芦北エリア

芦北地域は水俣市、芦北郡を所管しています。熊本県の南部に位置し、八代海の海岸線に沿って起伏に富んだ地形が形成され、平坦地が少ない中山間地域です。温暖な気候を活かして、田 (マルタ)ブランドの甘夏や不知火類(デコポン)、早生たまねぎ (サラたまちゃん)など、全国的に認知されている地域ブランド作物が生産されています。
特に、農業産出額の約5割を占める果樹は地域の基幹作物であり、なかでも不知火類(デコポン)は、12月の加温栽培から鮮度保持資材を活用した6月までの長期安定出荷が行われており、県内有数の産地です。また、肉用牛では「あしきた牛」ブランドとして、高品質な牛肉の生産が行われており、各種共励会で上位入賞するなど、県内外から高い評価を受けています。

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県南広域本部 芦北地域振興局 農業普及・振興課

〒869-5461 葦北郡芦北町芦北2670

電話:0966-82-5194

FAX :0966-82-2373

芦北エリア普及現地情報

2025年3月

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オンラインで開催された事例発表会
届いた表彰状

芦北地域の農業担い手支援活動が全国的に評価される

芦北地域の関係機関・団体で構成する芦北地方農業振興協議会(会長:白坂主税JAあしきた組合長、事務局:芦北農業普及・振興課)では芦北地域の農畜産物の振興や担い手育成に取り組んでいます。
このたび、協議会の「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム(以下PT)」による新規就農希望者への支援活動が、(公財)中央果実協会が主催する「令和6年度果樹農業における担い手の育成及び活躍表彰」において「中央果実協会理事長賞」を受賞しました。
中央果実協会から①PTの設置②就農希望者へのバスツアーや意見交換等により、就農への不安と認識ギャップの緩和③リリーフ園地の就農研修活用、独立就農時での継承、について評価されました。更に「新規就農者等の研修の取組について、代表的なものとして事例発表してもらうべき事例」として選抜され、オンライン発表会での取組事例の紹介ならびに意見交換会のパネラーとして発言しました。
意見交換会では、「PTを立ち上げた狙い」や「リリーフ園の維持にかかる負担もある中での意義について」の質問があり、相談者に対するワンストップでの支援や新規就農者の収益確保が、結果的に産地維持につながることを説明しました。
全国的に担い手が減少していく中で、就農希望者に選ばれる産地になることを目指し、今後も関係機関と連携しながら就農希望者に寄り沿ったサポートを行ってまいります。

2025年2月

出荷反省会の様子
酒米の実物を見比べている様子

津奈木町酒米新規作付者の「山田錦」栽培への挑戦!

中山間地域である津奈木町倉谷(くらたに)・古中尾(ふるなかお)地区では、高単価作物として、酒米「山田錦」を栽培し、地元酒造会社の亀萬酒造へ販売されています。当課では、令和6年産の作付けから、新たに加わった4名の生産者を重点指導対象に位置づけ、伴走型支援を行ってきました。
その結果、4名中2名が目標収量の360kg/10aを達成することができました。日々酒米を観察し、当課が作成した「栽培マニュアル」や助言・指導に基づき、管理を徹底いただいたことが大きな要因だと感じています。
12月12日には、出荷反省会を開催しました。本年産においては、夏場の高温の影響を大きく受けたことから、その対策について、町やJA、メーカー等関係機関と生産者にて、活発な意見交換を行いました。今作の課題が明確となった新規作付者からは「施肥設計を改めて考えたい」「来年は排水対策を徹底したい」など、来作に向けての意気込みを聞くことができました。
今作の酒米づくりは気象条件が大変厳しい年でしたが、この経験をバネに高温に強い津奈木町の「山田錦」を作っていきます。3月には「次年度作付検討会」を開催予定です。新たな作付希望者のお手本となるような生産者育成を目指し、引き続き、新規作付者の確保・技術向上に向けた支援を行ってまいります。

