芦北エリア

芦北地域は水俣市、芦北郡を所管しています。熊本県の南部に位置し、八代海の海岸線に沿って起伏に富んだ地形が形成され、平坦地が少ない中山間地域です。温暖な気候を活かして、田 (マルタ)ブランドの甘夏や不知火類(デコポン)、早生たまねぎ (サラたまちゃん)など、全国的に認知されている地域ブランド作物が生産されています。
特に、農業産出額の約5割を占める果樹は地域の基幹作物であり、なかでも不知火類(デコポン)は、12月の加温栽培から鮮度保持資材を活用した6月までの長期安定出荷が行われており、県内有数の産地です。また、肉用牛では「あしきた牛」ブランドとして、高品質な牛肉の生産が行われており、各種共励会で上位入賞するなど、県内外から高い評価を受けています。

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県南広域本部 芦北地域振興局 農業普及・振興課

〒869-5461 葦北郡芦北町芦北2670

電話:0966-82-5194

FAX :0966-82-2373

芦北エリア普及現地情報

2024年10月

スマート農業機械実演の様子
実演機械に興味を示す参加者らの様子

畦畔管理作業の省力化を目指して~スマート農業機械実演会を開催~

芦北管内は中山間地域が大半を占めており、急傾斜な畦畔が多く存在します。そのため、農業者にとって畦畔管理作業は大きな負担となっており、同作業の負担軽減に取り組むことが課題となっています。
そこで当課では、スマート農業機械導入による同作業の省力化を図るため、リモコン草刈機等の実演会を開催し、農業者や関係機関等合わせて約30名が参加しました。
実演会の開催にあたっては、管内地域営農組織代表者や機械メーカー等と協議し、急傾斜に対応可能な「親子式草刈機※」、汎用性が高い「リモコン草刈機」の2台の実演を決定。複数機械を実演すること、また特に管理が困難な畦畔を会場に選定することで、参加者がスマート農業による省力効果を一目見て分かるよう工夫しました。
参加した地域の農業者からは、「急傾斜な畦畔の草刈りは本当に大変だが、親子式草刈機を使えばとても楽になると思った。地域での導入を検討したい」といった前向きな声が聞かれました。
当課では今後も、農業者の課題に寄り添った活動に力を入れながら、畦畔管理作業の省力化支援に取り組んでいきます。

※斜面の上で親機を操作し、ワイヤで繋がった子機で草刈りを行う傾斜地特化型草刈機。

2024年9月

座談会の様子
10年後の地図

地域計画の策定に向けて~津奈木町で座談会開催~

現在、全市町村が、将来の農地利用を明確化するため「地域計画」の策定に取り組んでいます。津奈木町においても、令和3年度に策定した人・農地プランを基にして、町内5地区での地域計画策定が進められており、本年4~6月にかけて農業者への意向調査が実施されました。
この結果を農家へ報告し、地域農業の将来像を話し合うため、7月16日~19日にかけて、対象5地区において座談会が開催され、当課も参加しました。
座談会では、農地利用と担い手の将来見通しの他にも、柑橘の収穫労力確保や防除ドローンの可能性、作業受託組合の人手不足、基盤整備の要望等、多様な意見があり、町担当者やJA・農業公社駐在員とも連携して助言対応しました。農家からは、今後も基盤整備等の相談に乗って欲しいとの声が聞かれました。
今回の農家側の意見も反映したうえで、今後、地域計画の原案が作成されますので、より実現性の高い地域計画の策定に向け、支援を続けていきます。

