2022年のエリア普及現地情報

2022年11月

視察研修の様子

酒米における先進地視察研修を実施

中山間地域である津奈木町倉谷・古中尾地区では、酒米を高単価作物と位置づけ、「山田錦」約1haを栽培し、地元酒造会社の亀萬酒造へ販売されています。一方、生産面では、「山田錦」は長稈で倒伏しやすい品種のため、収量品質への影響や収穫時の労力が問題となっていました。
これまで当課では、倒伏軽減に向けた栽培法について、講習会や現地検討会で指導を行ってきましたが、生産者から収穫直前の他地域の状況を知りたいという要望がありました。
そこで、津奈木町や亀萬酒造と連携し、30年以上、酒米の生産を行っている山都町での視察研修を9月26日に行いました。研修では、JAかみましき酒米部会より栽培方法や部会での取り組みについて説明があり、その後、現地ほ場を視察しました。現地ほ場は台風14号の影響を感じさせないほど倒伏程度は小さく、肥培管理や水管理で倒伏軽減できると実感できました。津奈木町の生産者からは「とても勉強になった」「次作の肥料や水管理を見直そうと思う」といった声が聞かれ、来年度以降も交流を続けたいという提案もあり、とても有意義な研修となりました。
当課では、今後も関係機関と連携し、酒米の安定生産を支援していきます。

2022年11月

収量調査の様子

養豚での子実用トウモロコシ栽培の取り組み

通常、牛、豚、鶏等の家畜には輸入穀物を原料とした濃厚飼料を給与しており、養豚経営では飼料費が経営コストの60%と高い割合を占めています。
しかし、輸送コストの上昇や円安等の影響により、輸入トウモロコシを中心とした穀物価格の高騰が、畜産経営をひっ迫しています。
飼料費の低減及び持続的な畜産経営のために、国産濃厚飼料への転換がさらに必要となっている中、管内の養豚農家が子実用トウモロコシの栽培に初めて取り組みました。5月に播種したトウモロコシの生育状況を定期的に確認しながら、追肥や除草剤散布の指導を実施し、9月13日には生産者と当課でトウモロコシの調査方法を確認して、品種ごとに収量調査を実施しました。水田で実施した今回の取組みから、収量向上のためには排水対策の必要性を確認しました。
当課では、今後も引き続き自給飼料の作付面積拡大につながる取組みを支援してまいります。

2022年11月

大川氏(中央)の説明を聞く会員
大型SSを説明する濱崎氏(左)

3年ぶりの芦北地方同友会管内研修会!

令和元年度以来、コロナ禍のため中止となっていた芦北地方農業改善同友会の管内研修会が9月28日に開催されました。
この研修会は、管内農業コンクール受賞者の取組みを現地で学ぶことによる会員の資質向上と情報交換を目的としています。今回は、会員等20名が参加し、令和3年度地域農力部門の「もち麦工房」代表者大川嘉智子氏と令和2年度新人王部門の濱崎健氏の経営状況を視察しました。
大川氏はもともと林業を営んでいましたが、耕作放棄地解消と地域定年者の雇用就農のため平成28年にもち麦を、令和元年からは周年雇用を実現するため杉苗生産を開始されました。大川氏からは、素人同然で就農されてからの失敗談や80才を超えた現在でも地域のために前向きに取り組んでおられることを話していただきました。
濱崎氏は、平成25年に経営を開始、令和2年には両親の果樹園を引継ぎ家族経営で22haの園地を管理されています。研修では品種の分散と機械化で大規模経営を実現していることについて説明がありました。
研修後、会員からは「久しぶりの研修で刺激になった。」「コロナ禍で会えなかった会員と久しぶりに情報交換ができた。」等の声が聞かれました。
当課では、同友会をはじめ各種担い手組織が芦北農業発展のために必要な活動が行えるよう今後もサポートしていきます。