2025年2月

リリーフ園で作業体験する就農希望者
新規就農者園地でも作業体験を実施

新規就農希望者が続々と農作業を体験し、長期研修受講へ

芦北地域では関係機関・団体で「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム(以下PT)」で、就農相談会への出展やバスツアー実施、個別就農相談対応を行いながら、地域の魅力や果樹農業の実際を知ってもらい、相談者の就農イメージを高めてもらっています。
相談から就農までのスケジュールは、通常は3~5年ほど要する場合が多く、特に相談会等によるPTへのファーストアプローチから研修機関での長期研修受講(就農準備型)をいかにスムーズに移行できるかが就農定着のカギとなっています。そこで、長期研修受講の希望者に対し、農作業体験(日帰り~数日間の短期研修)を行ってもらい、農作業や労働負荷等への理解及び地域での生活環境を体験することで、長期研修受講へ誘導しています。
今年度はこれまでに40名の就農にかかる個別相談に対応し、12月から不知火の収穫が始まり、7名(うち2名で3組)が続々と収穫作業を体験されました。うち3名は2度目の受講となり、「作業が異なる時期に体験を行うことで、より就農イメージが高まった」と話しており、2名は本年度内の研修機関での長期研修受講が決定しています。
今後も関係機関と連携しながら、円滑かつ就農希望者に寄り沿ったサポートを行っていく予定です。

2025年2月

「柑橘耕種基準の見方」講義の様子
カンキツ試食検討会の様子

就農に向けて一歩前進 ~就農希望者が講義とカンキツ試食検討会で学ぶ~

芦北地域では、市町、農協、当課等で「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム」を設置し、新規就農者の育成・確保に取り組んでいます。その一環として、普及指導員等が講師になり、新規就農希望者(以下、研修生)に年間8回(5~12月に各月1回)の座学講座を開催しています。
12月は果樹担当の普及指導員が講師となり、「柑橘耕種基準の見方」の講義と「カンキツの試食検討会」を実施しました。
研修生6名の参加があり、講義では、病気や害虫、生理障害ごとに分けて、発生原因や対策の考え方を説明しました。また試食検討に際しては、事前に研修生が試食したい品種を聞き取り、県内外から取り寄せた、品種や作型の異なる計13種の食べ比べを行いました。研修生にとっては初めて見聞きする品種もあり、色や大きさ、香りや味を確かめるように試食していました。
講座後のアンケートでは「これまで作業してきたことの整理ができた」や「就農後の品種を検討する良い機会となった」といった感想が得られました。
研修生が就農時に必要な知識や技術を習得できるよう、今後も関係機関と連携して支援を継続していきます。

2025年1月

家畜防疫に係るバス・ルート等選定チェックリストの作成

高病原性鳥インフルエンザ等の家畜伝染病発生時に円滑な防疫作業を実施するためには、日ごろからの事前準備・対策が重要となります。
事前準備の一つとして、応援者用バス及び資機材運搬車(トラック)の大きさや、支援センターと現場事務所(発生農場)間のルートを事前に選定する必要があります。
そこで、当課では「応援者用バス及びルート等選定に係るチェックリスト」を作成しました。このチェックリストにより、①支援センター周辺、②支援センターと現場事務所(発生農場)間、③現場事務所(発生農場)周辺における、運行可能なバス・トラックの大きさ、乗降場所、通行ルート、ルート上の障害物の有無、必要誘導員数等について、正確かつ均質的に情報を整理することができます。
なお、11/7に開催した水俣・芦北地域悪性家畜伝染病防疫演習において、このチェックリストを用いた現地確認事例について報告し、関係機関と共有を図ったところです。
当課では、有事の際に迅速かつ的確な対応ができるよう、引き続き準備を進めていきます。

2025年1月

現地検討会の様子
ドローン防除の様子

芦北たまねぎ「サラたまちゃん」の栽培支援 ~経営収支試算表の作成、ドローン防除実証~

近年、生産者の高齢化が進む中、JAあしきたのたまねぎ「サラたまちゃん」の生産量が減少しています。そこで、JAとともに部会の課題を整理し、栽培を継続できるよう、収益性の可視化や生産管理の省力化に取り組んでいます。
「サラたまちゃん」は、荷姿が多く、出荷形態別の経費計算がやや複雑で、出荷時期が長いことなどから、収支を把握しにくい状況がありました。そのため、エクセルで「芦北サラたまちゃん経営収支試算表」を作成し、出荷形態や出荷時期、使用する資材、雇用労賃を選択することで、簡単かつ瞬時に10a当たりの収益性を把握できるようにしました。今後、本システムを部会員の経営分析に活用していく予定です。
また、繁忙期の省力化・軽労化と昨年度問題となった小菌核病対策を目的に、植付後のドローン防除の実証試験を行いました。12月2日に、水俣市袋地区で現地検討会を開催し、計77aに殺菌剤を15分程度で散布しました。生産者からは「あっという間に防除が済むが、こんなに少ない散布量で、本当に効果が出るのか?」との声もありました。今後、防除効果を確認しながら、管内法人へのドローン防除委託に向けて部会の意見をまとめていく計画です。
当課では、今後も「サラたまちゃん」の生産振興に取り組んでまいります。

