2020年のエリア普及現地情報

2020年12月

実証展示園での現地検討
ヒリュウ台「聖秀」の着果状況

加温デコポン産地強化へ向けた取組み

JAあしきたは、12月のお歳暮用として出荷される加温デコポンの県内最大の産地です。加温デコポンでは、気象変動の激化や樹齢が進んだことで果実品質や生産量が不安定となっています。また、燃油高騰等に伴い県全体として栽培面積が減少しており、12月の出荷量確保が課題となっています。
当課では、加温ハウス栽培で品質向上・安定生産が可能なわい性台木のヒリュウ台を活用した「聖秀」*等の導入を推進するため、関係機関と連携し、平成29年度から展示園を設置し、早期成園化技術の実証や果実品質の調査・現地検討会を実施しています。
また、本年産は実証園での調査結果を基に、導入農家に対して早期成園化や安定生産のための個別指導を実施しています。
導入された園では適正な着果量や枝梢管理により、果実肥大も良く、品質も高く推移し、12月1日には、本年産の加温デコポンの初売りが行われ、好調なスタートを切りました。
今後も関係機関と連携し、更にヒリュウ台「聖秀」等の導入を推進するとともに、導入農家の生産安定と品質向上、12月の出荷量確保による「マルタ」ブランドの強化を図っていきます。

※「聖秀」:JAあしきたが品種登録した果皮・果肉色の赤みが強い「肥の豊」の変異系統。

2020年12月

青年農業者クラブ員とJA研修生
プロジェクトを発表するクラブ員

芦北地方青年農業者会議を開催!

現在、芦北地方青年農業者クラブは11名で活動しています。近年、クラブ員の減少により活動が縮小しているため、新規クラブ員の勧誘を行った結果、新たに3名加わりました。しかし、今年度は新型コロナウイルスの影響をはじめ、一部のクラブ員は7月豪雨による被害を受け、クラブとしての活動ができない状況が続いていました。
そのような状況の中、クラブ員間の交流とプロジェクト発表によるクラブ員の相互研鑽や今年度の新規就農者とJAあしきた研修生にも参加を呼びかけた若手農業者との交流の場として、11月25日に芦北地方青年農業者会議を開催しました。
会議では、プロジェクト発表、意見発表だけでなく、当課から営農支援制度等の紹介や新たな試みとしてクラブ員が自分の経営紹介を行いました。農福連携や大規模経営などの経営の特長や課題、今後の目標をとりまとめ発表したことで、出席した研修生は、「今後の経営発展の参考となり大変有意義だった」と話していました。
今後も、青年農業者クラブ活動の活性化を図り、クラブ員の資質向上に向けて支援していきます。

2020年12月

参加家族と就農研修生・関係機関とともに
施設デコポン見学の様子

コロナ禍で都市圏からの新たな担い手を招致

水俣・芦北地域では、東京等の都市圏で開催される就農フェアに出展し、果樹の新規就農希望者を招致する取り組みを進めています。都市圏の就農相談者に当地域の魅力や果樹農業を知ってもらうため、モニターを募り、「あしきた果樹産地・就農研修見学会」を11月に開催しました(昨年度の開催から3回目)。
今回は、新型コロナウイルスの影響でオンライン出展となった東京都の就農フェアで、当地域に関心を持たれた夫婦2名が参加されました。見学会では、収穫間近のハウスデコポンや露地カンキツ園、JAの研修園等の見学、果樹農家や就農研修生等との意見交換、就農・移住支援制度の紹介等を行いました。
参加者からは、「実際に栽培の様子を見学でき、農家の方と話ができて良かった。地域の魅力や生活環境のことを知ることができた。」と好評でした。
最近は、コロナ禍ということもあり、就農相談者の農業や移住への関心の高まりが感じられます。農業普及・振興課では、今後も関係機関と一丸となって、就農フェアの出展から産地見学会の開催、就農研修受講や就農定着までつながるよう、この新たな担い手確保の取組みを進めていきます。