2022年11月

積極的に意見が交わされる様子

新規就農者組織と関係機関との意見交換会を初開催

芦北地域の新規参入就農者を中心として構成する任意組織「せしかう会」と関係機関(市町、JA、当課等)との意見交換会を10月4日に初めて開催しました。就農支援体制のさらなる充実を図るため、総勢25名が参加しました。
始めに当課から水俣・芦北地域の農業振興について説明し、各市町から就農支援の展望について説明を行いました。その後、せしかう会員からの移住や就農支援に関する意見や要望を基に意見交換を行いました。
参加した関係者からは「新規就農者と関係機関との意見交換会が開催されるとは10年前には想像していなかった。」との喜びの声や、新規就農者からは「大変有意義だった。これから益々芦北地域の新規就農熱が高まるように活動していきたい。」との意欲的な意見が聞かれました。
当課では、今後も農業者の意見に耳を傾けながら関係機関と連携し、新規就農支援の充実ひいては新たな担い手確保につながる取り組みを進めていきます。

2022年9月

見交換会の様子
現地視察の様子

鳥獣害対策の強化に向けた取組み

芦北地域では、鳥獣害とりわけシカの被害が増加しています。これまで、県単事業や市町独自の事業で対策を図ってきましたが、より一層対策を強化するため振興局と市町、JAが協議し、国庫事業(鳥獣被害防止総合対策事業)の活用を検討しています。しかし、管内市町はこれまでに国庫事業の取組み実績がなく、事業の進め方や事務量に不安を抱えていました。
そこで、管内市町の国庫事業に対する理解を深めるため、事業を実績があるあさぎり町及び人吉市への視察研修を行いました。研修では、要望調査から着工までの流れや事業推進の注意点、工夫すべき点を聞き取るとともに、猟友会の活動状況や鳥獣の捕獲確認方法等の意見交換も行いました。出席した市町担当者からは「事業内容やスケジュールが把握できてよかった」等の声が聞かれ、国庫事業に対する不安の解消と理解を深めること出来ました。
また、事業実施地区を視察し、適切な被害低減対策(緩衝地帯の設置等)について理解を深めることが出来ました。
当課は今後も、市町、JA及び振興局林務課と連携し、鳥獣害対策の一層の推進を図って参ります。

2022年9月

芦北管内初!紅茶のJGAP認証取得

水俣市の『お茶のにしもと』が、芦北管内初となる紅茶のJGAP認証を取得しました。これまで、緑茶のJGAP認証は取得されていましたが、紅茶では今回が初めての認証です。
『お茶のにしもと』では令和元年からJGAPに取り組み始め、当課では認証の支援を行ってきました。今回の審査にあたっては、当課のJGAP指導員と農業革新支援専門員の協力も得ながら、事前に工場内を製造工程ごとに確認しました。紅茶の発酵工程では茶葉の交差汚染※を防止するため、汚染区域と清浄区域を分けること等を助言し、紅茶専用のリスク評価表を新しく作成しました。審査後には是正処置も行い、無事に認定取得に至りました。茶価が低迷する中で、紅茶は小売り中心であるためJGAP認証による差別化が期待されます。
今後も当課では、「みなまた茶・みなまた和紅茶」ブランドを盛り上げられるよう支援を行っていきます。
(※交差汚染…汚染度の高いものが、汚染度の低いものに接触することで起こる汚染。)

2022年9月

安全使用についての説明
刈払い機のメンテナンス作業

「農業機械安全・メンテナンス講習会」で新規参入者の困りごとを解決!

