芦北エリア

芦北地域は水俣市、芦北郡を所管しています。熊本県の南部に位置し、八代海の海岸線に沿って起伏に富んだ地形が形成され、平坦地が少ない中山間地域です。温暖な気候を活かして、田 (マルタ)ブランドの甘夏や不知火類(デコポン)、早生たまねぎ (サラたまちゃん)など、全国的に認知されている地域ブランド作物が生産されています。
特に、農業産出額の約5割を占める果樹は地域の基幹作物であり、なかでも不知火類(デコポン)は、12月の加温栽培から鮮度保持資材を活用した6月までの長期安定出荷が行われており、県内有数の産地です。また、肉用牛では「あしきた牛」ブランドとして、高品質な牛肉の生産が行われており、各種共励会で上位入賞するなど、県内外から高い評価を受けています。

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県南広域本部 芦北地域振興局 農業普及・振興課

〒869-5461 葦北郡芦北町芦北2670

電話:0966-82-5194

FAX :0966-82-2373

芦北エリア普及現地情報

2024年12月

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芝生で変わる畦畔管理の未来?! ~県内初の取組で現地検討会を開催~

芦北管内は中山間地域が大半を占めており、急傾斜な畦畔が多く存在します。そのため、農業者にとって畦畔管理は多大な時間と労力を要しており、同管理の負担軽減が課題となっています。
そこで当課では、同作業の省力化を図るため、畦畔芝草化※1の現地検討会を開催し、農業者や他地域の関係機関等も合わせて約20名が参加しました。
芝を生やすにあたっては、現在生えている雑草を完全に除去した上で直播し、その後畦畔を踏み固める等、複数の準備作業が必要となります。そこで、現地検討会では、一連の作業を参加者と共同で作業しながら説明することで、理解を深めてもらえるような工夫を取り入れました。
また、県内初の試みとして、より効率的かつ芝生の定着率を上げるため、マット苗※2による芝草化にも取り組んでいます。参加した農業者からは、具体的な作業やコストに関する質問がある等、関心の高まりが感じられ、「試験がうまくいけば取り入れたい」「こうすればもっとうまくいくのではないか」「マット苗が導入しやすい」といった前向きな声も数多く聞かれました。
当課では引き続き関係機関と連携して管理指導を行い、畦畔管理作業の省力化支援に取り組んでいきます。

※1:ゴルフ場等で使われる芝生を畦畔に播種し、雑草の発生を抑制することを目的とする。本検討会では、「ナイトライフ」という耐暑性に優れた寒地型の芝生を使用。
※2:水稲の育苗と同様に、育苗箱に播種し、苗が順調に生育後、畦畔に苗を移植する。直播では、定着しない箇所の補植が必要となるため、本取組を試験的に採用。

2024年12月

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新規就農支援のフロー図
活発な意見交換が行われた

新規就農者組織と担い手プロジェクトチームが意見交換会

10月22日「せしかう会」(芦北地域の新規就農者、就農準備研修生の任意組織)と「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム」(以下PT)との意見交換会が行われました。
3回目開催となるこの会は、新規就農に関する課題や就農者からの要望とPTによる就農支援の取組を情報共有し、現実に即した就農者への支援対策の方向性について活発に意見交換しました。
これまでのせしかう会からの要望に答える形で、本年度のPT活動として、新規就農支援のフロー図の作製や市町独自の就農支援制度の紹介、鳥獣害対策など座学講座の拡充、就農者や就農準備研修生の疑問に回答する「虎の巻」の作成等、就農支援の活動を行っています。
今回、せしかう会からはリリーフ園の引継ぎ方法の制度化や新規就農者の経営力向上など多くの意見が出され、この対応についてPTでは今後検討していくことになります。毎年出てくる意見や要望、課題に対して、各々の組織が解決出来ることを実施し、意見交換会で共有する関係は大切だと考えています。
今後も農業普及・振興課は、PTでの対応策を検討していく重要な調整役を果たしながら、新規就農と定着を図っていきます

