芦北エリア

芦北地域は水俣市、芦北郡を所管しています。熊本県の南部に位置し、八代海の海岸線に沿って起伏に富んだ地形が形成され、平坦地が少ない中山間地域です。温暖な気候を活かして、田 (マルタ)ブランドの甘夏や不知火類(デコポン)、早生たまねぎ (サラたまちゃん)など、全国的に認知されている地域ブランド作物が生産されています。
特に、農業産出額の約5割を占める果樹は地域の基幹作物であり、なかでも不知火類(デコポン)は、12月の加温栽培から鮮度保持資材を活用した6月までの長期安定出荷が行われており、県内有数の産地です。また、肉用牛では「あしきた牛」ブランドとして、高品質な牛肉の生産が行われており、各種共励会で上位入賞するなど、県内外から高い評価を受けています。

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県南広域本部 芦北地域振興局 農業普及・振興課

〒869-5461 葦北郡芦北町芦北2670

電話:0966-82-5194

FAX :0966-82-2373

芦北エリア普及現地情報

2025年1月

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家畜防疫に係るバス・ルート等選定チェックリストの作成

高病原性鳥インフルエンザ等の家畜伝染病発生時に円滑な防疫作業を実施するためには、日ごろからの事前準備・対策が重要となります。
事前準備の一つとして、応援者用バス及び資機材運搬車(トラック)の大きさや、支援センターと現場事務所(発生農場)間のルートを事前に選定する必要があります。
そこで、当課では「応援者用バス及びルート等選定に係るチェックリスト」を作成しました。このチェックリストにより、①支援センター周辺、②支援センターと現場事務所(発生農場)間、③現場事務所(発生農場)周辺における、運行可能なバス・トラックの大きさ、乗降場所、通行ルート、ルート上の障害物の有無、必要誘導員数等について、正確かつ均質的に情報を整理することができます。
なお、11/7に開催した水俣・芦北地域悪性家畜伝染病防疫演習において、このチェックリストを用いた現地確認事例について報告し、関係機関と共有を図ったところです。
当課では、有事の際に迅速かつ的確な対応ができるよう、引き続き準備を進めていきます。

2025年1月

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現地検討会の様子
ドローン防除の様子

芦北たまねぎ「サラたまちゃん」の栽培支援 ~経営収支試算表の作成、ドローン防除実証~

近年、生産者の高齢化が進む中、JAあしきたのたまねぎ「サラたまちゃん」の生産量が減少しています。そこで、JAとともに部会の課題を整理し、栽培を継続できるよう、収益性の可視化や生産管理の省力化に取り組んでいます。
「サラたまちゃん」は、荷姿が多く、出荷形態別の経費計算がやや複雑で、出荷時期が長いことなどから、収支を把握しにくい状況がありました。そのため、エクセルで「芦北サラたまちゃん経営収支試算表」を作成し、出荷形態や出荷時期、使用する資材、雇用労賃を選択することで、簡単かつ瞬時に10a当たりの収益性を把握できるようにしました。今後、本システムを部会員の経営分析に活用していく予定です。
また、繁忙期の省力化・軽労化と昨年度問題となった小菌核病対策を目的に、植付後のドローン防除の実証試験を行いました。12月2日に、水俣市袋地区で現地検討会を開催し、計77aに殺菌剤を15分程度で散布しました。生産者からは「あっという間に防除が済むが、こんなに少ない散布量で、本当に効果が出るのか?」との声もありました。今後、防除効果を確認しながら、管内法人へのドローン防除委託に向けて部会の意見をまとめていく計画です。
当課では、今後も「サラたまちゃん」の生産振興に取り組んでまいります。

2025年1月

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現地でリリーフ園をJAが説明
新規就農者が園地で就農経緯説明 (右から2番目)

