2023年のエリア普及現地情報

2023年12月

第62回球磨酪農郡市乳牛共進会が開催

令和5年10月13日に第62回球磨酪農郡市乳牛共進会が球磨家畜市場にて開催されました。当日は、未経産牛の部に16頭、経産牛の部に20頭の出品があり、出品されたどの牛も酪農家の手入れに力が入っており、非常にレベルの高い共進会となりました。
オールジャパンブリーダーズサービス株式会社の釘田貴博氏による、厳選な審査の結果、各部においてグランドチャンピオンとリザーブチャンピオンが選出されました。
未経産牛の部でグランドチャンピオンに輝いた村田牧場の牛は、首から肩への移行がスムーズで、肋骨の間隔が広く中駆が充実していると評価されました。また、経産牛の部でグランドチャンピオンに入賞した椎葉牧場の牛は、体と乳器のバランスに優れ、前乳房の付着が強く、後乳房の付着点の高さと幅が優れていると評価されました。
農業普及・振興課では、今後も共進会の開催支援等を通して、乳牛の飼養技術の普及・向上を支援してまいります。

2023年12月

「オープンラボ水稲・果樹スマート農機実演会」の開催

当課では球磨農業研究所の圃場を活用した「オープンラボ」において、生産現場での課題解決に向けた様々な取り組みを行っています。
10月6日には農機メーカー3社の協力を得て、スマート農機実演会を開催し、生産者や関係機関を含む約50人の参加者に対し、室内研修と機械実演を行いました。
室内研修では、当課からオープンラボで取り組んでいる水稲「くまさんの輝き」の肥料比較展示ほの試験概要とこれまでの調査結果を報告しました。
実演会では、アグリサービスクボタ㈱による収穫しながら収量や玄米品質を計測する自動操舵コンバインのほか、㈱オーレックによる国内初の自走式クリ収穫機械、㈱オーレックと㈱アテックスから45度の傾斜まで刈れるハイブリッドのラジコン草刈機の実演を行い、参加された方からは、「中山間地での利用はどうなのか?」など、スマート農機にとても興味を持たれ、活発に意見交換する様子もうかがえました。
今後も当課は、引き続きオープンラボを通してスマート農機の実演を行い、生産振興・普及拡大を図ります。

2023年12月

激励会の様子
複数人の班に分かれて意見交換・交流

球磨地域新規就農者激励会・交流会の開催

球磨地域へ新たに就農された農業者を歓迎・激励するとともに、地域での仲間づくりを目的として、令和5年10月13日に「球磨地域新規就農者激励会・交流会」を開催しました。
まず、第一部の激励会では、くま農業活性化協議会担い手部会の会長である山江村の内山村長から、「農業を志した新規就農者の皆さんは地域の宝であり、大いに成長され活躍されることを期待している」との激励の言葉をいただきました。
次に、球磨地方4Hクラブ等の活動紹介や関係機関からの農業に関わる情報提供を行った後、第二部の交流会では、先進農家として、令和4年度農業コンクール新人王で優良賞を受賞された相良村の尾方伸輔氏から、自身の農業経営についての事例発表と新規就農者に向けたアドバイスがありました。さらに、就農5年以内の農業者を含めて複数の班を作り、班内で自由に意見交換を行う時間を設けました。参加した農業者からは、「新たな知り合いができつつ、自身の経営を見直す良い機会となった」との声があがりました。
農業普及・振興課では、今後とも農業者同士の交流の場を作ることで、新規就農者の営農定着を支援していきます。

2023年12月

会議の様子
当日資料抜粋(産地ビジョンの取組状況)

新規就農者の確保・育成に係る関係機関連携会議の開催

令和5年10月25日に新規就農者の確保・育成に関わるJAくまや市町村の担当者等を参集し、連携会議を開催しました。
会議のなかでは、年度当初に策定したキュウリの産地維持ビジョンの取組状況を共有するとともに、農地・担い手支援課やくまもと農業経営継承支援センターから、新規就農者の確保や産地の維持に向けた経営継承の重要性について説明されました。
また、市町村における経営開始資金等受給者への指導状況や就農相談案件について情報交換を行い、新規就農者に対する適正な指導・支援を呼びかけるとともに、担当者の不安解消に努めました。
さらに、特定地域づくり事業協同組合制度を活用して令和5年4月に設立された「あさぎり地域づくり協同組合」について、あさぎり町の担当者から事例発表をしていただきました。この制度により、安定した給与を受けながら農業技術の習得ができるだけでなく、農業現場の人手不足の解消につながることが期待されています。
農業普及・振興課では、今後とも関係機関が一体となって、新規就農者の確保と育成に向けた活動を行っていきます。

2023年12月

収穫方法を説明
収穫の様子

オープンラボを活用した農業体験学習の実施

当課では、あさぎり町及びあさぎり中学校と連携し、「オープンラボ機能」を活用して「あさ中農業体験ラボ」を実施しており、生徒に対し、スマート農業や野菜栽培を中心とした農業体験学習に取り組んでいます。
令和5年10月19日に本年度の「あさ中農業体験ラボ」の取り組みとして球磨農業研究所にて、かぼちゃの収穫体験が行われました。
当日は、農業普及・振興課の職員が、収穫方法を説明した後、全員で収穫に取り組みました。なかには、かぼちゃの収穫を初めて行う生徒もおり、農業に触れる良い機会となりました。当初は1人当たり3個程度の収穫と予想していましたが、予定より多くの収穫があり、生徒たちは、楽しそうに学校まで持ち帰っていました。
収穫後中学校において、かぼちゃの生態や栽培方法、球磨地域の農業について農業普及・振興課から説明しました。
農業普及・振興課では、これからも、将来の農家の担い手や食への関心を高めるため、教育現場と連携して農業の理解促進を進めていきます。

2023年11月

展示ほ場の概要説明
ほ場内での現地検討の様子

飼料用トウモロコシ展示ほ場の現地検討会を開催!