2020年11月

被災農家のタマネギ栽培ほ場

サラたまちゃん部会の7月豪雨からの営農再開に向けて

水俣・芦北地域で栽培が盛んな早生タマネギは、熊本県の特別栽培農産物の認証を受け、「サラたまちゃん」として生産・販売しています。近年、生産者の高齢化等の影響により、産地の維持が課題となっていますが、JAあしきたサラたまちゃん部会では生産者の連携を強め、生産量の確保に取り組んでいます。
特に本年の7月豪雨では、芦北町の生産者を中心に、機械や農地に大きな被害を受けました。被災直後は、播種時期までの機械等の復旧見込みが立たず、作付面積の大幅な減少が懸念されていました。
このような中、サラたまちゃん部会では水俣市の生産者を中心とした活動として、苗が準備できていない芦北町の被災した生産者に対して苗の供給に取り組んできました。
また、農業普及・振興課の技術担当と経営担当、町が連携し、営農相談や強い農業・担い手づくり総合支援交付金(被災農業者支援型)等の活用により被災した生産者への支援を行ってきました。このような取り組みにより、本年産の作付け予定面積はほぼ前年並を確保することができました。当課では引き続き、営農相談やタマネギ栽培に係る様々な技術支援等を行い、豪雨からの復旧や産地の維持に取り組んでいきます。

2020年11月

不知火の収穫期前の栽培管理の様子

果樹研修生第1号が経営者としてスタート!

JA・市町・県振興局等で構成する芦北地方農業振興協議会の「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム(以下PT)」では、果樹の新規参入者を確保するため、相談から研修、農地確保、就農・定着まで様々な支援を行っています。
平成30年に熊本市で開催された県就農相談会で対応したY氏については、研修生第1号として、JAが受入機関となり令和元年5月から技術や経営面の研修を積んできました。1年目は先進農家3戸で栽培管理等の基礎研修、2年目はJAがリリーフ園地として管理している水俣市の就農予定園での実践研修と農業普及・振興課やJAによる座学研修で学んできました。
この度、1年半の研修を終了し、11月1日に就農することができました。
この時期の経営開始により当年産の果実を収穫することができ、Yさんは「経営開始後すぐに収入があり、安心して施設投資等の計画が立てられ、今後の経営が楽しみです。」と語っています。
現在、JAや市と連携し、農地中間管理機構を活用した農地の借入、認定新規就農者への誘導、農業次世代人材投資事業(経営開始型)の受給に向け手続き中です。当課では、安定した経営が継続できるように支援していきます。

2020年10月

写真1 豪雨災害発生直後の様子
写真2 定植後の様子

JA農業参入イチゴ部門の豪雨被害からの復旧

JAあしきたでは、地域農業の担い手確保や新たな農業経営モデルを構築するため、平成27年から農業経営に参入し、イチゴや水稲の栽培・経営に取り組んでおり、当課ではその経営の安定化を支援しています。特に、イチゴ部門はJAの物産館と隣接し、観光農園や加工商品開発など集客や付加価値を高めた経営に取り組んでいます。
しかし、前年産では、認知度や生産性が向上する中、コロナ禍により観光農園を予定より早く閉園する事態となりました。加えて、7月豪雨ではイチゴハウスの浸水により、施設内への土砂流入や環境制御施設、暖房機等に大きな被害が発生しました。災害発生後は、土砂の撤去や資材の片付けに追われ、営農再開が困難な状況でした。当課では、これまで営農再開に向けたJAとの協議や農業革新支援センターと連携して育苗期間中の栽培管理指導等を行ってきました。また、発災後から多くのボランティアの支援を受けることができ、9月には例年通りすべてのハウスでイチゴの定植を行い、営農を再開することができました。
JAあしきたのイチゴ部門は、農業経営参入の大きな柱となっています。当課では、引き続き豪雨被害後の観光農園の開園に向けた栽培管理指導や集客・商品開発等の支援を行っていきます。