2024年9月

現地検討会の様子
現地検討会の様子

酒米現地検討会を開催!~前期編~

中山間地域である津奈木町倉谷(くらたに)・古中尾(ふるなかお)地区では、高単価作物として、酒米「山田錦」を栽培し、地元酒造会社の亀萬酒造へ販売されています。「山田錦」は、主食用品種や他の酒米品種に比べて栽培が難しく収量が低い品種であるため、生産・栽培するうえで気をつけるべきポイントが多く存在します。その中でも特に重要な管理ポイントは、「中干(なかぼ)し※1のタイミング」となります。
そこで、7月19日に現地検討会を開催し、新規作付者3戸を加えた計6戸のほ場において、中干しのタイミングや生育状況の確認などを行いました。当課からは、ほ場ごとに茎数(けいすう)※2を数え、中干しのタイミングを指導しました。各生産者からは、栽培内容や工夫点を説明いただきました。栽培経験者から新規作付者への助言を行う場面も見受けられ、活発な意見交換・情報共有がされました。
今後も、新規作付者を中心に伴走支援を続けていくとともに、収穫前には「現地検討会~後期編~」を開催する予定です。各市町の主食用米生産者などへも案内を行ない、新規作付者の確保につなげていきます。引き続き関係機関と連携し、酒米の安定生産及び作付面積の拡大に向け、支援していきます。

※1 中干し:水田の水を落とし、田面を乾かすこと。1週間程度行うことで、穂の形成を促す。
※2 茎数:水稲1株あたりの茎の数。通常、1つの成熟した茎から1つの穂ができる。山田錦は倒伏しやすいため、1株あたり18~20本の茎数を確保した頃が中干しの目安。

2024年9月

活発な意見交換を行う様子
加工品を試食する参加者ら

販路拡大を目指して4HCが管内研修を開催!~「みずたまご」開発の秘話をヒントに~

芦北地方青年農業者クラブ連絡協議会(以下4HC)では、4HC員の直販強化や販路拡大に向けて活動に取り組んでいます。その一環として、各報道機関で取り上げられ、食と農の分野において多方面に活動されている水俣市在住の永井香織氏※1を招き、8月6日に管内研修を開催しました。
研修には、4HCの他、関係機関も合わせ約25名が参加。永井氏より直販の取り組みや、「みずたまご※2」の開発秘話について説明を受けた後、永井氏が開発した商品について、試食を行いながら意見を交わしました。
4HC員からは、「販路拡大や商品開発の構想を形にする力がすごいと感じた。自身の直販等の取り組みに活かしていきたい」と話していました。
今後も当課では、将来地域農業の担い手の核となる4HC員の想いを後押しできるよう、活動支援に取り組んでいきます。

※1永井香織氏…エシカルプロダクツ株式会社代表取締役として食品の企画販売や製造販売を行う。県内女性農業者グループ「AguRokka(アグロッカ)」を立ち上げるなど、食と農分野において多方面に活動中。
※2みずたまご…液体の周りをゼリー状の被膜で覆う調理技法を誰でも簡単に使えるよう応用・進化させたもの。料理・スイーツなどジャンルを選ばず、味のアクセントや飾りつけ等に活用可能。NIPPONの宝物グランプリ2019では全国大会でグランプリ、世界大会で準グランプリを受賞。

2024年9月

穂肥の有無について検討する様子
専技の説明を熱心に聞く出席者ら

「県南くまさんの輝き」特A獲得に向けて~現地検討会を開催~

当課では、「くまさんの輝き」が悲願である最高評価の「特A※1」を獲得するため、生産者3名を重点指導対象に位置付け、伴走型支援に取り組んできました。今年度からは、生産者をはじめ、関係者の“意識改革を図ること(気づき)”を重視して活動支援に取り組んでいます。5月に実施した「勉強会・食味会」に続き、8月2日には「現地検討会」を開催しました。
今年の検討会では、参加者全員で各ほ場を巡回する手法を取り入れ、互いの栽培状況を確認してもらうことで意識の向上を図られるよう工夫しました。また、農業革新支援センター専門技術員を講師に招き、より濃密な指導・助言のもと、穂肥※2の散布量や時期を確認する等、技術向上も図りました。
生産者らは、積極的に質問したり、生産者同士で意見を交わしたりして、熱心に検討会に参加されていました。また、関係機関の担当者は「穂肥散布について理解を深められた」と手ごたえを感じていました。
当課では、今後も、新たなチャレンジを恐れず、「くまさんの輝き」の特A獲得に向け、地域と生産者に密着した伴走型指導に取り組んでいきます。

※1:(一財)日本穀物検定協会が主催する米の食味ランキング
※2 穂肥(ほごえ)とは種の籾を充実させることを目的に出穂前に散布する肥料のこと。散布量、散布時期は、葉色や基肥の量等をもとに判断する。