9月8日に相良村の飼料作物展示ほ場で、飼料用トウモロコシの現地検討会を開催しました。飼料価格の高騰が続く中で、良質な自給飼料の生産と利用拡大を推進すること、また畜産農家に導入品種選定の参考として頂くことを目的として、熊本県酪農業協同組合連合会と球磨地域振興局農業普及・振興課の共催で実施しました。
ほ場には飼料用トウモロコシ17品種を展示しており、今年の展示ほの概要と飼料用トウモロコシの品種別の生育状況について説明を行った後、実際に現物を見ながら品種特性(早晩性の違い、茎葉や雌穂の収量性の違い)について確認して頂きました。
厳しい残暑の中でしたが、畜産農家、農業団体指導員、自治体関係者等約40名が来場し、現地での活発な意見交換もあり非常に有意義な検討会となりました。
現地検討会の後は、展示している全品種の収量調査を実施し、各品種の収量性を調査しました。調査結果は取りまとめた後、畜産関係者に情報共有することで、自給飼料の更なる増産に貢献していきたいと考えています。
農業普及・振興課では今後も引き続き展示ほ場の運営(飼料用トウモロコシ・牧草類等)と現地検討会を通じて、良質な自給飼料生産の推進に取り組んでいきます。

2023年11月

ジョイントⅤ字樹形
慣行樹形(棚栽培)

梨のジョイントⅤ字樹形の省力効果を検証

農業普及・振興課とJAくまでは、梨の新技術であるジョイントⅤ字樹形※の普及に向け、球磨管内にモデル園を設置し省力効果の検証を行っています(R4~R5)。令和5年9月12日には収穫作業時間と果実品質の調査を行いました。
梨栽培は通常、摘果や収穫、せん定等に多大な時間を要するとともに、長時間の上向き作業が続くため作業者への身体的な負荷が大きく、生産者の高齢化が著しい現在、廃業や後継者不足の要因となっています。
今回、新しく導入されたジョイントⅤ字樹形は、作業動線が直線状で単純なため省力化を図ることができ、また、着果部位が低いため上向き作業が無く、軽労化を図ることができます。今回の調査ではジョイントⅤ字樹形は棚栽培と比較して果実品質に差は無く、作業時間を28%削減できることが分かり、技術の有効性が確認されました。
この樹形は早期成園化というメリットもあります。棚栽培では成園化に5年以上かかりますが、モデル園ではジョイント後3年目から成園並みの収量を得ることができており、改植による老木園の若返りへの後押しも期待されます。
農業普及・振興課では今後もモデル園の調査を継続するとともに、JAと連携し、ジョイントⅤ字樹形の産地への導入支援を図っていきます。

※ジョイントⅤ字樹形:従来のジョイント樹形では平棚上にあった主枝を 0.7~ 0.8mの高さまで下げ、側枝を斜立させた新しいジョイント樹形

2023年11月

現地検討会の様子
展示ほ場の様子

夏秋キュウリの安定生産へ向けて~現地検討会の開催~

球磨地域では、夏秋キュウリ栽培が盛んに行われており、栽培面積は約22haと県内一の産地です。しかし、この時期はコナジラミ類やアザミウマ類などの微小害虫が多発する時期であり、これらが媒介するウイルス病(「キュウリ退緑黄化病」および「キュウリ黄化えそ病」)の発生が問題となっています。
そこで、天敵資材「スワルスキーカブリダニ」および土着天敵「タバコカスミカメ」の利用により、これらの害虫密度の抑制を目的とした展示ほを設置しています。
去る9月28日(木)、展示ほを設置している生産者3名とJA、農薬メーカーを参集し、現地検討会を開催しました。検討会では、生産者のほ場を巡回し、害虫や天敵の特徴についての説明や展示ほ調査の進捗、天敵による防除状況について情報共有しました。生産者からは土着天敵の利用に関する質問があり活発な意見交換が行われました。
みどりの食料システム戦略においても、化学農薬の使用量の低減が掲げられており、
球磨地域に適したIPM技術の確立が必要であることから、これからも産地一体となって夏秋キュウリの安定生産へ向けた取組を支援していきます。

2023年11月

乾燥・籾摺受入れの様子
商品パッケージ

球磨村初の農事組合法人球米で米の乾燥・籾摺スタート!

農事組合法人球米(きゅうべい)は、令和2年7月豪雨災害によって失われた球磨村の農業・農村の機能回復や農業生産の存続のため、令和5年4月に設立された地域営農法人です。
当課では、村やJAと連携し、法人の収支計画や作業日誌等の作成、ふるさと納税をはじめとした販売先の確保等を支援してきました。また、国の補助事業等を活用して倉庫の建設や米の乾燥・籾摺機械等を導入するとともに、9月15日には、多良木町の先進的な農事組合法人へ視察研修を行い、受託作業の流れや法人経営について学ぶ機会を設けました。そして、9月24日からは、無事に米の乾燥・籾摺の受け入れを開始することができました。
令和5年産は天候に恵まれたことから、品質の良い米ができています。組合員からは「法人設立して初めてのことばかりで大変だが、球磨村の復旧・復興のためにがんばっている。ぜひ多くの人に球磨産の米を食べてほしい」という声がありました。
今後は、さらなる販売ルートの確保と利用権設定の面積拡大が課題となっています。これからも、豪雨災害からの復旧・創造的復興のシンボルとして当法人が発展するよう、法人運営や営農について助言・支援を行っていきます。

2023年10月

環境モニタリング機器の設置様子
反省会の様子

データに基づく栽培管理によるイチゴの収量向上を 目指して

球磨地域では、スマート農業の取組みの一環として、イチゴ栽培において栽培環境のデータに基づいた管理による収量向上を進めています。令和4年産は、5戸のモデル生産者において環境モニタリングを実施し、その反省会を8月18日に開催しました。
今回の反省会では、環境データや生育・収量データを示しながら、栽培管理の反省点を話し合い、次作への改善点について意見交換しました。
反省会に参加した生産者からは、「自分のイメージしていたハウス環境と実際の環境は少しずれていることが、データ化でよく分かった」、「イチゴ(ゆうべに)で最適な栽培管理ができるように試験研究とも連携してほしい」などの意見があり、環境モニタリングの「見える化」による“カイゼン”が少しずつ広がっています。
引き続き、令和5年度も環境モニタリングを実施し、栽培管理の改善とその効果を検証するとともに、JAの営農指導員とも連携して部会全体にも取組みを波及させていく予定です。
農業普及・振興課では、球磨地域のイチゴの更なる収量向上を図るため、モデル生産者の取組みを通して、環境モニタリングの有効性を示し、データに基づく栽培管理を推進していきます。

2023年10月

室内検討の様子
現地検討の様子

次代につなぐ担い手育成に向けて ~キュウリ若手生産者勉強会の開催~

球磨地域では夏秋キュウリ栽培が盛んに行われており、作付面積は約20haと県内一の産地です。しかしながら、高齢化の進展により、JAくま胡瓜部会において30代までの若手生産者の割合は13%と少なく、技術力の差による反収の違いも見られます。さらに近年、新規就農者の定着が課題となっており、新規就農者や若手生産者を中心に、経営や栽培に関する基礎知識と技術の習得・向上が必要となっています。
そこで、当課は、8月24日(木)に、JAくま胡瓜部会の若手と新規生産者を対象とした勉強会を本年度初めて開催し、各地区(上球磨・中球磨・下球磨)から10名の生産者が参加されました。室内検討で、キュウリの病害虫対策と高温対策についての講習を行った後、上球磨地区の優良生産者のほ場にて現地研修を行いました。若手生産者同士の意見交換が活発に行われ、地区を超えた交流を行うことができました。
今後も引き続き、夏秋キュウリ産地の維持・発展のための支援を行っていきます。