2020年10月

現地検討会の様子
着果2年目実証園の着果状況

「太秋」ジョイント栽培の安定生産を目指して

芦北地域のカキ「太秋」栽培農家は高齢化が進んでおり、作業の省力・軽労化が求められています。そこで、慣行の平棚栽培より省力化が図られて、早期成園化も期待できる低樹高ジョイント栽培技術の実証・普及を進めています。
平成27年から実証展示ほを設置し、管内技術員で栽培管理を実証し、得られた知見を基に、ジョイント栽培の導入推進を図ってきました。当地域では、現在17戸の農家で導入され、早期成園化向けた枝梢・着果管理等について重点指導を行っています。
9月18日には、管内の技術員を参集し、実証展示ほにおいて現地検討会を開催し、今年の生育や収量性、枝梢管理等について検討しました。
また、10月2日、6日にはJAと連携し、本年結果樹園の11戸に対して、枝梢管理や適期収穫等の重点指導や収量性の調査を行いました。本年産については、導入農家の約半数が目標収量に達している一方、樹勢の強弱により着果が安定しない園地もみられたため、改善方法等について指導を行いました。
カキの低樹高ジョイント栽培において、連年安定した収量を得るためには、計画的なせん定が特に重要となるため、冬季せん定の個別指導を行い、関係機関と連携しながら導入農家の省力化と安定生産を図っていきます。

2020年10月

協議会による就農相談会参加の様子
東京の会場とオンラインで就農相談対応

オンラインによる就農相談会にチャレンジ!

JA・市町・県振興局等の関係機関で構成する芦北地方農業振興協議会の「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム」では、果樹の新規参入者を確保するため、相談から研修、就農・定着まで様々な支援を行っています。
当協議会では新規就農研修生を確保するため、東京、大阪、福岡、熊本市の就農相談会に参加し、対面での支援対策や果樹経営の魅力等をPRしています。
しかし、本年度についてはコロナ禍で、県外開催の相談会への参加が難しい状況が続いていました。そこで、参加方法をオンラインに変更し、9月26日と27日の相談会に参加しました。オンラインでの参加は、初めての取り組みで、主催側の対応や対象者の参加方法等が多様で試行錯誤しての対応となりました。
特に、9月27日の東京で開催されたオンライン相談会では、8組が当協議会ブースを訪れ、芦北での果樹経営に興味を持たれました。また、コロナ禍を契機に地方への移住や農業参入への関心の高さもうかがわれました。
昨年11月に大阪の相談会で対応したご夫妻は、津奈木町に移住し本年7月から就農研修を開始され、取り組みの成果も得られています。当課では、市町・JA等と連携し、一人でも多くの研修生を確保するため、就農相談活動を継続していきます。

2020年10月

(写真)発生状況調査の様子

「トビイロウンカ」による水稲の坪枯れ被害防止を目指して

芦北地域は減農薬・無化学肥料の安全・安心なブランド米「大関米」の栽培に取り組むなど特色ある稲作が盛んな産地です。しかし谷間に多くの水田が集まる地形のため、水稲の海外飛来性重要害虫であるトビイロウンカによる坪枯れ被害が問題となっています。
特に近年は被害が多発したことを受け、農業普及・振興課では定期的な発生状況調査に基づく防除指導や移植日の見直し、新しい箱施薬剤への切り替え等の被害防止策をJA等関係機関と連携し強化してきました。
今年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため資料配布での講習会対応とし、①飛来状況(防除所)、②管内発生状況(当課・JA選定した8地点16か所を調査)、③調査に基づく防除適期を盛り込み、JAと共同で周知しました。また、7月豪雨で水田が被災した生産者への栽培管理対策も併せて周知しています。防除適期については、地域の生産組織等を通じた生産者への周知も今年度から実施しています。
取り組みの結果、本年はトビイロウンカの飛来量が昨年よりも多く確認されている中、現時点での被害の発生は昨年の同時期よりも少なく推移しています。
当課では、今後も水稲の栽培技術指導・支援を継続していきます。