芦北地域では、果樹等の新たな担い手確保に向けた就農支援活動を展開しており、令和2年以降では、他県からの移住も含め8名が就農しております。本年度は、就農後の定着支援に向けた取組みの一環として当課で新規就農者等の困りごと等を掘り起こし、地域版農業アカデミーとして3講座を実施します。第1回目である今回は、果樹農家等で頻繁に使用する動噴や刈払い機等の「「農業機械安全・メンテナンス講習会」を新規就農者等29名が参加し、8月3日に開催しました。
講習会では、農業普及・振興課から農作業事故の現状を説明し、農機メーカーやJAの農機センターから動噴や刈払い機の安全な使用方法や現場で実際に発生したトラブル、機械不調時の対応方法等の説明がありました。その後、参加者自らが持参した刈払い機の点検と整備を行いました。
参加者からは、「点検箇所やメンテナンス方法がわかってよかった。」「日頃の手入れをして修理費用を抑えたい。」等の感想が聞かれました。
当課では、今後も「HPやSNSを活用した情報発信」や「農業経営におけるリスクマネジメント」の講座を予定しており、関係機関と連携しながら新規就農者の定着につながる取り組みを進めていきます。

2022年9月

興味津々に園地を見学する様子

就農者の定着を目指して園地見学・意見交換会を開催

芦北地域では、農業普及・振興課、市町、JA等の関係機関が連携し、地域の基幹作物である果樹の新たな担い手の確保・育成に向けて就農支援活動を展開しています。活動の結果、地域外から当地域に移住して就農する事例が増加しており、徐々に成果が表れているところです。
新規参入就農者が増えている中、栽培技術の習得支援、ひいては早期の経営安定及び定着を目指し、「果樹園地見学・栽培技術交換会」を7月11日に開催しました。今回は、「摘果」をテーマとして、新規参入就農者の園地を中心に見学するとともに、各園地の就農者による摘果状況や管理ポイント等の説明を基に意見交換を行いました。参加した新規就農者からは、「それぞれの園地や管理方法の違いや特性を知ることが出来て勉強になった。今後の管理に活かしていきたい。」等の意見が聞かれました。
当課では、今後も関係機関と連携し、新規就農者の定着につながる取り組みを進めていきます。

2022年8月

意見交換会の様子

養豚での飼料用米利用に向けた意見交換会を開催

通常、牛、豚、鶏等の家畜には輸入穀物を原料とした濃厚飼料を給与しており、養豚経営では飼料費が経営コストの60%と高い割合を占めています。
しかし、輸送コストの上昇や円安等の影響により、輸入トウモロコシを中心とした穀物価格の高騰が、畜産経営をひっ迫しています。
飼料費の低減及び持続的な畜産経営のために、国産濃厚飼料への転換がさらに必要となっている中、管内の養豚農家が管内で生産された飼料用米の利用を図るため、養豚農家、米生産組織5組織、JAあしきた及び地域農業再生協との意見交換会を開催しました。
意見交換では、管内で飼料用米の生産を拡大していくために必要な事項や、収穫後の籾すり及び保管について、JAあしきたの施設利用を前向きに検討することなど、今後の飼料用米利用拡大に必要な事項について畜産・耕種の両者から活発な意見が出て、非常に有意義な意見交換会となりました。
当課では、今後も引き続き両者の意見交換会等の場を設けて、飼料用米供給契約の締結及び飼料用米作付面積拡大につながる取組みを実施していきます。

2022年8月

収穫体験の様子
掘り取りの様子

復旧・復興に向けた加工用バレイショの取組み

芦北地域では、令和2年7月豪雨で被害を受けた芦北東部地区を中心に、復旧・復興の一環として水田の裏作に導入可能な品目を検討しています。県内に(株)湖池屋のポテトチップス工場ができたことから、加工用バレイショの産地化に向けた検討を管内3地域、4ほ場で行いました。
現地の課題を把握するため、1月から2月にかけてポテトチップに適した3品種を植え付け、5月下旬から6月に収穫時期を迎えました。
6月10日には、芦北町立佐敷小学校4年生を招いて、食育を兼ねた収穫体験を行いました。当課からは、被災地復興のために取組んだ経緯や栽培について説明するとともに、(株)湖池屋からは、ポテトチップスの工程を説明し、生徒からも質問が多数ありました。
本年度の実証では生育も順調で、目立った病害虫の発生もなく収穫に至り、(株)湖池屋での加工適性試験でも概ね良好な結果でした。
今後は、植付け作業や収穫作業の機械化・省力化や収益性などを検討し、産地化の可能性を高めるための課題解決に取り組んでいきます。

2022年8月

リーダー研修(座学講座)
リーダー研修(ワークショップ)

リーダー研修を通じて4Hクラブの活動意欲増大!

