2020年のエリア普及現地情報

2020年12月

試作したクリ料理
球磨川アーティザンズ社員との意見交換

『球磨栗』の知名度アップには何が必要?

JAくまクリ部会女性部における今後の「球磨栗」PR活動の在り方を検討する第一歩として、食味の良い「美玖里」の一般家庭での利用方法検討と「人吉球磨地方 球磨川流域 地域総合ブランド 球磨川アーティザンズ」代表社員との意見交換会を12月2日(水)に行いました。
例年、各種イベント時にクリかき氷や焼き栗販売等を行い、地域団体商標取得に向けて一般消費者への「球磨栗」知名度アップに努めていますが、今年は新型コロナの影響や7月豪雨災害のため集客を伴うPR活動がほとんどできませんでした。そこで、次年産「球磨栗」のPRに向け、今までどおりの活動で良いのか見直すことにしました。
球磨川アーティザンズは、クリジャム等の製造販売もされていますが「ジャム屋ではなくブランドを作る会社」として活動をされているとのことで、意見交換では万人向けではなく活動対象を絞ることや一歩を踏み出してみることの重要性を学ぶことができました。
また、一般家庭での利用方法検討では、参加者は家でクリを調理することが多いため手の込んだ料理となりましたが、クリ料理を味わいながら意見交換を行い、久々の部会活動に気持ちを新たにした一日となったようです。

2020年12月

収穫体験の様子(R2.11.28撮影)
収穫されたくねぶ(R2.11.28撮影)

くねぶの収穫体験

山並の木々に紅葉が残る11月28日、五木村グリーンツーリズム研究会主催によるくねぶの収穫体験が行われました。これは毎年開催しているフットパスと合わせた初めての試みで、くねぶのPRを目的としたものです。
くねぶは五木村や九州沖縄の一部にしか存在しない珍しい柑橘で、五木村では、生産・加工・販売促進に力を注いでおり、農業普及・振興課でも村や各団体との連携のもと、特産化に向けた支援を行っています。
村内外から参加された約20名の方々は、平瀬・折立地区の山道を散策後、くねぶ生産の第一人者である岡本氏のくねぶ園(折立地区)で、橙黄色に色づいた果実を楽しそうに収穫され、収穫した果実は持ち帰って頂きました。また、果皮の甘煮やホットドリンク、ロールケーキ等くねぶの加工品の試食もあり、とても喜ばれていました。
参加者は、実際にくねぶを見るのが初めての方ばかりで、「これがくねぶかぁ。」「家で料理してみよう。」「SNSに上げてみよう。」などの声が聞かれ、くねぶの認知度向上に繋がるものと期待しています。

2020年11月

収量調査実習の様子
収量調査実習の様子

球磨農研オープンラボ・飼料作物展示ほ場の収量調査実習の開催

去る10月7日に、今年度より球磨農業研究所に新たに設置した飼料作物展示ほ場にて、南稜高等学校畜産コースの2年生11名を対象に、収量調査実習を行いました。
この飼料作物展示ほ場は、南稜高等学校、らくのうマザーズ及び農業普及・振興課が共催で設置しており、ミレット類をはじめとする夏牧草11品種が展示されています。
今回の実習では、今年度の生育状況等データと展示された飼料作物の様子を比較してもらうとともに、実際に飼料作物の草高・草丈等を測定する収量調査を生徒に体験してもらいました。
展示ほ内の飼料作物は収穫後、南稜高等学校で生徒が世話をしている家畜へ給与されることもあり、実習を熱心に取り組む姿が多く見られました。
今後は、イタリアンライグラス等の春作飼料作物にも取り組み、継続して球磨農研オープンラボ・飼料作物展示ほ場の運営を行っていくとともに、南稜高等学校生と球磨地域の畜産農家との交流の場への活動を広げていきたいと考えています。

