芦北エリア

芦北地域は水俣市、芦北郡を所管しています。熊本県の南部に位置し、八代海の海岸線に沿って起伏に富んだ地形が形成され、平坦地が少ない中山間地域です。温暖な気候を活かして、田 (マルタ)ブランドの甘夏や不知火類(デコポン)、早生たまねぎ (サラたまちゃん)など、全国的に認知されている地域ブランド作物が生産されています。
特に、農業産出額の約5割を占める果樹は地域の基幹作物であり、なかでも不知火類(デコポン)は、12月の加温栽培から鮮度保持資材を活用した6月までの長期安定出荷が行われており、県内有数の産地です。また、肉用牛では「あしきた牛」ブランドとして、高品質な牛肉の生産が行われており、各種共励会で上位入賞するなど、県内外から高い評価を受けています。

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県南広域本部 芦北地域振興局 農業普及・振興課

〒869-5461 葦北郡芦北町芦北2670

電話:0966-82-5194

FAX :0966-82-2373

芦北エリア普及現地情報

2025年11月

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みなまた茶水色向上研修会の開催

芦北・水俣地域で生産される「みなまた茶」は、市場からの評価が芳しくなく、価格が低迷しています。その最たる原因としてあげられるお茶を淹れた際の水色について改善を図るため、9月1日に「みなまた茶水色向上研修会」を水色改善に向けて経済連の展示ほに取り組む生産者2名と農業革新支援センターや経済連等の関係機関の計8名が参加のもと、茶業研究所で開催しました。
一番茶期に入札場で採取した県内各地の‘さえみどり‘30点について、2パターンでの水色審査と画像アプリによるデータ収集を行い、経済連等からの審査講評を聞いた後、生産者への聞き取りや製茶記録を基に水色向上に向けた改善の方法について意見交換を行いました。
一番茶芽を充実させるための秋の管理や製茶時の蒸し加減のアドバイスを受けた生産者からは、「来年の一番茶で結果を出せるよう今後の栽培管理に気を付ける」という決意表明とともに、今後の支援継続についても依頼を受けました。
今後はアプリデータの解析や生産・加工技術の指導により水色を向上させ、「みなまた茶」の有利販売に向けた支援を行っていきます。

2025年11月

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当日の講演会の様子
全体集合写真

「夏の集い2025 in芦北」を開催しました!

芦北地方青年農業者クラブ連絡協議会では、地域の垣根を超えた交流を通じて、経営に対する気づきや、担い手のネットワークを強化する活動に取り組んでいます。
8月28日には、水俣市内で「夏の集い2025」が開催され、クラブ員と県職員あわせて50名が参加。講演会では革新支援センターの宮崎主幹を迎え、「持続可能な農業生産のために」と題して、農業と環境のつながりについて学びを深めました。その後、八代の若手いぐさ農家たちが、いぐさで手作りしたモルックを使用し、モルック大会を開催。県南3地域(八代、芦北、球磨)からは豪華景品が提供され、「いぐさモルックは手触りが良く、見た目も可愛かった」や「みんなで盛り上がれてよかった」といった参加者の声が聞かれました。
今年度は県南3地域による合同開催となり、各地域から2~4名ずつ、計8名のクラブ員が実行委員として参加。昨年11月から計11回にわたり実行委員会を行い、各地方のクラブ員が「参加して楽しかった!」と思えるような内容を目指して、協議を重ねてきました。
今後も当課では、青年農業者のネットワークづくりを支援しながら、地域の農業がさらに元気になるような活動を支援していきます。

2025年11月

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研修会講義の様子
現地指導の様子

「正しい対策、地域ぐるみの取組を学ぶ」鳥獣研修会

芦北地域では、獣類による農林業への被害が急増しており、被害軽減対策の取組みが喫緊の課題となっています。
そこで令和5年6月に、地域の関係7団体で構成する連絡協議会(以下、協議会)を立ち上げ、研修会や地区別の講習会の開催、防護柵の設置や捕獲活動の推進に関係機関連携して取り組んでいます。
今回、正しい被害軽減対策を学んでいただくことを目的に、7月8日、水俣市と津奈木町の農業者を対象に研修会を開催しました。
研修会では、(株)イノPの稲葉氏から、鳥獣害対策の基本的な考え方の講義とワイヤーメッシュ柵の正しい設置と維持管理について現地指導をいただきました。農業普及・振興課からは「地域ぐるみで取り組むことの重要性」や活用できる補助事業の説明を行いました。
32名の参加者は熱心に聞き入り、アンケート結果ではほぼ全員が「役に立つ内容だった」と回答するなど、意義深い研修会となりました。
今後は、農業者が地域ぐるみで対策に取り組んでいけるよう、地区ごとの研修会を開催し、被害軽減のさらなる推進を図っていきます。