2020年8月

水田の被害調査の様子
被害調査後の検討会の様子

7月豪雨災害からの産地復興に向けて

令和2年7月3日からの豪雨により、芦北地域では地域住民の生活に甚大な被害が発生しました。さらに農業関係では、土砂(石)の流入や浸水による園地崩壊やハウス施設の損傷、また水稲や果樹、花き等の農作物、農業機械や共同利用施設等にも被害が発生しました。
また、被害が地域の生活や交通機関等にも及んだことから、災害発生後の市町やJA等関係機関との連携がとりづらく、農業被害の把握が困難な状況でした。このような中、本県の農業革新支援センターや農業研究センター等の支援を受け、被害調査を進めることができました。被害調査では、iPadの面積測定アプリや位置情報を活用し、被害程度や復旧対策の検討に役立てました。 
現在当課では、営農相談窓口を設置し、被災農家の営農再開に向けた支援や相談にも対応しています。また、各関係機関が地域の生活支援や復旧活動に奔走する中、7月30日には、各市町やJAが一同に会して、農業関係復旧対策連携会議を開催し、国の支援対策が示される前に、今後の復旧対策や課題等について協議することができました。
今回の豪雨災害では、農地や園内道、農業用水等の損壊もあり、農作物被害の拡大も懸念されますが、当課では関係機関との連携を強化し、早期の産地復興と農家の営農再開に向けて取り組んでいきます。

2020年7月

新規研修生への受入証明書授与
新規就農研修生を囲んで

県外から移住し、就農に向けた研修を開始!

JA・市町・県振興局の関係機関で構成する芦北地方農業振興協議会の「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム(以下、PT)」では、主要作物である果樹の新規参入者を確保するため、相談から研修、就農・定着までを支援する様々な取り組みを行っています。
PT活動の結果、大阪府在住のK夫妻が新たな研修生として決定しました。夫妻は、昨年11月の大阪での就農相談会、本年2月に芦北で開催した体験見学会に参加され、かんきつ経営や支援体制等に魅力を感じ、当地域で就農することを決意され、本年6月に津奈木町に移住されました。新型コロナウィルスの感染拡大による移動制限で予定より遅れての研修開始となりましたが、研修生受入式を7月1日にJAあしきたで開催しました。夫妻は、「1年間研修を頑張り、デコポンや甘夏での経営開始を目指します。」と力強く話されました。
また、1年間の研修を終え、水俣市で就農されるHさんの修了式も同時に行われ、「サラたまやソラマメの生産に頑張ります。」と決意表明がありました。
農業普及・振興課では、技術や経営面での能力向上のための研修や就農計画の作成、就農後の経営安定に向けて支援していきます。

2020年6月

WEB掲載写真(研修生への指導風景)
WEB掲載写真(新規就農者へのインタビュー風景)

芦北農業の魅力と就農支援対策をWEB発信

JA・市町・県の関係機関で構成する芦北地方農業振興協議会の「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム」では、主要作物である果樹の新規参入者を確保するため、相談から就農・定着までを支援する様々な取り組みを行っています。
就農希望者の多くは、インターネットやSNSにより情報を収集しています。そこで、昨年度開始したインスタグラムでの情報発信に加え、今年度は、㈱マイナビの農業分野のホームページに芦北農業の魅力や就農支援対策を発信するためのWEB広告を掲載しました。
記事には、当協議会の研修生と就農3年目の新規就農者の活動状況をもとに、①充実した研修、②管理されたカンキツ成園の継承、③果樹経営の魅力、④手厚いサポート体制等について紹介しています。
農業普及・振興課では、関係機関と連携し、今回作成したWEB広告を、東京や福岡等の大都市、熊本市や地元芦北地域での就農相談会等で活用し、果樹の新たな担い手の確保に取り組んでいきます。
https://agri.mynavi.jp/2020_05_29_118500/  (検索 マイナビ農業 芦北)