2023年10月

吉野果実選果場(氷川町)の研修の様子
(株)アグリ日奈久(八代市)の研修の様子

4年ぶりに開催。城南5地域の「城南ブッロク農業経営同友会研修会」

9月1日(金)に「城南ブロック農業経営同友会研修会」を4年ぶりに開催しました。
この研修会は八代、芦北、球磨、宇城、天草の5地域の県農業コンクール大会参加者や指導農業士で構成された地域農業経営同友会が連携して毎年開催されていましたが、コロナ感染症の影響により開催が延期されていたため、今回は4年ぶりとなりました。
本年度は八代地域での開催となり、当日は65名が参加し、輸出20年を迎える吉野梨の選果場と令和3年度に秀賞を受賞した地域営農法人(株)アグリ日奈久の現地研修を行いましました。その後の交流会では、各地域の会長から地域の現状や活動状況の報告等があり、盛会な研修会となりました。
参加者からは「隣の地域なのに今日初めて知ったことがあった」、「近い地域だからこそわかり合える」など研修会に参加して良かったとの声が聞かれました。来年度は球磨地域が担当で、皆さん楽しみにしている様子でした。

2023年8月

ほおずき贈呈の様子 (女将の会、さくら会メンバー)
旅館での展示の様子

「球磨地域産ほおずき」を人吉温泉女将の会へ贈呈

令和5年7月28日(金)、熊本県花き協会球磨支部では、JAくま花き部会と連携し、球磨地域産のほおずきのPR及び豪雨災害からの復興支援を目的に、人吉温泉女将の会「さくらの会」へほおずきの贈呈を行いました。
ほおずきの贈呈式は翠嵐楼(すいらんろう)で行われ、ほおずき生産者を代表しあさぎり町の浦上徹氏から、人吉温泉女将の会「さくら会」の有村政代会長へ贈られました。その際、浦上氏から「復興に向かってお互い頑張りましょう。ほおずきは長く持つので、楽しんでほしい。」との挨拶があり、有村会長からは「ほおずきを加盟旅館で飾らせていただき、宿泊客に楽しんでもらい、一緒に人吉・球磨を盛り上げていきたい。」と感謝の言葉をいただきました。贈呈したほおずきは、7月28日から、人吉温泉女将の会に加盟する9旅館で展示され、宿泊客等から好評を得ています。
農業普及・振興課では、今後も生産指導とともに花の消費拡大活動に取り組み、当管内で生産されている花の魅力をPRしていきます。

2023年8月

ニンニクマルシェの様子
焼き肉のたれトースト

ニンニクマルシェ開催!

五木村ニンニク生産組合では、九州では珍しい「ホワイト六片ニンニク」を特産品にしようと、9名の生産者が収量・品質の向上を目指し、日々生産に励んでいます。今年は、収穫時期の6月に雨が続き減収が心配されましたが、生産者の努力により、組合の平均収量は、生産開始後、最高となりました。
7月29日には、五木産ニンニクのPRと道の駅物産館の賑わい創出を目的に、ニンニクマルシェが開催されました。当日は、ホイル焼きや揚げたてチップス、たれトースト等、様々な試食が振る舞われ、来店者との交流を図るとともに、乾燥ニンニクや加工品等の販売につながりました。
特に県農産物加工食品コンクール金賞を受賞した「にんにく農家が作った焼肉のたれ」とガーリックオイルをつけたトーストは大評判で、出荷品のほとんどが完売する結果となりました。他の品種に比べ、辛みや臭いが少なく、焼くとほくほくとした食感が楽しめるこのにんにくを評価してもらえたと、生産者全員満足の笑顔でした。
農業普及・振興課では、今後も需要に応じた農産物や加工品づくりの支援を継続していきます。

2023年8月

水稲講習会の様子
水稲講習会の様子

水稲講習会の開催

管内における水稲の高品質及び良食味米安定生産に向けて、7月19日及び21日に管内4か所でJAくまと連携した水稲講習会を開催しました。講習会では、座学講座と現地ほ場講習を行い、計23名の生産者が参加しました。
まず、座学講習では、水稲栽培において特に重要な水管理について、生育ステージに応じた管理や、台風時の事前対策・事後対策を説明し、品質低下を防ぐ指導を行いました。その他、飛来性害虫トビイロウンカの発生状況や、管内の平年平均気温の積算値を基に作成した予想防除適期について、さらに、昨年多発生したいもち病の病徴と防除について指導を行いました。
次に、現地ほ場講習では、各講習会場付近のほ場に行き、中干しのタイミングや茎数の数え方の指導、生育状況の確認などを行いました。講習会に参加された生産者からは、「排水性の良いほ場では除草剤が効きにくく困っている」、「今年はスクミリンゴガイが多いが、対策はないか」など、水稲栽培に関する悩みや解決策についての質疑・意見交換が活発に行われ、有意義な講習会になりました。
当課では、引き続き現地指導を行い、水稲の高品質及び良食味米安定生産に向けた支援を行っていきます。

2023年8月

現地検討会の様子(あさぎり町ほ場)
実証ほの様子(あさぎり町ほ場) オープンラボの様子(球磨農研)※右上

白ネギ産地育成に向けて

近年、球磨地域では白ネギの作付が増加しており、令和4年は約20戸で15haが作付けされています。しかしながら、高温期の軟腐病発生による減収が大きな問題となっており、球磨地域における白ネギの安定生産技術確立が急務となっています。
そこで、農業普及・振興課では安定生産に向けた取組の1つとして、耐病性があり球磨地域に対応する品種を選定するため、7月11日に白ネギの現地検討会を開催しました。
検討会では、比較試験している7品種の生育状況(全長・太さの推移)や耐病性などを確認し、球磨地域に合う有望品種を検討しました。
検討会に参加した生産者からは、「夏は暑く、冬は寒い球磨地域の気候に合った品種を選定してほしい」、「定期的な現地検討会を開催してほしい」などの意見や、「台風対策について有効な手段を教えてほしい」など今後の栽培管理についての質問も多くあり、有意義な検討会となりました。
また安定生産に向けては、高温期の雑草対策も課題となっているため、球磨農研のオープンラボを活用して効果的な除草剤の活用方法も併せて検討しています。
今後も、当課では球磨地域を白ネギ産地として育成するため、関係機関と協力して安定生産技術を確立するとともに、球磨地域の新たな露地野菜の品目としての定着を目指していきます。