2025年11月

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現地検討会の様子
共同調査研究連携会議の様子

夏場を乗り切り芝生定着へ!畦畔芝草化の現地検討会を開催 ~県総力を挙げて畦畔管理2.0へ!~

芦北管内は中山間地域が大半を占め、急傾斜な畦畔が多く存在します。そのため、農業者にとって畦畔管理作業は大きな負担で、省力化が課題です。
そこで当課では昨年度から、冬に強い「寒地型」の芝生を用いた畔芝草化※1の技術確立に向けて取り組んでおり、従来の直播に加え、県内初の試みとなるマット苗の実証にもチャレンジしています。
7月30日には、昨年度の10月、2月に続いて3回目の現地検討会を開催し、約20名の参加がありました。「寒地型」による畦畔芝草化のためには、降水量が少ない夏場をいかに乗り切るかが重要です。検討会では、芝生の生育状況を確認し、労力との兼ね合いも踏まえた灌水の必要性や方法について意見交換を行い、「灌水作業は労力がかかる」という意見や「灌水で上手くいけば一つの手段になり得る」など幅広い意見が交わされました。
また終了後には「共同調査研究※3連携会議」が開催され、各地域の生育状況を共有し、灌水方法や成功・失敗例を踏まえた要点を整理しました。
これらの検討を踏まえ、当課では、灌水の試験区を新たに設置することとし、引き続き関係機関と連携して技術確立に向けて取り組んでいきます。

※1:ゴルフ場等で使われる芝生を畦畔に播種し、雑草の発生を抑制することを目的とする。本検討会では「ナイトライフ」という耐暑性に優れた寒地型の芝生を使用。
※2:水稲の育苗と同様に、育苗箱に播種し、苗が順調に生育後、畦畔に苗を移植する。直播では、定着しない箇所の補植が必要となるため、本取組を試験的に採用。
※3:R7年度から畦畔芝草化の試験に取り組む県内他地域・研究機関で構成する組織。

2025年11月

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「あしきた牛」ブランド力強化に向けた米ぬか給与

“愛が育てるあしきた牛”をキャッチフレーズに、日々愛情を込めて管理されたくまもと黒毛和種「あしきた牛」は、水俣・芦北地域が誇るブランド牛肉です。
県内・外へ出荷され、高い評価を得ている「あしきた牛」ですが、以前よりバイヤーからは「もっと地域の特色があると良い」との要望があがっていました。
そこで、地域の特色を活かしたブランド力の強化に向けて、あしきた牛の肥育農家・JAあしきたと協議を重ね、芦北・水俣産の米ぬかを用いた給与試験を開始しました。 
7月1日には現地巡回を実施し、米ぬかの採食状況や保管状況等のヒアリングを行いました。米ぬかの嗜好性が低かった農家には、飼料と米ぬかを混ぜて与える方法から、米ぬかを飼料にふりかける方法に変更を助言したところ、嗜好性の改善が図られました。
また、7月8日には中間検討会を開催し、現地巡回の結果報告と今後の対応について意見交換を行いました。米ぬかの品質が劣化しやすい点が挙げられ、保存方法の見直しや品質管理の強化が必要であることが明らかになりました。
今後は、米ぬかの保存方法の検討や米ぬかの成分分析、枝肉成績の評価等を行い、肥育農家・JAあしきたと密に連携し、「あしきた牛」ブランド力の強化を推進していきます。

2025年11月

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~お盆の飾りにいかが?~ 芦北ほおずきの出荷が始まりました

芦北地域では、5戸の生産者が鑑賞用ホオズキを栽培しています。令和7年産は、前作の影響で定植が遅れたものの、生産者の適期栽培管理により、需要期である8月盆に向けて出荷を開始することができました。
ホオズキ栽培では、病害虫防除と実の色付けが最も重要なポイントです。農業普及・振興課では、6月に現地検討会を開催し、これらの技術指導を行いました。今年は高温の影響で、色づきが緩慢な状況でしたが、現地検討会で指導した内容を生産者が実践したことで、例年通りの鮮やかなオレンジ色に色づきました。
出荷開始にあたっては、「芦北ほおずき」の認知度向上と生産振興を目的として、管内6カ所の公共施設等でPR展示を行いました。このPR展示は、令和6年度から行っており、展示を見た一般の方からは、「色鮮やかできれい」、「こんなに立派なホオズキがあるとは驚きだ」といった感想が寄せられました。また、生産者からも「丹精込めて栽培しているので、多くの人に見てもらえて嬉しい」との声が聞かれました。
農業普及・振興課では、今後も引き続き、生産者の栽培技術が向上し、品質の高いホオズキを安定して出荷できるよう、支援していきます。