2020年6月

不知火類の開花状況(5月上旬)
栽培管理講習会の様子

令和2年産不知火類(デコポン)の高品質生産に向けて

芦北地域は県内有数の不知火類(デコポン)の産地です。令和元年産は、貯蔵果実の販売が5月下旬に終了し、本年産も開花期が終わり、高品質果実生産に向けた栽培管理が本格的にスタートしています。
不知火類の栽培において、秀品率の向上は重要な課題のひとつであり、例年5月には、生産者を対象に、黒点病防除に重点をおいた栽培管理講習会を実施しています。
しかし、本年産は、新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発出され、講習会ができず、栽培管理の周知が難しい状況でした。しかし、5月14日に緊急事態宣言が解除されたため、5月25日から6月2日に講習会を開催することができました。講習会では、参加者の3密を避けて、小グループごとにマスク着用のもと実施し、本年発生が多いハダニ類やカメムシ類についての注意喚起や黒点病防除等を周知しました。 
農業普及・振興課では、今後も引き続きJAと連携して、産地の生産対策を支援していきます。

2020年5月

移植後の水田

芦北町百木地区でコシヒカリの田植えが開始

芦北町百木地区では4月5日~6日にかけて、早期コシヒカリの田植えが始まりました。当地区では株式会社百木ファームが6年程前から、早場米としての高価販売等を目的にコシヒカリ栽培に取り組んでおり、今年はおよそ50a作付けされています。
昨年産は日照不足をはじめとする天候不順やトビイロウンカによる虫害等の影響で、収量が30%ほど減少したため、当地域の生産者は、今年は480㎏/10a程度の収穫を目標に、栽培管理をしっかりと行っていきたいと決意を新たにされていました。
今年は4月の平均気温が平年値と比較して、1日あたりでおよそ1.8℃低く推移したことによるとみられる初期生育の遅れが発生していましたが、気温の上昇とともに、現在は概ね順調に生育が進んでいます。
当課では、引き続き生育状況を注意深く確認し、生産者への情報提供と栽培技術指導を行っていきます。

2020年5月

カキ「太秋」の低樹高ジョイント栽培
ジョイント栽培剪定講習会の様子

「太秋」の低樹高ジョイント栽培の普及を目指して

芦北地域のカキ「太秋」栽培農家は高齢化が進んでおり、作業の省力・軽労化が求められています。そこで、慣行の平棚栽培より省力化が図られて、早期成園化も期待できる低樹高ジョイント栽培技術の普及を進めています。
このため、平成27年春に県内で一早く展示ほを設置し、管内の技術員と連携して枝梢・着果管理方法の検討や作業性・収量性等の調査を行ってきました。  
これまでの取り組みにより、低樹高ジョイント栽培が慣行栽培より1~2年早く成園化できることや主要な栽培管理時間を約2分の1に削減できることを実証することができました。また、展示ほで得られた知見を基に、昨年度は、芦北地域版の栽培マニュアルを作成しました。
現在、管内での本技術導入面積は、県内最大の95aとなり、今後は、マニュアルを活用した導入推進により、新たな「太秋」農家の確保や導入農家の生産安定を図っていきます。

2020年4月

モデル園整備に向けた話し合い活動
園内道整備したモデル園(津奈木町犬瀬地区)

津奈木町の樹園地集積・基盤整備が前進

芦北地域の基幹品目である果樹は、担い手の高齢化が進み、園地が急傾斜地に分散しているため、園地集積や基盤整備が急務の課題です。このため、重点地区の津奈木町樹園地において、農業普及・振興課と津奈木町、JA、農業公社等が一体となって推進を図っています。
平成30年度に、将来の産地を担うJA果樹青年部員を中心とした津奈木町樹園地集積営農改善組合が設立しました。その後、園地集積と基盤整備の実現に向けて、津奈木町犬瀬地区にて集落説明会やアンケート調査等を実施し、話合い活動を進めてきました。
幾度となる話し合い活動の結果、同地区において、担い手に樹園地を集積し、園内道を備えたモデル園1.4haの整備を行うことができました。モデル園では、病害虫防除や収穫等の作業効率が向上が認められ、樹園地集積・基盤整備に向けた機運が高まりました。
今後は整備したモデル園をもとに、若い世代が継続できる産地づくりに向けて、関係機関一体となって支援していきます。