芦北地方青年農業者クラブ(10名)では、自発的なクラブ運営が行える組織になることを目的に、6月16日にリーダー研修を実施しました。
研修会では、4Hクラブの活動を通して、リーダーの心構えや行動についての座学と「こんな4Hは嫌だ、こんな4Hは素晴らしい」というテーマでワークショップを行いました。ワークショップでは、会員が少なく、十分な活動が出来ていないことなどの意見が出たため、「今年度は例年以上に新規クラブ員の勧誘強化に取り組むこと」を重要活動事項に決定しました。
さっそく、新規クラブ員の入会を促すため、管内視察研修を企画し、候補者として3名をリストアップしました。研修では、芦北地域の新規参入就農者を中心に設立した組織「せしかう会」の参加も予定しており、各組織の連携強化を図ることとしています。
当課では、芦北地方4Hクラブが自発的な活動を行えるよう、引き続き伴走型支援に取り組んで参ります。

2022年7月

講習会の様子

酒米生産における倒伏軽減をめざして

津奈木町倉谷・古中尾地区では、酒米を高単価作物と位置づけ、「山田錦」約1haを栽培し、地元酒造会社の亀萬酒造へ販売されています。一方、生産面では、「山田錦」は長稈で倒伏しやすい品種のため、収穫時の労力が問題となっていました。
これまで当課では、栽培技術の普及と高位平準化を目指す取り組みとして、酒米生産研究会を開催し、「山田錦」の品種特性や当地区での課題について協議しました。その中で、倒伏軽減に向けた栽培法について、指導を行ってほしいと生産者から要望があり、播種時期前となる5月13日に栽培講習会を開催しました。
講習会では、先進地事例として、山口県阿武萩地域における産地化の取り組みや、上益城地域における「山田錦」の栽培方法について紹介し、活用できる事例を確認しました。また、倒伏軽減のポイントとして、健苗育成と本田での水管理について説明を行いました。生産者からは基肥の適正量等について多くの質問があり、生産者同士の意見交換の場ともなりました。
今後も関係機関と連携し、展示ほ設置や栽培基準を作成するなど酒米の安定生産や作付面積の拡大を支援していきます。

2022年7月

講習会の様子
食味会での品種比較

地域ブランド米の品質・食味向上へ!

芦北地域の大関山山麓では、標高150m以上で減農薬・無化学肥料栽培でつくられたものを地域ブランド「大関米(おおぜきまい)」として、安心・安全な米づくりが行われています。その一方昨年度は、登熟期間の高温やいもち病の発生による影響で品質低下が問題となりました。
そこで、作付け前の5月17日に、大関米生産者に対してJAと連携し、講習会を開催しました。講習会では、健苗づくりに向けて育苗期間中の水管理や病害虫防除について指導し、品質の確保を呼びかけました。
また、「ヒノヒカリ」から食味・高温登熟性に優れる「くまさんの輝き」への品種転換を進めるため、食味会を併せて開催しました。昨年度、当地域で実施した品種比較試験の結果を説明するとともに、両品種を食べ比べてもらい、品種間の違いを実感していただきました。 
生産者からは「『くまさんの輝き』は白未熟粒が少なく、品質がよいことが一目瞭然であった」等、品種転換に前向きな意見を聞くことができました。
引き続き当課では、品質・食味向上に向けた栽培指導を行うとともに、「くまさんの輝き」への品種転換を促進します。

2022年5月

美味しい加温栽培デコポンは温度、水分管理が重要!