2023年8月

市町村長への牛乳プレゼント(相良村)
牛乳・パンフレットの無料配布

父の日に牛乳(ちち)を贈ろう!キャンペーンの開催

熊本県は西日本一の酪農県であり、その中で球磨地域は県内2位の牛乳の生産地として、多くの酪農家の方々が毎日良質な牛乳の生産に励んでいます。6月の牛乳月間に合わせた牛乳消費拡大キャンペーンの一環として、球磨地域で「父の日に牛乳(ちち)を贈ろう!キャンペーン」が開催されました。
本イベントは、球磨酪農農業協同組合女性部、ホワイト酪農業協同組合女性部及びくま農業活性化協議会畜産部会の主催により、6月14日と18日の2日間開催されました。
6月14日は、管内10市町村長及び振興局長へ900mlのビン牛乳と1ℓの牛乳パック2本が、両組合女性部から贈呈されました。
6月18日には、「父の日」とかけたPRとして、200mlの牛乳パックと牛乳消費拡大に関するパンフレット(牛乳を使用した料理のレシピ集)の無料配布を行いました。道の駅や高速道路のサービスエリア等、管内11か所で約1100本の牛乳とパンフレットが配布され、地元で生産された安全で安心な牛乳を消費者にPRすることができました。
農業普及・振興課では、今後も引き続き、管内酪農家の営農支援を行うとともに、消費者に向けた安心・安全な牛乳のPRを行っていきます。

2023年8月

オープンラボ水稲スマート農機実演会」の開催

球磨地域振興局農業普及・振興課では、活力ある球磨農業の実現と球磨農業研究所の有効活用を目的に、球磨農研を拠点とした「オープンラボ」に取り組んでおり、関係機関と連携して生産現場での課題解決に向けた試験や実演会の開催等を行っています。
今回は、管内で作付面積が拡大し、生産現場において栽培技術の高位平準化が求められている水稲の新品種「くまさんの輝き」にかかる研修会とスマート農機実演会を開催しました。当日は、生産者や南稜高校生、その他関係機関等約50人の参加がありました。
はじめに、当課から「くまさんの輝き」の品種特性とオープンラボ試験概要について説明し、続いて株式会社ヰセキ九州からスマート農業について紹介がありました。
その後の実演会ではロボット田植機による水稲の自動田植えのほか、後付け自動操舵トラクタによるかんしょ用畝立て成形、ドローン防除、45度の傾斜まで刈れるハイブリッドのラジコン草刈機の実演を行い、参加された方からは、「中山間地でも利用でき、とても便利で実用してみたい」などの声があがりました。
今後も当課は、オープンラボを通して水稲品種の普及や技術指導、スマート農機の実演を行い、生産振興・普及拡大を図ります。

2023年7月

現地検討会の様子
草丈確認の様子

省力的な夏ギク品種の現地検討会開催

球磨地域では、7月~9月の夏秋期、11月~12月の年末、3月の彼岸を中心に、輪ギクが栽培されています。JAくま菊部会は、近年、高齢化が進む中で、脇芽が少なく、芽摘み作業を省力化できる品種への転換を進めています。
去る5月31日に、JAくま菊部会の現地検討会が開催されました。その中で、現在導入されている省力品種、数品種について、それぞれに、葉の形、花型、耐病性に一長一短あり選定が難しいことから、生育特性と市場評価の両面から、球磨地域で今後どれを残していくかについての部会での検討を行っています。
併せて球磨地域では8月盆の出荷を目指しており、各ハウスの草丈を確認しながら、予定通りの出荷時期で出荷できるか等の検討を行いました。
農業普及・振興課では今後もJA部会に品種に関する情報提供をしながら、各品種の特性を含め栽培方法を検討していきます。

2023年7月

ハウスモモの化粧箱
収穫直前のモモ

ハウスモモの出荷開始

球磨地域は、栽培面積21haを誇る県内一のモモ産地です。JAくまでは5月16日に加温ハウス栽培「はなよめ」の出荷が始まりました。
ハウス栽培は、露地栽培より約20日早く収穫でき、梅雨の影響を受けにくいため品質が安定するとともに、モモの流通量が少ない中で高単価が狙える利点があります。今年度は4戸(部会員数55戸)の方がハウス栽培に取り組まれました。
今作は、開花期の気温上昇により、一部で着果不良や曇天による初期肥大の鈍りなど問題がありましたが、生産者の方々のたゆまぬ努力により、品質の高いモモに仕上がりました。その結果、例年より高値で取引されており、続くトンネル栽培(6月2日~)、露地栽培(6月10日頃~)に繋がる良いスタートを切ることができました。
農業普及・振興課ではJAと協力し、摘果や病害虫防除など指導を行ってまいりましたが、トンネル栽培以降の作型についても引き続き栽培管理指導を行うとともに、新品種「さくひめ」の導入を進めるなど球磨地域のモモの高品質安定生産を支援していきます。

2023年7月

研修の様子
研修の様子

認定研修機関による5年ぶりの研修開始!

球磨地域では、地域の担い手を維持していくため、新規就農者の確保と育成が急務となっており、新規就農者が自立するためには、就農前に十分な農業技術を習得することが重要となっています。
 5月1日に、就農希望者3名の研修受け入れ式がJAくま本所で行われ、熊本県の認定研修機関であるJAくまによる研修が始まりました。近年は研修希望者が少なかったことから、5年ぶりの研修受け入れとなります。
翌日から受け入れ農家のもとで実地研修が開始され、研修生は収穫作業や誘引作業、トラクターによる耕うんなど、栽培技術の習得に励んでいます。
農業普及・振興課では、研修生が円滑に就農できるよう、JAくまや市町村と連携しながら、農地の確保等を支援するとともに、研修生を対象に植物生理や土壌肥料等に関する座学研修を企画し、単なる栽培管理技術の習得だけではなく、農業を経営していく力の養成を目指しています。

2023年7月

収穫作業の様子(錦町現地ほ場)
湖池屋(九州阿蘇工場)への搬入

加工用ばれいしょ 湖池屋へ出荷!