新たな未来の担い手募集中「新規就農研修バスツアー」開催

芦北地域では関係機関で「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム(以下PT)」を構成し、減少する地域の担い手確保に向けた取組を積極的に行っています。例年就農を希望する方々を対象にバスツアーを計画しており、本年は県外を含む6名が参加して11月30日に開催しました。このツアーでは、現地での栽培状況をはじめ、認定研修機関(JAあしきた)での研修紹介や就農に必要な情報提供を行い、地域の魅力や果樹農業の実際を知ってもらうことを目的としています。
JAのカンキツ選果場では「デコポン」の生産選果状況や販路について紹介し、収穫されたばかりの果実が丁寧な工程を経て箱詰めされ、出荷される状況を見ていただきました。
次に高齢等を理由に栽培が困難になった園地を一時預かりした「リリーフ園」を訪れ、リリーフ園制度を説明しました。果樹経営で新規就農しても1年目から所得が得られることへの関心は非常に高く、就農を検討されている参加者にとって、就農イメージが具体的になっているようでした。また、PTによる新規就農支援を受けた園主から就農のきっかけや果樹栽培のメリット・デメリット等を話され、その後の意見交換では、就農への想いや就労状況、収入に至るまで多くの質問が出されました。
ツアー終了直後には、参加された2組4名から就農に向けた次のステップである「短期研修(作業体験)」等への申し込みがあり、着実にPTの活動成果が現れています。今後も関係機関と連携しながら、円滑かつ就農希望者に寄り沿ってサポートを行っていく予定です。

2025年1月

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青年農業者会議の様子
各クラブ員に配布した発表審査のまとめ

伴走型支援で発表者増加!芦北地方青年農業者会議を開催 ~経営課題の改善につながる支援を実施~

芦北地方青年農業者クラブ連絡協議会では、ここ数年でクラブ員数が増加し、現在12名となり活気が増しています。一方で、青年農業者会議(以下、会議)で発表するクラブ員の割合は100%ではなく、クラブ員全員が経営課題に向き合う機会を作ることが課題となっていました。
 そこで当課ではまず、クラブ員に対し「取組のゴールは経営課題解決」ということを改めて強調。経営を見つめ直す機会を作るため、4月に各クラブ員に課題と取組内容を整理してもらい、5月に中間検討会を実施。その後、各クラブ員に担当普及員を配置し、伴走型の活動支援を行ってきました。
 その結果、全クラブ員が自身の経営課題、取り組みを整理し、11月12日に実施した会議では、計10名(昨年比1名増)が発表に取り組みました。
また会議後には、審査員からの点数やコメントをまとめ、発表者それぞれにフィードバック(左下写真)しました。発表をゴールとせず、今後の経営課題解決に向けた活動につながる支援ができたと感じています。
当課では引き続き、県会議に向けた支援を行うとともに、将来地域農業の担い手の核となるクラブ員の成長を後押しできるよう取り組んでいきます。

2024年12月

芝生で変わる畦畔管理の未来?! ~県内初の取組で現地検討会を開催~

芦北管内は中山間地域が大半を占めており、急傾斜な畦畔が多く存在します。そのため、農業者にとって畦畔管理は多大な時間と労力を要しており、同管理の負担軽減が課題となっています。
そこで当課では、同作業の省力化を図るため、畦畔芝草化※1の現地検討会を開催し、農業者や他地域の関係機関等も合わせて約20名が参加しました。
芝を生やすにあたっては、現在生えている雑草を完全に除去した上で直播し、その後畦畔を踏み固める等、複数の準備作業が必要となります。そこで、現地検討会では、一連の作業を参加者と共同で作業しながら説明することで、理解を深めてもらえるような工夫を取り入れました。
また、県内初の試みとして、より効率的かつ芝生の定着率を上げるため、マット苗※2による芝草化にも取り組んでいます。参加した農業者からは、具体的な作業やコストに関する質問がある等、関心の高まりが感じられ、「試験がうまくいけば取り入れたい」「こうすればもっとうまくいくのではないか」「マット苗が導入しやすい」といった前向きな声も数多く聞かれました。
当課では引き続き関係機関と連携して管理指導を行い、畦畔管理作業の省力化支援に取り組んでいきます。

※1:ゴルフ場等で使われる芝生を畦畔に播種し、雑草の発生を抑制することを目的とする。本検討会では、「ナイトライフ」という耐暑性に優れた寒地型の芝生を使用。
※2:水稲の育苗と同様に、育苗箱に播種し、苗が順調に生育後、畦畔に苗を移植する。直播では、定着しない箇所の補植が必要となるため、本取組を試験的に採用。