2025年1月

現地でリリーフ園をJAが説明
新規就農者が園地で就農経緯説明 (右から2番目)

新たな未来の担い手募集中「新規就農研修バスツアー」開催

芦北地域では関係機関で「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム(以下PT)」を構成し、減少する地域の担い手確保に向けた取組を積極的に行っています。例年就農を希望する方々を対象にバスツアーを計画しており、本年は県外を含む6名が参加して11月30日に開催しました。このツアーでは、現地での栽培状況をはじめ、認定研修機関(JAあしきた)での研修紹介や就農に必要な情報提供を行い、地域の魅力や果樹農業の実際を知ってもらうことを目的としています。
JAのカンキツ選果場では「デコポン」の生産選果状況や販路について紹介し、収穫されたばかりの果実が丁寧な工程を経て箱詰めされ、出荷される状況を見ていただきました。
次に高齢等を理由に栽培が困難になった園地を一時預かりした「リリーフ園」を訪れ、リリーフ園制度を説明しました。果樹経営で新規就農しても1年目から所得が得られることへの関心は非常に高く、就農を検討されている参加者にとって、就農イメージが具体的になっているようでした。また、PTによる新規就農支援を受けた園主から就農のきっかけや果樹栽培のメリット・デメリット等を話され、その後の意見交換では、就農への想いや就労状況、収入に至るまで多くの質問が出されました。
ツアー終了直後には、参加された2組4名から就農に向けた次のステップである「短期研修(作業体験)」等への申し込みがあり、着実にPTの活動成果が現れています。今後も関係機関と連携しながら、円滑かつ就農希望者に寄り沿ってサポートを行っていく予定です。

2025年1月

青年農業者会議の様子
各クラブ員に配布した発表審査のまとめ

伴走型支援で発表者増加!芦北地方青年農業者会議を開催 ~経営課題の改善につながる支援を実施~

芦北地方青年農業者クラブ連絡協議会では、ここ数年でクラブ員数が増加し、現在12名となり活気が増しています。一方で、青年農業者会議(以下、会議)で発表するクラブ員の割合は100%ではなく、クラブ員全員が経営課題に向き合う機会を作ることが課題となっていました。
 そこで当課ではまず、クラブ員に対し「取組のゴールは経営課題解決」ということを改めて強調。経営を見つめ直す機会を作るため、4月に各クラブ員に課題と取組内容を整理してもらい、5月に中間検討会を実施。その後、各クラブ員に担当普及員を配置し、伴走型の活動支援を行ってきました。
 その結果、全クラブ員が自身の経営課題、取り組みを整理し、11月12日に実施した会議では、計10名(昨年比1名増)が発表に取り組みました。
また会議後には、審査員からの点数やコメントをまとめ、発表者それぞれにフィードバック(左下写真)しました。発表をゴールとせず、今後の経営課題解決に向けた活動につながる支援ができたと感じています。
当課では引き続き、県会議に向けた支援を行うとともに、将来地域農業の担い手の核となるクラブ員の成長を後押しできるよう取り組んでいきます。

2024年12月

芝生で変わる畦畔管理の未来?! ~県内初の取組で現地検討会を開催~

芦北管内は中山間地域が大半を占めており、急傾斜な畦畔が多く存在します。そのため、農業者にとって畦畔管理は多大な時間と労力を要しており、同管理の負担軽減が課題となっています。
そこで当課では、同作業の省力化を図るため、畦畔芝草化※1の現地検討会を開催し、農業者や他地域の関係機関等も合わせて約20名が参加しました。
芝を生やすにあたっては、現在生えている雑草を完全に除去した上で直播し、その後畦畔を踏み固める等、複数の準備作業が必要となります。そこで、現地検討会では、一連の作業を参加者と共同で作業しながら説明することで、理解を深めてもらえるような工夫を取り入れました。
また、県内初の試みとして、より効率的かつ芝生の定着率を上げるため、マット苗※2による芝草化にも取り組んでいます。参加した農業者からは、具体的な作業やコストに関する質問がある等、関心の高まりが感じられ、「試験がうまくいけば取り入れたい」「こうすればもっとうまくいくのではないか」「マット苗が導入しやすい」といった前向きな声も数多く聞かれました。
当課では引き続き関係機関と連携して管理指導を行い、畦畔管理作業の省力化支援に取り組んでいきます。