2020年11月

生徒手作りの看板
カボチャの交配を学ぶ中学生

あさぎり中学校農業体験ラボ閉校

あさぎり町、同教育委員会と当課が連携し、今年度初めての開催となった「あさぎり中学校農業体験ラボ」が、全てのプログラムを無事に終了し11月6日に閉講しました。
この取組は、ふるさとの基幹産業である農業を、中学校の授業「総合学習」のなかで農作業体験などを通して理解してもらおうと、農研センター球磨農業研究所(以下、球磨農研)のほ場約40aを利用して実施されました。
新型コロナや豪雨災害により、スタートが後ろ倒しとなりましたが炎天下の8月、2年生143人はピーマン、ブロッコリー、カボチャの苗を定植。その後、除草や脇芽摘み、ネット張り、誘引、そして収穫作業を体験。   
楽しみにしていたスイートコーンがタヌキの食害により収穫皆無となりましたが、生徒は獣害対策も農業経営に重要な技術であることを学びました。
10月には㈱クボタの協力によりスマート農業についても学習しました。
中学校と町では、来年度の「農業体験ラボ」開催に向けて検討中であり、関係者及び中学生の評価も踏まえ、球磨農研の有効活用や地域農業の活性化に向けた「オープンラボ」の一環としても、より良い体験プログラムとなるよう支援していきます。

2020年11月

講演会の様子
収穫実演会の様子

スマート農業等実演会の開催

去る10月16日に県農業研究センター球磨農業研究所において、スマート農業等の実演会を開催しました。
今回の実演会では、まず農業普及・振興課から導入を推進している乾田直播及び高密度播種について、本年度の試験栽培の状況を報告しました。
乾田直播は代かきや育苗を省略化でき、田植えとの作業分散により稲作の規模拡大が期待されている技術です。また、高密度播種は苗箱1箱当たりの播種量を増やすことで、育苗する苗箱数を減らし、移植までの作業負担やコストを減らす技術です。これらの技術は、担い手が減少する中、今後、球磨地域でも普及拡大が期待されています。
その後、㈱クボタからスマート農業関連機械等について講演をいただき、アシストスーツを農家の方にも体験いただくとともに、ドローンや自動運転機能を搭載した「アグリロボコンバイン」の実演を行いました。
当日は、集落営農組織の代表者や一般農家、南稜高等学校関係者、農協、市町村等多くの人にご参加頂き、実演会は大盛況でした。
来年度以降も、当課では、スマート農業や稲作の省力化・低コスト化に関する各種取り組みを進めていきます。

2020年11月

ニンニク展示ほ(オープンラボ)の植付けの様子
ニンニクの生育の様子

ニンニクの異常球発生の低減へ向けた取組み

球磨地域では、共販面積で約6ヘクタールのニンニクが栽培されています。主要品種は5品種で、用途に合わせた生産・出荷が行われています。
そのうち、乾燥ニンニク出荷用(収穫後に生産者が乾燥・調整して出荷)の栽培品種において、温暖化の影響により収穫期に側球が形成されない異常球(中心球又はスポンジ球)による大幅な減収が発生し、産地の大きな問題となっています。
そこで、当課では有効な対策と考えられる植え付け前の種球の低温処理試験に平成30年度から関係機関と協力して取り組み、商品果率が大きく向上したことから、JAと共に低温処理を推進してきました。
令和2年度は、引き続き適正な処理方法を探求すると共に、生産者へのアンケートを分析した結果、低温処理に加え植え付け時期も影響があることを確認しました。
今季の作付けに際してはこれらの結果を生産者に周知し、ニンニクの生産性向上を進めてきたところです。
現在、球磨農研のオープンラボにおいて、JAと連携し、より的確な低温処理温度、処理期間、品種間差等を検討するための試験区の植え付けを進めており、低温処理技術の確立を目指して取り組んでいく予定です。