2024年12月

新規就農支援のフロー図
活発な意見交換が行われた

新規就農者組織と担い手プロジェクトチームが意見交換会

10月22日「せしかう会」(芦北地域の新規就農者、就農準備研修生の任意組織)と「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム」(以下PT)との意見交換会が行われました。
3回目開催となるこの会は、新規就農に関する課題や就農者からの要望とPTによる就農支援の取組を情報共有し、現実に即した就農者への支援対策の方向性について活発に意見交換しました。
これまでのせしかう会からの要望に答える形で、本年度のPT活動として、新規就農支援のフロー図の作製や市町独自の就農支援制度の紹介、鳥獣害対策など座学講座の拡充、就農者や就農準備研修生の疑問に回答する「虎の巻」の作成等、就農支援の活動を行っています。
今回、せしかう会からはリリーフ園の引継ぎ方法の制度化や新規就農者の経営力向上など多くの意見が出され、この対応についてPTでは今後検討していくことになります。毎年出てくる意見や要望、課題に対して、各々の組織が解決出来ることを実施し、意見交換会で共有する関係は大切だと考えています。
今後も農業普及・振興課は、PTでの対応策を検討していく重要な調整役を果たしながら、新規就農と定着を図っていきます

2024年12月

合同発表練習会の様子
伴走型の活動支援を行う様子

経営課題の解決を目指して! プロジェクト活動発表に向けた合同練習発表会を開催

芦北地方青年農業者クラブ連絡協議会(以下4HC)では、クラブ員自らの経営課題改善を見つめ直し、課題解決方法の習得に取り組むため、プロジェクト活動に取り組んでいます。
活動にあたっては、4月に各クラブ員が現在の課題と取り組みをまとめ、5月に中間検討会を実施。その後、各クラブ員に当課普及員を割り当て、1人1人と密に連携を取るための伴走型の活動支援を行ってきました。
その一環として、11月に行われる芦北地方青年農業者会議(以下、地方会議)でより良い発表を行うため、10月16日に合同練習発表会を開催しました。練習会には、クラブ員と当課普及員の計15名が出席。各クラブ員の模擬発表に対し、担当普及員以外から幅広い視点でも質疑や助言が行われ、より良い発表へとつながる練習会となりました。
当地域では地方会議前の練習会は初めて行われ、参加クラブ員からは「想定していなかった視点からの様々な意見を聞くことができて参考になった」という前向きな意見が聞かれました。
当課では、将来、地域農業の担い手の核となるクラブ員の想いを後押しできるよう、今後も4HCへの活動支援に取り組んでいきます。

2024年12月

「4Hクラブ県南交流会」を開催! ~他地域の農業者との交流を深める~

芦北地方青年農業者クラブ連絡協議会(以下、4HC)では、クラブ員の資質向上と農業経営のさらなる発展に向けた活動に加え、クラブ員同士が盛んに交流を行うことで、クラブ員自ら経営等に対する“気づき”を得られる活動に取り組んでいます。
その一環として、10月11日に「4Hクラブ県南交流会」を開催し、八代、球磨、芦北の3地域の4Hクラブ員やご家族等が出席しました。交流会には合わせて約20名が参加。まず、モルックを通してクラブ員同士が打ち解けた後、BBQ・懇親会で親交を深めました。
クラブ員らは、各地域の4Hクラブの状況や自身の農業経営等について盛んに意見を交わしており、「プロジェクト活動の取り組み体制に困っていたが、他地域のこれまでの取り組みの経緯を知り、今が頑張り時だと思えた」という熱心な感想や、「普段の経営だけでは交流が限られるので、貴重な機会だった」といった意見が聞かれました。
当課では引き続き、クラブ員が「4HCに所属していて良かった」と感じられるよう、農業者にとってプラスとなる活動支援に取り組んでいきます。

2024年12月

現地検討会の様子
視察研修の様子

酒米の勉強day ―現地検討会(後期)・視察研修in球磨―

中山間地域である津奈木町倉谷(くらたに)・古中尾(ふるなかお)地区では、高単価作物として、酒米「山田錦」を栽培し、地元酒造会社の亀萬酒造へ販売されています。栽培が難しく収量が低い品種である「山田錦」の栽培に、各生産者は当課で作成した栽培マニュアルや新規作付者を中心とした伴走支援のもと、日々試行錯誤しながら取り組んでおられます。
収穫前のタイミングである9月18日には、現地検討会(後期編)を開催しました。ほ場を巡回し、各生産者から耕種概要や工夫点を話していただきました。生産者同士での意見交換や、関係機関からの次作に向けてのアドバイスなどにより、各自の栽培管理を見直す良い勉強の時間となりました。
午後からは、先進地である球磨地域(水上村、湯前町)へ視察研修に行きました。倒伏しない頑丈な稲体をつくり、管内の10aあたりの目標収量を120kgも優に超える480kgをとる秘訣(栽培技術や施肥設計)を教えていただき、生産者も驚くとともに、今後の酒米づくりに胸をふくらませていました。
10月からはいよいよ収穫となります。12月には「出荷反省会」を開催し、次作に向けて栽培方法や施肥設計等の検討を行う予定です。併せて、水俣市・芦北町の主食用米生産者などにも参加を呼びかけ、新規作付者の確保につながるよう、引き続き支援してまいります。