※1:ゴルフ場等で使われる芝生を畦畔に播種し、雑草の発生を抑制することを目的とする。本検討会では、「ナイトライフ」という耐暑性に優れた寒地型の芝生を使用。
※2:水稲の育苗と同様に、育苗箱に播種し、苗が順調に生育後、畦畔に苗を移植する。直播では、定着しない箇所の補植が必要となるため、本取組を試験的に採用。

2024年12月

新規就農支援のフロー図
活発な意見交換が行われた

新規就農者組織と担い手プロジェクトチームが意見交換会

10月22日「せしかう会」(芦北地域の新規就農者、就農準備研修生の任意組織)と「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム」(以下PT)との意見交換会が行われました。
3回目開催となるこの会は、新規就農に関する課題や就農者からの要望とPTによる就農支援の取組を情報共有し、現実に即した就農者への支援対策の方向性について活発に意見交換しました。
これまでのせしかう会からの要望に答える形で、本年度のPT活動として、新規就農支援のフロー図の作製や市町独自の就農支援制度の紹介、鳥獣害対策など座学講座の拡充、就農者や就農準備研修生の疑問に回答する「虎の巻」の作成等、就農支援の活動を行っています。
今回、せしかう会からはリリーフ園の引継ぎ方法の制度化や新規就農者の経営力向上など多くの意見が出され、この対応についてPTでは今後検討していくことになります。毎年出てくる意見や要望、課題に対して、各々の組織が解決出来ることを実施し、意見交換会で共有する関係は大切だと考えています。
今後も農業普及・振興課は、PTでの対応策を検討していく重要な調整役を果たしながら、新規就農と定着を図っていきます

2024年12月

合同発表練習会の様子
伴走型の活動支援を行う様子

経営課題の解決を目指して! プロジェクト活動発表に向けた合同練習発表会を開催

芦北地方青年農業者クラブ連絡協議会(以下4HC)では、クラブ員自らの経営課題改善を見つめ直し、課題解決方法の習得に取り組むため、プロジェクト活動に取り組んでいます。
活動にあたっては、4月に各クラブ員が現在の課題と取り組みをまとめ、5月に中間検討会を実施。その後、各クラブ員に当課普及員を割り当て、1人1人と密に連携を取るための伴走型の活動支援を行ってきました。
その一環として、11月に行われる芦北地方青年農業者会議(以下、地方会議)でより良い発表を行うため、10月16日に合同練習発表会を開催しました。練習会には、クラブ員と当課普及員の計15名が出席。各クラブ員の模擬発表に対し、担当普及員以外から幅広い視点でも質疑や助言が行われ、より良い発表へとつながる練習会となりました。
当地域では地方会議前の練習会は初めて行われ、参加クラブ員からは「想定していなかった視点からの様々な意見を聞くことができて参考になった」という前向きな意見が聞かれました。
当課では、将来、地域農業の担い手の核となるクラブ員の想いを後押しできるよう、今後も4HCへの活動支援に取り組んでいきます。

2024年12月

「4Hクラブ県南交流会」を開催! ~他地域の農業者との交流を深める~

芦北地方青年農業者クラブ連絡協議会(以下、4HC)では、クラブ員の資質向上と農業経営のさらなる発展に向けた活動に加え、クラブ員同士が盛んに交流を行うことで、クラブ員自ら経営等に対する“気づき”を得られる活動に取り組んでいます。
その一環として、10月11日に「4Hクラブ県南交流会」を開催し、八代、球磨、芦北の3地域の4Hクラブ員やご家族等が出席しました。交流会には合わせて約20名が参加。まず、モルックを通してクラブ員同士が打ち解けた後、BBQ・懇親会で親交を深めました。
クラブ員らは、各地域の4Hクラブの状況や自身の農業経営等について盛んに意見を交わしており、「プロジェクト活動の取り組み体制に困っていたが、他地域のこれまでの取り組みの経緯を知り、今が頑張り時だと思えた」という熱心な感想や、「普段の経営だけでは交流が限られるので、貴重な機会だった」といった意見が聞かれました。
当課では引き続き、クラブ員が「4HCに所属していて良かった」と感じられるよう、農業者にとってプラスとなる活動支援に取り組んでいきます。

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