2020年11月

決意表明をする新規就農者
先進農家の講話

「就農の決意を新たに」新規就農者激励会開催

今年度、球磨地域には、10~40歳代の様々な年代の30名の方が新たに就農されています。そのうち約半数の方が新規参入となっています。
そこで、農業普及・振興課では、球磨地域の新規就農者の方々に対し、就農定着支援・新たな仲間づくりの促進や新規就農者の方々にとって有益な情報提供を行うことを目的として、新規就農者激励会を開催しました。
激励会には、7名の新規就農者の方をはじめ、青年農業者や関係機関等40名の参加がありました。会では、青年農業者や指導農業士等先輩農家からの激励の言葉や活動紹介、新規就農者の方々からの決意表明、収入保険制度の紹介等を行いました。また、先進農家の講話として、球磨地方4Hクラブの小川博樹さんと阿蘇地方4Hクラブの佐藤智香さんから、それぞれ事例発表をしていただきました。
会終了後には、新規就農者の方々が積極的に青年農業者や関係機関と交流し、先輩農家から大いに刺激を受け、就農の決意を新たにした様子が窺えました。
当課では、今後も新規就農者の就農定着に向けて、関係機関と連携した巡回指導や研修会等を開催していく予定です。

2020年10月

くねぶドレッシング(R2.10.7撮影)
加工講習会の様子(H30.10.22撮影)

「くねぶドレッシング」が銅賞を受賞

この度、五木村に古くから伝わる在来柑橘「くねぶ」を使った「くねぶドレッシング」が、令和2年度県農産物加工食品コンクール審査会で銅賞を受賞しました。
このドレッシングは、村が開催した加工講習会をきっかけに、村内加工グループにより開発されたもので、野菜や肉・魚料理に合い、とても評判が良く、売れ行きも好調です。
また、9月上旬には、味覚糖株式会社から「ぷっちょスティック 幻のみかん(くねぶ果汁使用)」が新発売されるという明るいニュースも入り、地元関係者の機運も高まっています。
かつて暮らしの中で親しまれていた「くねぶ」が次第に使われなくなる現状を憂い、復活を目指して一部の農家が苗木の植付、育成に取り組み始めたのが約20年前。その熱意が今に繋がっています。
村は、数年前から予算化し、「くねぶ」の生産拡大、商品開発、PR活動の取組を強化しました。
農業普及・振興課では、主に栽培管理や商品開発面で支援を行い、近い将来「五木村=くねぶの里」と呼ばれるように、村と一体となり特産化を進めていきたいと考えています。

2020年10月

恒松実行委員長からお礼のあいさつ(作業後)

あさぎり中学校農業体験ラボ開校

酷暑の8月21日、あさぎり中学校の2年生143人が球磨農業研究所において、「農業体験ラボ」として野菜の苗を定植しました。午前11時40分から行われた開校式では、堤校長や尾鷹町長から農業体験を通してふるさとに関心をもち、農業の活性化させる力になってほしいとの思いを伝えられました。
この取組みは、球磨農業研究所の有効活用や地域農業の活性化を図るため、JAや市町村と連携して取り組んでいるオープンラボの一環として、あさぎり中学校やあさぎり町の積極定な推進により実現したものです。
今後は、カボチャの交配作業やピーマンの芽摘み、収穫などの作業だけでなく、ドローンや高性能機械等のスマート農業の実演見学なども計画されています。当課では、生徒が農業への関心を高め、将来の農業の担い手となることを期待し、栽培指導等の支援を行ってまいります。

2020年10月

品質確認目均しの様子
含核数調査の様子

風味豊かで美味しい『球磨栗』を召し上がれ

球磨栗の出荷が8月17日(月)から始まりました。7月の豪雨により、球磨管内のクリを一手に担うJAくま下球磨選果場が浸水し、選果への影響が心配されましたが、関係者の努力により何とか修理が間に合い、8月31日までに63トンが出荷されました。9月中下旬をピークに10月中旬まで出荷される見込みです。当課では、JAくまと連携して、出荷前の目均し会や含核数(毬に入るクリの数)調査を行い、市場へ出荷量等の情報を提供する等、有利販売を目指して、支援に取り組んでいます。
早生種は肥大期の猛暑、少雨で、L33%、2L52%、3L6%とやや小玉傾向でしたが、8月末からは適度に降雨があり、中生種、晩生種は大玉果が期待できます。今年は、新型コロナや豪雨災害の影響で販売促進行事はできませんが、生産者グループによる自主的な直売会の計画もありますので、ぜひ球磨栗をご賞味ください。