芦北地域は温暖な気候を活かした不知火(デコポン)や甘夏など中晩柑の生産が盛んな地域であり、その果実はマルタブランドとして全国的に認知されています。中でもお歳暮商材として高単価で取引きされる加温デコポン栽培の高品質化(合格率向上)はマルタブランドを高めるために重要です。
当課では、加温デコポンの高品質果実生産管理のポイントを明らかにするため、合格率が異なる生産者10名をピックアップし、令和2年産の栽培管理について聞き取り調査行いました。その結果、5月~7月までの最低温度管理を22~24℃に維持することと9月以降の適切な水分管理が高い合格率につながることを明らかにしました。
そこで、令和4年産加温デコポンの合格率向上に向けて、重点指導を行う生産者5名をピックアップし、設定温度と実際の温度を随時確認し、適切な温度管理を指導するとともに9月以降の果実の日肥大量を基にした水分管理法による糖度向上効果について実証することで産地のボトムアップを図ります。

2022年5月

研修会の様子

悪性家畜伝染病初動対応研修会を開催

高病原性鳥インフルエンザ等の悪性家畜伝染病が発生した場合に、迅速かつ円滑に初動防疫を実施することができるよう、芦北地域振興局及び水俣保健所の職員を対象とした、悪性家畜伝染病初動防疫対応研修会を振興局で開催しました。
本研修は毎年4月に実施しており、事前に各課に照会し作成した初動体制名簿に記載されている職員及び本年度転入してきた職員を参集範囲とし、多くの職員に参加してもらうため、午前と午後の2部に分けて実施しました。
研修では、城南家畜保健衛生所から管外で悪性家畜伝染病が発生した場合の動員の流れ、発生農場における防疫作業班の一連の作業内容について説明がありました。
当課からは、管内で悪性家畜伝染病が発生した場合の①支援センター及び現場事務所における会場設営や防疫作業従事者の受入等、②消毒ポイントの設置及び運営方法の2つの業務について説明しました。
参加者からは、具体的な内容について質問があり、各業務内容を再確認する有意義な研修会となりました。
当課では、迅速な防疫措置及び後方支援ができるよう、引き続き関係機関と連携して初動体制を構築していきます。

2022年5月

受入開講式後、座学講座に早速励む研修生

新たな担い手の育成に向けて研修生受入開講式を開催

農業普及・振興課が事務局を務める芦北地方農業振興協議会では、基幹作物である果樹の担い手を確保するため、就農相談から就農・定着までを支援する様々な取り組みを行っています。就農支援の一環として長期研修を実施しており、JAあしきた本所で「研修生受入開講式」を4月18日(月)に開催しました。
受入開講式には、就農相談から移住を経て、長期研修受講に結びついた2名の研修生が出席され、「謙虚な気持ちで精一杯頑張りたい」と決意を新たにしました。今後、独立就農を目指し、最長2年にわたり研修を受講して栽培技術を習得していきます。
当課では、引き続き栽培技術や経営の能力向上に向けた研修の実施や、就農後の経営安定に向けた支援を行っていきます。

2022年5月

会の名称を協議する会員の様子

新規参入者の定着を目指して!任意組織の設立を支援

農業普及・振興課が事務局を務める芦北地方農業振興協議会では、地域の基幹作物である果樹の新たな担い手の確保に向けて就農支援活動を展開しています。現在、地域外の就農希望者からの就農相談が増えており、研修や就農につながる等、着実に成果が上がっています。
そのような中、新規参入就農者を対象としたアンケート調査を行ったところ、就農者同士の交流を必要とする意見が複数見受けられました。そこで、当課で話し合いの場を設ける等の支援を行った結果、芦北地域の新規参入就農者を中心として構成する任意組織「せしかう※会」が3月23日に設立しました。現在、会員は8名で、今後、新規参入予定者等も加入する予定です。会員からは「年齢を問わず加入できる新規就農者の組織が出来て嬉しい」、「個人ではなく組織として関係機関と意見交換等を行っていきたい」等、活動に向けて意欲的な意見が聞かれました。
当課では、今後も関係機関と連携し、新規就農者の定着につながる取り組みを進めていきます。