球磨地域では、被災農地や葉たばこ廃作後等の新規作物として、加工用ばれいしょの試験栽培を令和4年度から実施しています。
今年度は、実際のほ場での経済性や作業性を検証するため、生産者ほ場において試験栽培を行い、5月25日に加工用バレイショを湖池屋へ出荷しました。
今回初めて栽培された生産者からは、「作業時間が少なく、手間もあまりかからない」、「栽培期間が短く、水稲の前作として作付可能な品目」など前向きな評価を頂きました。
一方で、当地域では葉たばこの作付けが多いため、病害虫の関係から、「作付にあたっては葉たばこ農家との協議が必要」と慎重な意見もあり、本格的な栽培には葉たばこ農家との連携という新たな課題も出てきました。
今後、農業普及・振興課では、検証結果を取りまとめ、加工用ばれいしょの経済性や作業性を検討するとともに、作付拡大にあたっては葉たばこ農家との作付調整ができるような環境整備を進めていきます。

2023年6月

現地検討会の様子
現地検討会の様子

飼料作物(春作)の現地検討会を開催

球磨地域では、自給飼料の生産・利用拡大の推進、導入品種検討機会の提供を目的として、4月10日に相良村の飼料作物展示ほにおいて春作飼料作物の現地検討会を開催しました。
展示ほは、らくのうマザーズと球磨農業普及・振興課共同で毎年設置しており、今年度は飼料作物の主要品目であるイタリアンライグラスを28品種、エン麦等を16品種(県奨励品種を含む)、さらにイタリアンライグラスの播種量比較展示区(播種量:3~48kg/10a)を10区設けました。現地検討会当日は、管内外の畜産関係者約30名が各飼料作物の生育状況等の確認を行いました。農業者(酪農家)や指導員(県、農業団体)など様々な立場の方に参加して頂き、有意義な意見交換の場となりました。
飼料価格の高騰が長期化し、管内では厳しい経営を迫られている畜産農家も散見されており、飼料費削減の観点から自給飼料の重要性は高くなっています。
また、最近では春先の天候が安定しないことも多く、複数品種導入による収穫時期分散などのリスク回避も重要です。今後も引き続き関係機関と連携しながら、自給飼料増産への取組みを支援していきます。

2023年6月

総会の様子
「くまよん農業チャンネル」(YouTube)

令和5年度球磨地方青年農業者クラブ通常総会開催

球磨地方青年農業者クラブは、20代の若手農業者を中心に現在10名の農業者で活動しています。令和5年4月6日に、令和5年度通常総会が開催されました。
今回の役員改選で、人吉市の赤池大樹さんが会長に、相良村の山村孝一さんが副会長に就任しました。
これまでは新型コロナウイルスの影響により、地方行事への参加だけでなく、クラブ員間の交流も思うように出来ない状況でした。そこで、今年度は「くまよんから世界へ発信 球磨の魅力~restart~」というスローガンのもと、クラブ員間の交流を深めつつ、地域内外との交流も深め、各々の経営の資質向上を図ることを誓いました。さらに、昨年開設したSNS「くまよん農業チャンネル」(Twitter、Instagram、Youtube)を活用した情報発信も引き続き行っていきます。
農業普及・振興課では、今後も青年農業者の技術および経営所得の向上に向けた活動支援に取り組みます。

2023年6月

連携会議の様子

新規就農者確保・育成に係る関係機関連携会議の開催

球磨地域では、地域の担い手を維持していくため、新規就農者の確保と育成が課題となっています。
年度当初にあたり、新規就農者への支援体制の強化を目的に、管内市町村主管課、JAくま、地域就農支援アドバイザー、農業普及・振興課を参集した連携会議を4月28日に開催しました。
当課から、全国や県、球磨地域の新規就農者の現状を説明した後、球磨地域における就農相談体制や認定新規就農者制度、事業活用時の留意点を共有しました。また、事業の要件等に関する質疑応答や意見交換を行い、関係機関の理解促進を図ることができました。
さらに、市町村等が行う就農相談を充実させるため、提案型の就農相談対応として、キュウリの産地維持ビジョンや球磨地域版の新規就農者向けパンフレットの活用を呼びかけました。
今後、農業普及・振興課では、関係機関と連携した就農相談、認定研修機関による研修や個別巡回等を通して、新規就農者の獲得及び経営安定化を目指していきます。

2023年4月

くねぶシフォンケーキ、スコーン完成

五木村特産柑橘「くねぶ」を使った商品は、関連製品を含め累計31品目に及びます。毎年、新商品が開発され、昨年度も6品が誕生しています。
今年は、有機でお茶を製造している松井農園が、最近販売好調の紅茶にあう洋菓子を作ろうと、6次産業化加速化支援事業を活用してシフォンケーキやスコーンの開発を行いました。
くねぶ果汁・ピール(果皮)を利用し、アグリシステム総合研究所の協力を得ながら、試作検討を重ねました。また、五木村で人気の高い五木とうふを主原料にし、なめらかで、食感のよい商品を目指しました。スコーンも、同じく生おからを何度も乾燥させ、バター等乳製品を使わないヘルシーな洋菓子に仕上りました。
博多駅で開催された「くまもと県南フェア」にも参加し、試食アンケートの結果からさらに改良を加えています。
農業普及・振興課でも、地域の特性を生かした農産物の加工品開発など引き続き支援をしていきます。

2023年4月

水俣での試飲会・意見交換会
振興局での試飲会

「球磨ティーファーマーズ」が「みなまた和紅茶」生産者と交流&局内試飲会

県南フードバレー事業がきっかけで球磨管内の若手お茶生産者5名で結成された「球磨ティーファーマーズ」が、萎凋香(いちょうか)緑茶で商品化を目指し、3月2日に「みなまた和紅茶」で研修・意見交換会を開催しました。
「お茶のカジハラ」、「天の製茶園」、「桜農園」など近年注目されている和紅茶を手掛ける5人の生産者からご意見を伺うため、水俣市の葛彩館で試飲会を行いました。和紅茶生産者の前で、各自用意した萎凋香緑茶と和紅茶も並べて、品種、摘み時期、肥料の時期・量などを聞き確かめながら試飲。色や茶葉のカットの大きさ等も確かめ、味の違いや渋さの際立ち、酸味の出し方など、多数の意見や質問を受けていただき、ティーファーマーズも和紅茶の味の深さや香りに驚きを隠せない様子でした。
試飲後には品質と単価を考えた販売方法などを伺い、お客様からの意見も当然大事ですが、生産者からの意見が聞けたのが良かったという感想でした。また、場所を変え、天の製茶園の茶園と茶工場を見せていただき、手作りの萎凋槽から追求した商品のこだわりを知ることができました。
3月24日には、球磨地域振興局長室で萎凋香緑茶の試飲会を行いました。ティーファーマーズからは、商品のターゲット層や加工方法、メンバー個々の工夫やティーファーマーズとしての考え等を説明されました。メンバーも今の商品に満足しておらず、今後も進化した商品を作り続けると意気込んでいます。
今後もティーファーマーズ、当課及びアグリシステム総合研究所が連携して令和5年度以降の方向性を検討し、今回の研修を生かした内容にしていく予定です。