2020年8月

復旧作業の中で開催された目均し会の様子
収穫を待つナシ(豊水)

雨にも負けず、ナシの出荷が始まりました

JAくまナシ部会及び一勝地果実組合では、それぞれ7月16日及び7月14日からナシの出荷が始まりました。
2~3月には、最低気温が10℃以上と暖冬傾向が続いた後に氷点下まで気温が低下し、4月の開花後は低温傾向で4月25日には降霜があり、さらに、梅雨期は日照不足に加えて豪雨災害と、ナシ生産にとって非常に厳しい年となりました。
特に、7月4日の豪雨災害では球磨川に架かる橋の流失や国道219号線の崩落等、道路が寸断され、球磨村からの出荷が危ぶまれました。しかし、関係者の協力により迂回路を確保でき、例年の何倍も時間をかけながら出荷が行われています。迂回路は道幅が細く未舗装部分もあるため、果実に傷がつかないようにクッション材を増やすなど、最大限の工夫をされています。
梅雨明け後の豊富な日照を受けて、食味が良くなってきています。10月まで続く球磨地域のナシをぜひご賞味ください。

2020年8月

講演会の様子
移植実演会の様子

水稲高密度播種栽培(田植え)実演会の開催

去る6月19日に熊本県農業研究センター球磨農業研究所(以下、球磨農業研究所)において、水稲高密度播種栽培の移植実演会を開催しました。
高密度播種は、苗箱1箱当たりの播種量を300g程度増やすことで、育苗する苗箱数を減らし、移植までの作業負担やコストを減らすための栽培技術です。育苗方法は従来通りのやり方で良いため、育苗期間の負担を減らすことができ、苗運搬や苗継ぎなどの重労働を軽減できます。
今回の実演会では、初めに高密度播種栽培や乾田直播栽培、㈱クボタの機械等について講習会を行い、㈱クボタの協力を得て高密度播種で育苗した苗を、自動運転機能を搭載した「アグリロボ田植機NW8SA(有人仕様)」を使用し、田植え実演会を行いました。南稜高等学校関係者、農協、農家の方々等、多くの参加により、実演会は大盛況でした。
今後は、このほ場でドローンによる防除や食味・収量センサ付きコンバインでの刈取りの実演会を開催する予定です。

2020年6月

実演会の様子
トリプルエコロジーによる耕起・播種・施肥同時作業

水稲乾田直播栽培(播種)実演会の開催

去る5月25日にあさぎり町上地区において、水稲乾田直播栽培の播種実演会を開催しました。
乾田直播栽培は耕起と播種を同時に行うことで、代掻きと苗づくりの作業を省くことができる技術ですが、従来、代掻きをしないため水漏れが発生し、雑草が繁茂することで収量の確保が難しいと言われていましたが、播種後の鎮圧処理により水漏れの防止が可能となり、安定した収量確保につながったことで、近年注目され、東北地方では取組面積が拡大しています。
今回、実際に水稲乾田直播栽培をされている生産者のほ場をお借りして㈱クボタと協力し現地試験を行いました。
実演会では、㈱クボタの最新機種である「一発耕起・播種・施肥機(トリプルエコロジー)」を使用して播種を行い、その後、生産者によるケンブリッジローラーでの鎮圧、ブームスプレーヤを使っての除草剤散布を行ったところで、30aのほ場を2時間で完了し、時間短縮、作業の省力化を実現することができました。
今後は、2週間程度で芽が出てきますが、1か月程度で水を張り、除草剤を2回程度散布することとなります。
収穫時期には、再度、㈱クボタにご協力頂き、最新の食味・収量センサ付きコンバインで刈取りを行う予定です。今後の生育状況に注目ください。