2025年11月

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当日の発表の様子
せしかう会メンバーと芦北4HC員

九州・沖縄地区青年農業者会議で芦北4Hクラブ員活躍

芦北地方青年農業者クラブ連絡協議会は今年度、新たに1名のクラブ員を迎え、総勢11名で活動しています。7月17、18日に開催された九州・沖縄地区青年農業者会議では、昨年度の熊本県青年農業者会議「意見発表部門」で優勝した山本章太さんが出場しました。
大会に向けては、革新支援センターや担い手支援課の協力のもと、複数回にわたり発表練習を行いました。当課でも練習会を開催し、課員からスライドや発表内容について多くのアドバイスをもらい、内容の改善を図りました。
大会当日は、芦北4Hクラブ員だけでなく、せしかう会※のメンバーも応援に駆けつけ、発表を見届けました。山本さんはこれまでの練習の成果を存分に発揮し、堂々とした発表を披露しました。惜しくも全国大会への出場は逃しましたが、参加したクラブ員からは「勉強になる良い機会だった」という声もあり、芦北4Hクラブにとって、有意義な経験になったと思います。
今後も当課では、地方会議に向けた支援を継続するとともに、将来地域農業の担い手の核となるクラブ員の成長を後押しできるよう取り組んでいきます。

※せしかう会…芦北地域の新規就農(希望)者で構成される組織。「せしかう」とは芦北地域の方言で頑張るという意味であり、出身・年齢・背景・作物が様々なメンバーが所属している。

2025年8月

普及指導員による説明の様子
講習会で使用した資料

柿「太秋」の品質向上を目指して地区別講習会を開催

芦北地域における柿「太秋」の栽培では、炭疽病の発生が毎年問題となっています。本年度も梅雨時期以降、湿度の高い期間が長く続いていることから、炭疽病の多発が心配されています。
そこで、炭疽病の発病抑制と高品質果実の生産を目的として、6月16、17日にJAあしきたと連携し、地区別に計5回、管理講習会を行いました。
講習会では、防除、台風対策や仕上げ摘果の方法などについて実演を交えながら指導を行い、当課からは炭疽病の特徴と防除のポイントについて、基礎的な内容の復習も含めて説明しました。各回2~6名ずつの参加者があり、少人数で対話しながら指導を進め、特に炭疽病の伝染方法や農薬使用、摘果については、生産者から積極的に質問がありました。
今後も個別の園地巡回等により、太秋栽培における課題解決と安定生産に向けた支援に取り組んでいきます。

2025年8月

修了式及び受入式の様子

JAあしきた研修生修了式及び受入式の開催

芦北地域では、「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム(以下、PT)」を設置し、市、町、JA等地域一丸となって新規就農者の確保に取り組んでいます。PTでは就農相談会後に現地見学やお試し研修と段階を踏みながら、農業体験や移住に向けた住居検討、生活面の不安の解消にもつなげるなど、切れ目のない就農支援の活動を実施しています。
そのような取り組みの中、6月30日にJAあしきた本所にて研修生の修了式及び受入式を開催しました。神奈川県横浜市出身の研修生1名が2年間の研修期間を修了し、7月1日から施設と露地の不知火を継承して農業経営を始めた一方、芦北町や熊本市出身の研修生の計3名が新たな研修をスタートさせ、「先輩農家が築いてきた地域ブランドを保持していけるよう技術習得に励みたい。」といった抱負の発表がありました。また、JAあしきた田畑常務からは、「地域の担い手として活躍していただくことを期待する」といった激励の言葉がありました
現在は7名の研修生が柑橘栽培を中心に受講しておりこれまでも数多く新規就農者を送り出してきました。県内外からの応募は年々増えており、新規就農希望者が次々と水俣・芦北地方に集まっています。
当課ではこの流れを止めることなく市町、JAと一体となった「日本一のカンキツ就農支援」で担い手候補者に選ばれる産地を目指していきます。