2023年4月

設立総会の様子
組合員の集合写真

球磨村初の農事組合法人「球米(きゅうべい)」が設立

令和2年7月豪雨災害以降、球磨村内で失われた農業・農村に関連する機能を回復し、地域農業の存続のため、また、将来にわたって農地の受け皿となる組織を目指して、村内の40代を中心とする兼業農家8人が村内初の地域営農法人となる「農事組合法人球米」を設立しました。
元々、球磨村には地域営農の任意組織もありませんでしたが、豪雨災害の影響で村内に水稲の乾燥・籾摺りの受託先が無くなったことをきっかけに、自分たちが地域の起爆剤となる意気込みで、水稲基幹作業の受託と拠点となる乾燥・籾摺り施設の運営、米販売を担う農事組合法人を立上げたものです。
当課では、昨年から役場やJAと連携しながら、ゼロから担い手型の法人設立を目指して、組織のしくみ作りや事業計画作成など協議を重ね、3月24日に球磨村役場にて法人設立総会を開催。組合員全員が出席し、村長や村議長、振興局農林部長、JA理事等が立ち会う中、各議案が承認されました。
「球米」は今後、球磨村農業の核となる組織として、更には、球磨地域における復旧・創造的復興のシンボルとして発展することが期待されています。当課としても、設立後も引き続き村・JAと連携し、農地所有適格法人として、新技術導入や補助事業活用等で法人運営・営農の助言・支援を行っていきます。

2023年3月

令和4年度球磨地域農業活性化セミナーを開催

3月6日(月)、くま農業活性化協議会と球磨農業普及・振興課の共催により、「令和4年度球磨地域農業活性化セミナー」(以下、セミナー)を開催しました。本セミナーは、農業者、行政機関、農業団体等が一堂に会し、農業普及・振興課が関係機関と連携して取り組んだ活動成果、球磨農業研究所の研究内容、および熊本県立南稜高等学校の学習成果等を報告し、地域農業の活性化につなげることを目的としており、当日は約60名の出席がありました。
セミナーでは、上記の報告以外に、(株)農テラス 代表取締役 山下弘幸氏を招き、「逆境に打ち勝つ農業経営」と題して講演をいただき、活発な質疑応答もなされ、改めて、農業経営に対する関心の高さがうかがわれました。
当課では、今後も地域の活性化につながる取組みを推進し、地域農業の維持・発展に努めます。

2023年3月

設立総会の様子
講演会の様子

球磨地域有機農業推進ネットワーク設立総会を開催

球磨地域では有機農業に取り組む生産者が多数いますが、各地域に点在しており、また、管内全域を網羅する組織もなく効果的な情報の提供等が難しい状況でした。そこで、市町村の枠を超え、生産者、農業団体、行政機関等が一体となって球磨地域の有機農業を推進・拡大するため、2月17日に「球磨地域有機農業推進ネットワーク」(以下、ネットワーク)の設立総会を開催しました。
ネットワークには、29戸の生産者が会員として、管内の全市町村、JA及び球磨地域振興局が賛助会員として参加し、設立総会には生産者や行政機関等から30名の出席がありました。
設立総会では、規約の承認、役員の選任等が行われ、総会終了後には宇城市で有機農業に取り組んでいる「肥後あゆみの会」代表の澤村輝彦氏による講演会を開催しました。澤村氏からはネットワークや本地域での有機農業の発展について力強い応援メッセージをいただきました。
農業普及・振興課では、今後、ネットワークを通じて様々な情報提供等を行い、当管内における有機農業の取組み拡大に向けて支援していきます。

2023年3月

餡について講義
セミナー調理実習

五木村の農産物を活用した和菓子加工セミナー

「あんこ」のプロが伝授!餡の基礎技術を習得しませんか。をキャッチフレーズに、1月31日、2月7日、21日の3日間にわたり、和菓子加工セミナーを開催しました。これは、先日、五木村民が開発した加工品が令和4年度優良ふるさと食品中央コンクール農林水産大臣官房長官賞を受賞したことから、さらに村民の加工品開発に対する意欲向上を図るため開催したものです。
講師には、製菓プロデユ―サーでお菓子の香梅元工場長の大村国治さんを講師に和菓子の基礎となる餡について講義・実演指導が行われました。「材料はなるべく地産地消のコンセプトで利用すると愛着がわく」と工場長時代に豆と砂糖の種類を変え、それぞれ違う商品を作ったなど具体的話を交えながら講義を進めていました。
五木村には、「ナンバ」という小豆の在来作物も存在しており、村の特産品開発に向けて、一般農地や焼畑での作付けに繋げる検討もされました。
農業普及・振興課でも、地域の特性を生かした農産物の加工品開発など引き続き支援をしていきます。

2023年3月

講習会の様子
講習会の様子

「くまさんの輝き」栽培管理講習会の開催

「くまさんの輝き」(以下、「輝き」)は球磨地域でも面積拡大が進んでおり、今後、地域の良食味米の主軸とするため関係機関と一体となって推進を図っています。しかし、生産者の認知度がまだ低いこともあり、「輝き」を知ってもらう機会として、令和5年度作付けに向け、「輝き」に特化した水稲栽培管理の講習会を2月27日から28日にかけ開催しました。
講習会はJAくま3地区営農センター及び錦支所にて行い、生産者や関係機関含め30人以上の参加がありました。
「輝き」の特長や栽培し易い品種であること、農業普及・振興課とJAくまと連携して「輝き」の認知度向上に向けたイベント活動等を行ったことも伝え、生産者からは「「輝き」を早く作ってみたい」、「令和4年に実際作って良い品種だと思ったので、更に面積を増やしたい」、「種子があれば直ぐにでも作りたい」等、取組み意欲のある生産者が非常に多いことが分かりました。
農業普及・振興課では、今後も球磨地域の「輝き」の更なる拡大に向け生産・販売等の推進を支援していきます。

2023年3月

3年ぶりに高校での郷土料理講習会を開催

今年度、球磨地域では4つの高校で食の名人派遣事業を活用した「郷土料理講習会」が開催されました。管内で活動するくまもとふるさと食の名人を講師に、食の名人と生徒らが一緒に調理実習を行いました。
このうち、球磨工業高校では、毎年、食の名人らを講師に講習会が行われていましたが、令和2~3年度は新型コロナウイルスの影響もあって外部講師を呼ぶことができず、今回は対策を講じたうえで3年ぶり17回目の実施となりました。
3年生計170人が「つぼん汁、山菜おこわ、ねったんぼ」を作り、食の名人からは孫世代と話しながらの料理は楽しいとの声があり、生徒たちは普段あまり作らない郷土料理に四苦八苦しながらも楽しそうに実習にあたっていました。また、卒業後地域外へ就職する生徒が多くおり、地元の味を知ること作ることがきっと心の支えになる、と校長先生からのお話があり、郷土料理の伝承の意義を感じる会となりました。
農業普及・振興課では、郷土料理伝承や地産地消を通じて、地域の食文化や農業の振興支援をしていきます。