2020年6月

ほおずきのほ場風景
ほおずきの着果状況

ほおずき現地検討会開催

ほおずきは、夏場の貴重な換金作物として県内各地で栽培面積が増加しており、球磨地域では、今年度、9名の生産者が栽培を行っています。当管内では、主に7月の新盆に向けた出荷に取り組んでおり、6月は摘芯やエスレル処理(※)等の重要な作業の時期となります。そこで、当課ではJAくまと連携して、6月2日にほおずきの現地検討会を開催しました。
現地検討会では、エスレル処理の方法や降温対策についての説明を行い、また、各ほ場内において、ダニやスリップス等の微小害虫の発生がみられることから、それらに関する防除の徹底を指導しました。
当課では、今後も巡回を中心とした栽培指導を行い、高品質なほおずきが出荷できるように支援していきます。
(※)エスレル処理:ホルモン剤(商品名:エスレル10)を散布し、ほおずきの実の着色を促進させるための処理

2020年6月

写真1 出荷留意点を確認する生産者の様子
写真2 収穫を待つモモの様子

美味しいモモの出荷が始まりました

今年も美味しいモモの出荷が始まりました。球磨地域では錦町を中心に、県全体の約半分に当たる21haでモモが栽培されています。加温ハウス※1)は5月20日、トンネルハウス※2)は6月3日に、出荷が始まりました。開花のバラツキや遅霜等による生育不良が懸念されましたが、適期栽培管理の徹底により今年も甘みが強く食味の良いモモが収穫され、例年並みの単価で取引きされています。
露地モモは、6月10日から出荷が始まる予定です。雨よけハウス※3)導入と着色促進マルチの敷設により品質と収穫率の向上が図られており、引き続き食味の良いモモが出荷されることでしょう。皆さん、ぜひご賞味ください。
※1)加温ハウス:ハウスで加温することにより、露地に比べ20日程度生育が促進される
※2)トンネルハウス:ビニル被覆により露地よりも7~10日程度生育が促進される
※3)雨よけハウス:ハウスの天井のみ被覆し、降雨が樹体や果実にあたらないようにする。

2020年6月

6月4日の生育状況(5月13日定植)
雄花とクロマルハナバチ

ズッキーニの省力化試験(球磨農研オープンラボ)スタート

球磨地域では、約15ha(110戸)でズッキーニが栽培されており、現在出荷のピークを迎えています。平成10年の試験栽培から徐々に作付面積が増加し、平成30年2月には「JAくまズッキーニ部会」が設立され、県内最大の産地となりました。春と秋の2作型が中心で、約6割がハウス利用、4割が露地栽培です。
一方、ズッキーニは雄花と雌花が別に咲くため、雌花に花粉を付ける交配作業に労力を要することが問題となっています。そこで、JAくまと協力し、球磨農業研究所のほ場を活用したオープンラボにおいて、クロマルハナバチを利用した交配の省力化展示ほを設置しました。交配作業の省力化により更なる面積拡大や収量向上が期待でき、肥培管理等の栽培技術指導とあわせて、引き続き支援していく計画です。

2020年6月

茶部会調査のようす
トマト部会調査のようす

JAくま2部会(トマト・茶)で県版GAP認証を取得

球磨農業普及・振興課では、JAのトマト部会及び茶部会におけるくまもと県版GAPの取組を支援したところですが、令和2年5月29日にめでたく2部会とも認証取得に至りました。
トマト部会では、農協の営農指導員からの要望もあり、4年前からくまもと県版GAPに取り組んできましたが、農舎整理のための巡回や講習会を何度も開催し、生産者の意識改善を図ってきました。
茶部会では、茶の取扱業者が国際水準GAP取得を望んでいることから、まずは県版GAPから取り組むこととして昨年から取組をはじめ、農閑期である冬季に巡回指導を重ね、農舎・茶工場の整理を徹底しました。
県版GAPの調査が、トマト部会では4月16~17日、茶部会では5月14日に行われ、指摘はあったものの、帳簿への記載忘れ等の軽微なもので、すぐに修正し改善することができ、認証を取得できました。
今後も、他品目への波及や継続的に安全・安心な生産物を提供できるよう、引き続き支援を行っていきます。