※せしかう:芦北地域の方言。「頑張る」「精を出す」という意味。

2022年5月

講習会の様子

健全な水稲苗を育成し、収量向上へ

芦北地域の米どころである芦北町大野地区では、「ヒノヒカリ」を中心とした水稲栽培に向けて準備を行っています。以前、地区の中心経営体である農事組合法人の経営分析を行った際、低収量が問題として挙げられ、その原因は罹病による苗の生育不良と考えられました。また普段講習会に参加されない生産者も多く、「現在の栽培管理に問題ないか不安を感じている」という意見がありました。
そこで、3月16日に大野地区の農事組合法人及び生産者に対し、重要かつ基本的な栽培管理について再認識してもらうため、作付け前講習会を開催しました。講習会では、育苗作業を中心に、種子選別や種子消毒の手順、温度・湿度管理の注意点等について指導しました。併せて「くまさんの輝き」の紹介や改正種苗法の概要を説明したところ、苗の管理方法や種子の自家増殖について積極的に質問が挙がりました。また「長年米づくりをしているが、新たな気づきがあった」や「今年は種子消毒を改善してみよう」といった意見も聞かれ、収量向上への意欲を高めることができました。
引き続き当課では収量増加による経営力安定に向けて支援を行っていきます。

2022年5月

ジョイント(接ぎ木)検討会
技術習得に向けた作業

カキ「太秋」低樹高ジョイント栽培の安定生産に向けて

芦北地域では、カキ「太秋」の導入を進めており、栽培面積は約10haとなっています。しかし、生産者の高齢化により、その対策として作業の省力・軽労化が図れる低樹高ジョイント栽培の普及に平成27年から取組み、現在導入面積は約1haになりました。ジョイント栽培では、導入が早かった園地ほど、接ぎ木方法やその後の管理が上手くできずに接ぎ木活着率が50%以下と低く、生育にバラツキが見られています。
そこで、果樹の農業革新支援専門員を招き、普及指導員とJA技術員の技術向上を図るため、3月29日と4月6日に新植園でジョイント(接ぎ木)技術の検討会を行いました。特に、接ぎ木部位の削り方や固定方法など、重要な作業ポイントの技術共有を図りました。その後、新規にジョイント栽培に取組む生産者に接ぎ木指導を行った結果、5本程度実践すると、最初は1本あたり10分程度かかっていた作業が4分程度で行えるようになりました。生産者からは、「ジョイント栽培は、最初の接ぎ木作業が重要だと理解出来た。今後もしっかり技術を学びたい」という意見が聞かれました。今後も、関係機関と連携し、活着率100%を目指し、低樹高ジョイント栽培の安定生産に向けて支援します。