2024年9月

ホオズキ出荷最盛期・PR展示

芦北地域の観賞用ホオズキは、本年度、10戸、約1haで栽培されています。本作は、2月から5月にかけて雨が多く、土壌病害の発生等が心配されましたが、7~8月の出荷最盛期を迎え、例年通り出荷が進んでいます。
当課では、現地検討会の開催や個別巡回等を通して、病害虫防除や栽培管理等について技術指導を行うとともに、花き部会の活動を支援しています。
芦北地域では実付きや色付きが良いホオズキが生産される一方で、認知度向上が課題となっていました。そこで、本年度新たに、夏休みスタート時期に合わせて、肥薩おれんじ鉄道の5駅とJAあしきたファーマーズマーケットでこぽんにご協力いただき、㏚展示を行いました。駅の方から「駅が華やかになってとても良い」、「目立つのでお客さんが皆さん見て行かれる」といった感想とともに、飾り方や日持ちについて質問がありました。また、生産者からは、「多くの人に見てもらう機会ができて嬉しい」との声が聞かれました。
芦北地域の花き生産者の栽培技術と生産意欲が向上するよう、今後も継続して支援を行っていきます。

2024年9月

堺参事による「果樹栽培の基礎」講義
川端技師による「カンキツ栽培管理」講義

新規就農希望者へ果樹栽培の座学講座を開催

芦北地域では、市町、農協、当課等で「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム」を設置し、新規就農者の育成・確保に取り組んでいます。その一環として、普及指導員等が講師になり、新規就農希望者(以下、研修生)に年間8回(5~12月に各月1回)の座学講座を開催しています。
8月は果樹担当の普及指導員が講師となり、「果樹栽培の基礎」と「8~9月のカンキツ栽培管理」について講義を行いました。
講義には研修生6名の参加があり、果樹の生理や他作物との違い、夏季のカンキツ栽培管理等について説明を行いました。6名の研修生は経歴や習熟度がそれぞれ異なるため、個別の状況に対応できるよう対話型で講義を行いました。
講座後のアンケートでは「研修園地での今後の作業と講義内容がリンクしていて参考になった」や「基礎知識の復習ができた」といった感想が得られました。これも講座前に研修生から希望する講義内容を聞きとってカリキュラム組んだことが、高い満足に繋がったと思います。今後も研修生が円滑に就農できるよう関係機関と連携して支援を継続していきます。

2024年9月

露地不知火の園地にて
屋根掛け不知火の優良園地を見学

新規就農者組織“せしかう会“で園地巡回と技術交換~技術力向上は「自身の気づき」から~

「せしかう会」(会員16名)は、芦北地域で新規就農した農業者とこれから就農する研修生で結成した組織です。
毎年7月に会員の果樹園地等を巡回し、栽培のポイントなど意見交換を行いながら、栽培管理技術の向上を図っています。その際には、農業普及・振興課やJAの果樹担当がアドバイスを行うとともに、栽培上のポイントやヒントを投げ掛けることで、彼らの「気づき」を誘導しています。
2年連続で着花(果)が少ない園地では、園主はその理由について判然としていませんでしたが、話を伺うと収穫や剪定作業が遅れており、作業の遅れがどのように生産に影響するのか、理由に気づいてもらいました。参加者からは「時期毎の栽培管理に追われていたが、終了時期の大切さがわかった」「着果が少ない理由が理解できた」との意見が出ました。
今後も各々の技術力のアップを図られるように農業普及・振興課として支援を行っていきます。