2020年5月

摘採後の茶園の様子
被覆した茶園の様子

球磨茶の一番茶概況について

今年の一番茶は3月の少雨の影響から主力の「やぶきた」の萌芽日が平年よりやや遅い4月2日になりました。また、4月の低温により芽伸びが遅く、収量は平年よりやや減少しましたが、品質は良く良質な一番茶が期待されているところです。
球磨地域は県内の荒茶生産量の約半分を占める一大産地であり、近年では「球磨茶」の商標登録に向けてPR活動等も進めているところです。
球磨茶ブランド確立の一環として品評会活動にも取り組んでおり、6戸の農家で、4月25日~26日に、全国茶品評会に向けた出品茶の摘採及び製造を行いました。当日は、順調に生育した茶葉の柔らかい新芽だけを可搬型摘採機で丁寧に摘採し、それぞれが製造を行いました。荒茶の出来は良好で、8月に鹿児島で行われる全国茶品評会で上位入賞が期待されます。
更に、JAくま茶部会では安全・安心なお茶づくりを目指してくまもと県版GAPに取り組んでおり、5月の団体認証取得を目指しています。当課では茶工場での現地指導等を行い、認証取得支援を行っています。
今後も、農業普及・振興課では、球磨茶の生産振興を図っていく計画です。

2020年5月

イタリアンライグラス展示の様子
見学会の様子

春作飼料作物の現地見学会実施

球磨地域では、4月13日に相良村の展示ほ場にて、春作飼料作物に関する現地見学会を開催しました。
現地見学会は、らくのうマザーズと農業普及・振興課が共催で実施し、主要品目のイタリアンライグラスを35品種、エンバク等を16品種、合計51品種を展示しており、見学会では約20名が生育状況等の確認を行いました。新型コロナウィルスの影響もあって、検討会は実施できませんでしたが、関係機関の方々との意見交換ができ、有意義な見学会となりました。
今後とも自給飼料の生産・利用の拡大を推進し、生産コストの低減と飼料自給率の向上を図り、足腰の強い酪農・畜産経営の確立を支援していきます。

2020年5月

ナシ長果枝の芽枯れ
霜害を受けたクリ新梢

球磨果樹の現状と今後に向けて

今年は暖冬のためナシ、モモの低温遭遇時間が不足し、開花・発芽への影響が心配されましたが、人吉観測所では2月2日時点で878時間に達し、過去10年平均に比べ76%と少ないながら、ほぼ例年どおりの栽培を行うことができています。加温栽培のモモは順調に果実が肥大しており、5月20日頃から出荷が始まる予定です。
一方、ナシ「幸水」では長果枝の芽枯れ、ナシ・モモの一部で結実不良がみられたほか、4月25日の降霜によるナシ果実の傷害やクリの新梢枯死など、変動が大きい気象条件により品質や収量の低下も懸念されています。
このような状況で、例年小玉果が多いナシでは、今年は粗(あら)摘果による省力化技術の普及を図るとともに、人工受粉や粗摘果の留意事項の講習を行い、果実品質の向上にむけた指導に力を入れてきました。
2021年7月には第64回全国ナシ研究大会が球磨地域を会場に開催される予定であり、これまでの反省をもとに指導強化すべき点を踏まえ、品質向上と生産指導に当たっていく予定です。
※低温遭遇時間:ナシやモモなどが春に生育を始めるために必要とする低温の量で、10月1日からの-6℃以上7.2℃以下の時間を積算。品種により異なるがナシでは700~800時間、モモでは800~1000時間必要と言われている。