2020年4月

現地指導の様子

新規参入者の経営が良好にスタート

水俣市で酪農を営んでいた法人の廃業を受け、従業員であったOさんが、平成31年1月から施設等を借り受け、酪農業へ新規参入しました。令和元年の成績は、乳量や乳価、収入額等が計画を大幅に上回る良好な結果となり、特に体細胞数に関してはトップレベルの状況です。
これまで、経営開始に当たっては、スムーズな就農ができるよう、農業次世代人材投資事業や青年等就農資金を活用した就農計画等の作成を支援しました。
就農後は、乳質や乳価、子牛の販売価格の状況等を随時確認するとともに、決算期には経営収支や乳量乳質等の実績や次年度以降の資金繰り計画等を作成し、関係機関を参集した検討会で、情報の共有を図っています。
労働力の確保や計画的な施設や機械の更新等の課題も多いため、当課では、今後も関係機関と連携し、経営管理面での支援を継続していきます。

2020年4月

講習会の様子
講習会の様子

トップグレード米「くまさんの輝き」の生産拡大に向けて

芦北地域では県開発新品種の「くまさんの輝き」の生産を拡大するため、減農薬減化学肥料栽培による特別栽培を進めています。令和2年度の作付予定面積は、昨年の2倍以上にあたる26.9haまで増加する見込みです。
去る3月17日~19日には、「くまさんの輝き」栽培に取り組む生産者約70名を対象に、新型コロナウイルス感染症対策を十分に実施したうえで農協と共同で講習会を開催し、耕種基準に沿った要点を確認しました。特に、使用農薬成分数が制限された中で生産を行うため、田植え時期や使用農薬の見直しを行う必要があります。病害虫防除所の飛来情報や農業普及・振興課の発生予察調査に基づき、適期に防除を行うよう注意喚起をしました。
今後も「くまさんの輝き」の生育状況や収量性を確認しつつ、栽培技術指導・支援を継続していきます。

2020年2月

実演会の様子

農業用ドローンの実演会開催

12月12日水俣市深川地区において、薄原・深川地区営農改善組合主催で、農業用ドローン実演会が開催されました。同組合では、中山間農業モデル地区支援事業に取り組むなか、本年度多発したトビイロウンカ被害防止のため、現状のJA出資法人による無人ヘリ防除から、自分達で適期防除に取り組む必要を感じ、防除作業の受託組織設立を目指しています。
実演会では、講師から機体の特徴等の説明を受けた後、サラダ玉ねぎの畑において、散布の実演が行われました。参加した農家からは、バッテリーの稼働時間や充電時間、保険のシステムなど、導入した場合のコストにかかる質問が多く出されました。
農業普及・振興課では、組織設立に向けて今後も支援して参ります。

2020年1月

大規模基盤整備研修(長崎県)
大規模基盤整備の実現に向けた連携会議

樹園地の大規模基盤整備の実現に向けて

芦北地域の基幹品目である果樹は、担い手の高齢化が進み、園地が急傾斜地にあり分散しているため、園地集積や基盤整備が急務の課題です。当課では、これまで農地集積重点地区の水俣市袋地区及び津奈木町樹園地地区でのモデル団地整備やJA果樹青年部等を対象に、話し合い活動等を支援しています。
11月6日JA果樹青年部と関係機関等約30名で、長崎県西海市白崎地区の耕作放棄地区を活用した16haの大規模基盤整備の取組みを研修しました。作業効率の良い園地に再生させたほ場を目の当たりにして、参加者は管内でもぜひ取り組みたいと機運の高まりを感じました。
さらに、12月19日各市町、JA、農業公社、地域振興局(農業普及・振興課、農地整備課)を参集し、大規模基盤整備実現に向けた連携会議を開催しました。会議では、JAの整備構想や各市町が取り組むにあたっての課題等を共有し、スケジュール等を確認しました。
今後、関係機関の連携を強化して、地域や若い世代の要望等を聞きながら、大規模基盤整備の実現に向けて支援していきます。