2022年3月

亀萬酒造と地元生産者の連携による中山間地域活性化の取り組み ~酒米生産による農業所得アップを目指して~

中山間農業モデル地区強化事業に取り組んでいる津奈木町倉谷・古中尾地区では、酒米を高単価作物と位置づけ、「山田錦」約1haを栽培しています。酒米は地元酒造会社である亀萬酒造で醸造され、津奈木町産を極めた日本酒として販売されています。主食用米に比べ安定した高単価が望める一方、長稈で倒伏しやすいため、栽培方法や収穫時の労力が問題となっていました。
そこで、栽培技術の普及と高位平準化を目指す取り組みとして、3月2日に酒米生産研究会を開催しました。研究会では、生産者4名、亀萬酒造、町役場等が参加し、①農業革新支援専門員から「県内における酒米生産状況」、②亀萬酒造から「山田錦の酒造特性」、③当課から「山田錦の栽培特性や当地区における現状等」について、説明を行いました。
生産者からは倒伏軽減のポイントや収穫適期等について多く質問があり、活発な意見交換ができました。さらに、今後の活動として、他地域とのオンライン意見交換会等の提案もあり、有意義な研究会となりました。当課では、「栽培面積を増やしたい」という生産者と亀萬酒造の要望もあるため、今後も関係機関と連携し、栽培基準を作成するなど酒米の安定生産や作付面積の拡大を支援していきます。
また、亀萬酒造では古代赤米を原料とした赤ワインのような色をした日本酒の醸造をしています。今後、芦北地域での原料生産を検討しており、古代赤米に適した栽培方法について併せて支援を行っていきます。

2022年2月

全国とつながる芦北独自のオンライン就農相談を導入

農業普及・振興課が事務局を務める芦北地方農業振興協議会では、地域の基幹作物である果樹の新たな担い手の確保に向けて、今年度から独自のオンライン就農相談を導入し、取り組んでいます。
12月11日に開催した「芦北地方新規就農バスツアー」の参加者から就農支援についてもっと詳しく聞きたいとの要望があり、オンライン相談を12月24日に実施しました。当課及びJAあしきた担当者が芦北地域の就農支援制度について説明を行ったところ、相談者からは「思っていた以上に手厚いサポートがあり、安心した。」との感想が聞かれました。
オンライン相談を導入したことで、遠方の相談者でもすぐに顔を見ながら複数の関係機関で協力して相談を受けることができ、関係者からも好評です。
さらに、令和4年2月10日に協議会ホームページをリニューアルオープンし、新規就農者紹介やオンライン相談予約ページを追加しました。これにより相互の都合が良い日程で納得できるまで相談が可能となり、就農相談者の開拓等、新たな担い手確保の加速化が期待されます。
当課では、今後も関係機関と連携し、就農相談から定着につながる取り組みを進めていきます。

2022年2月

茶講座
茶種の説明

芦北高校でお茶講座開催!!

芦北・水俣地域は県内でも有数なお茶の産地ですが、管内の農業高校では、お茶についての授業がほとんどなく、地元で生産されるお茶の理解促進につなげるため、芦北高校農業科の1年生22名に対し、12月13日(月)に講座を開催しました。
講座では、お茶が年貢として扱われた史実、水俣が茶産地となっていった背景、お茶の成分であるカテキンが風邪予防につながるという効能や、お茶の植付けから、茶園となり収穫が出来るようにするまでの管理について説明を行いました。
併せて、お茶の製造工程は動画を交えながら進め、茶種については、実物を見せながら、特徴について説明しました。
生徒からの質疑や意見交換などを積極的に取り入れた双方向の講義にすることで、生徒からは、「お茶に興味を持てた。初めて知る事ばかりで勉強になった。いろいろなお茶を飲んでみたい」と好評でした。
当課では、今後もお茶講座を通じてお茶の振興を図っていきます。

2022年2月

会議の様子

地域一体となった鳥獣害対策の実施へ!

芦北地域では、近年シカによる果樹の苗木等への食害が大幅に増加しています。捕獲頭数は増えているものの、被害が減少せず、農家から対策を求める声が大きくなっていました。そこで、鳥獣害対策に関する情報を共有し、効果的な対策につなげることを目的に、関係機関が集まり連携会議を開催しました。
会議では、県、市町、JAから被害状況や取組について情報提供があり、それぞれが鳥獣害への危機意識をもち、対策に取り組んでいることを確認できました。なかでも芦北町では、すでに10月時点までのシカ捕獲頭数が昨年度を上回っており、来年度以降、国庫事業の活用による防護柵設置の促進を検討しています。
また、林務課からシカ被害プロット調査の結果、当地域はヒノキへの被害率が県内で最も高いため、ドローン等を活用して生息域を把握し、狩猟による捕獲圧を高める取組みを進めていくとの説明がありました。
意見交換では「被害調査はどのように実施しているのか」、「芦北地域で免許講習会を開催してほしい」との意見があり、対策と併せて、被害防止に対する農家の意識を向上させる取り組みの重要性を確認しました。
当課は今後も、市町、JA及び林務課と連携し、鳥獣害対策の一層の推進を図ります。