2024年8月

室内研修会における説明の様子
現地における電気柵の説明の様子

「地域と畑は自分たちで守る」!鳥獣対策研修会を開催

芦北地域では、獣類による農林業への被害が急増しており、被害軽減対策の取組みが喫緊の課題となっています。
そこで昨年6月に、地域の関係7団体で構成する連絡協議会(以下、協議会)を立ち上げ、一丸となって被害軽減対策に取り組んでいます。また当課ではこれらの対策を重点普及計画に位置付け、強力に推進しています。
本年度の現場活動のキックオフとなる地域全体の研修会を、7月2日に水俣市において開催し約70名の参加がありました。
外部講師として招聘した(株)イノPの稲葉氏からは鳥獣害対策の基本的な考え方を、電気柵メーカーの末松電子製作所の西氏から電気柵の正しい設置と維持管理について、講義と現地指導をいただきました。
参加者は熱心に聞き入り、アンケート結果では参加者ほぼ全員が「役に立つ内容だった」と回答するなど、意義深い研修会となりました。
今後は、研修会で学んだ「気づき」を「実践」に変えられるよう、また多くの方に「地域ぐるみで取り組むことの重要性」を理解いただけるよう、協議会による取組みを進めていきます。

2024年8月

休耕田を活用する果樹園整備候補地
関係機関連携会議の様子

果樹の基盤整備実現へ ~現地検討会を開催~

水俣・芦北地域の基幹作物である柑橘類において、樹園地の基盤整備は重要な課題の一つです。そこで、当課では昨年度から推進体制を整備し、ほぼ毎月の関係機関連携会議の開催を通じて、推進方針の策定や整備候補地の選定を行う等、樹園地の基盤整備の推進を図っているところです。
令和6年度の整備候補地が出そろったことから、6月25日に、市町・農業委員会・JAあしきた及び農業公社の担当者を参集し、現地検討会を開催しました。
現地検討会では、各整備候補地の現状と、その整備方法を検討した後に、休耕田の嵩上げに活用する土砂(令和2年7月豪雨による土砂崩れ災害の復旧工事で発生した土砂)の保管現場も確認しました。その後の連携会議では、各候補地の準備状況と今後の推進スケジュールを確認し、工種や事業費の詰めを急ぐことを共有しました。農家からも基盤整備の実現へ期待が高まっていることから、当課としましても、関係機関と連携しつつ本年度中の整備園地の完成を目指します。

2024年8月

柿「太秋」の高品質化に向けて地区別講習会を開催

芦北地域における柿「太秋」は昨年度、果実階級の小玉傾向が問題でした。本年度の着果程度は平年並みですが奇形果や傷果が見られ、梅雨入りが遅かったこともあり小玉果が多い傾向です。
そこで、中玉果実の比率向上を目的として、6月17、19日にJAあしきたと連携し、地区別に計5回、管理講習会を行いました。
講習会では、仕上げ摘果の方法や施肥、防除などについて実演を交えながら指導を行いました。各回2~8名ずつの少人数で会話を交えながら指導を進めることができ、特に袋掛けや防除の方法については、生産者から積極的に質問がありました。当課からは適期摘果の重要性について、昨年度芦北地域で調査した展示ほのデータを用いて説明しました。生産者にはうなずきながら真剣に聞く姿が見受けられ、摘果がもたらす果実生産への影響について理解が深まった様子でした。
今後も個別の園地巡回等により、太秋栽培における課題解決と安定生産に向けた支援に取り組んでいきます。

2024年8月

普及で国・県での就農支援の説明
水俣市、芦北町、津奈木町各担当で支援制度説明

新規就農者等へプロジェクトチームで支援制度を説明

芦北地域では、市町、JA、普及で「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム」を平成30年から設置し、新規就農者の確保に取り組んでいます。
活動の一つに「新規就農者育成研修」を年間8回(毎月第2水曜日)、就農を希望する研修生や新規就農者を対象に農業普及・振興課職員等が講師になって開催しています。
この度、受講生から「就農する際には様々な手続きを短期間で同時に進行していく必要があり、何から、どのように進めていくべきか教えてほしい」という要望があり、今年度初めて「就農支援制度について」を1コマ設け、管内市町も参加して行いました。
研修は、新規就農支援制度の説明から始まり、就農相談の場所とタイミング、認定新規就農者に認定されるまでのスケジュールや準備内容、農業経営の試算、農地の賃貸借契約の準備等、全体のスケジュールを示しながら説明を行いました。特に、各市町独自の支援や自身の準備について数多くの質問がありました。
受講後のアンケートでは「研修生にとっても、就農者にとっても非常に貴重な講座だった」など好意的な結果であり、新規就農者等の不安を一つでも払拭できるよう今後も継続していきたいと考えています。

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