2020年1月

実証展示ほでの幼木期枝梢管理検討会
ヒリュウ台「聖秀」の着果状況

加温デコポン産地強化へ向けた取組み

JAあしきたは、12月のお歳暮商材として出荷される加温デコポンの県内最大の産地です。加温デコポンでは、気象変動の激化や樹齢が進んだことで果実品質や生産量が不安定であり、燃油高騰等に伴い県全体として栽培面積が減少しており、12月商材の確保が課題です。
当課では、加温ハウス栽培で品質向上・安定生産が可能なわい性台木のヒリュウ台を活用した「聖秀」*等の導入を推進するため、平成29年度から展示ほを設置し、早期成園化に向けた枝梢管理等を実証しています。植え付け3年目となる今年度は、初着果を迎え、品質の高さも確認できました。
また、改植で導入された現地のヒリュウ台「聖秀」等も初着果を迎えたことから、本年産の12月の出荷量は前年より1割以上増加し、合格率も向上しました。
今後は、関係機関と連携してヒリュウ台「聖秀」等の導入を推進するとともに、展示ほで得られた知見を現地にも普及させて、更なるブランド強化を図っていきます。
※「聖秀」:JAあしきたが品種登録した果皮・果肉色の赤みが強い「肥の豊」の変異系統。

2020年1月

栽培管理講習会の様子

JA茶加工センターの取扱量が過去最高に

JAあしきたの本年産のお茶取り扱いでは、一番茶は昨夏の干ばつの影響で収量が少なかったものの、良質なものが多く生産されました。一方販売金額は価格低迷の影響により、前年比で9%落ち込みました。また二番茶は、さらに市況が落ち込み、前年比で43%落ち込みました。
そのため、農業普及・振興課では二番茶出荷後に講習会を開催して、夏から秋にかけての肥培管理を重点指導しました。その結果、生産量は三番茶で前年比277%、秋冬番茶では313%と急増し、茶加工センターの取扱量は前年比116%になり、過去最高となりました。講習会を受講したある農家からは、「こんなに秋冬番茶が取れたのは初めて。肥料をやればこんなに取れるんですね。」といった驚きの声が聞かれました。
本対策の取り組みで茶生産者の収入確保に貢献しましたが、単価の安い二番茶以降のお茶では、根本的な経営改善には繋がらないため、引き続き一番茶の販売金額増加へ向け、指導して参ります。

2020年1月

哺乳ロボットに入る子牛の様子

畜産におけるスマート農業の普及を目指して

水俣・芦北地域では、肉用牛繁殖農家の飼育頭数が増加傾向にあり、農家の労力負担が増えつつあります。そこで、当課では、哺乳ロボットを導入した大規模農家で、肉用牛子牛の飼養管理の効果を調査・検討しています。
調査農家では、哺乳ロボット導入前は子牛を母牛につけて飼養しており、子牛の疾病発生の低減、牛房の環境改善、日増体量の増加が経営上の課題となっていました。
今回調査した結果、ロボット導入後は、子牛の疾病発生数が減少し、去勢子牛では、日増体量の増加がみられました。また、農家から子牛の体重に応じて早期の出荷を目指すとの声をいただきました。
今後、生産コスト等についても整理・分析し、哺乳ロボットの導入効果を明確にすることで、地域の肉用牛繁殖農家の経営改善に役立ててまいります。

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