2024年12月

各地域の特APTの情報を共有する様子
球磨地域特APTほ場を視察する様子

「県南くまさんの輝き」特A獲得に向けて ~先進地視察研修を開催~

当課では「くまさんの輝き」が悲願である最高評価「特A※」を獲得するため、生産者3名を重点指導対象に位置付け、伴走型支援に取り組んでいます。今年度は、生産者をはじめ関係者の“意識改革を図ること(気づき)”を重視し、芦北地域特Aプロジェクトチーム(以下、特APT)一体となって活動支援に取り組んでいます。その一環として、9月17日に新たな取り組みとして「先進地視察研修」を企画し、球磨地域の特APTを訪問しました。
研修では、各地域の特APTの取組状況について意見交換を行った後、球磨地域特APT生産者のほ場を視察。生産者らは自身から熱心に栽培状況の説明や質問をしており、また、関係機関の担当者は「球磨地域の取組例を参考に芦北にも取り入れたい」と話す等、前向きな姿勢が随所に見られました。
研修を通じて、球磨地域の特A獲得に向けた取組を学ぶことで、「芦北地域特APTとして取り組めることはまだまだある」と前向きな共通認識を持ち、“気づき”を得たところです。
当課では、今後も、新たなチャレンジを恐れず、「くまさんの輝き」の特A獲得に向け、地域と生産者に密着した伴走型指導に取り組んでいきます。

※:(一財)日本穀物検定協会が毎年主催する米の食味ランキングにおける評価指標

2024年12月

振興局林務課職員による講義
猟友会事務局による捕獲機器の説明

初のコラボ企画!新規就農希望者らが有害鳥獣対策を学ぶ

当地域ではH30年から「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム」(市町、農協、普及で構成)により、新規就農者の確保・育成に取り組んでいます。その活動の一環で当課職員等が講師になり、年8回程度の座学講座を開催しています。新規就農希望者から「鳥獣被害が増えている」、「猟友会はどんな活動してるの?」との相談をきっかけに、講師が初めてコラボし「有害鳥獣対策」をテーマにした講座を9月20日に開催しました。
振興局林務課から「野生鳥獣の捕獲について」、猟友会事務局から「猟友会の活動について」、当課から「農地を守る対策について」、講義と説明を行いました。一つのテーマに対する各機関の役割や取組みの説明に、受講者は真剣に聞き入っていました。
アンケートでは「現場の実態を知れた、猟友会への理解が深まった」、「捕獲は人任せでなく農業者の積極的な関わりが必要」などの意見が寄せられ、充実した講座となったことがうかがわれました。
今後も受講者ニーズと地域課題を的確に捉えた企画により、就農後に役立つ情報の提供を行い、未来の農業担い手の育成に取り組んでいきます。

2024年12月

不動岩果樹園立山代表による説明
果樹研究所の園地視察

販路拡大を目指して芦北4HCが管外視察研修を開催

芦北地方青年農業者クラブ連絡協議会(以下4HC)では、クラブ員の資質向上と農業経営のさらなる発展に向けた活動に取り組んでいます。
その一環として、9月9日に管外研修を開催し、不動岩果樹園(山鹿市)と果樹研究所の視察を行いました。
本研修にはクラブ員4名の参加があり、不動岩果樹園では、始めに松本代表に園地を案内していただき、今年度の状況や高温・保水対策等について説明していただきました。その後、立山代表からこれまでの取組みや、おいしいものを作れば稼げるという熱い思いをお話いただきました。果樹研究所では、「熊本EC12」の栽培管理方法について、研究成果情報を用いて説明を受けた後、ほ場で枝管理などの具体的な説明を受けました。
クラブ員からは、経営や栽培について積極的に質問があり、「貴重な経験になった」や「質問に対して真摯に対応いただき、経営資金等も幅広く説明いただいた」といった感想が得られました。当課では、将来、地域農業の担い手の核となるクラブ員の想いを後押しできるよう、今後も4HCへの活動支援に取り組んでいきます。

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