2022年2月

ロボットトラクタ実演の様子
ラジコン草刈り機実演の様子

もっと身近に!スマート農業理解促進授業を開催

農業の将来の担い手となる農業高校の生徒へ向け、省力化や高品質生産等を可能にする新たな技術であるスマート農業への理解を深め、身近に感じてもらうことを目的に、スマート農業理解促進授業を芦北高校で開催しました。
授業では、農業機械メーカー協力のもと、スマート農業の概要を説明し、水田でドローンによる散布やラジコン草刈り機など農業機械の実演を行いました。
ロボットトラクタの運転席に乗り自動作業・自動旋回を体験した生徒からは「スタートボタンを押しただけで、なにもしなかった」といった驚きの声があり、スマート農業へ興味を持つきっかけとなりました。
当課は今後も将来の担い手への農業の魅力発信と農作業の省力化や高品質・高収量の実現に向けたスマート農業の推進を関係機関と連携して取り組んでいきます。

2022年1月

生産要因分析に係る現地検討会
JAあしきたマルタ選果場

令和3年産「デコポン」、好調なスタート!!

芦北地域の主要品目「デコポン」の選果が11月29日開始され、初売りが12月3日に行われました。合格率も高く、好調なスタートを切っています。
当地域では、加温デコポンのさらなる高品質化に向けヒリュウ台「聖秀」※の導入に取り組んでおり、JAと連携し、早期成園化と栽培技術確立のため、平成29年から現地試験を行なっています。これまでの知見を踏まえて生産指導を行ない、導入面積は2.5haまで拡大しました。
また、高品質果実の安定生産に向け、合格率が異なる加温栽培農家10名の温度管理とかん水方法についてアンケート調査を行い、高品質生産管理のポイントをまとめたチェックシートの作成を検討しています。
今後もデコポンの品質向上に向け、ヒリュウ台「聖秀」への計画的な改植を推進するとともに、加温栽培における農家自ら技術改善が行える仕組みづくりに取組んでいきます。

※ヒリュウ台:カンキツのわい性台木で、従来のカラタチより樹勢が弱く、樹がコンパクトで糖度が高くなる。
※「聖秀」:JAあしきたが品種登録した果皮・果肉色の赤みが強い「肥の豊」の変異系統。

2022年1月

講演の様子
バーンミーティングの様子

令和3年度芦北地域肉用牛繁殖技術講演会を開催

JAあしきたの銘柄牛「くまもと黒毛和牛あしきた牛」のブランド力向上に向けた地域内一貫生産体制の確立に資するため、芦北地域の肉用牛繁殖農家の子牛育成技術向上を目的に、11月29日、30日の2日間に渡り、振興局とJAあしきた主催で繁殖講演会を開催しました。
1日目は、日本全薬工業株式会社から講師を招き、子牛の初期発育の重要性や、子牛の哺乳・離乳方法を中心とした飼養管理についてご講演をいただきました。
2日目は、芦北町の2件の農場を会場に、講師と参加者とで実際に飼養管理の状況を確認しながら講師からアドバイスをいただく、バーンミーティングを行いました。
管内肉用牛繁殖農家、市町等から2日間で延べ55名の参加があり、全体を通して、繁殖農家から普段の飼養管理での疑問点についての質問が多数出て、飼養管理技術向上につながる非常に有意義な講演会となりました。
当課は今後も「くまもと黒毛和牛あしきた牛」の地域内一貫生産体制の確立に向けて、関係機関と連携して取り組んでいきます。

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