※くまもとふるさと食の名人:郷土の伝統料理等について、卓越した知識・経験・技術等を有し、伝承活動等に取り組んでいる者を県が認定した方

2023年3月

くねぶの特別授業

五木東小学校にてくねぶの特別授業開催

極寒、雪の降る中の1月24日、五木東小学校5~6年生を対象に五木村特産柑橘くねぶの特別授業が開催されました。
これは、球磨川流域地産地消支援事業を活用し、小中学校栄養教諭と連携しながら実施したものです。当日は、児童7人と関係する教諭3名の計9名に対し、くねぶ生産者からくねぶについて45分間講義をいただきました。
「くねぶを栽培する人々の工夫について学ぶ」をテーマに、①栽培へのこだわり・工夫②栽培の苦労③おいしい食べ方④皆さんへのメッセージを話されました。特に、鹿や兎など獣害被害の苦労、接木栽培によって収穫が早まったこと、県と共に開発した商品が認知度を高めたなど様々な話に及びました。
講義終了後、くねぶドレッシングを利用したコールスローやくねぶチーズケーキを全学校関係80名に提供し、関係者と一緒に給食をいただきました。
農業普及・振興課では、小中学生に対し、地元愛着が沸くくねぶなど地元特産品への理解促進と地産地消の啓発活動など引き続き支援をしていきます。

2023年3月

岳間茶寮 好信楽
原田氏のブドウ園

球磨地方青年農業者クラブ先進地視察研修の実施

球磨地方青年農業者クラブには現在13名のクラブ員が所属しており、キュウリ、メロン、酪農、筍、桃、梨、茶、ミシマサイコ等の多様な作物を栽培しています。
コロナの影響もあり、数年間、県内外への視察研修は控えていましたが、本年度は、感染対策を実施のうえ、若手クラブ員を中心に山鹿市、合志市、菊池市へ研修を実施しました。
山鹿市では、岳間茶寮 好信楽の戸川氏に飲食物を提供する店舗として、お茶を知らない方に向けたSNSを活用した発信方法等についてを、合志市では、有限会社高司農園の高司氏にブドウやイチゴの栽培方法や生産物の加工・販売についての取り組みについて説明して頂きました。
また、菊池市では、菊池地方青年農業者クラブの原田祥太郎氏のほ場視察を行い、ブドウの栽培方法や個人販売の取り組みについて説明していただきました。
クラブ員は、視察で大きな刺激を受け、視察後「自分のところでも学んだことを取り入れてみよう」と担当普及員に話していました。球磨農業普及・振興課では、今後もクラブ員の地域間交流や経営力向上に向け支援していきます。

2023年2月

現地でのよけまん※で提供した料理 ※人吉球磨地方でいう休憩
赤大根の収穫体験

五木村在来作物まるごと体験ツアー開催!

「五木村の在来作物を収穫して食べよう!」と題して、10月29日、11月19日に収穫体験ツアーを開催しました。当日は、穏やかな秋晴れと紅葉真っ盛りの山々の中、約30名の参加がありました。
在来作物は、一般的に出回っている改良品種とは異なり、硬い・酸っぱいなどの個性豊かな特徴があります。風味が強く、形にばらつきがあるなど栽培しづらい面もありますが、何十年もその種を繋いできたその地域の食文化といえるものです。
今回は、この在来作物の中で、五木村で振興を図っている「くねぶ」と、くまもとふるさと伝統野菜に指定されている「赤大根」にフォーカスし、収穫体験とその素材をいかした郷土料理を提供した後、料理教室を開催しました。
また、人吉球磨地方で休憩を表す「よけまん」では、短冊切りやいちょう切りなど、切り方を変えた赤大根酢漬け、くねぶパウンドケーキ、くねぶ果汁を絞った生コンニャクのさしみ等を、畳の上や野外で参加者やスタッフも一緒に食卓を囲みました。
参加者からは、まるで田舎のおばあちゃんの家に大集合した親戚一同のような体験ができたと大好評でした。
農業普及・振興課では、今後も引き続き、地域の特産物を活かした、五木村ならではの取組みを支援していきます。

2023年2月

入賞した切り花

年末菊の立毛品評会及び切り花品評会を開催

JAくま菊生産部会では、年末菊栽培における生産者の技術・生産意欲向上のため、毎年、立毛品評会及び切り花品評会を開催しています。今年は12月13日(火)に立毛品評会、12月20日(火)に切り花品評会が行われ、経済連及び球磨農業普及・振興課の担当者が審査しました。
立毛品評会では、あらかじめ選定された4か所のほ場で、ボリューム・病害虫の有無・ほ場管理等の項目について審査を行い、切り花品評会では、持ち込まれた13点の切り花のボリューム・花の揃い等の項目について審査を行いました。
立毛品評会で審査したほ場は、いずれも生育・開花が揃っており、改めて当管内の技術力の高さを確認することができました。また、切り花品評会で入賞した3点は、ボリュームや揃いもさることながら、花の大きさ、葉の艶、花首の締り具合等も素晴らしく、甲乙つけ難い切り花でした。
農業普及・振興課では、今後も切り花品質向上に関する栽培指導を行い、産地における栽培技術の高位平準化を目指します。

2023年2月

次代につなぐ担い手育成に向けて~キュウリ若手生産者勉強会 全5回開催終了~

球磨地域では、近年、新規就農者の定着が課題となっており、産地の維持・発展のためには、新規就農者および若手生産者を中心に経営や栽培に関する基礎知識や技術力の習得および向上が必要となっています。
また、球磨地域の主力品目で、県内一の産地である夏秋キュウリにおいても、若手生産者が13%※と少ないことや個々の技術力の差による反収の違いが課題となっています。
そこで、JAくま胡瓜部会の若手および新規生産者を対象として、8月から12月まで毎月勉強会を開催しました。
勉強会では、球磨農業普及・振興課が高温対策や土壌病害対策、経営分析等に関する講義を行い、農業革新支援センターからも病害虫対策や生育診断に関する講義を行いました。勉強会には、毎回約10名の出席があり、基本技術の習得に加え、キュウリの栽培経験や市町村を超えた交流を深めることができました。生産者からは、技術を向上させ産地維持に役立てたいという声や、JAからもこのような機会は今まで無く、大変良かったとの声がありました。
1月には勉強会で学んだ事を踏まえ、令和4年産の課題整理と次年産に向けた目標設定を行うための座談会を開催し、総仕上げを行う予定です。
今後も引き続き、地域の担い手確保に向けた支援を行っていきます。

