は13%と少なく、技術力の差による反収の違いも見られます。さらに近年では、新規就農者の定着が課題となっており、新規就農者や若手生産者を中心に、経営や栽培に関する基礎知識と技術の習得・向上が必要となっています。
そこで、当課では、11月20日(月)に、JAくま胡瓜部会の若手と新規生産者を対象とした勉強会を開催し、各地区(上球磨・中球磨・下球磨)から9名の生産者が参加されました。農業技術課農業革新支援センターの宮崎専門員から土壌の基礎やキュウリの病害虫、当課からネコブセンチュウの調査方法、種苗メーカーからネコブセンチュウ対策のための緑肥の利用についての講義をそれぞれ行いました。参加した若手生産者からは「土づくりの重要性が分かった」「緑肥について詳しく知ることができて良かった」などの意見があがり、土づくりと土壌病害対策に関する意識向上が図られました。
今後も引き続き、夏秋キュウリ産地の維持・発展のための支援を行っていきます。

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