2020年4月

ナシの栽培管理について説明する様子
モモの栽培管理について説明する様子

高品質・大玉生産を目指せ!!ナシ・モモ栽培管理講習会

球磨地域は県内有数の落葉果樹産地であり、ナシ・モモは管内における果樹の主要品目となっています。
高品質果実・大玉果生産に向けて、ナシ・モモが満開期を迎えた4月8日と10日に球磨管内の4地区で栽培管理講習会を開催しました。講習会では参加した各地区のナシ・モモ生産者に対し、摘果管理の方法、病害虫防除についてJAと農業普及・振興課が連携して指導を行いました。
当日は、「こんな果実を摘果すればいいんだね」、「予備摘果の重要さがよく分かった」、「毛虫が多いが、この時期にどのような農薬を散布していいのか?」など、活発に意見が交わされました。
今後も栽培管理指導を行い、高品質果実の生産を支援していきます。

2020年4月

収穫間近のプリンスメロン
提供している気象情報の資料

春の風物詩、春メロン出荷がはじまりました!

1月から定植を開始し、すくすくと育った春メロンが出荷を迎えています。球磨地域は、栽培面積約30haを誇る県内有数の春メロン産地です。今作は栽培期間を通して天候が良く、暖冬の影響もあり順調に肥大が進んでいます。当課では、JAの営農指導員向けに毎週1回気象情報を提供し、農家には現地巡回時に、温度管理や交配時のミツバチ管理、適期防除などを呼びかけてきました。その結果、3月末にJAくまメロン部会の生産者全戸を対象に実施した肥大調査では、全域で例年より大玉で、病害虫の発生も抑えられていました。
4月上旬からプリンスメロンとホームランスターメロン、中旬からアンデスメロンの出荷がはじまります。春メロンの出荷開始に伴い行われる予定だった式典やイベント等は中止となりました。しかし、生産者のたゆまぬ努力のおかげで、とてもいいメロンに仕上がっており、全国各地の消費者のもとに届くのがとても楽しみです。

2020年4月

五木村産ニンニクの現地検討会実施

現在、五木村では8戸の生産者によりニンニク(品種:ホワイト6片)が栽培されています。当品種は、青森県で一般的に栽培されているものと同系列で、大粒で肌白の高品質なニンニクです。
この品種は五木村の冷涼な気候に向いており、近年問題となっているスポンジ果の発生も極めて少ないという特徴があります。しかし、主要病害の春腐病や葉枯病に罹りやすいという弱点があります。そこで、病害の発生程度の確認および今後の対応策に重点を置いた現地検討会を開催しました。
3月19日に開催した検討会では、営農指導員とともに生産ほ場を巡回し、病害の発生状況に応じた防除薬剤の選択や使用方法、防除時期について生産者に助言指導を行いました。
年明けから春先にかけて気温が高く、降水量も多かったため、本年産のニンニクは病害の発生が目立っており、生産者はこれ以上の発生をとても心配されています。
5月下旬には高品質なニンニクが生産できるように、今後も引き続き関係機関と連携しながら、生産技術指導を徹底していきたいと考えています。

2020年2月

くねぶ搾汁作業

「くねぶ」の特産化への取り組み

五木村では、幻の柑橘「くねぶ」の地域特産化に向け、五木村農林水産物協議会(事務局:五木村農林課)、道の駅五木、球磨農業普及・振興課(村駐在員)がワンチームとなって、生産、加工、販売促進に取り組んでいます。
主な取組み内容は、〈生産面〉苗の配布・生産組合の設立・栽培講習会開催・集荷及び代行収穫、〈加工面〉一次加工(搾汁)・商品開発・セミナー開催、〈販促面〉販売・PR・商談活動です。
今年は裏年でしたが、集荷、代行収穫の徹底により、何とか1tを超える果実の集荷ができ、12月中旬には県アグリビジネス総合研究所(八代市鏡町)で搾汁作業を行いました。
今後も、「くねぶ」の生産拡大、農家の収益向上を目指し、様々な活動を展開していきたいと考えています。