※JAくま胡瓜部会における30代までの生産者の割合

2023年1月

RTKドローンの大麦用除草剤(粒剤)散布
後付け自動操舵装着トラクタの耕起作業

RTKを活用したスマート農機実演会[中山間地域向け]の開催

相良村川辺地区及び高原台地にて、RTK(リアルタイムキネマティックの略)を活用したスマート農機実演会を、11月30日に農業技術課と共催で開催しました。RTKとは測量に使用する技術で、電子基準点や基地局設置による補正情報を活用することでGNSS(全球測位衛星システムの総称)よりも精度の高い位置情報を得られ、農機での作業誤差が数cmになるものです。そのため、高齢者や農業を始めたばかりの人でも正確な作業が簡単にでき、その後の作業効率も上がるメリットがあります。
今回は認知度向上のため、RTKを活用した①ドローンによる麦除草粒剤散布、②後付け自動操舵装置装着トラクタによる耕起作業を実演しました
予めほ場をマッピングすることで、ドローン散布の自動飛行や散布圃場の間違いを防ぐことが可能です。実演会では、飛び地のほ場を含めた5か所に連続で粒剤散布と、既存トラクタに後付け自動操舵を取り付けた、自動での直進・旋回・耕起を行いました。
当日は、相良村の生産者や関係機関等を含め約30人の参加があり、参加者からはRTKを活用した農機に興味を持たれ質問等も多く、RTKスマート農業への理解を深めたところです。
今後も、スマート農業の認知・利用拡大に向けた取組みを行っていきます。

2023年1月

経産牛の部 審査講評の様子
経産牛の部 グランドチャンピオン

第41回熊本県乳牛共進会で球磨郡勢が躍進

令和4年11月20日、第41回熊本県乳牛共進会が熊本県家畜市場(大津町)で開催されました。
 新型コロナウイルスの影響により3年ぶりの開催となった本大会には、球磨地域から酪農家7農場と南稜高校より15頭が出品されました。
未経産牛の部では、第1部で大王牧場(人吉市)のDFDチーフ アンナ エコー号、第3部で村田牧場(錦町)のスマイリー ビユーテイー バツクフリツプ カーリー号の2頭が名誉賞首席を受賞。経産牛の部では、第8部で椎葉牧場(錦町)のインテンシヨン クラツシユ デイア号、第9部で田口牧場(錦町)のタグチ チツプ スイート号、第12部で林田牧場(あさぎり町) のスターク バーデイー BモントレラET号の3頭が名誉賞首席及びベストアダ―賞を受賞と、全11部門中5部門で球磨地域が1位を取得しました。
さらに、各部のグランド・リザーブチャンピオンにおいても、
(未経産牛の部)
リザーブチャンピオン:村田牧場 スマイリー ビユーテイー バツクフリツプ カーリー号
(経産牛の部)
グランドチャンピオン:林田牧場 スターク バーデイー BモントレラET号
リザーブチャンピオン:田口牧場 タグチ チツプ スイート号
以上の3頭が受賞し、球磨地域出品牛の躍進が目立つ大会となりました。
農業普及・振興課では、地区大会も含めて、今後も賑わいのある共進会の開催となるように支援してまいります。

2023年1月

有田耕一代表による事例発表
受賞者記念撮影(最前列左から2,3人目が有田夫妻)

全国優良畜産経営管理技術発表で最優秀賞を受賞

令和4年度全国優良畜産経営管理技術発表が、公益社団法人中央畜産会の主催で、11月25日に都市センターホテル(東京都千代田区)で開催され、球磨地域から肉用牛一貫・酪農の複合経営を営む株式会社有田牧場(代表取締役有田耕一氏、錦町)が出場しました。
この大会は、畜産経営の優秀な事例をたたえるとともに、その成果を生んだ経営管理技術を広め、畜産の振興を図るため、昭和61年度から開催される歴史ある大会です。
今大会では、全国から書類選考と現地審査により選出された8経営体の中から、最優秀賞4事例、優秀賞4事例を表彰。当日は、各経営体からの取り組み事例発表後、最終審査が行われ、(株)有田牧場は最優秀賞を受賞しました。熊本県勢の同大会における同賞の受賞は、平成7年度以来27年ぶりの快挙です。
(株)有田牧場は、育種価やゲノミック評価に基づく肉用繁殖雌牛の増頭や稲WCS、イタリアンライグラス等延べ約400haに及ぶ自給飼料の生産などが特に優れているとして評価されました。
農業普及・振興課では、今回の優良経営体の取り組み事例を、今後の肉用牛・酪農経営の生産振興・普及活動に生かしてまいります。

2023年1月

講師の武井弘一教授
講演会の様子

「球磨茶」を深く知る講演会を開催

「球磨茶」は、JAくまが地域団体商標を取得し、関係機関とともに生産振興とブランド力向上を支援しているところです。
今回、JAくま茶業部会出荷反省会開催に合わせて11月18日に相良村ふるさと館にてお茶生産者と関係機関を対象とした「『球磨茶』を深く知る講演会」を、県南フードバレーの事業を活用し県農業研究センターアグリシステム総合研究所との共催で開催しました。
講演は、琉球大学国際地域創造学部の武井弘一教授を講師に招き、『「求麻茶(くまちゃ)」とは何か -琉球で愛された銘茶-』という演題で、“江戸時代の人吉・球磨一帯で生産されていた「求麻茶(球磨茶)」が香り高いお茶として認知・評価され、琉球国で士族から庶民まで好んで飲まれていた”という史実を、歴史書や当時の絵画・写真などを基に結論づける大変興味深い内容でした。
武井教授は人吉市出身で、沖縄県に赴任されてから琉球と球磨地域との交流の歴史を知ったことがきっかけで「茶と琉球人」(岩波新書)を執筆されており、地元ならではの話を織り交ぜながら、「求麻茶」の魅力をご紹介いただきました。講演後には「琉球国へどれくらい輸出されていたのか」「当時の球磨地域で庶民も球磨茶を飲んでいたのか」など参加者から多くの質問があり、生産者も知らないお茶の歴史が「球磨茶」振興の非常に大きなPR材料になると感じました。
今後、まずは地元で一般の方々へ歴史や文化も含めて「球磨茶」をもっと知っていただくイベントを開催する計画です。

2023年1月

4Hクラブ員意見発表
球磨地方4Hクラブ員

球磨地方青年農業者会議の開催

球磨地方青年農業者クラブは、現在13名の若手農業者で組織され、自分の経営や栽培方法を改善するプロジェクト活動に日々取り組んでいます。
去る12月1日に令和4年度球磨地方青年農業者会議が開催され、10名のクラブ員が農業経営への思いや、1年間取り組んだプロジェクト活動の成果を発表しました。
審査の結果、意見発表では錦町の税所万翔さん、プロジェクト発表では多良木町の針馬伸弥さんがそれぞれ秀賞に選ばれました。税所さんは、農業者を目指す仲間との交流の中で変化した思いや、稼げる農業に向けての目標等を、また、針馬さんはメロンの安定生産に向けた2番果着果技術の検討について発表しました。
また、本会議には地元の南稜高校生も参加し、日頃取り組んでいるモモやブドウのブランディングに向けたプロジェクトについて、今後の球磨地域の農業の担い手として力強く発表を行いました。
今回秀賞に選ばれた2人をはじめ、推戴されたクラブ員は、令和5年2月14日に開催される熊本県農業者会議で発表を行います。

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