2024年12月

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合同発表練習会の様子
伴走型の活動支援を行う様子

経営課題の解決を目指して! プロジェクト活動発表に向けた合同練習発表会を開催

芦北地方青年農業者クラブ連絡協議会(以下4HC)では、クラブ員自らの経営課題改善を見つめ直し、課題解決方法の習得に取り組むため、プロジェクト活動に取り組んでいます。
活動にあたっては、4月に各クラブ員が現在の課題と取り組みをまとめ、5月に中間検討会を実施。その後、各クラブ員に当課普及員を割り当て、1人1人と密に連携を取るための伴走型の活動支援を行ってきました。
その一環として、11月に行われる芦北地方青年農業者会議(以下、地方会議)でより良い発表を行うため、10月16日に合同練習発表会を開催しました。練習会には、クラブ員と当課普及員の計15名が出席。各クラブ員の模擬発表に対し、担当普及員以外から幅広い視点でも質疑や助言が行われ、より良い発表へとつながる練習会となりました。
当地域では地方会議前の練習会は初めて行われ、参加クラブ員からは「想定していなかった視点からの様々な意見を聞くことができて参考になった」という前向きな意見が聞かれました。
当課では、将来、地域農業の担い手の核となるクラブ員の想いを後押しできるよう、今後も4HCへの活動支援に取り組んでいきます。

2024年12月

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「4Hクラブ県南交流会」を開催! ~他地域の農業者との交流を深める~

芦北地方青年農業者クラブ連絡協議会(以下、4HC)では、クラブ員の資質向上と農業経営のさらなる発展に向けた活動に加え、クラブ員同士が盛んに交流を行うことで、クラブ員自ら経営等に対する“気づき”を得られる活動に取り組んでいます。
その一環として、10月11日に「4Hクラブ県南交流会」を開催し、八代、球磨、芦北の3地域の4Hクラブ員やご家族等が出席しました。交流会には合わせて約20名が参加。まず、モルックを通してクラブ員同士が打ち解けた後、BBQ・懇親会で親交を深めました。
クラブ員らは、各地域の4Hクラブの状況や自身の農業経営等について盛んに意見を交わしており、「プロジェクト活動の取り組み体制に困っていたが、他地域のこれまでの取り組みの経緯を知り、今が頑張り時だと思えた」という熱心な感想や、「普段の経営だけでは交流が限られるので、貴重な機会だった」といった意見が聞かれました。
当課では引き続き、クラブ員が「4HCに所属していて良かった」と感じられるよう、農業者にとってプラスとなる活動支援に取り組んでいきます。

2024年12月

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現地検討会の様子
視察研修の様子

酒米の勉強day ―現地検討会(後期)・視察研修in球磨―

中山間地域である津奈木町倉谷(くらたに)・古中尾(ふるなかお)地区では、高単価作物として、酒米「山田錦」を栽培し、地元酒造会社の亀萬酒造へ販売されています。栽培が難しく収量が低い品種である「山田錦」の栽培に、各生産者は当課で作成した栽培マニュアルや新規作付者を中心とした伴走支援のもと、日々試行錯誤しながら取り組んでおられます。
収穫前のタイミングである9月18日には、現地検討会(後期編)を開催しました。ほ場を巡回し、各生産者から耕種概要や工夫点を話していただきました。生産者同士での意見交換や、関係機関からの次作に向けてのアドバイスなどにより、各自の栽培管理を見直す良い勉強の時間となりました。
午後からは、先進地である球磨地域(水上村、湯前町)へ視察研修に行きました。倒伏しない頑丈な稲体をつくり、管内の10aあたりの目標収量を120kgも優に超える480kgをとる秘訣(栽培技術や施肥設計)を教えていただき、生産者も驚くとともに、今後の酒米づくりに胸をふくらませていました。
10月からはいよいよ収穫となります。12月には「出荷反省会」を開催し、次作に向けて栽培方法や施肥設計等の検討を行う予定です。併せて、水俣市・芦北町の主食用米生産者などにも参加を呼びかけ、新規作付者の確保につながるよう、引き続き支援してまいります。

2024年12月

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各地域の特APTの情報を共有する様子
球磨地域特APTほ場を視察する様子

「県南くまさんの輝き」特A獲得に向けて ~先進地視察研修を開催~

当課では「くまさんの輝き」が悲願である最高評価「特A※」を獲得するため、生産者3名を重点指導対象に位置付け、伴走型支援に取り組んでいます。今年度は、生産者をはじめ関係者の“意識改革を図ること(気づき)”を重視し、芦北地域特Aプロジェクトチーム(以下、特APT)一体となって活動支援に取り組んでいます。その一環として、9月17日に新たな取り組みとして「先進地視察研修」を企画し、球磨地域の特APTを訪問しました。
研修では、各地域の特APTの取組状況について意見交換を行った後、球磨地域特APT生産者のほ場を視察。生産者らは自身から熱心に栽培状況の説明や質問をしており、また、関係機関の担当者は「球磨地域の取組例を参考に芦北にも取り入れたい」と話す等、前向きな姿勢が随所に見られました。
研修を通じて、球磨地域の特A獲得に向けた取組を学ぶことで、「芦北地域特APTとして取り組めることはまだまだある」と前向きな共通認識を持ち、“気づき”を得たところです。
当課では、今後も、新たなチャレンジを恐れず、「くまさんの輝き」の特A獲得に向け、地域と生産者に密着した伴走型指導に取り組んでいきます。