2025年7月

収穫作業を見学する高校生
収穫したばれいしょ

~令和2年7月豪雨災害からの創造的復興を目指して~ 加工用ばれいしょを収穫しました

芦北地域では令和2年7月豪雨災害からの創造的復興を目指して、水田裏作として加工用ばれいしょの導入に取り組んでいます。
令和7年産は、JAあしきた及び管内営農組織と連携して、2カ所、計25aで栽培実証試験を行っています。5月28日に収穫を迎え、収穫機(ハーベスタ)を用いた機械化実証と併せて、この取組みを広く周知するため、地域の営農組織や芦北高等学校農学科の生徒らを招いた見学会を開催しました。
ばれいしょの収穫作業については、全体の作業時間に占める割合が最も大きく、収穫にかかる労力を削減すれば、栽培面積の拡大や雇用労働費の削減につなげることが可能です。今回使用したハーベスタは、運転手1名と選別作業員3~4名という少人数での作業が可能で、作業時間はハーベスタを使用しない場合の約1/2と、大幅な労力削減につなげることができました。
また、見学会では、営農組織からハーベスタの使用方法や処理能力に関する質問があったほか、高校生からは加工用品種の特徴について質問があるなど、加工用ばれいしょ栽培に興味を持つ様子が見受けられ、有意義な会となりました。
令和7年産の作柄としては、排水対策に課題が残り、目標としていた収量を達成することはできませんでした。
農業普及・振興課では、今後も引き続き、関係機関と連携して対策を検討・実証し、加工用ばれいしょの導入が農家の所得向上に結び付くよう取り組んでいきます。

2025年7月

講習会の様子
支援専門員の指導に耳を傾ける生産者ら

作付け前に酒米講習会を開催! ~土壌分析を基にした指導で倒伏軽減へ~  

中山間地域である津奈木町倉谷(くらたに)・古中尾(ふるなかお)地区では、高単価作物として酒米「山田錦」を栽培し、地元酒造会社の亀萬酒造へ販売しています。当課で作成した栽培マニュアルや新規作付け者を中心とした伴走支援のもと、各生産者は毎年試行錯誤しながら取り組んでいます。一方で、倒伏しやすい品種である「山田錦」の難しい栽培に、昨年度は異常な高温も重なり、収量・品質ともに大きく落ち込む年となりました。
そこで今年度は、作付け前に酒米生産者全員が土壌分析を実施。倒伏の原因は過剰施肥によるものが大きいと推察されておりましたが、分析の結果、水管理不足や中干し不足も大きな要因であることが判明しました。
これらの結果を基にした栽培指導を行うため、播種前のタイミングである5月13日に作付け前講習会を開催。農業革新支援専門員の支援のもと、分析結果の説明や、倒伏軽減に向けた水管理技術の指導を行いました。生産者からは「倒伏の原因は地力のせいだと思っていたので、今後は水管理を徹底したい」という声が聞かれ、生産者の意識の変化を促すことにつながりました。
当課では引き続き、津奈木町の酒米産地形成に向けて、指導を行っていきます。

2025年7月

講習会(座学)の様子

担い手不足解消へ!初心者向けお米の学び直し講習会を支援 ~1俵は何kg?種まきってどうするの?~

芦北管内における近年の水稲作付け状況は、担い手不足によって耕作放棄地や受託組織への作業依頼が増加しています。しかし、昨年産からの米価高騰を受け、管内では水稲作付けを希望する声が一段と高まっています。
そこで今年度は、新たに米作りを検討する方に基本を学んでもらい、作付け意欲を向上させるため、津奈木町、地域営農組織代表者が計6回の初心者向けの講習会の開催を企画。JAと当課にも指導の支援要請があり、関係機関が連携して取り組むこととなりました。
そのスタートダッシュとして、5月11日に第1回を開催し、約30名が出席しました。講習会の一番のポイントは“誰にでも分かる”内容で説明すること。地域営農組織代表者からの「専門用語は使わず分かりやすい内容で説明してほしい」という要望に応え、当課の座学では「1俵は60kg」といった米作りに必要な基本的な内容から説明しました。その後、地域営農組織の代表者が種子消毒や播種等の育苗までの一連の流れを細かく実演しました。
講習会の開催支援を通して、普段の講習会で専門用語を使い過ぎていたことを実感し「内容を伝えられているか」考え直すきっかけとなりました。
残り5回の講習会も引き続き“誰にでも分かる”説明に努め、地域の担い手育成支援に取り組んでいくとともに、今後は、管内全域の担い手不足解消に寄与するため、関係機関と連携し、他市町での開催を検討していきます。

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