2020年1月

現地検討会の様子
講習会の様子

露地ナスの収量安定化に向けて

球磨地域では、4月から11月にかけて夏秋露地ナスが栽培されています。栽培面積は約3haと規模は大きくありませんが、露地ということもあり初期費用が少額で済むことから新規で取り組みやすい品目です。
4年前からは、より安定した収量実現を目指し、課題であった排水対策の徹底を推進してきました。その結果、平均収量は取組前(H27)の6.9t/10aから本年度8.4t/10aと増加しています。しかし、本年度作は青枯れ病が例年に比べ多くみられたため、来年度作に向けた講習会では、ほ場の移動や土壌くん煙剤の施用など土壌病害対策を重点的に説明しました。
今後は、新規作付者への重点指導など産地維持に向けた取り組みも行っていきます。また、ナス部会の反別収量目標である10tを目指して産地一丸となって支援していきます。

2020年1月

受賞されたたんぼのチカラ研究会の皆様

多良木町のお米が九州チャンピオン2連覇

令和元年11月23日に、菊池米ブランド推進協議会主催の第3回九州のお米食味コンクールin菊池が開催され、九州各地の140自治体から1,168検体が出品される中、多良木町の米が昨年に引き続き、自治体部門で優勝、個人総合部門でも金賞(1名)、特別賞(6名)を受賞するなど多良木町の米が高い評価を受けました。
多良木町では平成29年度から米のブランド化を図るため、地方創生事業(しごと創生深化プロジェクト)を活用し、『たらぎ田んぼのチカラ研究会』を立上げ、専門家による指導を受けながら米の食味評価を高める活動を行っており、今回の受賞につながりました。
球磨地域は良食味米の産地として知られていますが、今後も多良木町の取組を参考に米の食味向上を球磨地域全体に広げていきます。

2020年1月

検討会のようす
審査で使用する茶器

なるか!?『球磨茶』の日本茶大賞受賞!?日本茶アワード検討会開催!

球磨地域では『球磨茶』の地域団体商標登録を目指し、『球磨茶』のPR活動を行っています。その活動の一環として、日本茶アワード2019(※)へ『球磨茶』名義で5点出品を行いました。
今年度は惜しくも入賞には至りませんでしたが、次年度の入賞に向けて、去る12月27日(金)に生産者・JA・経済連・県農業革新支援センターと検討会を行い、出品した茶と上位入賞した茶を飲み比べました。上位の茶は、「香りが違う」、「火入れが絶妙」等の感想が出ており、上位の茶の実力を直に感じることができました。
球磨地域では『球磨茶』名義以外で2点入賞を果たしており、入賞した生産者からも入賞するためのコツ等の話を伺い、出席者で共有しました。
農業普及・振興課では今後も、『球磨茶』の日本茶アワード上位入賞に向けて支援していきます。
(※)消費者目線で茶を審査する品評会

2020年1月

各地域の郷土料理を並べて意見交換

食の名人が地域の食の技披露

宇城・県南3地域及び天草地域では、毎年、『くまもとふるさと食の名人』が郷土料理を持ち寄り、互いの食の技や活動状況を交換して地域間交流を図っており、今年は球磨地域において、「ふるさと食の技交換会」を開催しました。
当日は、球磨地域の食の名人3名が、栗料理や牛乳豆腐、猪肉のうま煮など、地域産物を用いた郷土料理を披露し、各地域から集まった食の名人から調理方法等について質問が飛び交うなど、大いに盛り上がりました。
試食会では、各地域の特徴ある料理が45種類並び、料理のコツなど意見交換をしました。また、各地域の活動紹介では、互いに刺激を受けた様子で、今後の活動の充実に繋がるものとなりました。
来年は宇城地域での開催が決定しており、今後も名人同士の交流を図りながら郷土料理伝承に向け支援していきます。

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