※:(一財)日本穀物検定協会が毎年主催する米の食味ランキングにおける評価指標

2024年12月

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振興局林務課職員による講義
猟友会事務局による捕獲機器の説明

初のコラボ企画!新規就農希望者らが有害鳥獣対策を学ぶ

当地域ではH30年から「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム」(市町、農協、普及で構成)により、新規就農者の確保・育成に取り組んでいます。その活動の一環で当課職員等が講師になり、年8回程度の座学講座を開催しています。新規就農希望者から「鳥獣被害が増えている」、「猟友会はどんな活動してるの?」との相談をきっかけに、講師が初めてコラボし「有害鳥獣対策」をテーマにした講座を9月20日に開催しました。
振興局林務課から「野生鳥獣の捕獲について」、猟友会事務局から「猟友会の活動について」、当課から「農地を守る対策について」、講義と説明を行いました。一つのテーマに対する各機関の役割や取組みの説明に、受講者は真剣に聞き入っていました。
アンケートでは「現場の実態を知れた、猟友会への理解が深まった」、「捕獲は人任せでなく農業者の積極的な関わりが必要」などの意見が寄せられ、充実した講座となったことがうかがわれました。
今後も受講者ニーズと地域課題を的確に捉えた企画により、就農後に役立つ情報の提供を行い、未来の農業担い手の育成に取り組んでいきます。

2024年12月

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不動岩果樹園立山代表による説明
果樹研究所の園地視察

販路拡大を目指して芦北4HCが管外視察研修を開催

芦北地方青年農業者クラブ連絡協議会(以下4HC)では、クラブ員の資質向上と農業経営のさらなる発展に向けた活動に取り組んでいます。
その一環として、9月9日に管外研修を開催し、不動岩果樹園(山鹿市)と果樹研究所の視察を行いました。
本研修にはクラブ員4名の参加があり、不動岩果樹園では、始めに松本代表に園地を案内していただき、今年度の状況や高温・保水対策等について説明していただきました。その後、立山代表からこれまでの取組みや、おいしいものを作れば稼げるという熱い思いをお話いただきました。果樹研究所では、「熊本EC12」の栽培管理方法について、研究成果情報を用いて説明を受けた後、ほ場で枝管理などの具体的な説明を受けました。
クラブ員からは、経営や栽培について積極的に質問があり、「貴重な経験になった」や「質問に対して真摯に対応いただき、経営資金等も幅広く説明いただいた」といった感想が得られました。当課では、将来、地域農業の担い手の核となるクラブ員の想いを後押しできるよう、今後も4HCへの活動支援に取り組んでいきます。

2024年12月

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梶原氏の製茶工場
津奈木町 献穀田前にて

地域の代表事例を共に学ぼう~農業コンクール受賞者と新規就農者~

芦北地域の県農業コンクール受賞者の会(農業経営改善同友会)が、新規就農者等で構成する、せしかう会にも呼びかけて、9月18日に地域内研修会を開催しました。
この合同研修会は、昨年に続き2年目で、地域内の優れた事例の現地見学を行っています。今回は英国の世界的な茶のコンテストで最優秀の評価を受けた芦北町告の「お茶のカジハラ」と津奈木町の献穀田にて学びました。
マイクロバスに満員の参加者で、山道を登った先の茶工場に到着。経営主である梶原敏弘さんから、その日の気温や湿度に合わせた繊細な製造工程の説明を受けつつ、茶の生産ラインを見た後、昭和の代から続く木造の茶工場にて、紅茶生産の現場を見学しました。質疑応答の後、海外で確かな評価を受けた紅茶を梶原さんご夫婦からいただき、一同は初めて味わう澄み切った風味に感服しきりでした。
津奈木町で初めての献穀事業に取り組む林さんからは、獣害から守り育ててきた 収穫を迎える稲穂とハウス内の粟の穂を前に、栽培にかける想いを話していただきました。出席者からは「紅茶の設備は意外にシンプルで、自分の感覚が頼りとのことに驚いた」「献穀事業に取り組む地域の結束が素晴らしい」など、日頃触れることのない取り組みに驚いていました。
人との出会いがもたらす相乗効果を期待しつつ、当課ではこうした組織活動を支援していきます。

2024年10月

スマート農業機械実演の様子
実演機械に興味を示す参加者らの様子

畦畔管理作業の省力化を目指して~スマート農業機械実演会を開催~

芦北管内は中山間地域が大半を占めており、急傾斜な畦畔が多く存在します。そのため、農業者にとって畦畔管理作業は大きな負担となっており、同作業の負担軽減に取り組むことが課題となっています。
そこで当課では、スマート農業機械導入による同作業の省力化を図るため、リモコン草刈機等の実演会を開催し、農業者や関係機関等合わせて約30名が参加しました。
実演会の開催にあたっては、管内地域営農組織代表者や機械メーカー等と協議し、急傾斜に対応可能な「親子式草刈機※」、汎用性が高い「リモコン草刈機」の2台の実演を決定。複数機械を実演すること、また特に管理が困難な畦畔を会場に選定することで、参加者がスマート農業による省力効果を一目見て分かるよう工夫しました。
参加した地域の農業者からは、「急傾斜な畦畔の草刈りは本当に大変だが、親子式草刈機を使えばとても楽になると思った。地域での導入を検討したい」といった前向きな声が聞かれました。
当課では今後も、農業者の課題に寄り添った活動に力を入れながら、畦畔管理作業の省力化支援に取り組んでいきます。

※斜面の上で親機を操作し、ワイヤで繋がった子機で草刈りを行う傾斜地特化型草刈機。

2024年9月

座談会の様子
10年後の地図

地域計画の策定に向けて~津奈木町で座談会開催~

現在、全市町村が、将来の農地利用を明確化するため「地域計画」の策定に取り組んでいます。津奈木町においても、令和3年度に策定した人・農地プランを基にして、町内5地区での地域計画策定が進められており、本年4~6月にかけて農業者への意向調査が実施されました。
この結果を農家へ報告し、地域農業の将来像を話し合うため、7月16日~19日にかけて、対象5地区において座談会が開催され、当課も参加しました。
座談会では、農地利用と担い手の将来見通しの他にも、柑橘の収穫労力確保や防除ドローンの可能性、作業受託組合の人手不足、基盤整備の要望等、多様な意見があり、町担当者やJA・農業公社駐在員とも連携して助言対応しました。農家からは、今後も基盤整備等の相談に乗って欲しいとの声が聞かれました。
今回の農家側の意見も反映したうえで、今後、地域計画の原案が作成されますので、より実現性の高い地域計画の策定に向け、支援を続けていきます。

2024年9月

現地検討会の様子
現地検討会の様子

酒米現地検討会を開催!~前期編~

中山間地域である津奈木町倉谷(くらたに)・古中尾(ふるなかお)地区では、高単価作物として、酒米「山田錦」を栽培し、地元酒造会社の亀萬酒造へ販売されています。「山田錦」は、主食用品種や他の酒米品種に比べて栽培が難しく収量が低い品種であるため、生産・栽培するうえで気をつけるべきポイントが多く存在します。その中でも特に重要な管理ポイントは、「中干(なかぼ)し※1のタイミング」となります。
そこで、7月19日に現地検討会を開催し、新規作付者3戸を加えた計6戸のほ場において、中干しのタイミングや生育状況の確認などを行いました。当課からは、ほ場ごとに茎数(けいすう)※2を数え、中干しのタイミングを指導しました。各生産者からは、栽培内容や工夫点を説明いただきました。栽培経験者から新規作付者への助言を行う場面も見受けられ、活発な意見交換・情報共有がされました。
今後も、新規作付者を中心に伴走支援を続けていくとともに、収穫前には「現地検討会~後期編~」を開催する予定です。各市町の主食用米生産者などへも案内を行ない、新規作付者の確保につなげていきます。引き続き関係機関と連携し、酒米の安定生産及び作付面積の拡大に向け、支援していきます。

※1 中干し:水田の水を落とし、田面を乾かすこと。1週間程度行うことで、穂の形成を促す。
※2 茎数:水稲1株あたりの茎の数。通常、1つの成熟した茎から1つの穂ができる。山田錦は倒伏しやすいため、1株あたり18~20本の茎数を確保した頃が中干しの目安。

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